新田次郎のレビュー一覧
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日露戦争前夜、雪中での行軍を想定した演習で発生した未曾有の大遭難という史実をベースとした作品。
「Wikipedia三大文学」の一角ということと、大まかなストーリーは知っていたのですが、実際に読んでみて圧倒されました。
一目で「あっ、この瞬間に歯車が狂ったな」と分かるシーンもあれば、「これ、最終的にどっちのチームが遭難するんだ…?」と感じてしまう不穏な描写が散りばめられており、サスペンス作品としても楽しめると思います。
また、演習とはいえ軍事行動における「英雄」という偶像についても考えさせられました。
この演習で生き残った人々のその後や、考え方によっては「本番」と言える日露戦争での結末を知 -
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岩井圭也さんの「完全なる白銀」を読んだ時
今年のネンイチニッタは八甲田山死の彷徨を再読に決まりました
雪山小説の最高峰は、まだ譲れない
1977年の映画と共に記憶に残る作品です
弘前歩兵第三十一連隊隊長徳島大尉が高倉健
青森歩兵第5連隊の神田大尉が北大路欣也
2隊の対比が物語の主体
時代は日露戦争前夜(1902年)
日露が戦争状態となった場合の八甲田山系雪山縦断の可能性の模索
遭難事故については いろいろなところで語られていますので多くの方がご存知かと思います
久しぶりに読んで 記憶と違ったところがいくつかありました
一つは小説は1971年の書き下ろしで遭難事故より時代がかなり経っていた -
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日露戦争前夜の八甲田山での日本陸軍の遭難事件。あまりにも有名な事件だけれど、ほぼ全滅した連隊とは別に、無事生還した連隊があったことがどこまで世間に知られているのか。第五連隊の準備不足、指揮命令系統の混乱、組織論理の優越から来る非合理的な判断、劣等感から意見の飲み込みなど。現代社会において組織に生きる私たち自身も振り返るべき問いが多々ある。合理的な判断でないと思っているにも関わらず、それにいい諾々と従うことは逆に罪深い。
また生還した第三十一連隊の徳島大尉の平民への差別意識も甚だしく、加えて、軍隊が駐屯することになった村・集落の負担も相当なものだったろう。寒村で自らの食糧でさえままならないだろう -
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読み応えたっぷり楽しめた。
三部からなる。
富士山への気象観測レーダー建設着信前の気象庁での話、建設途中での出来事、完成後の諸問題などとわかれる。
現場は山岳だが、内容は国家予算による一大プロジェクトを成し遂げた省庁でのお仕事ドラマだろうか。
仕事を受けたくでドロドロした対立関係になる会社は分割発注なのかシングルなのかで建設期間も限られた中での指示系統をも鑑みた、統括のとても難しい中での人間ドラマ。
現場監督のことば、建設に関わった者の名をプレートで残すことで、この仕事の真意は人の数、技術、金、ではなく人の気持ちだ、という最後は人、その人を奮い立たす誠意と覚悟。
完成を祝う乾杯の席でも -
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新田次郎の最高傑作。
イマドキの歴史小説家さんは、結構大胆にキャラ設定して、割と自由に立ち回るじゃないですか?
でも、新田次郎が書いていた頃は、実在する歴史上の人物を主人公とする時、歴史文献や史実の確認をしっかりと踏まえた上で書かないと、『キワモノ小説』扱いされるし、地元住民から怒られる様な時代だったんですよ。多少の贔屓目は有りとしてもね。
そういう意味で、重厚且つじっくりと話が進みますので、気の短い方には不向きかもしれません。でも、それを乗り越えて読み進めていくと、信じられないほどの一体感と云うか《同じ場所にあたかも自分がいる様な》錯覚すら受ける瞬間がやってきます。その時の感動と言ったら…!!
そういう時に「読 -
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富士山に興味がある今、登る前に知れてよかった。
霊峰富士、民間信仰が急速に大衆化した「富士講」が始まったのが天正年間。1573〜1592頃
元禄2年1689年頃からの5代目月行と月心と6代目となると伊兵衛の生涯の話。
駿河国浅間神社の浅間大菩薩、それまでは木花開耶姫/コノハナサクヤヒメ、を祭神としていたが、神と仏が合体して、浅間大菩薩という宗教対象が生じた
お鉢周り〜東賽の河原〜銀明水/下がった岩の根からの湧き水=御神水〜大宮口、大日如来の堂〜剣ヶ峰〜親知らず子知らずの岩場〜雷岩〜釈迦ヶ岳、溶岩峰、釈迦の割石の凹部が1675年8/15 案山禅師の入定の場
仏教では戒律、禅定、智慧の三つ -
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芸術的な絵
一巻にあった原作者と作画の坂本さんの他のお名前が1人減っている。あれ?
夕実との再会。こんなふうに変わってしまったのか。少し悲しいです。ところで山のことはまるでわからないまま読んでいますが、実は先日、ショッキングなニュースがありました。あるテレビタレントさんを何度も山へ引率された登山家がK2で滑落事故に遭い、捜査打ち切りということでした。ちょうどこの巻でK2が描かれており、危険な場所であること、名前の由来等を知ったばかりで驚きました。
作画の美しさはどんどんレベルアップ、というか坂本先生の世界に引き摺り込まれて行ってます。たった黒と白の世界にどうやってこの色彩を表現できるのか。また妖艶な肉体、