あらすじ
日露戦争直後、前人未踏といわれ、登ってはいけない神の山と恐れられた北アルプス、劒岳(つるぎだけ)。正確な地図をつくるため、この山頂に「三角点を埋設せよ」との至上命令を受けた測量官、柴崎芳太郎。たいへんな悪路と悪天候、かさばる器材の運搬、地元の反感などの困難と闘いながら、柴崎の一行は山頂を目ざして進む。同じく劒岳の初登頂をめざす、アマチュアの日本山岳会隊の動きに、上官からの圧力はさらに増して…山岳小説の白眉といえる傑作。映画原作!
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Posted by ブクログ
20250727040
剱岳登頂を目指した測量官、柴崎芳太郎とその一行の苦難に取り組む姿を描く。大切なものは何なのか、それを知るのは純粋に山を目指す人たちだけだった。初登頂かと思われた山頂で見つけたものにも衝撃を受ける。
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写真を見ると針の山、という形容が正に当てはまる剱岳の初登頂に成功した測量官の話。
同じ著者の八甲田山死の彷徨や孤高の人と違い、成功して終わる話なのは後味が良い。
今でこそTJAR選手が馬場島から一晩で山頂まで登り切るけど、道も装備も無い100年前に登った人たちの叡智、体力、精神力に感服するしかない…
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唐松岳→白馬岳を縦走した際に読み始めた。
山岳小説自体初めてだったが、自分も共に登山しているような気持ちになり、とても良い読書体験だった。
仕事として男として劒岳登頂を完遂させようとする芳太郎さん始めとするメンバーの熱さに、自分の気持ちも熱くなるような思いがした。
いつかは劒岳の三角点をこの目で観るために登頂したい。
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立山の地図と照らし合わせながら、むさぼるように読みました。自分は登山をするのですが、まるで自分が登っているような興奮を与えてくれました。いつか長次郎谷ルートを登ってみたい。
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登山好きにはとても興味深くて面白いお話でした。
明治の終わり頃の登山の装備は、今と比べると性能も劣り、重く嵩張る物ばかりで、それらを使いながら山に籠り、未踏の地を目指すことはどんなに大変だったことか。そんなことを想像しながら、当時の観測官ら偉業を興味深く読み進めることができました。
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点の記:三角点の設置記録を記した資料。劔岳は一般登山ルートとしては最難関として知られる岩稜険しい山であり、測量官、柴崎芳太郎によるこの山への初登頂、三角点設置の記録が描かれている。基本は史実に則した内容だが、ドキュメンタリーに留まらない苦難や緊迫感が伝わってきた。これを読むのと読まないのでは剱岳を登る際の解像度が遥かに違ってくるだろう。
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崇高で清々しい気持ちとなる話。立山の歴史に触れて、5月の黒部名水マラソンへのモチベーションがさらに増加した。立山連峰と剱岳を目にするのが本当に楽しみ。
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未踏の地、劒岳山頂。今でも覚悟や経験値を持っていないと登れない山に、当時の技術と三角点設置のための機材を持って登る物語。登ったか登ってないか、1番か1番ではないかで全くの価値が変わることを知りつつも挑む山物語。人柄や熱意で人を巻き込んでいき、達成するプロフェッショナル。
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今は当たり前に存在する地図を作る為、自らの栄誉ではなく職業として未踏の地へ赴く測量官等の熱い思いに引き込まれる。白い地図を埋める為に命懸けで任務をこなす男達に頭が下がると同時にどこか羨ましくも感じる。
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明治40年に剱岳に有史以来の初登頂を達成した柴崎隊の記録.柴崎隊,といっても登山隊ではない.参謀本部直属の測量部が,三角点設置のために登頂するのである.日本における登山はまだ黎明期で,山岳会がようやく数年前に結成されたばかりであった.測量のためなので,登山は手段でしかなく,測量機器を背負って登るのである.しかも山岳会に先を越されては軍隊の沽券に関わる.柴崎氏自身は文官であるが,軍の体面にも振り回されながら,前代未聞の難題を成し遂げた,その記録である.
