新田次郎のレビュー一覧
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この人の小説はこれで何冊目だろう?ゴツゴツした高山の岩場のような装飾の少ない文体は、山にスリルや厳しさを求める山屋を強く惹きつける、、、と思う。私は、そうして惹きつけられている。
冬山……というか、雪山を舞台として人が死にまくる短篇集。
私も数年前に雪山にはまり、1シーズンではあるが狂ったように登りまくったのを覚えているが、GPS機能もあり、どんな吹雪の中でも道を誤り遭難するということはなかった。どうして登場人物はGPSを使わないのか?と思ったら、初版が昭和34年とのこと。大変失礼しました……。
各短篇においては、気のゆるみがあっという間に死に直結する雪山の怖さが描かれている。中に -
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ネタバレモルゲンロート観てみたい。
「山岳小説」で検索してヒットして面白そうだと思った本を片っ端から買っていて、積読していた。
大正~昭和の初めのお話で、時代小説が苦手で一回途中まで読んで断念していたけど、最近忍たまにハマっているので、昔の時代の物語も楽しめるようになってきて、読み切れた。(忍たまは戦国時代。ありがとう忍たま)
途中まで読んでいたとき、乾し小魚をぼりぼり食べている描写を読んで、影響されてわたしも乾し小魚をスーパーに買いに行った。再読時、その出来事を忘れていて、また乾し小魚をぼりぼり食べている描写を読んで、また影響されて乾し小魚を食べたくなった。そして…(無限ループ?)
北八ヶ岳 -
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自分にとって身近な富士山。その山の中で江戸時代に入定(宗教的自殺)をした人がいたことは知っていた。ただ、知識として知っていても、その人の人となりや当時の空気感のようなものはなかなかわからない。リアルと創作の境目が曖昧な小説ではあるが、それでも理解のヒントにはなるかなと期待して読んだ。
師匠との出会いから江戸での生活の様子、2度の結婚など、ひとりの商人が周囲の人たちとの関わりの中で次第に富士山信仰に入り込んでいく様子がイメージとして浮かび上がる見事なストーリーだった。富士講はその時々の指導者が、始祖角行の教えを自由に解釈するというスタンスに驚き、同時に納得できた。
岩室に篭って死に至る31日 -
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神田部隊と徳島部隊を比較して指揮官のあり方について言及して書かれている。神田部隊最大の不幸は山田少佐の行軍参加だろう。これにより自ら指揮する権限がなくなった。一方徳島部隊は徳島大尉の念密な計画と権限を掌握したことで成功した。
山田少佐の気まぐれ判断で部隊は混乱し全滅したのは気の毒という一言ではすまない。神田大尉は山田少佐に恨みも怒りもなかったのは象徴的だった。
山田少佐が、もしいっさいを自分に任せていてくれたら、指揮権を奪うようなことをしなかったら、このようなことにはならなかったかもしれない。しかし、今となっては繰り言でしかない。自分へ雪中行軍の計画者なのだ。(P210)
私なら「山 -
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自伝というより半自伝という本。生い立ちは全く書いてない。書き出しは満州引き上げから作家になるまでの経緯である。
新田次郎の魅力は大胆さと小心さの兼ね合いだと思う。「強力伝」がサンデー毎日1等をとったら、その賞金でいきなり吉祥寺に土地を買ってしまうのだ。まだ「強力伝」しか書いていないのにである。しかもこのころはまだ完全な職業作家ではない。気象庁で働ききながらの兼業作家だった。その後は直木賞も受賞し文名も上がっていく。ところが新田は「気象庁をおさらばして筆1本で食べていかねばならないと思うと不安だった」と述べる。結局兼業作家生活は10年続くことになる。 -
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ネタバレまず山本勘助について。個人的に忍び系(?)の人が好きなので気にして追っかけてた。織田信長に会うシーンや桶狭間の合戦の勘助はヒリヒリしたなぁ。川中島の合戦の勘助について多くは語らないけど、2日間ほどページが捲れなかったことは書き残しておこう。
上杉政虎について。天才肌だったんだなぁという印象だけど、政虎を支える人たちによって才能を活かすも殺すもされるんだなぁと切ない気持ちになった。小田原城の合戦に関してはほぼ戦ってないような?そんなもんだったの?という。信玄と政虎、お互い裏の裏を考えて策略し合うのが秀才同士って感じで胸熱。
最後に晴信-またの名を信玄について、私この人が考える策がどうやら好き