新田次郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ明治時代の青森県八甲田山への雪中行軍の訓練で起きた世界最悪規模の遭難事故の史実を元にしたフィクションです。新田次郎の本は初めて読みましたが、情景が本当に見てきたのではないかと思うほど、読んでいて場面が見えるようでした。読み始めたら本当に先が気になって、次にまた読み始めるのが楽しみになるような本です。
感動した箇所
「『疲れたろう。休んだらいい。苦労話を聞きたいが、後の楽しみに取って置こう。おれはこの汽車で帰って、歓迎の準備をしなければならないからな』
と門間少佐が言った。
『いや話は聞いて帰って下さい』
徳島大尉は話し出した。弘前から三本木までは概略を話して、三本木から増沢まで行軍して、そ -
Posted by ブクログ
ネタバレ未曾有の異常気象による天災でもあったが、基本的には雪の脅威を過小評価し自分たちの能力を過大評価したこと、軍隊特有の階級構造とそれに基づく権威主義、競争意識、指揮系統のあり方がもたらした人災だった。
第5聯隊上層部が第31聯隊への競争意識や上層部へのアピール意識で目の前の気象条件を客観的に意識できなくなっていったが、行軍強行突破の引き金となったのは下士官の根性論発言だった。
現代でも雪の脅威は克服できていない。今年も雪害による死者が発生している。
そんな中解散総選挙が目論まれている。
自然の驚異を知りながらわざわざ飛び込むのか、私たち市民の態度が問われている気がしてならなかった。 -
Posted by ブクログ
『密航船水安丸』は、新田の『アラスカ物語』のスピンアウト作品。『アラスカ物語』では、宮城県石巻出身のフランク安田(安田恭輔)をとりあげていた。
『密航船水安丸』は及川甚三郎(1855-1927)の生涯を淡々と描いている。フランク安田と同じく、及川は宮城県の山村の出身。1907年、82人の仲間と帆船でカナダへ密航。ヴァンクーヴァーの無人島を開拓し、日本人移住者の基礎を築いた。
ジョン万次郎や悲惨な移民の話の類かと思って読んだら、そうではなかった。及川はカナダに渡る時にはすでに42歳。150人がはたらく製糸工場の経営者だったのに、そんな途方もない冒険に乗り出した。波乱万丈、根っからの冒険的起業家だ -
Posted by ブクログ
この人の小説はこれで何冊目だろう?ゴツゴツした高山の岩場のような装飾の少ない文体は、山にスリルや厳しさを求める山屋を強く惹きつける、、、と思う。私は、そうして惹きつけられている。
冬山……というか、雪山を舞台として人が死にまくる短篇集。
私も数年前に雪山にはまり、1シーズンではあるが狂ったように登りまくったのを覚えているが、GPS機能もあり、どんな吹雪の中でも道を誤り遭難するということはなかった。どうして登場人物はGPSを使わないのか?と思ったら、初版が昭和34年とのこと。大変失礼しました……。
各短篇においては、気のゆるみがあっという間に死に直結する雪山の怖さが描かれている。中に