【感想・ネタバレ】孤高の人(上)のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年10月11日

『単独行の加藤文太郎』と呼ばれる登山家が、どのようにして山に導かれ進んでいくのかを追った物語。

 序盤の神港造船所の技術研修所に、研修生として五年間在籍している間の話は非常に面白かった。木村敏夫は影村一夫からの嫌がらせや罵倒に嫌気が差し出ていく。地図の読み方などを教えてくれた新納友明は肺結核にかか...続きを読むり死に、金川義助は主義者として逮捕され…。彼と共に過ごす人達は何らかの形で不幸な道を辿ってしまい、加藤は俺といない方がいいと考え、孤独に生きていく。

 冒頭からずっと彼を気にかけている外山三郎の存在も大きいと思う。山岳会に入らないかと仕切りに勧めるが、加藤はそれを拒絶する。しかし、外山から本を借りたり、会食に招かれれば訪ねて行ったりと、どこかしらで繋がり続けている所が、加藤は本当は誰かといたい気持ちもあることに気付かされる。

剣沢小屋の6人のパーティーに拒絶されてもついていこうとする加藤のシーンは心惹かれた。単独行を好んで進めた部分もあるが、どこかで誰かと共に登山をしたい気持ちもある。けれど自分の登山速度が速すぎることや、人とのコミュニケーションをうまくとれないことも相まって、結局は孤独に、1人冬山を登っていく姿はとても印象に残っている。

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Posted by ブクログ 2022年10月05日

「新田次郎」の長篇山岳小説『孤高の人』を読みました。

『アイガー北壁・気象遭難』、『強力伝・孤島』に続き「新田次郎」作品です。

-----story-------------
〈上〉
【話題のコミック!】「坂本眞一」 『孤高の人』原案。
なぜ彼は単独で山に登るのか――。

昭和初期、ヒマラヤ征服...続きを読むの夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎” 。
その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した「加藤文太郎」の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。

〈下〉
【話題のコミック!】「坂本眞一」 『孤高の人』原案。
日本山岳小説史上、屈指の名作!

いかなる場合でも脱出路を計算に入れた周到な計画のもとに単独行動する文太郎が初めてパーティを組んだのは昭和11年の厳冬であった。
家庭をもって山行きをやめようとしていた彼は友人の願いを入れるが、無謀な計画にひきずられ、吹雪の北鎌尾根に消息を断つ。
日本登山界に不滅の足跡を遺した「文太郎」の生涯を通じ“なぜ山に登るのか”の問いに鋭く迫った山岳小説屈指の力作である。
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登山家の「加藤文太郎」の生涯を題材とした物語で、昭和39年(1964年)から昭和43年(1968年)にかけて山岳雑誌『山と溪谷』に連載された作品で、上下巻で約1,000ページの長篇、、、

登山が金持ちか大学生の特権であった時代に、人付き合いが苦手で、自らの思いを伝えることが下手な「加藤文太郎」が、如何にして仕事と山を両立させることできたのか、どうして山を始め、そしてのめりこんで行ったのか、そして、なぜ山岳会に参加せず、パーティを組むことなく、単独行に拘ったのか… 等々、不世出で孤高の登山家が誕生したエピソードや、単独行を支えた工夫や技術、トレーニング、彼の抱える苦悩、人間関係等を見事に描いた魅力ある作品でしたね。

読みながら、どんどん作品の中に引き込まれていきました。

 ■第一章 山麓
 ■第二章 展望
 ■第三章 風雪
 ■第四章 山頂
 ■解説 尾崎秀樹

ただ歩くことが好きだった「加藤文太郎」が、同僚の「新納知明」から地図を読みながら歩くことを教えられて山に開眼し、彼の才能に注目した研修時代の講師で後の上司である「外山三郎」から登山の魅力を教えられ、励まされることにより、ヒマラヤ征服の夢を抱き、日本アルプスの山々を独りで踏破し始める、、、

