新田次郎のレビュー一覧

  • 武田信玄 山の巻
    最終巻の中心は西上作戦。

    正直、不要ではないかと思う話も少なくなかったが、三方ヶ原の戦いと信玄の最期の描写は読み応えがあった。

    物語は新田の自説によって締めくくられている。
  • 武田信玄 火の巻
    前半は義信事件、中盤以降は駿河侵攻と北条との戦いが話の中心。

    武田信玄というととかく川中島にスポットが当てられるが、実際には川中島後と言うよりも晩年の西上作戦の方が重要だったのかもしれない。

    本巻はその布石となっている。
  • 武田信玄 火の巻
    再読2020.7.19~
    2020.8.7完了
    義信の悲劇と勝頼の頼もしさが載る。
    武田家を扱う小説を読むと、いつも勝頼が活躍し出すと武田家の終わりが近いことを覚り何とも言えない悲しい気持ちになる。
    駿府を取り上り調子真っ只中であるのに悲しいものだ。
  • 武田信玄 林の巻
    本巻のメインは川中島の合戦(それから大きな事件として桶狭間の戦い)。

    「風」とは違い、信玄は正に“名将”として描かれている。

    川中島の合戦で最も大規模な戦闘が繰り広げられた第四次合戦で本巻は終わるが、物語はまだ半分である。

    そして後の“義信事件”を示唆するトラブルも終盤に出てくる。
  • 武田信玄 風の巻
    戦国最強の名将というイメージのある武田信玄、若い時は、苛烈なやり方で、手に入れた土地の人々の反感を買ったりもしていたのだなと意外に思った。何十年も前の作品だけど、面白い。
  • 武田信玄 林の巻
    再読2020.6.26~
    2020.7.19完了
    武田家の隆盛の時期を多く迎える。
    三国同盟、義元上洛、川中島…
    これらの年月を20年近くかけて成る武田家。
    織田家の歩み寄りが垣間見えてくるが、その織田家との成長のスピードは歴然としている。
    やはり差は大きかったよう。
  • 孤高の人(下)
    私も山は好きだ。北アルプスにも行く。雪の山にも登る。

    結局は無謀だったのだ。

    孤高の人は孤高を捨てていた。
    家族を想い、山を想った。

    最後に自分の登山を貫くことができなかった加藤。
    読みながら宮村を疑い、加藤の甘さに怒りを覚えた。
    しかし、後味の悪さだけではない不思議な感情も残った。

    登山家...続きを読む
  • 武田信玄 風の巻
    話の展開が少々早い。新田はおそらく、武田信玄が信濃の大部分を制圧してから後、すなわち上杉謙信との戦いから先を重視しているからだろう。

    武田信玄といえば政治、軍略いずれも秀でた名将として知られており、実際そうなのであろうが、本巻で描かれている信玄は、確かにその一端は見えるが、短絡的なところも多い。戦...続きを読む
  • 武田三代
    武田信虎、晴信、勝頼の三代にまつわるスピンオフ的な作品。
    信虎の最期、異説 晴信初陣記、消えた伊勢物語、まぼろしの軍師、孤高の武人、火術師、武田金山秘史の7篇。

    いろんな説があっていいではないか。こうであったら面白い、と思わせた作者の勝ち。
  • 劔岳〈点の記〉
    剱岳山頂に三角点設置の使命を受けた測量官柴崎芳太郎の歩み。さまざまな困難の中で、雪渓を進む道で頂上にたどり着く。ただ、数百年も前に修験者によって登られていた。測量官のチームとしての動きを描く。剱岳に登りたくなる。
  • ある町の高い煙突
     新田次郎が他界して早くも40年。中高生の頃、わたくしは吉村昭・城山三郎・有吉佐和子そしてこの新田次郎を秘かに「ストオリイテラア四天王」と呼んでゐました。単にわたくしの好みです。
     で、何故『ある町の高い煙突』か。随分前に(30年位前か)、公害関連の書物を色色漁つてゐまして、その中に紛れ込んだのがこ...続きを読む
  • ある町の高い煙突
    日立鉱山の煙による公害が解決されるまでを描いたノンフィクション小説。村を束ねる主人公のほか、日立側も公害解決に向けて尽力していく。
    たまたま日経新聞の夕刊で紹介されていた一冊。村、公害の描写が非常にリアルで、平易な説明で今読んでも古臭さは感じない。それぞれのリーダーが声を聞き、立場を超えて協力してい...続きを読む
  • 新装版 風の遺産
    新田次郎によくある山男をめぐるふたりの女性の心理劇。
    婦人生活に連載したとのことで、片方が既婚者というところが新しい。
    登場する山は以下の通り
    夏の乾徳山の岩
    鷹取山の岩トレ
    晩秋の丹沢48瀬川の沢
    年末の茂倉小屋での停滞
  • 孤高の人(上)
    不世出の登山家、単独行の加藤文太郎を主人公とした伝記的小説。

    風評だけを聞くと、加藤文太郎はストイックな単独行の鬼のように思えるが、この小説で書かれている文太郎は、人並みに人肌を求め、しかして生来の不器用さから孤独を運命づけられていくように状況から単独行の代名詞へと祭り上げられ、文太郎自身も孤独に...続きを読む
  • 縦走路
    懐かしの新田次郎であり、表現こそ古いが、小説としての面白さは現代でも減じていないと思う。徹底して不器用な男の視点だけれども。
  • アラスカ物語
    昔、著者の「銀嶺の人」を読み、いたく感動して「登山したい!」と思った記憶が蘇った。
    この度は、アラスカで、オーロラを観たい!ユーコン川が凍っていく様を観たいと、思わず駅にあるアラスカオーロラツアーのパンフレットを手に取ってしまった。
    でも80年近く前のこの物語の風景は既に幻か。それにマイナス40℃ム...続きを読む
  • 縦走路
    女流登山家に美人なし、といいながら美人ばかりが出てくる新田次郎の山岳小説。
    女:千穂、美根子
    男:蜂屋、木暮
  • 武田信玄 山の巻
    あぁ、4巻読み終わってしまった。。
    何と言うか、ここまで延々と信玄の凄さを読んでしまうと、「嘘でも良いから西上を達成して!!」と思ってしまうのですが、学校で習った歴史にそんなコト書いてないですもんね。歴史は変えられない。
    でも、それだけ感情移入させられた作品でした。だからこそ読後の寂寥感と言ったら。...続きを読む
  • ある町の高い煙突
    現日立市の煙害に対し住民が戦ったことをテーマにした作品。

    映画化を契機に読んでみました。

    現在、高い煙突は折れてしまって3分の1しか残っていないそうだが、一度見に行ってみようと思います。
  • 劔岳〈点の記〉
    点の記とは、山の頂によく設置されている「三角点」の設定記録のこと。1888年以降の点の記が国土地理院に保管されているそうですが、「点」を追い求めて道なき道を開いた測量官たちの、まさに命懸けの仕事の証なんです。

    「地図に載っているのに今は廃道になっている」からって軽々に文句を言ったらバチが当たります...続きを読む