あらすじ
甲州・信州の全域を手中におさめ、さらに駿河府中をおさえた信玄。海を手に入れたことで水軍も味方につけ、いよいよ念願の京都にのぼろうとするが、織田信長に先をこされる。信長は叡山を焼き討ちし、存在感を見せつける。その上、信玄の年来の病いが身を縛りつける。しかし、まだ勝頼に指揮を任せるわけにはいかない…。先入観にとらわれない合理的な戦術によって、戦国の合戦に転機をもたらした名将・武田信玄の生涯を描いた長篇3000枚が、いよいよ完結の最終巻。
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西上の夢を追いかける信玄の最期を見届けていたら、涙が止まらなくなってしまった。いつのまにか私も信玄公の虜になっていたようだ。
信玄があと10年早く武田家の長になっていたら、どんな歴史になっていたんだろうって思いを巡らざるを得ないなぁ。
家康陣営があれほど怯える騎馬隊も、張り巡らされた策略も、敵を感嘆させるほどの隊列も、すべて西上のため。信長からしたらマジか、あっぶねー...セーフ...って感じだろうけど、やっぱり真正面から戦ってほしかった気持ちはある。
これ以降衰退の一途を辿る勝頼時代を見届けるのはあまりに辛すぎたので、正直ここで終わってくれて助かりました。記憶に残る本だった!読んでよかった!
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武田信玄の西上作戦が描かれている。
三方ヶ原の戦いは武田軍が一気に徳川軍を蹴散らしたイメージだったけど、徳川軍をおびき寄せる作戦を立てて実行したこと、それが時間との戦いであったこと等、面白かった。
信玄ほどの武将も病には勝てず。進軍していると思わせて信玄の体のために古府中に連れて帰ろうとした重臣たち、側室たちの心中はいかばかりか。
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すごく面白かった。ますます信玄が好きになった。
・父、信虎追放の経緯
・山本勘助が間者という事
・川中島や三方ヶ原の戦いの見解
・長男、義信の離反の解明
は創作
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林の巻までは信玄に好意的な人物は善良で賢く描かれ、
そうでない人物は愚かで利己的に描かれていたが、
火の巻の後半あたりから魅力的に描かれるようになった。
悪女だった三条夫人も正妻として美しく死んでいき、
三英傑は上杉謙信と違い、格好良く描かれている。
だが、この巻のあとがきを読み、
謙信を貶した事に合点がいった。
作者は合理主義の人物が好きなので、
毘沙門天の化身と称し、古い権威を尊重し、
大義を振りかざす謙信は信用出来なかったようだ。
なにはともあれ、山の巻以降ぐっと面白くなり、
ぐいぐい引き込まれていって信玄が好きになった。
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歴史小説初心者の私ですが、かなり楽しめました。歴史小説では「これは著者が考えたことなのか、実際にあったことなのか」私は時々分からなくて困ってしまうのですが、この本では一段落おくとそこらへんが丁寧に説明されてたりするのがよかった。例えば「甲陽軍艦では○○と書いてあったが○○ではこう書いてあった。私は自分の武田信玄像を崩したくないので○○の説をとった。」と言うように書いてある。合戦の様子もよく書かれていて読み応えがある。100ヶ月かかって書き上げた著者の気合いが伝わる作品。
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最終巻の中心は西上作戦。
正直、不要ではないかと思う話も少なくなかったが、三方ヶ原の戦いと信玄の最期の描写は読み応えがあった。
物語は新田の自説によって締めくくられている。
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再読2020.8.7~
2020.9.1完了
何度読んでも涙してしまう。最期の話。
なにが悲しいって信玄のあくなき西上への執念ではなく、これから始まる武田家の凋落の一途。
たくさんの大将が討ち死にすることを思うと涙を禁じ得ない。
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あぁ、4巻読み終わってしまった。。