他の登山者とのコミュニケーションが取れず、異常に早いペースで歩き、常に独りで行動するという、これまでの登山の常識を覆す「加藤文太郎」の姿に、既存の登山者は嫌悪感を抱くが、本当に山を知る山の案内人たちは、伝説的な名猟師「喜作」の天才的な山歩きや、不世出の名ガイド「嘉門次」の歩き姿を想起… 彼の潜在能力を高く評価し、その実力が登山者の間でも徐々に認められていく。

数々の実績を打ち立て、単独行の「加藤文太郎」としての地位を築く… 独学で山のことを学び、経験から得た創意工夫や独自的なトレーニングにより確固たる技術を会得し、独自の装備を活用して、次々と難コースに挑んで行く姿は、なかなか痛快でしたね、、、

やがて、同郷の「花子」と結婚し、娘「登志子」が誕生したことにより、「加藤文太郎」は人が変わったように明るくなり、同僚たちとの付き合いも活発化し、山登りはやめていたが… 失恋の痛手を清算するために冬の北鎌尾根に挑戦し、それを最後の山を断つという「宮村健」からの強い求めに応じ、初めてパーティを組んでの冬山に挑む。

山では自分以外に頼るものはない… という信念を崩し、断り切れずに付き合った山行で、無謀な計画にひきずられ、二人は吹雪の北鎌尾根に消息を断つ。

うーん、哀しいエンディングでしたね、、、

優しい人だったことが裏目に出たのかな… やはり生死を懸けた登山では、本当に信じ合えるパートナーとでないとパーティは組めないですね。

自分の力だけを信じて、その力に頼って、単独で行動することって、まわりから理解され難いかもしれませんが、その気持ちは分かるような気がするんですよね、、、

若い頃、一人で旅をしていた頃を思い出しました。



本作品は、「加藤文太郎」の遺した実際の登山記録であり遺稿集の『単独行(たんどくこう)』等をもとに描かれており、本人の名前や登山の記録は多くが実際に行われたものと共通しているようですが、「吉田富久(作中では宮村健)」の描写が『単独行』と比較すると著しく異なっているらしいです、、、

本作では、「宮村健」が槍ヶ岳北鎌尾根への登山に誘い、「宮村健」の判断で無謀な行動をとったことが原因で「加藤文太郎」が遭難死しましたが… 実際は違っており、誤解を招く恐れがある内容となっているとの指摘があるようです。

実際のところ、二人とも還らぬ人となったので遭難のいきさつは想像するしかなく、真実は藪の中なので、事実を下地としたフィクションとして愉しんだ方が良いようですね。



以下、主な登場人物です。

「加藤文太郎(かとう ぶんたろう)」
 六甲山に登ったことをきっかけに徐々に縦走登山に熱中していく。
 ロック・クライミングに関しては小説中では批判的な目で見ている。
 実在の加藤はロック・クライミングを苦手としていたようだ。
 現実、小説、漫画でそれぞれロック・クライミングに対する考え方が異なっている。

「外山三郎」
 モデルは加藤の上司の遠山豊三郎。
 作中でも加藤の上司として登場する。
 加藤を登山の世界に引き込む。

「藤沢久造」
 モデルは藤木九三。
 加藤に、より大きな山へ向かうきっかけを作る。

「宮村健」
 モデルは登山家の吉田富久。
 加藤に憧れて1人で冬の北アルプスに登ったりしている。
 園子に恋焦がれるが失恋し、登山を辞めて満州に渡る決意をする。
 自身最後の山行として冬季北鎌尾根縦走を計画し、加藤をザイルパートナーに誘う。
 実際の吉田富久とは大きく異なる人物である。

「志田虎之助」
 モデルは好日山荘の島田真之介。
 登山用品店の店員。
 加藤に登山に関するアドバイスを与える。

「金川義助」
 神港造船技術研修所時代の同級生。
 政治活動にのめり込み、やがて投獄され研修所も除籍処分となる。
 その後しまと結婚、1子を儲けるが政治活動に挫折、妻子を捨てて姿を消す。
 一時はヤクザに身を落とすが物語終盤で再起を誓って園子と共に満州に渡る。

