新田次郎のレビュー一覧

  • 孤愁〈サウダーデ〉

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    ところどころで涙が出た。読んで良かった。
    今でも思い出しただけで目が潤む。

    主人公は外国人なのに、ところどころで自分が日本人であることを再認識させられる不思議。(私の場合は『思い出させてくれる』の方が近いかも)
    それほどモラエスさんの日本にい対する知識や適応力はずば抜けていた。(よくよく考えたら明治・大正・昭和の日本を生きている!)

    亜珍の存在。昔だったら彼女の暴走に腹を立てていただろうけど、出自や身の上を考えると、どちらの気持ちも分からんでもないんだよなー…
    それでも睨むようにこちらを見る彼女の写真を見ると、やっぱりこの人苦手…に切り替わる笑

    坂の上を目指す日本と、もはや小国への末路を辿るポルトガルの対比も見事だった。変わりゆく故郷との訣別を心に決めるも、ふとした時にそれを思い出してしまう。そのポルトガルもモラエスさんの死後ドイツに占領されることを知っているから、せめて生前だけでも綺麗な形で故郷のイメージを残して欲しかったとか考えてしまう。(読み手の辛いところは歴史を知ってしまっているところ…)

    新田氏が命を賭し、バトンを繋いだ御子息の藤原氏がライフワークさながら年月をかけて調査・書き上げた超大作。
    なかなか聞かない例だから文体とかどこかで違いが出てくるかと思っていたけど、二人の人間が書いたことを忘れるくらい何の違和感も持たずに読みふけった。

    出版に至った際、藤原氏は新田氏の無念を晴らしたのと同時に父親へのサウダーデに溢れていたのかな、とも。氏へのやり切れないであろう想いを想像したら二重で涙が出てきた。

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    2021年10月21日
  • 銀嶺の人(上)

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    登山だけの話しにとどまらず、男どもを虜にしていくところもあってやっぱりそうなるんだなあ、と思うところもあって面白い。物語の登攀技術ややってる登山は全てが超ハイレベルな事ばかりだけど恋愛となるとそこはやっぱり想像の範疇で親近感が湧く。

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    2021年09月14日
  • 銀嶺の人(下)

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    2人の女性登山家を対比しながら物語は終盤へと進む。どちらかの方が亡くなってしまうのか!っていう描写がどんどん出てきてハラハラして読みました。

    またこれは毎回の事なのですが、とても深刻な場面でちょくちょく面白い表現が出てきます。例えば、ザイルのダルマ、ザイルの化け物みたくなってなど。必死になって登ってくる男性を女性が心の中で思っている表現なのですが、他にも色々あります。

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    2021年09月14日
  • 芙蓉の人

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    ネタバレ

     ♪~芙蓉の雪の精を取とり 芳野の花の華を奪い 清き心の益良雄が 剣と筆とをとり持ちて 一たび起たば何事か 人生の偉業成らざらん~♪ 新田次郎「芙蓉の人」、2014.6新装版文庫、1975.5刊行。読み応えがありました。そして深い感動を覚えました。富士山の頂上での気象観測に命をかけた野中到、そして、その夫を支えるために富士山に登り、観測を共にした妻、千代子の物語。二人にまかせっきりの気象台幹部の情けなさには憤りを。野中夫妻に感謝の気持ちでいっぱいです。

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    2021年07月24日
  • 孤高の人(下)

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    ネタバレ

    加藤文太郎は感受性が高すぎて、
    自他に壁を作っているようだった。

    孤高とされるも、その内面は人間臭い。
    不器用ゆえに、ひとりになってしまう。

    理性は下山を勧める。
    しかし、頂に魅了され、登る。

    合理性を超えた魅力を、山に感じてしまった男の物語。

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    2021年06月08日
  • 孤高の人(下)

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    これまでに新田次郎の作品で、聖職の碑と八甲田山死の彷徨を読んできたが、孤高の人がダントツで面白いと思った。
    登山描写を求めて読み始めたのだが、読んでいるうちに登山そのものよりも、加藤文太郎の人付き合いの苦手な性格と、それに根差す不器用かつストイックな生き方に引き込まれた。

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    2021年03月17日
  • 武田勝頼(三) 空の巻

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    武田家臣団が崩壊していく様が物悲しい。新田次郎の気持ちが伝わってきて、なかなか物語を先に進められなかった。機会があれば武田勝頼終焉の地を訪れたい。

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    2021年02月23日
  • 武田勝頼(二) 水の巻

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    何年も前に武田信玄を読んで最後は物悲しかったのを思い出す。勝頼の物語も、辛いところから始まる。設楽ヶ原の合戦は負けるのは分かっているけど、名将が次々に討たれるのは辛かった。武田勝頼をきちんと描いていて、さすが新田次郎。

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    2021年01月31日
  • 孤高の人 4

    購入済み

    絵も話も

    絵が綺麗だったので試し読みからはじめたら、おもいっきりはまりました。登山にも興味がわきました。映画や小説も見たい。

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    2020年12月23日
  • 武田信玄 山の巻

