新田次郎のレビュー一覧

  • 武田勝頼(一) 陽の巻

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     再読中。武田勝頼の人生を描いた小説である。著者は『武田信玄』を前に上梓している。他にも『武田三代』などの著書もあり相当な研究を著者はされている。武田勝頼の人物像は一般的には長篠の合戦で信長と対比される非合理で猪突猛進的な武将であることが多い。
     しかし、本書を読むとそのイメージはいい意味で打破される。勝頼は信玄の正嫡ではない(諏訪四郎勝頼という)ビハインドを抱えながら、信玄死後の武田の混乱に臨み、苦悩しながらも領国経営と他国との戦略に臨んだ大名であった。信玄の遺臣たちの対応(彼らの気持ちは常に信玄に向いている)に追われ、その中で自らの支配基盤を確立しようと必死にもがくその姿と、勝頼の与えられ

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    2011年11月01日
  • 富士山頂

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    感動の野武士伝説

     富士山頂への気象レーダー建設物語。

     作家でもある気象庁課長が通信メーカーと一緒に一大事業を成し遂げる。名誉のため採算度外視で受注活動を繰り広げるメーカー各社。

     事業は一社でやるべきと主張する気象庁課長の主人公。ドラマがそこに生まれる。

     主人公の政治的圧力をも跳ね返す意志力。圧力でどうしてもメーカーに分割発注しないといけなくなったときの心、さらに逆転でそれを跳ね返して一社で工事をやり遂げた達成感。

     建設会社の現場監督の言葉もいい。

    工事の完成は人の数でも技術でも金の力でもなく、人の気持ちだ

     完成後のパーティーで、機械予算は取ってそこで働くことになる人の

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    2011年09月16日
  • 栄光の岩壁(上)

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     ハッピーエンドの感動作。

     アイガー北壁に失敗し、翌年マッターホルン北壁に成功する主人公。そして彼を取り巻く魅力的なパートナーたち。

     特にザイルを組んだパートナーとの呼吸や日本に残した妻への思いがラストで一気に&爆発的に表現されクライマックスを迎える。

     実在の人物が

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    2011年09月16日
  • 栄光の岩壁(上)

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    若くして凍傷により両足の指先を全て失いながらも、果敢にクライミングに挑んでいく岳彦の人生を描いた、実在の人物をモデルにした傑作。
    伯爵や元帥などの涸沢貴族と呼ばれるユニークな山仲間も登場します。
    クライマックスのマッターホルン北壁を血にまみれた「足のない足」とともに一歩一歩登っていく姿は壮絶です。
    自分の力を極限まで使い、様々な困難にひとつずつ打ち勝っていく姿に感動します。

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    2011年09月12日
  • 銀嶺の人(上)

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    ネタバレ

    新田次郎氏の山岳小説三部作の最後を飾るのは、二人の女性クライマー。正反対の性格の二人の姿が見事に描かれています。
    遭難しかかった美佐子のとる行動も立派ですが、淑子らが救出に現れるシーンも感動的です。
    また、美佐子が彫る鎌倉彫の描写も見事です。山の情景からヒントを得て鎌倉彫に表現しようと苦悩する姿、作り上げられていく鎌倉彫。それらが自然と目に浮かんできて、鎌倉彫のデザインまで目の前にあるかのようです。

    自然の描写ばかりでなく、美術作品にまでおよぶ浅田次郎氏の表現力には、ただただ感動するばかりです。

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    2011年09月11日
  • 武田信玄 風の巻

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    全4巻。
    武田信玄の魅力が満載です。
    家臣たちの描写もすばらしく、生き生きと登場人物が躍動します。
    武田信玄の生涯が丁寧に描かれていて、有名な合戦シーンも見事に表現されています。
    新田次郎氏の他の山岳小説と同様に、一人の人物を深く深く追っていく新田氏の技に深く感動します。まるで、信玄がそこにいるかのようです。

    新田次郎氏の「武田勝頼」を合わせて読むことで、武田家の視点から戦国時代を見通すことができます。

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    2011年09月11日
  • 武田勝頼(一) 陽の巻

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    御館様・信玄公の突然の死により、28歳の若さで武田家の指揮をとることとなった勝頼。信玄時代の老臣たちとのジェネレーションギャップに苦しみながら、偉大な父を超え、自分の思いを遂げようとして進んでいく勝頼の姿が好意的に描かれていています。
    戦国最強軍団が、脆くも内部から崩れ去っていく様子が、それぞれの心情とともに鮮明に表現されていています。老臣の意見に心ならずも流されていく勝頼に歯痒く思う場面も多いですが、勝頼の無念さが伝わってきて心が打たれます。
    「なぜ、武田家は滅ばなければならなかったのか」と改めて考えさせられます。

    章末には「信玄公記」や「甲陽軍艦」の引用が掲載されています。原書ではほんの

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    2011年09月11日
  • 武田勝頼(三) 空の巻

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    万感の想いと判官びいきで★は5つ。

    拡大しすぎた版図と兵站。そして産業の
    転換ができない地政学的な現実。
    そして人心掌握のために必要な権力構造の
    転換のために必要な資金、時間の不足。
    そこに冷静な競争相手の信長、家康。