「影村一夫」
 神港造船所の技師。
 技術研修所の講師も兼任している。
 陰湿な性格で加藤を含む生徒達に嫌われていたが、加藤が技手になってからは一転して加藤に目をかけるようになる。
 愛人の田口みやを加藤に押し付けようとするが失敗。
 その後再び加藤に陰湿な嫌がらせを行うようになる。

「花子」
 少女時代に加藤に下駄の鼻緒を直してもらったのをきっかけに知り合い、やがて見合いを経て結婚し1女を儲ける。

「園子」
 外山三郎の知人の娘。
 加藤のことをお互い憎からず想っていたが、男に騙されたのをきっかけに悪女になる。
 物語終盤で金川と共に満州に渡る。

「田口みや」
 神港造船所の事務。
 影村の愛人。

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Posted by ブクログ 2022年06月24日

今でも登山界で単独行のレジェンドである加藤文太郎。働きながら、厳しいトレーニングと休日の山行に励む生活は、超人だと思った。
新田次郎の山岳小説は、山と人の心が、研ぎ澄まされた無骨な言葉で表現されている。山で感じる言葉にできない感動や恐怖をありありと思い出した。

槍ヶ岳の描写で素敵だと思ったところ
...続きを読む槍ヶ岳の岩は、彼が想像していた岩ではなく地球の骨であった。地球の骨の突出部が歳月と風雪を越えて彼の前にさらけだされているさまは、むしろ悲愴でさえあった。

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Posted by ブクログ 2020年09月06日

厳格な性格と思いながら読み進むと、えれえこった、えれえこったと言いながら登山する加藤氏に心が奪われる。
地図遊びや孤独な心情が自分の心にも入ってくる。

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Posted by ブクログ 2020年02月26日

 山岳小説の代表作とも言える作品です。昭和初期に活躍した単独行の加藤文太郎、その凄さはもちろんですが、新田次郎の山の描写がそれはそれは見事で、まるで詩を詠んでいるようです。
 加藤文太郎が辿った山道には、私が歩いた所もあり、その情景を懐かしく思い描くことができました。そして文太郎の心境がダイレクトに...続きを読む伝わって来て、感情移入しながら読み進めている自分がいました。まだまだ上巻、これから下巻でどんな展開になるか楽しみです。

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Posted by ブクログ 2019年03月15日

パーティーを組んで登るのが常識とされていた山へ単独行で向かい、数々の山嶺を踏破した加藤文太郎のノンフィクション的小説。
なぜ山に登るのか、他の追随を許さない卓越した登山者である彼もまたその疑問を懐に抱えていた。答えは出ず、山に登り続けることでしか見付けられないのだと考える。
単独行を続けながらも人を...続きを読む恋しいと思い、けれどどうしても他者と打ち解けられない加藤の心の葛藤に人間味を感じる。
槍ヶ岳付近で星を見た時の叙述に、登山の魅力の一端が垣間見えた気がした。
「いま彼の見ている星は平面上の星ではなかった。星は彼を囲繞していた。星の中に彼はいた~~」

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Posted by ブクログ 2019年01月24日

知人の紹介で読み始めた本。
神戸の山々が出てきて、関西の登山好きは読んでて嬉しい。
しかし後半の冬山がメインになってきてからは、スリルと修行僧の様な主人公にとまどう。
読んで目的を理解している人すらこうなのだから、実際に会社とかで彼を見てただろうは人にはほんと珍妙だっただろう。
というか、理解できず...続きを読む恐怖や排斥心があっても不思議でない。
実際には山を登る人は、陽気な口達者な人も多いけど、こういう無口で孤独を愛する人もいるなあ、としみじみ思う。

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Posted by ブクログ 2019年01月17日

山好きなら一度は手に取ったことがあるはず。登山者のバイブルと言っても過言ではない1冊。主人公の加藤文太郎が単独行のこだわる理由がわかります。

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Posted by ブクログ 2018年12月16日

小説自体が久しぶりだったのもありますが、
毎日夜に数ページだけど読むのが、
日々の楽しみな小説でした。
これを読んで、毎日会社に歩いて通勤する気にもなり、
山も登りたくなりました。
一つのことにストイックに向き合うことってかっこいいですね。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年08月31日