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点の記:三角点設定の記録
明治40年に測量隊柴崎芳太郎らによって成し遂げられた剱岳初登頂の小説。
長い間本棚に積読になっていたのを、この春は剱岳を目前に滑ったのをきっかけに色んなところで剱岳のことを目にすることがあって読んでみた。
当時まだ日本では山岳会という民間の会は発足しておらず、ほとんどの山は役所の測量部によって登頂されていたそう。しかも道なき道を行っていたのだからすごい。先人は偉大です。立山は何度か行ったことのある山域で山の名前や地名も知っていたから、割にするする読み進められた。物語としてもとても面白い。
三角点ってほとんど興味なかったんだけど、今度見かけたらタッチしたくなりそう。
2021.5.24
Posted by ブクログ
初めての山岳小説でした。史実に基づいていることもあると思いますが、必要以上のドラマチック演出もなく、リアリティ重視で、小説だけど登場人物の横に一緒にいるような親近感を持たせてくれる本でした。その分測量の作業のイメージはつきづらいので、少し時間はかかりました。
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軍上層部からの実質的には強制で剣岳への人類初の登頂を命じられた柴崎芳太郎。
宇治長次郎など優秀な仲間を得、過酷な自然に勇敢に立ち向かう。
想像を絶する苦難を乗り越えて、剣岳を征服するが、頂上には奈良時代の修験者が残した刀剣と錫杖があった。
軍部は「初登頂」でないことが世間に知れるのことを恐れて、柴崎らの業績を大々的には報じない。むしろその業績に対して関心が薄れたような反応さえ見せる。
現代でも組織のマネージメント層が自分たちの都合や無理解で現場で苦労をしながらも結果を出した人を正当に評価しないがままあると思う。残念なことだ。
「命をかけろ」との命令を遂行したが、満足な評価を得られなかった柴崎達。
しかし自分自身の生き様として剣岳登頂に大いなる達成感を得、爽やかに山を下る彼らに本当のプロの仕事人の姿、気高さを見た。
Posted by ブクログ
山で何気なく見かける三角点だが、これからは違う見え方をしてくるだろう。
測量という仕事は存在を知るだけで詳しくは知らなかった。
地図をつくるために危険を冒して山へ登っていた人たちの苦労を知ることができて、読んで良かったと思う。
山には色々な楽しみ方がある。
日常から離れて癒しを求める人もいれば、辛くても山頂を目指す人もいる。
そんな中、こうした本からその山や、それにまつわるものの歴史、背景を知ることで、より山そのものを楽しめるようになると私は思う。
Posted by ブクログ
未踏であると思われていた剱岳に、登山の為でなく、測量の為に、挑む 黙々とした積み重ねと直感の日々が、面白かった。ドラマチックな事が起こるわけでもないのだが、
自然の中で、自然と駆け引きしながら黙々と仕事を進めてく技術者と地元の長次郎さん達の静かなパワフルさにひかれました。
Posted by ブクログ
今年は剱岳に登るぞ!って友人に誘われ、そして勧められた本書。
新田次郎は初めて読んだが、丹念な取材に基づく測量や登頂の描写、様々な確執や柴崎が感じたであろう心の動きが、丁寧に描かれる。
彼を支えるはずの組織が体面を気にして功績をうっすら無視していく様は怒りを覚えた。
一方競争相手だと思っていた山岳会が実は一番の理解者だったというラストは、じーんとくるものがあった。
山岳小説、結構いいかもって思った。
映画も見てみたい。
Posted by ブクログ
地学に関する本を読んでいて気になって読んだ。
何気なくみている地図、1箇所ずつ測量していた時代があったんだなと、改めて実感した。今みたいにヒートテックがあるじゃなし、装備も揃わなかった頃に切り立った山に測量の為に入る。
なかなか見つからなかった登頂路の謎を解いて?初めて山頂にアタックするシーンは息が詰まるほどの緊張。
今だと人工衛星とかから測定したデータで地図を作れるんだよね。Google マップをその当時の人達が見たらさぞ驚く事だろう。
先日読んでいた宗教本につながる部分もあった。さいきん読書量が増えたので思わぬところでつながる。
山岳信仰に絡んで曼荼羅や大日如来の話も。
Posted by ブクログ
R5.5.23~6.18
(きっかけ)
・作者好き
・古本屋で100円で発見
(感想)
新田次郎の山岳小説、安心の面白さですね。
明治の終わり頃、剣岳の測量に挑んだ軍人測量官の物語です。最後に簡単な取材記があって、どのようにこの物語を作り上げていったかが分かってなかなか良かったです。資料が少ないようなので、細かな描写はかなりがフィクションなんでしょうね。
Posted by ブクログ
映画で見ていたが初めて新田次郎の山岳物を読んだ。小説というよりはドキュメンタリーか伝記といった感じ。添付の地図をたびたび睨みながら丁寧に読み進める。子供の頃に読んだ探検家の伝記小説を思い出す。長次郎の人物描写が優れている。飛ばして読んでも味はわからない作品である。
Posted by ブクログ
「新田次郎」の長篇山岳小説『劒岳 〈点の記〉』を読みました。
『アイガー北壁・気象遭難』、『強力伝・孤島』、『孤高の人』に続き「新田次郎」作品です。
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山岳小説の頂点といわれる名作!