    滅ぶべくして滅んだともいえる。
    なぜなら武田氏は織田家の臣下にはなれない
    不倶戴天の宿命だったのだから。

    歴史はやり直せないんだなー。

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    2011年08月29日
  • 栄光の岩壁(上)

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    足の指、踵を失いながらも山に生き、数々の初登攀を成し遂げてきた男の話。
    日本中の期待を背負ってアイガー北壁に挑むも、天候に恵まれず断念するのだが、その判断力を賞賛していた点が印象的。
    命懸けの登攀は決してかっこよくはない、それは今後、私の山行を支えてくれる鉄則となるだろう。
    謙虚であるということもだ。
    モデルの芳野満彦氏の婿入り先が、地元のモリ商会だったことに驚き。

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    2011年08月24日
  • 孤高の人 16

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    ネタバレ

    静と動、そして感情の凄まじい表現。建村は単に厄介者として嫌えばよかったけど、今度の足かせはもっと文太郎寄りなだけにますますツラい。

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    2011年08月21日
  • 孤高の人 16

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    ネタバレ

    全巻のラストで文太郎が突っ伏しているシーンがあったので、新田次郎の「孤高の人」と同じく、そこで終わるのかと思いきや、再度の登攀へ向かう。やはり、そうこなくっちゃ。そして、そこから始まる登攀の描写がすごい。

    カバーの折返にある作者の言葉で、
    『僕は擬音を信用しなくなった。』
    という記述がある。これを読んでから本巻を読むと、本当に作者が絵と、コマで音を出そうとしているのがわかる。

    実際、わたしの頭にはシューベルトの『魔王』が浮かんできた。まあ、文字で書かれているし、コマのテンポはなしにして、絵を見れば誰でも連想するとは思うのだけど。

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    2011年08月19日
  • 武田信玄 山の巻

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    林の巻までは信玄に好意的な人物は善良で賢く描かれ、
    そうでない人物は愚かで利己的に描かれていたが、
    火の巻の後半あたりから魅力的に描かれるようになった。
    悪女だった三条夫人も正妻として美しく死んでいき、
    三英傑は上杉謙信と違い、格好良く描かれている。

    だが、この巻のあとがきを読み、
    謙信を貶した事に合点がいった。
    作者は合理主義の人物が好きなので、
    毘沙門天の化身と称し、古い権威を尊重し、
    大義を振りかざす謙信は信用出来なかったようだ。

    なにはともあれ、山の巻以降ぐっと面白くなり、
    ぐいぐい引き込まれていって信玄が好きになった。

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    2013年07月13日
  • 孤高の人 15

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    いい具合に角が取れたなぁ。
    森文太郎は、建村とK2東壁に登ってます。がしかし…
    ソロクライマーの覚悟、命が脅かされた時の判断や欲求を見せてくれます。
    次巻から新展開かな。

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    2011年05月28日
  • 孤高の人 14

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    坂本眞一さんの画の表現は本当にすばらしい。
    伝わりにくい巨大セラックの崩壊を独自の表現で、静かに描いている。
    ドキドキする。

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    2011年05月28日
  • 孤高の人 13

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    傲慢にも見えるほどの自信と、目的の為なら全てを捧げる献身。
    子供が生まれ、つがれた酒を飲む森文太郎からは、それらが減殺されたかのようだ。
    しかし、山への熱意は消えていなかった。

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    2011年05月28日
  • 孤高の人 15

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    ネタバレ

    建村と別行動はむしろ嬉しいけど……と思ってたらまさかのあの男が! いたんだ、ちゃんと! 次々と回想が続いていよいよラストは近い?

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    2011年05月21日
  • 孤高の人 1

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    新田次郎さんの原作を現代版にしたクライマー物。
    山にのめり込んでしまう人間達のドラマは、マンガと言えども迫力満点!!
    どうなって行くのか展開が気になり、あっという間に読み込んでしまう。
    迫力があり過ぎてちょっと怖すぎる所もあるけれど、感動する大人のマンガとしておススメ!

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    2011年05月05日
  • 富士山頂

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    富士山レーダー建設を通しての人間ドラマ。気象庁に勤めていた頃の作者の体験を元に書かれた小説。
    NHK「プロジェクトX」の第1回目が富士山レーダーの話で、ラストに作者も紹介されてました。

    新田次郎は、文体や作品の目線や作者近影が見るからに優しそうなのに、満州からシベリアへ抑留された過酷な経験をしていたり、奥様の藤原ていによると結構子供っぽかったり怒りっぽかったりしたらしく(要するに邪気がないのかな?)、藤原さんの満州引き上げ体験記やエッセイなども興味深いです。

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    2011年04月18日
  • 梅雨将軍信長

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    短編9編からなっている。
    新田次郎は私の好きな作家ベスト5に入っている。
    山岳小説では多くの名作を書いているが、技術者や科学者を描いた時代小説も多い。
    この本に収められているのは信長以外はその類のものである。
    「信長~」は気象学者らしい作品になっている。

    市井の変人だが、個性ある優しい人物が描かれていて、どれも私の期待を裏切らなかった。

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    2011年03月06日
  • 孤高の人 1

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    新田次郎による小説を漫画化した坂本眞一の作品。
    森文太郎のストイックなまでに追求する姿に惹かれる2巻から自分はハマりました。

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    2011年02月28日