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    武田信玄の西上作戦が描かれている。
    三方ヶ原の戦いは武田軍が一気に徳川軍を蹴散らしたイメージだったけど、徳川軍をおびき寄せる作戦を立てて実行したこと、それが時間との戦いであったこと等、面白かった。
    信玄ほどの武将も病には勝てず。進軍していると思わせて信玄の体のために古府中に連れて帰ろうとした重臣たち、側室たちの心中はいかばかりか。

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    2020年12月18日
  • 劔岳〈点の記〉

    購入済み

    剣岳に興味があり、読んでみることにしました。
    フィクションとノンフィクション織り交ぜてあるので、
    かなり真実味を感じつつ読み進められました。

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    2020年09月26日
  • 孤高の人(下)

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    単独登山の信念が結婚と幸せな家庭で揺れ動く様が読んでいて何とも言えない。
    読み終わって何とも言えない寂しさに包まれた。

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    2020年09月06日
  • 孤高の人(上)

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    厳格な性格と思いながら読み進むと、えれえこった、えれえこったと言いながら登山する加藤氏に心が奪われる。
    地図遊びや孤独な心情が自分の心にも入ってくる。

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    2020年09月06日
  • 武田信玄 風の巻

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    甲斐の虎、武田信玄(晴信)の若き日々。父との軋轢に悩み苦しんだ末に、自分を押し潰す父を跳ね除ける晴信の雄飛が清々しい序章。晴信が父を追放する駆け引きは手に汗にぎるほどスリリング。史実を調べ尽くした上で、人間を軸にドラマチックに読ませる新田次郎の小説ならでは。

    厳しく育てられた晴信の猛々しさと知性、凛とした佇まいが目に浮かび、主人公の虜になってしまう。読み終わる頃には、これからの晴信の成長と野望をともに歩みたい、とどっぷりハマってしまう面白さ。

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    2020年09月03日
  • 武田信玄 山の巻

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    すごく面白かった。ますます信玄が好きになった。

    ・父、信虎追放の経緯
    ・山本勘助が間者という事
    ・川中島や三方ヶ原の戦いの見解
    ・長男、義信の離反の解明
     
    は創作

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    2020年08月31日
  • アラスカ物語

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    ネタバレ


    「ある町の高い煙突」を読んで以来
    すっかり新田次郎ファンになってしまった

    緻密な取材と、骨太な文体で
    the昭和な感じが良い

    数ある著作の中で、本書を選んだ理由は

    日本では殆ど知られてないけど
    アラスカでは、今でも超有名人である
    日系1世 フランク安田の物語だというトコ

    以前に読んだ
    「Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男」もそうだけど
    世界で活躍した日本人を知るのは
    ワクワクする


    フランク安田(日本名;安田恭輔)は
    明治元年、宮城県石巻町の医師
    安田静娯の三男として生まれる

    代々、医業を営んでいた安田家は裕福で
    三男の恭輔は、祖父に溺愛されて育った

    乱暴者で、直情的な性格の恭輔は
    祖父以外の家族からは持て余されていた

    そんな祖父が、恭輔が小学校入学と共に他界し
    大きな衝撃を受ける
    祖父に溺愛されて育ったために
    なかなか家族との折り合いが合わず

    両親が相次いで他界した折
    父の残した借金を理由に
    田畑を売り、兄弟離散となった

    恭輔は、人に勧められて
    三菱汽船石巻支店に就職を決める

    大失恋をした後
    外国航路の見習い船員となり
    アラスカ行きのペアー号に乗船する

    ペアー号は、北極圏で濫獲されている
    海獣保護のための警備船だった

    密漁船を追い回している内に
    突然襲ってきた寒波により
    氷の中に閉じ込められて、身動きが出来なくなる

    一冬を越せるだけの食糧を積んでいた筈が
    実は2ヶ月分しかない事が判明

    最後に荷揚げをした、ポイントバローでの
    積荷横流し疑惑が、恭輔にかけられた


    船長や事務長の信頼を得ていたにもかかわらず
    当時は、有色人種であるというだけで
    全てを否定しようとする偏見が根強かった

    船員達から、リンチを受けるぐらいだったらと
    ポイントバローまで、歩いて救助を求めにいく道を選んだ

    持たされた食糧は10日分
    北極海では、北極星が真上にあり過ぎて頼りにならない
    磁石の示す北は地理上の北にはならない
    吹雪になると、動く事ができない

    食糧も尽き、燃料も底を尽き始め
    吹雪のために、行く手を阻まれ
    幻聴と幻覚と闘いながら16日間
    たまたま通りかかったエスキモーに救助された

    捕鯨会社が経営する交易所所長である
    ブロワーに事情を説明し
    救援物資を積んだ犬橇で
    ペアー号に向かう


    エスキモーは経験によって、走る距離を知り
    方向は、星の動きで決め
    時間は、腹時計で定める
    彼らが、腹一杯肉を食べて
    橇に乗った時から
    彼らの腹時計は、音を立てて動き出す

