新田次郎のレビュー一覧

  • 八甲田山死の彷徨
    1902年、青森県十和田市で起きた世界最悪の山岳事故、当時の陸軍雪中行軍を描いた事実に基づいたフィクション。今では道路が通る峠道だけど、当時まだ道のない、ましてやヒートテックも無い時代の話しだから、当時の惨状が痛ましい。
  • 八甲田山死の彷徨
    悲惨。明治時代の軍隊の雪山訓練で199名が遭難、死亡した話。遭難した第5連隊も悲惨だけど、第31連隊の案内人たちの扱いのひどさが哀れ。怖かった。
  • アラスカ物語
    小口もページの中までも黄色くなって、調べたら昭和55年の文庫初版、40数年ぶりの再読です。
    主人公はアラスカで活躍した明治元年生まれの安田恭輔(フランク安田)。
    巻末の30ページにわたる取材紀行文を読めば分かる通り、如何にも新田さんらしい綿密な取材を経て書かれた作品で、現地で感じた自然、景色はもちろ...続きを読む
  • 八甲田山死の彷徨
    日露戦争前に青森で起こった陸軍の大規模遭難の話。

    遭難して極限状態まで衰弱すると、最後は手が動かなくなり用がたせなくなったり、発狂したり、雪山で遭難する悲惨さが描かれている。
    組織における指揮系統の乱れ、危機管理の甘さ、根性論による状況判断ミスが大惨事を引き起こしたことが分かり、これらの大切さを改...続きを読む
  • 八甲田山死の彷徨
    無鉄砲な雪山の行軍演習で、寒さ地獄に襲われるほんとにおそろしいお話。

    でも現代社会でもいまだに根性論優勢。
    教訓が活かされてませんよね。


    名著「失敗の本質」と併せて楽しめます。
  • 劔岳〈点の記〉
    「新田次郎」の長篇山岳小説『劒岳 〈点の記〉』を読みました。

    『アイガー北壁・気象遭難』、『強力伝・孤島』、『孤高の人』に続き「新田次郎」作品です。

    -----story-------------
    山岳小説の頂点といわれる名作!
    日露戦争直後、北アルプス立山連峰の劒岳山頂に三角点埋設の命を受けた...続きを読む
  • アルプスの谷 アルプスの村
    「新田次郎」が昭和36年(1961年)に訪れたアルプスの3ヵ月の旅を描いた紀行『アルプスの谷 アルプスの村』を読みました。

    『アイガー北壁・気象遭難』、『強力伝・孤島』、『孤高の人』、『劒岳 〈点の記〉』に続き「新田次郎」作品です。

    -----story-------------
    チューリッヒを...続きを読む
  • アイガー北壁・気象遭難
    「新田次郎」の山岳小説短篇集『アイガー北壁・気象遭難』を読みました。

    ここのところ、山岳関係の読書が続いていますが、「新田次郎」作品は一昨年の10月に読んだ『雪のチングルマ』以来なので久しぶりですね。

    -----story-------------
    取りつき点から頂上まで1800メートルの巨大な...続きを読む
  • 強力伝・孤島
    「新田次郎」の短篇集『強力伝・孤島』を読みました。

    『アイガー北壁・気象遭難』に続き「新田次郎」作品です。

    -----story-------------
    それは人の域を超えた業だった。
    名峰・白馬岳の山頂まで50貫(約187キロ)もの大岩を背負い上げた男の物語。
    【著者の処女作にして直木賞受賞...続きを読む
  • 栄光の岩壁(上)
    読んだきっかけは2022年7月、スイスでアイガー北壁を見たこと。これどうやって登るの?!とアイガーの姿に驚いた。

    山に魅了された少年の物語。
    遭難により友人だけでなく、自分の足までも凍傷でなくしてしまう。
    その様子は、読んでいるだけで目を背けたくなるほど秀逸に描かれている。その後の山登りや岩壁登り...続きを読む
  • 栄光の岩壁(下)
    岳彦は山屋である。
    壮絶なリハビリの末、日本を代表するクライマーとなった彼に、
    スイス・マッターホルン登頂の話が舞い込む。

    信頼できる相棒をようやく獲得し、マッターホルンの頂上へ・・・

    実在の人物がモチーフになってるみたいだ。
    かなり読みやすい小説。
  • 先導者・赤い雪崩
    「新田次郎」の山岳小説短篇集『先導者・赤い雪崩』を読みました。

    『八甲田山死の彷徨』に続き「新田次郎」作品です。

    -----story-------------
    自然の魔と人間の魔があった。
    山岳小説の傑作・全八篇。

    上越国境を縦走する女性4人と男性リーダーのパーティーが遭難死に至る経緯をとら...続きを読む
  • 八甲田山死の彷徨
    「新田次郎」の山岳小説『八甲田山死の彷徨』を読みました。
    先日、映画版の『八甲田山』を観て、原作を読みたくなったんですよね。

    -----story-------------
    愚かだとわらうのはたやすい。
    だが、男たちは懸命に自然と闘ったのだ。

    日露戦争前夜、厳寒の八甲田山中で過酷な人体実験が強い...続きを読む
  • 八甲田山死の彷徨
    結末をほぼ知ったうえで読んだ一冊。
    組織論の題材として、戦時中の指揮命令系統や兵站は常に話題に挙がるけど、なんといっても自然の厳しさを感じた。
    当時の記録などをもとに淡々と記されるドキュメンタリー風な内容で、小説らしい絶望的な状況の脚色は抑えられているので、読み手に様々な思いを喚起させる。
  • アラスカ物語
    野田知佑さんの「ユーコン漂流」でビーバー村と共にフランク安田さんとこの本のことが紹介されていたので早速手に入れて読んだ。こんな日本人が実在したことに只々感動するばかりである。ジョージ大島さんも実在した方だが、小説ではいい味を出している。
  • 孤高の人 1
    ずっと集めたいと思っていた作品で、やっと一巻を購入しました。単純に、傑作です。最後まで一気に読むべきです。
  • 八甲田山死の彷徨
    面白かった。新田次郎の作品は初めて読む。というか、こういう作品を読むこと自体が初めてだった。実際あった事故を元にした半虚構小説。描写がとても分かりやすく、ぐいぐいと読み進めさせられる力があったように感じる。ドラマチックにものを描かないことが余計にその哀愁や虚無感を際立たせる気がした。登場人物が少し多...続きを読む
  • 小説に書けなかった自伝
    ・悪い点は誰かが指摘するから、努めて良い点を指摘する方に回る(八木義徳)
    ・小説屋であったことは職場でもみんな知っていた。役所では言動を慎み、小説のことは噯気にも出さないようにする。仕事も人一倍熱心に勤めた。人の目は厳しい。麻雀で夜更かししての翌日の会議で居眠りは許されても、復業での居眠りは許されな...続きを読む
  • 八甲田山死の彷徨
    明治35年、日露戦争を前に、
    陸軍の二つの聯隊が冬の八甲田山をそれぞれ逆ルートで登るという研究的雪中行軍が行われる。

    雪と吹雪と氷の死の世界。
    ばたばた倒れゆく兵たち。

    乾いてあったかな布団に寝られるこの普通の日常に感謝の念がふつふつ。
  • 孤高の人(下)
    間違いなく面白いのだが、登場人物に全く共感できず読むのが嫌になるような後半だった。本から学ぶ教訓は多くあると思っているが、この遭難については疑問にしか思えなかった。