何と言うか、ここまで延々と信玄の凄さを読んでしまうと、「嘘でも良いから西上を達成して!!」と思ってしまうのですが、学校で習った歴史にそんなコト書いてないですもんね。歴史は変えられない。
でも、それだけ感情移入させられた作品でした。だからこそ読後の寂寥感と言ったら。なんかラストだけでも美しい救いがあったら…とも思ったんですが、そこは新田次郎。あくまで信玄のカリスマと、残酷ではありますがその後の「事実」を描いたのでしょう。
不思議だったのが武田勝頼です。
どうにも最後まで、「やる気があるけど…なお坊ちゃま」の域を脱せなかった感があります。オトンもあぁ言ってるんだし、国に帰んないで西行っちゃいなよ!というツッコミを心の中で何回したことか。
しかし、そんな描き方をした張本人たる著者が『武田勝頼』という本を書いている。しかも、「ときに凡将愚将とも評価される勝頼の実相に迫る歴史大作」というフレコミつき。
高度なマーケティングなのだろうか…(笑
派手ではないものの、歴史小説というものの面白さを教えてくれた秀作でした。
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言わずと知れた武田信玄。
この本は小説ですがだいぶ歴史考察に関する著者からのコメントが入っておりいろいろ勉強になりました。特に武田信玄の名軍師と言われた山本勘助は存在自体怪しいと言われていることが書いてあり、驚きました。
川中島の戦い、徳川家康との戦い、と有名な合戦との裏にある膨大な量の策略謀略を知ることができて大変おもしろかったです。織田信長の派手な戦いと比べると京から遠い信玄は地味でしたけど、それがまた面白かったです。
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稀代の戦略家、戦の神信玄も道半ばで遂に力尽きる。
天下を取れる可能性は十二分にあった人物だけど、病と家庭内事情(女癖?)で減点かな?
勝頼の代で武田家が途絶えてしまう事を考えると、なんとも儚い
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88年に中井貴一が主役を演じた大河ドラマ「武田信玄」の原作本。最近再販された。新田次郎氏が10年かけて書いたという長篇の大作。川中島の戦闘シーンは迫力あります。「今宵はここまでに致しとうござりまする。」とは出てきませんが。
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大河ドラマにもなった戦国武将。「風林火山」の御旗の元、荒くれ武将のイメージがあるが、その実、綿密な政策な基国づくりが行われていた。上洛途中で病没しなくばこの日本の歴史は変わっていた・・。
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武田信玄一代記の最終章。上杉謙信や今川義元(または息子氏真)や北条氏康(または息子氏政)との合戦や暗闘を経て目指すは京都。立ち塞がるは徳川家康、織田信長。徳川軍団を軍略で蹴散らすも生命の灯火は微かとなっていたという信玄公の偉大さと無念さが伝わる内容であった。ただし、こいひめ、里見を始め最期まで何人もの女にモテモテで男子の本懐は遂げていると思われる。それでも三条の方とキチンと情を交わす辺りは良かった(史実では何人も子どもを成しているので寧ろ相性が良いと推察される)。
信長が信玄を恐れていたのは事実だろうし信玄が信長の運の良さを言うのも事実であろう。しかし信玄が上杉や北条と争い今川に食指を動かす中で今川義元の首を取っても駿河方面より東は捨てて京都を目指した信長の戦略の方が的確であるように見える。
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甲州・信州の全域をわがものとして、さらに駿河府中をおさえた信玄は、いよいよ京都にのぼろうとするが、織田信長に先をこされてしまい焦るばかりだ。その上、年来の病いが身をしばりつける。合理的な戦術によって、合戦に転機をもたらした名将・武田信玄の生涯を描いた長篇三千枚がいよいよ完結する第四巻。
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信玄の最期の章
文章の句読点が多い書き方が気になりながらもやっと最後まで読めた。
武田信玄の心残りが伝わり、そして何故信玄の死後勝頼が当主になったら裏切り者続出したのか、信玄の偉大さに加えてそれを超えるのが難しかったし、家臣を信頼できなかったのか…。
初の信玄の小説なので詳しくは知らないからまた違う作家の武田信玄を読んでみたい。