あらすじ
百姓一揆にまきこまれ、過って妻のおはまを刺殺した岩松は、国を捨てて出家する。しかし、罪の償いにきびしい修行をみずから求めた彼を絶え間なく襲うのは、おはまへの未練と煩悩だった。いっぽう、清貧と無欲の極地で庶民救済に生きようとする彼を俗世へと駆りたてることに執念を燃やす奇妙な男がつきまとう。大飢饉や一揆、打ちこわしといった江戸後期の乱世に、妻殺しの呵責に苦しみつつ、未踏の岩峰・槍ヶ岳初登攀に成功した修行僧播隆の苛烈な生きざまを、雄渾に描く長篇伝記小説。
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Posted by ブクログ
山岳小説であり歴史小説だった。
当時の登山装備で厨子と仏像を持って槍に上がるというのは、考えられないことだ。念仏行者について深く考えさせられた。
徳念は最後の最後にちょっと残念。
Posted by ブクログ
自分の犯した罪を僧になることにより浄化しようとするが、中々出来ず死に際に克服したのかなと思われるところに思うところがあった。
播隆の思いとは裏腹に勝手気ままに好きなことを言いまくる弟子達にヤキモキしながら読んだ。
堅実に戒律を守ろうとしているのに、山の掟に従えとめっちゃ怒られて従うところとかは少し笑ってしまった。
槍ヶ岳の開山がどういう事を表していて、そこにどんな人達が絡んでいたのか勉強になった。
Posted by ブクログ
現在では多くの人が登る日本有数の名山、その登頂の道を開いてくれた名僧播竜上人の生涯を描いた作品
彼はなぜこの偉業をなしえるに至ったのかを出家以前から語られる
槍ヶ岳を目指すなら読んでおきたい名作
Posted by ブクログ
映画、『剱岳』を見て、この『槍ヶ岳開山』を読んでみた。
どちらもはじめての登頂を目指すのだが、中身はちょっと違う。
高校生のとき、登山競技ではペーパーテストがあった。その問題で、播隆上人の名前が確か出てきた記憶がある。しかし、この本は読んだことが無かった。
農民が百姓一揆を経て僧侶になり、笠ヶ岳の再興、槍ヶ岳開山へ取り組んでいく、播隆上人の半生の物語です。心に迷いがある人、自殺を考えてしまう人にお薦めの一冊です。一心不乱にいきることが大事です。