新田次郎のレビュー一覧
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故郷で出会った少女に思いを寄せ、数年後彼女と結ばれる加藤文太郎。結婚を機にそれまで題名通り孤高の人であった彼は周囲との付き合いを見直し、打ち解けるようになっていった。
一方、娘も生まれ家庭が尋常のものになっていくにつれ、山からは遠ざかっていく。そんな折彼を師として慕う登山家・宮村から、思い人を吹っ切るためにパーティーを組んで槍ヶ岳からの北鎌尾根へと最後の登山をしたいと懇願された。
加藤が生涯で初めて単独行でないその登山を行った時に悲劇が訪れる。
彼の「決心したら疑わない」との信念が最後の最後で悪い方に出てしまったように思えた。
恋愛の話はやや通俗的だけれど、それが読みやすさに繋がっているのかも -
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ありえない。。明治でしょ、富士山で?山頂で越冬??そんなの絶対無理無理。と思って、そんな非現実的なことなんて全然無理無理と思って読み始めた。
そして二人とも高山病と寒さで11月にはすぐ死んでしまいそうになるのも、そりゃ頷ける。でもでも、あの時代にトライしようとしたのが本当にありえなくてすごすぎる。
また、結末を知らないで読み進んだんだけど、12月の年末に?救助隊が富士山に上がって行って、二人を担ぎおろしてきた?すごいな!本当にびっくり。
年末の富士山なんて、現代で、十分装備を整えて、プロが行ったって危ないのに、明治でしょ、アイゼンとかピッケルとか、ろくに無いんでしょ、それで担ぎおろしたのか!と -
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実在の人、加藤文太郎による前人未到の日本列島の縦断単独踏破までの上巻。
登山小説における、究極の状態における人間心理や素晴らしい景観、そして死と隣合わせの冒険という特有要素が満載で、大正、昭和における登山行の考え方や道具等細かに描かれており、興味深い。主人公、加藤文太郎の寡黙な人柄は、この小説によって山男の象徴的なものとして人々に記憶されたのではないかと思えるほどにインパクトがある。
プロローグで、加藤か遭難したことを語る人物が、単独で登山していれば間違いはないと述べたことがこの本の確実なラスト展開につながってしまうのを感じてストーリーにやや興味を失ってしまう。山行の合間に描かれる恋愛や会社で -
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のっけから、信玄の葛藤がある。
この本の中に、葛藤していない信玄はひとかけらもいない。
父に苦しみ、正妻に苦しみ、仕事に苦しみ、病に苦しみ、思い上がりから家臣を死なせ……
溺れても仕方のないほどの才を自身で操り切れず、才が大きい分、痛みも大きい。
でも葛藤しながら、自分で運命を引き受けるから、こんなに魅力があるんだな。
自分の思い通りにならない理不尽なことに、ぐずぐず思い悩むのは、もう本当にやめよう、立ち向かわない人間に魅力なんかない。それって気持ちよくない。自分も立ち向かおう、切り拓こう、葛藤はして当たり前。そんなふうに力を分けてもらえる本。 -
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原渓人 ゴメンね…でもこの一瞬を逃したくなかったんだ だって人はいつ死ぬかわかんないじゃん 全てのしがらみから逃れるように鬱積したエネルギーを山にぶつけていた…初登攀がニュースで流れる時代だった…山では誰もが英雄になれるチャンスがあったんだ 谷川岳 厳冬期の滝沢第三スラブ 深い谷底の万年雪の中 グレード5・13 ニーバーで支えやがった!!! オンサイト上に行きたいなら限界を決めるな ハングを登れたお前は新しいお前なんだ 今まで何があったかなんて問題じゃない…これからどう生きていくのかが問題なんだ 何かをやらずにはいられない…‼︎ 何でもいいから始めないと爆発しそうだ…‼︎ 物欲の塊 ビルの窓拭
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森文太郎 横須賀 握力 とりつくシマもない 転校早々エスケープ 意外と粘着質 腕がパンプ ハンドジャム 楔 上にいくんだ… 柔軟性 うぜぇ 跳んだぁ…!!! ランジ決めやがった…!!! ヒールフックマントリング 未踏 私の不徳の致す次第であります ザイルパートナー 自分は今生きてるぞって…!!! 高鳥山 ビギナーズラック フリーソロ クライミングシューズ インドアクライミングのコンペ 脳内に焼き付けられている 正確に記憶 格の違いカラビナにロープを通しながら 競技の公平を期するため オンサイト=初めて見たルートに挑戦する オブザベーション=下見 超回復 一度腕を限界までパンプアップさせると回復
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確か映画化されたんだよなぁと思い、手に取りました。
明治時代に富士山頂に気象観測所を建てるために尽力する夫について冬の富士山に登り共に観測小屋に籠った妻・千代子の物語。
まだ女の人の地位も低かった頃に千代子はしっかりと自分の意思を持ち、行動力を発揮するのだけど、その根底には夫に尽くし愛する気持ちがあってこそなのです。
千代子は本当に強くて聡明な女性。冬の富士山頂の様子は凄まじく、雪と氷に覆われた小屋での生活は寒さとの闘いで、本当に壮絶。普通の人にはとてもとてもできない。もちろん私にも無理だけど、これをやってのけた女性が本当にいたなんて、すごすぎる。
所々で出てくる手紙や報告書の文章が当時のまま