昭和初期に、単独行で名を馳せた、加藤文太郎の人生を追った小説。本当は優しいのに人づきあいが下手な加藤が、山にのめりこんでいき、やがて数々の冬山の単独行で有名になる。そんな彼も結婚し、子供をもうけて、山を控えるようになるが。。
新田次郎の乾いた、しかし鋭い筆で描かれる山行のシーンに引き込まれます。実在...続きを読むの人物をもとに描かれたと思われる登場人物たちも、個性豊かで映画のよう。
加藤と同じ生き方はできないけれど、彼の人生や仕事、そして山に対する真摯な姿勢には大きな感銘を受けました。

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Posted by ブクログ 2018年05月31日

研修生時代は話が重く、なかなか読み進められなかったが、北アルプス、八ヶ岳と山の世界が広がっていくとぐいぐい進んだ。自分が歩いた表銀座や八ヶ岳のルートを思い浮かべながら読むのが楽しい。加藤ほどぶっ飛んでないけど、なぜ一人で山に挑むのか、山に登るとは考えさせられる。下巻が楽しみ。

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Posted by ブクログ 2015年09月30日

面白かった。これぞ本格山岳小説の最高峰。
これを読んだあとでは「山ガール」も形無し。
2014/08

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Posted by ブクログ 2024年01月25日

新田次郎にハマりいろいろ読んでます。
冬山の過酷な環境や、美しい自然の描写、人間について面白おかしく?読めてしまうのが、すごいです。初版が昭和48年、50年も昔の小説なのに、今も読み継がれる普遍性はいったいどこにあるんでしょうか。
単独登山の第一人者として、有名人になっていく様子もドラマチックでわく...続きを読むわくします。

メモ
・懐中コンロってなんだろう
・文太郎の食料最終アンサーは、甘納豆とから揚げの干し小魚、テルモスのお湯
・そこからいよいよ濃い霧になった。氷の霧だった。どのにでも、触れれば氷の花をつくる霧だった。白い花は、加藤の身体中に咲いた。
→霧氷ってどんな感じなんだろう。
・大きな荷物を背負っていては、風に吹き飛ばされる危険があった。雪庇(せっぴ)もいたるところにあった。風のために磨かれた氷盤もあった。雪の吹き溜まりがあるかと思うと、アイゼンの爪も立たないように固く凍った雪盤もあった。
滑落、雪崩、強風、凍死、道迷い、あらゆる遭難へのデスロードを回避して、自分と対話しながら己の限界を超えていくのが登山家だよな

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Posted by ブクログ 2023年09月30日

評伝なのか、ノンフィクションノベルなのか。

昭和初期に実在した登山家の一生を描いたもの。私には登山の趣味はないが、登山をモチーフにした本を読むのは大好き。その極限における自然との戦いがなんとも言えず心を打つものが多い。

主人公は誤解を受けることが多い人間性でかなり付き合いずらい感じもする。しかし...続きを読む登山に対するストイックな姿勢にはある意味感銘を受ける。

下巻ではどんな展開が待っているのか楽しみだ。

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Posted by ブクログ 2022年04月03日

登山の魅力を見事に表現している。また登場するキャラクターがクセがあって魅力的。後半がとても気になる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年02月14日

今や登山には色々な技術が駆使されたウェアやギアが揃っているが、昭和4年という時代の、限られた素材を創意工夫して雪山に臨んでいる加藤氏の姿はただただ尊敬に値する。
自分も山登りをするが、加藤氏の様に石を背負って通勤し、甘納豆とら揚げた小魚で長く動ける様に体を慣らし…と日々の鍛錬から怠らない、加藤氏と同...続きを読むじ努力は中々出来るものではない。
山は上流のもの…と言う時代背景も私には新しいが、そんな時代があったのかと変化後の今に感謝したくなる。
それにしても影村のようなヤツはどの時代にもいるんだな。

