新田次郎のレビュー一覧
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あぁ、4巻読み終わってしまった。。
何と言うか、ここまで延々と信玄の凄さを読んでしまうと、「嘘でも良いから西上を達成して!!」と思ってしまうのですが、学校で習った歴史にそんなコト書いてないですもんね。歴史は変えられない。
でも、それだけ感情移入させられた作品でした。だからこそ読後の寂寥感と言ったら。なんかラストだけでも美しい救いがあったら…とも思ったんですが、そこは新田次郎。あくまで信玄のカリスマと、残酷ではありますがその後の「事実」を描いたのでしょう。
不思議だったのが武田勝頼です。
どうにも最後まで、「やる気があるけど…なお坊ちゃま」の域を脱せなかった感があります。オトンもあぁ言ってるん -
Posted by ブクログ
「孤高の人」が気高く険しい孤高から降りたったとき、なんと哀しい結末が待ち受けているものだろうか。以前の加藤文太郎であれば山で生きる鍛錬を繰り返しながらも「山男は山で死ねば本望」などと思っている節もあったが、花子と結婚し生きる喜びを見つけた加藤にとって人生とは如何に不合理なものか。ヒマラヤの地を踏むことなく生涯を遂げた。
本作品は『八甲田山』や『剣岳』のような登攀描写は全体的に少なく加藤文太郎の人生に焦点が当たられている。そのため登山小説というより登山「家」小説であるが、社会人登山家として彼が切り開いた道の功績は大きい。決してハッピーエンドではないが新田次郎氏の傑作といえよう。 -
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ネタバレ本作品は山岳小説の大家である新田次郎氏が「加藤文太郎」という登山家に焦点を当てた山岳小説である。そこに描かれているのは外山三郎ら庇護する者や影山ら乱す者との人間ドラマであるとともに、大正から昭和へと変わる不穏な雰囲気、関東大震災や5.15事件の軍国化、共産主義の暗躍といった出来事である。「単独行の加藤文太郎」の気骨がどうやって生まれ形成されていったか、新田次郎の詳細な調査と創作が入り交じり「加藤文太郎」に色を与えている。
ひとつだけ疑問は山に興味が薄かった加藤氏がどうしてヒマラヤに執着するようになったのか。作品内でのきっかけや動機が薄弱のような気がする。もう少し詳述が欲しかったように思う。 -
Posted by ブクログ
故郷で出会った少女に思いを寄せ、数年後彼女と結ばれる加藤文太郎。結婚を機にそれまで題名通り孤高の人であった彼は周囲との付き合いを見直し、打ち解けるようになっていった。
一方、娘も生まれ家庭が尋常のものになっていくにつれ、山からは遠ざかっていく。そんな折彼を師として慕う登山家・宮村から、思い人を吹っ切るためにパーティーを組んで槍ヶ岳からの北鎌尾根へと最後の登山をしたいと懇願された。
加藤が生涯で初めて単独行でないその登山を行った時に悲劇が訪れる。
彼の「決心したら疑わない」との信念が最後の最後で悪い方に出てしまったように思えた。
恋愛の話はやや通俗的だけれど、それが読みやすさに繋がっているのかも -
Posted by ブクログ
ありえない。。明治でしょ、富士山で?山頂で越冬??そんなの絶対無理無理。と思って、そんな非現実的なことなんて全然無理無理と思って読み始めた。
そして二人とも高山病と寒さで11月にはすぐ死んでしまいそうになるのも、そりゃ頷ける。でもでも、あの時代にトライしようとしたのが本当にありえなくてすごすぎる。
また、結末を知らないで読み進んだんだけど、12月の年末に?救助隊が富士山に上がって行って、二人を担ぎおろしてきた?すごいな!本当にびっくり。
年末の富士山なんて、現代で、十分装備を整えて、プロが行ったって危ないのに、明治でしょ、アイゼンとかピッケルとか、ろくに無いんでしょ、それで担ぎおろしたのか!と -
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実在の人、加藤文太郎による前人未到の日本列島の縦断単独踏破までの上巻。
登山小説における、究極の状態における人間心理や素晴らしい景観、そして死と隣合わせの冒険という特有要素が満載で、大正、昭和における登山行の考え方や道具等細かに描かれており、興味深い。主人公、加藤文太郎の寡黙な人柄は、この小説によって山男の象徴的なものとして人々に記憶されたのではないかと思えるほどにインパクトがある。
プロローグで、加藤か遭難したことを語る人物が、単独で登山していれば間違いはないと述べたことがこの本の確実なラスト展開につながってしまうのを感じてストーリーにやや興味を失ってしまう。山行の合間に描かれる恋愛や会社で -
Posted by ブクログ
のっけから、信玄の葛藤がある。
この本の中に、葛藤していない信玄はひとかけらもいない。
父に苦しみ、正妻に苦しみ、仕事に苦しみ、病に苦しみ、思い上がりから家臣を死なせ……
溺れても仕方のないほどの才を自身で操り切れず、才が大きい分、痛みも大きい。
でも葛藤しながら、自分で運命を引き受けるから、こんなに魅力があるんだな。
自分の思い通りにならない理不尽なことに、ぐずぐず思い悩むのは、もう本当にやめよう、立ち向かわない人間に魅力なんかない。それって気持ちよくない。自分も立ち向かおう、切り拓こう、葛藤はして当たり前。そんなふうに力を分けてもらえる本。