    彼らは地図や、磁石や、時計や速度計などを
    使用しないでも、立派にナビゲーションできる

    ペアー号に戻ったフランクは
    自分が歓迎されていない事に傷つき
    ポイントバローに残る事を決意する

    エスキモー達と生活を共にし
    良好な関係を築きながら
    エスキモーの妻を貰う

    因みに、エスキモーと言うのは
    エスキモー語ではなく
    インディアン語で
    「生肉を食べる人間」と言う意味らしい



    密漁による海獣の濫獲により
    主食であり、生活の糧だった
    鯨やアザラシが獲れなくなり
    ポイントバローのエスキモー達は
    食糧危機に苦しむ
    と同時に、麻疹が流行し
    多くの村民が病死していった

    先細りするポイントバローに見切りをつけ
    移住計画を思案していた
    そんな折、砂金を掘りにやってきた鉱山師
    カーターと出会う

    カーターの補佐をしながら
    移住先を探すフランク

    ブルックス山脈を越えワインズマンから東に向かう
    ポイントバローから、南に600㎞
    ユーコン川沿に辿り着き
    そこで砂金の鉱脈を発見する

    その場所に、イヌイット達の村造りを決意するも
    インデアンのテリトリーだった為
    酋長と交渉を始め、了承を得る

    ビーバーの毛皮を売り
    村の名前をビーバー村として
    砂金の収入と合わせ、村は繁栄していくが

    やがて、戦争が始まり
    日本人だったフランクは
    日系人捕虜強制収容所へ連行されてしまう

    フランク不在のビーバー村は
    指導者を失い、一気に衰退してしまう

    という話


    あらすじだけで、だいぶ長くなってしまいましたが…(^-^;

    どこも削れないぐらい、濃密なエピソード続きで
    それもそのはず

    新田氏が、一度は短編として書き上げた作品を
    再度、1ヶ月間のアラスカ取材をして仕上げた
    渾身の力作で

    後のインタビューでも
    自身の代表作と言って良いと豪語するほど

    フランクの活躍振りを賞賛して
    「ジャパニーズモーゼ」とか「アラスカのサンタクロース」
    と呼ばれているのは
    同じ日本人としても、誇らしい気持ちになる

    明治生まれの、ヤンチャな少年が
    家庭の事情とは言え
    日本に収まりきれずに
    人種差別が当たり前だった、世界に飛び出し
    やっと受け入れて貰え
    エスキモー達の指導者となって
    多くの人々を救うという

    フランク安田という人物
    本書を読むまでは、全く存じ上げなかったですが
    新田氏が、晩年
    精力を注いで取材しただけのことはある
    壮大な物語です




    #アラスカ物語
    #新田次郎
    #フランク安田
    #ジャパニーズモーゼ
    #イヌイットの救世主
    #読書好き








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    2020年08月27日
  • ある町の高い煙突

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    久しぶりの新田次郎作品。かつて日本で起こった銅精錬の煙害事件の実話を基にして昨年映画化。日立グループ社員は全員読むべきである。一農村と企業とが誠意を持って公害に立ち向かった歴史。近年あの煙突は取り壊されたが、日立市の歴史象徴だったことがよくわかる。

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    2020年08月16日
  • ある町の高い煙突

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    煙害問題解決の象徴ともいうべき「大煙突」。環境問題解決の先駆者というだけでなく、当時「世界一の高さ」「日本人だけで建設」というオプション肩書まで付いてるから市民の大煙突愛もハンパない。でも自分は田中正造愛がハンバないし、足尾銅山鉱毒事件がどうしても重なってしまい、手放しで美談化できない。正の歴史と負の歴史。どちらも煙害。史実を知れば知るほど深みにはまっていく。

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    2020年05月04日
  • アラスカ物語

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    米国沿岸警備船のキャビンボーイとして渡米し、海獣の乱獲によって飢餓に瀕していた海岸エスキモーを率いて民族移動を達成し、ビーバー村を設立。フランク安田こと安田恭輔。東北での腕白な子供時代の安田恭輔とアラスカでジャパニーズモーゼと謳われたというフランク安田の数奇な人生を新田次郎が綴った小説。

    100年以上経ち、移動のし易さという意味で世界は小さくなったように感じるが、人の人生の奥行きも小さくなってはいないか?

    2020.3.29

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    2020年03月29日
  • 孤高の人(上)

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     山岳小説の代表作とも言える作品です。昭和初期に活躍した単独行の加藤文太郎、その凄さはもちろんですが、新田次郎の山の描写がそれはそれは見事で、まるで詩を詠んでいるようです。
     加藤文太郎が辿った山道には、私が歩いた所もあり、その情景を懐かしく思い描くことができました。そして文太郎の心境がダイレクトに伝わって来て、感情移入しながら読み進めている自分がいました。まだまだ上巻、これから下巻でどんな展開になるか楽しみです。

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    2022年07月29日