これだけ褒めてはいるけれど、やはり実際に加藤氏に会ったとしたら言葉少なに引きつった笑みを浮かべる姿に親近感を抱けなかったであろう…

それにしてもラストが分かっていて読み進めるのは辛い

下巻に続く

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Posted by ブクログ 2019年10月27日

不世出の登山家、単独行の加藤文太郎を主人公とした伝記的小説。

風評だけを聞くと、加藤文太郎はストイックな単独行の鬼のように思えるが、この小説で書かれている文太郎は、人並みに人肌を求め、しかして生来の不器用さから孤独を運命づけられていくように状況から単独行の代名詞へと祭り上げられ、文太郎自身も孤独に...続きを読む安らぎを持つようにすらなっていく。

ストイックな山男とは真逆の、繊細でいじましい健脚の男の物語が描かれているように思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年03月24日

本作品は山岳小説の大家である新田次郎氏が「加藤文太郎」という登山家に焦点を当てた山岳小説である。そこに描かれているのは外山三郎ら庇護する者や影山ら乱す者との人間ドラマであるとともに、大正から昭和へと変わる不穏な雰囲気、関東大震災や5.15事件の軍国化、共産主義の暗躍といった出来事である。「単独行の加...続きを読む藤文太郎」の気骨がどうやって生まれ形成されていったか、新田次郎の詳細な調査と創作が入り交じり「加藤文太郎」に色を与えている。

ひとつだけ疑問は山に興味が薄かった加藤氏がどうしてヒマラヤに執着するようになったのか。作品内でのきっかけや動機が薄弱のような気がする。もう少し詳述が欲しかったように思う。

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Posted by ブクログ 2018年06月17日

実在の人、加藤文太郎による前人未到の日本列島の縦断単独踏破までの上巻。
登山小説における、究極の状態における人間心理や素晴らしい景観、そして死と隣合わせの冒険という特有要素が満載で、大正、昭和における登山行の考え方や道具等細かに描かれており、興味深い。主人公、加藤文太郎の寡黙な人柄は、この小説によっ...続きを読むて山男の象徴的なものとして人々に記憶されたのではないかと思えるほどにインパクトがある。
プロローグで、加藤か遭難したことを語る人物が、単独で登山していれば間違いはないと述べたことがこの本の確実なラスト展開につながってしまうのを感じてストーリーにやや興味を失ってしまう。山行の合間に描かれる恋愛や会社でのエピソードは物語に起伏を持たせてくれるとともに加藤の人柄よく出ており、興味か深まります。

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Posted by ブクログ 2018年01月06日

漫画の原作である本作だが、漫画とは時代背景がことなる。漫画はストーリーは踏襲しているが現代版にアレンジした作品。しかし、原作でも十分楽しむことが出来る。孤高であるがために捨てなければならないことが、一人旅をしていたころを思い出した。続きは気になる。

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Posted by ブクログ 2017年08月29日

新潮文庫の2014選抜だそうで、書店に平積みの本書を手に取った。山岳小説のロングセラーで、タイトルだけは知っていた。実在した加藤文太郎の山行と、第二次大戦に突入しようとする暗い時代に、会社の人間関係や女性への思いを織り交ぜた濃い小説だった。不器用なまでに人付き合いの苦手な加藤に腹立たしい思いも感じた...続きを読むが、書名どおり孤独を友とする人の性なのだろうとも思った。上巻の最後に「もし、この契約を破った場合は、山はお前の生命について責任が持てない」という加藤の中の単独行のなかの独白が、その後の結末に暗い影を落としている。

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Posted by ブクログ 2017年02月14日

単独行こそ登山と考えてしまうのはなぜなのか。ストーリー自体にはベストセラーになるには通俗性が大事だよねと納得する。

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Posted by ブクログ 2016年12月08日

加藤文太郎という単独行で日本の冬山登山を行い、ヒマラヤ登頂を夢見ていた、一種変わり者と言われていた登山者の物語である。

文太郎が登山をするのは、マロリーが言った、そこに山があるからだというものではなく、たんに汗をかくためだというものであった。一人をこのむ文太郎だったが、単独登山をしていると、逆に一...続きを読む人を恐れ、寂しがるという自分自身がいることにも気づいていた。