日露戦争直後、北アルプス立山連峰の劒岳山頂に三角点埋設の命を受けた測量官「柴崎芳太郎」たちの困難を極めた記録を描く山岳小説。
日露戦争直後、前人未踏といわれ、また、決して登ってはいけない山と恐れられた北アルプス、劒岳山頂に三角点埋設の至上命令を受けた測量官「柴崎芳太郎」。
器材の運搬、悪天候、地元の反感など様々な困難と闘いながら「柴崎」の一行は山頂を目ざして進んでゆく。
そして、設立間もない日本山岳会隊の影が。
山岳小説の白眉といえる。
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明治時代末期、陸軍参謀本部陸地測量部(現在の国土地理院)によって実際に飛騨山脈(北アルプス)の立山連峰で行われた山岳測量プロジェクトを扱った物語、、、
日本地図を完成させるために信念と勇気をもって困難な山岳測量に取り組んだ男たちが描かれています。
■第一章 未踏の霊峰
■第二章 地形偵察
■第三章 測量旗
■第四章 日暈
■越中劔岳を見詰めながら
■参考文献
1906年(明治39年)、参謀本部陸地測量部の測量官「柴崎芳太郎」に未踏峰とされてきた剱岳への登頂と測量の命令が下った… それは日本地図最後の空白地帯を埋めるという重要かつ困難を極める任務であった、、、
山麓の山案内人「宇治長次郎」等とともに測量に挑んだ男たちは山岳信仰から剱岳を畏怖する地元住民の反発、ガレ場だらけの切り立った尾根と悪天候・雪崩などの厳しい自然環境、日本山岳会との登頂争い、未発達な測量技術と登山装備など様々な困難と戦いながら測量を行う… そして、「行者」から与えられた「雪を背負って登り、雪を背負って降りよ」という謎めいた言葉からヒントを得て、東側の雪渓から劔岳のピークへ挑む。
苦難の末、剱岳にピークに到達するが… そこには奈良時代のものと思われる錫杖と剣が残されていた、、、
陸軍の威信にかけて測量部による剱岳初登頂という至上命令を下したにも関わらず、その結果を知った軍上層部は初登頂で無ければ意味が無いと公表を渋り、「柴崎」等の成果を正当に評価しない… 彼等を評価したのは、現場のことを知る「柴崎」の上官で三角科班長の「玉井工兵大尉」や、初登頂を競った日本山岳会の「小島烏水」等だった。
面子にこだわる軍上層部の古き体質が描かれていました… これって、現代のビジネスマンの仕事にも通じるところがある感じがしますね、、、
今でこそルートが開かれ、登山者であれば登ることのできる劔岳ですが、当時の貧弱な装備やウェアで、登るだけではなく測量をするという目的を持った登山は大変だったでしょうね… 登攀するのが精一杯で、四等三角点という公的な記録に残らない結果だったようですが、その苦難が伝わってきて、思いっ切り感情移入しながら読める作品でした。
そして、劔岳の美しさや自然の情景が巧く描かれており、劔岳に行ってみたい!という気持ちになるような… そんな素敵な描写が愉しめる作品でもありましたね、、、
若き測量官「柴崎芳太郎」をはじめ、測量の補助を担う測夫である「木山竹吉」と「生田信」、案内人の「宇治長次郎」と「岩木鶴次郎」、そして彼らを支えた荷揚げ人夫たち… 彼らの命懸けの挑戦に胸を打たれました。
本作品は平成21年(2009年)に映画化されているんですよね、、、
ヒューマンドラマとしての評価も高いようですが、劔岳の素晴らしい眺望を愉しめる作品に仕上がっているらしい… 今度、観てみたいですね。
以下、主な登場人物です。
《測量隊》
「柴崎芳太郎(しばざき よしたろう)」
参謀本部陸地測量部測量手。
山形県大石田町出身で、日本山岳会に勝ちたいと焦りを見せる生田をたしなめる際に山形弁を披露している。
測量士として厳しい教育を受け、剱岳測量を命じられる。
「宇治長次郎(うじ ちょうじろう)」
