新田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ多分でしかないけどすべてが完璧にいく登山なんてほぼなかったんじゃないかな。常に学んで修正して挑んで、その繰り返し。その工程が加藤文太郎を育てたのだと思う。
それにしても下巻の途中からは読むのが辛くなっちゃったな...。あれだけ山に夢中だった加藤が結婚を機に人が変わるとは、人が人に与える影響力は底知れない。孤高であったが故にこれから先は幸せに生きて欲しいと願っていた。
経験と知識からなる譲れない芯は持っているのだから、もっと自己主張が強ければ、グループ登山の経験があれば救われたのかもしれない。けどどちらも持ち合わせていないのも加藤文太郎の魅力であり...。
山はとてつもなく魅力的な場所であ -
Posted by ブクログ
軍上層部からの実質的には強制で剣岳への人類初の登頂を命じられた柴崎芳太郎。
宇治長次郎など優秀な仲間を得、過酷な自然に勇敢に立ち向かう。
想像を絶する苦難を乗り越えて、剣岳を征服するが、頂上には奈良時代の修験者が残した刀剣と錫杖があった。
軍部は「初登頂」でないことが世間に知れるのことを恐れて、柴崎らの業績を大々的には報じない。むしろその業績に対して関心が薄れたような反応さえ見せる。
現代でも組織のマネージメント層が自分たちの都合や無理解で現場で苦労をしながらも結果を出した人を正当に評価しないがままあると思う。残念なことだ。
「命をかけろ」との命令を遂行したが、満足な評価を得られなかった柴崎達 -
Posted by ブクログ
有名な冬の八甲田山での冬季遭難事件を扱った本。
冬山の知識も経験もない上司の思いつきの行動、事前の知識と準備不足、もう全てフラグ立ちまくりで、読みながらクラクラしました。
これぞ日本陸軍の真髄!という感じですね。
本作品では、悲劇の青森第五連隊に対して、同時期に11日間の冬季訓練を無事に成し遂げた弘前第31連隊を対比しているので、より青森の部隊の上層部のダメダメさが際立ち、青森連隊の現場メンバーが可哀想でならないです。
ほんと、これぞ日本陸軍!
「悲劇」といわれる遭難でも、同じ時期にほぼ同条件で成功しているグループが存在することも多いんですよね。(例えばトムラウシの大量遭難とか)
後世の