彼は、山での遭難は、複数で登ることによって、誰かに頼ってしまうということが最も問題だということを悟っていた。そんな彼ではあるが、唯一、どうしても付いていってやらなければならないと思うような後輩がいて、その後輩のために命を落としてしまう。

著者は、富士山観測所にいるころ、文太郎本人にあったという。経験豊かな著者だから描写しえる、畏怖すべき雪山の実態が浮かび上がってくるような本だ。

全2巻

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年09月26日

H27.9.15~H27.9.21

(あらすじ)
昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった”単独行の加藤文太郎”。
その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を...続きを読む切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。

(感想)
戦国・近代戦争時以外の人物伝を読むのはとても珍しい気がします。山岳ものって初めてだけどどんなかな?と思ったら、とても面白い!山以外の、会社や恋愛のくだりも楽しく、すぐに読み終えることができました。
上巻は、15歳で神港造船所の研修員として所属し、山を知り、夏山~冬山に魅せられ、富山から長野への単独縦走を成功させるまで。

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Posted by ブクログ 2015年08月30日

山を登るのが好きだから登山家になる。登山はそんな簡単でシンプルなものではない。文太郎のように自分の肉体や精神がどこまで耐えれるかを極限状態まで試し、日常生活でも全て登山のことを考えて鍛える。自己を証明するために山に登る。かっこいい。でも私は景色を楽しむために登る登山でいいな。

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Posted by ブクログ 2016年01月01日

導入は漫画から。
冬山に一人で行くなんて俺には考えられないけど、生き方なんだと言えばそうなんだろう。

下巻も続けて読むことにする

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Posted by ブクログ 2016年08月07日

何十年ぶりの再読でしょう。もうボロボロの本です。昭和48年発行第2刷の新潮文庫。小口はまっ茶色、余り本を大切にしない私だけど、それにしてもどう扱ったのか疑問に思うほどシワだらけです。
読み始めて感じるのは、如何にも昭和といった雰囲気。ストーリーの立て方、文体、いずれをとっても古めかしい。でもどんどん...続きを読む飲み込まれていきます。
主人公が登山家だけに山の描写は多いものの、一社会人としての生活も多く描かれています。特に愛妻・花子との馴れ初めは微笑ましく。
嵌ってしまう物語です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年06月18日

登山をする者として、馴染みのある山や地名が出てくることが、より小説への没入感を増す。フィクションとノンフィクションがミックスされたような作品だそうだ。
今回は上巻。これから下巻に入る。まだ物語は始まったばかりだ。

主人公は加藤文太郎。実在した登山家だ。
彼がエベレストの登頂を目指すことから物語は大...続きを読むきく動き出す。

本格的な登山の描写が出てくるまでに、少々読み進めなければならない(退屈)。
登山に例えるなら稜線までの登りだ。そこを越えると常念岳から蝶ヶ岳への縦走のように素晴らしい景色が見えてくる。といっても冬山がメイン。山行はみっちりと描かれるが、読んでいて私は「こんなもん無理やて・・・」と畏敬の念を抱くしかなかった。

ついつい忘れがちだが、まず時代が違う。大正の末から昭和の初期にかけての話だ。
装備、食料、山小屋や登山者用の目印だって今とは比べ物にならないお粗末な物だろに・・・

また、加藤の不器用さが歯がゆい。
「そこ素直になろっ!」って言いたくなる場面が無数にある。今の時代なら、発達障がいとして分類されるであろう加藤の行動や反応、執着はどのように認知されていたのだろうか。著者はどのように彼の人格を作り上げたのか。
女性への加藤の内心やその関係を描く場面も多くあるが、個人的にはもうちょっと省略してほしかった。なんせ、話がダレる・・・

とは言え、加藤を見込んだ人々のサポートを受けながら、彼はことごとく山を踏破していった。

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Posted by ブクログ 2019年07月09日

昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加...続きを読む藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。"

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Posted by ブクログ 2016年05月02日

内容(「BOOK」データベースより)

昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎”。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等...続きを読む小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。

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