近代登山の黎明期に活躍した山案内人。
現在も「長次郎谷」として剱岳にその名を残す。
小さい時から山仕事に励み、山に通じている。
「生田信(いくた のぶ)」
測夫。静岡県千頭(現在の榛原郡川根本町)出身。
最初は若気の至りで剱岳の初登頂を日本山岳会に奪われまいと柴崎や長次郎をせかしていたが、
様々な苦難に出合う中で自然の厳しさや仲間の大切さ・謙虚さの必要性を学んでいく。
「木山竹吉(きやま たけきち)」
測夫。鳥取県東伯郡市勢村浦安出身。
経験豊かなベテランの測夫で、測量隊の精神的な支えとなる。
「宮本金作(みやもと きんさく)」
人夫。山登りの名人。現在も薬師岳東面の金作谷カールにその名が残る。
「岩本鶴次郎(いわもと つるじろう)」
人夫。剱沢一帯の地理に詳しく、長次郎の懇願で測量隊に加わる。
「山口久右衛門(やまぐち きゅううえもん)」
人夫。最初は剱岳登頂に乗り気ではないが、
測量隊と苦難を共にするうちに誰も欠けてはならないという意識を持つようになる。
《日本山岳会》
「小島烏水(こじま うすい)」
日本山岳会を率いてヨーロッパ製の登山装備と合理的な姿勢で剱岳登頂を目指す。
当初は柴崎たちに対して挑発的な態度を取っていたが、純粋に任務を全うしようとする測量隊の姿に触れ、
最後は測量隊の功績を誰よりも理解し、最大級の敬意と賛辞を表する。
《陸地測量部》
「大久保徳明(おおくぼ のりあき)」
陸地測量部長(陸軍少将)。
陸軍の威信にかけて測量部による剱岳初登頂という至上命令を下す。
「樋口誠三郎(ひぐち せいさぶろう)」
三角科長(工兵大佐)。
「玉井要人(たまい かねと)」
三角科班長(工兵大尉)。柴崎直属の上官。
「水本輝(みずもと あきら)」
古参の測量手。経験豊富で上官からの信頼も厚い。剱岳登頂に柴崎を推薦した。
《その他》
「柴崎葉津よ(しばざき はつよ)」
柴崎の妻。測量という過酷な任務に向かう夫を尊敬し、穏やかに見守る。
「岡田佐吉(おかだ さきち)」
立山温泉の宿の主人。
「牛山明(うしやま あきら)」
富山日報記者。
「佐伯永丸(さえき ながまる)」
立山山麓に位置する集落・芦峅寺の総代。曼荼羅図を使って巡礼者に立山修験道を説く。
「行者」
過酷な修行を続け山と共に生きており、地元の人々の尊敬を集める。
剱岳山頂への登り口を探す柴崎たちに「雪を背負って登り、雪を背負って降りよ」と謎めいた言葉を与え、
柴崎ら測量隊の剱岳登頂を心待ちにしながらこの世を去る。
「古田盛作(ふるた せいさく)」
元陸地測量部測量手。
柴崎の先輩で、かつて剱岳の登頂を試みたが断念した経験を持つ。柴崎に助言し、山案内に長次郎を推薦する。
Posted by ブクログ
やっと読む機会がありました。
そして、もうすぐ、剱岳、カニのたてばいい、横ばい、詣らせて頂きます。
晴れたらいいなぁ。
映画が受賞した時、命懸けのキャスト、スタッフの一丸っぷりに、圧倒されてました。
Posted by ブクログ
P16・17の、部長が命令しないところが、すごくズルくて笑ってしまった。
命をかけて行け、という実質命令なのに、死んだ際の責任はとらない、という態度なのではないのか、と思った。
プライド・誇りを持つということは、その人の姿勢を正し、良き判断や行動をとる原動力になることも多い。
反面、負けたくないとか、知らぬ間に人を見下してしまいそうになったりと、マイナスに働くことも、多々ある。
測量隊と山岳会、どちらが先に剱岳に登るか、といった競争は、見ている分には面白い。
しかし、本質はただの見栄にすぎない。
先に山岳会が登頂したとしても、別にいいはずなのだ。
逆にそっちのほうが有難いはずなのに。
三角点を設置して正確な測量をすることが、一番大切なことなのだから。
こういったところに、人間の欲をバンバン感じる。
最終的には、お役所仕事の「見栄」によって、剱岳登頂の苦労を正当に理解してもらえなかった。
なんだか皮肉というか、「見栄」というものの浅はかさを山につきつけられ戒められてしまったかのような、読後感を得た。
測量官の仕事の過酷さは、想像を絶する。
少しでも山に登ったことのある人ならば、その苦労がいかなるものかを想像し、青ざめるだろう。
今では当たり前のように存在している「地図」の貴重さを感じた思いがした。
これから先、三角点の元に立った時、かつてその場に建てられたであろう覘標を想像することになるのかもしれない。
そして、ここの覘標は、どこの三角点から観測されたのだろう、なんて、あたりを見渡して推測してみるのも面白いかもしれない。
実際の柴崎さんは、小説とはだいぶちがった方だったようだ。
長次郎との関係も、とても悪かったらしい。
山岳会との競争もなかったという推測もあり、やはり、小説は小説で、別の世界。
現実も、それはそれで、人間臭くてドライで、面白い。
Posted by ブクログ
映画にもなり、山好きとしては読んでおこうかと手に取る。浅田次郎氏は私の中で当たり外れが大きいのだが、本作は楽しく読めた。
山岳信仰対象で足を踏み入れてはならない山となっている劔岳頂点に測量のため三角点を設置すべく、未踏の山を目指す話。事実ベースの小説。
ロシア戦争直後の時代背景とともに、前人未到とされている山を目指す苦労、意気込み、チーム連携が読んでいて楽しい。
劔岳登ってみたいな、というか調べたら百名山のひとつか、いつか登らねばな。山の装備の進歩のありがたさも感じる。
Posted by ブクログ
映画版で。
なぜ陸軍に測量部があったのかと疑問を抱きつつ、剱岳という自然の広大なスケールが画面に映し出される。
小説ではなく、映画で見てしまったからか、「過酷なロケだったんだろうな」という思いが先行してしまい、物語そのものをあまり味わうことができなかった。
いつか小説を読まねば。それまでは積読。
Posted by ブクログ
明治時代、日本国土唯一の地形図空白地帯
奥州山地の地形図作成のために奮闘する男たちの物語
ひたすらに山の描写が美しく、険しい
ひたすらに地形図作成のために山を巡る描写がハード
読んでいるだけで疲れる
登山描写も疲れるが、テントで休んでいても疲れる
雨にやられて、風にやられて、雪のうえで僅かな装備で体を休める
・・・とても休まらない。(^^ゞ
地形図作成(仕事)のためにここまで情熱をもてるのか
読んでいて羨ましく思えた
黒部ダム建設当時の古い映像に断崖絶壁を機材を担いで歩いている人たちがいて戦慄したのを覚えている。
まさに命を賭して国土事業が成してある今の生活
あって当たり前の物も先人たちのおかげだと改めて思い知らされた
Posted by ブクログ
自分は山登りについて、自然に触れるとか非日常の体験をしたいという動機で興味があるのだが、あまりというかほとんど取り組めていない。そんな中でこの本を読んで、現代の山登りは柴崎測量官が剱岳に登った明治の当時と比べると、自然と言ってもそれなりに整備されているし非日常の度合いも断然易しいのだなと思った。現代の生活は先人の勇気と努力のおかげで安泰なものとなっているとも言えるし、開拓とか初挑戦の余地が乏しくなっているとも言えると感じた。柴崎さんらの測量活動における都度の判断事項はまさに命懸けのリスクを負っている。現代の生活とかビジネスとか社会活動においても大きなリスクを負う場面はもちろんあるけど、生死を賭けるような判断を迫られる場面がどれだけあるだろうかと考えさせられる。自分にとっても子育てにおいても、いろいろなシーンでよく考えてリスクもとって生き抜く力を養える経験を多く積んでいきたいと思った。