【感想・ネタバレ】強力伝・孤島のレビュー

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引き締り緊張感のある文体。まるで目の前で事が展開されているような緊迫感。

まさしくこれはよく出来た短編ハードボイルド小説集。

直木賞を取った「強力伝」も良いが、思わぬ事で落とし穴に落ち、狼と相対する事になった男を描いた「おとし穴」が秀逸。二進も三進も行かない状況でも、お金の事を考える人間の性と狼との対決の緊迫感はただものではない。また、そのラストにも衝撃を受ける。

今まで新田次郎の長編作品は何作か読んできたが、短編集は初めて。もしかしたら氏の本分は短編にあるかもしれないと感じさせる作品集であった。氏の気象官としての経験も存分に発揮されている。

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2024年01月06日

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「強力伝」 凄まじい、想像を超える話しだ。体力よりも精神力、頑固力の塊のような人だ。

「八甲田山」雪の恐ろしさ、正気を失っていく人の不気味さが本を閉じたくさせる。

「山犬物語」「孤島」自然と自然の中に生きる生き物と比べてひとのか弱さ。

全編を通して自然の中に取り残された時、自分だったら生きていける自信が無くなるような過酷な状況が読んでいて辛かった。

だけと、また他の作品も読んでみたいと思った。

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2022年10月09日

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6つの短編集で多くが山に関係する小説です。
実話が題材のものが多く、日本の山の歴史を勉強できる。伝記と小説が合わさった感じがしました。
無数にある山々に登山道が整備されていることに、山に行くたび先人達の仕事に感心していましたが、この作品を読んで改めて感謝の念が強くなった。
山好きに是非読んでもらいたい。
少し昔の作品ですが、昭和の純文学と違って物凄く読みやすいです。
「強力伝」、「凍傷」が特に好きでした。
「強力伝」は、180キロもの石の風景指示盤を、富士山の強力が白馬山頂まで担ぎ上げる話
「凍傷」は、富士山頂観測所を設立するまでの困難を描いた作品です。

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2022年09月08日

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短編集。八甲田山、凍傷などどれも冬を題材としており冬休みに読むのにとっても適していた。それぞれの主人公の固執、執着が伝わってくる内容であった。あとがきに記載されているように筆者はきらびやかな記述はないがシンプルな表現で文章を作成しており大変勉強になった。物語のラストもあっさりと記載されており、内容の理解に2回、3回と読み直しが必要であった。

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2020年01月03日

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知られざる男達の戦いに絶句。今の時代があるのも使命に燃える先人達の命がけの事業があっての事なのだと深く畏怖を覚えた。オススメ。

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2017年09月24日

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第34回の直木賞を受賞した「強力伝」を含む短編集である。昭和30年代に書かれた古さは感ずることなく、冬山の怖さが伝わってくる。
「強力伝」の他に、「八甲田山」、「凍傷」、「おとし穴」、「山犬物語」、「狐島」があり、「おとし穴」については、人が危機を脱して安心した時ほど危険である事、’’勝って兜の緒を締めよ’’とは良く言ったものだと思った。

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2013年02月10日

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短編6作どれも大自然の摂理に抗う人の生き様と孤独が描かれており、ともすれば生死の生臭さすら漂わせる描写に五感が刺激され、読み進めるにつけ引き込まれます。

大自然vs人の信念。大自然は山海や自然現象、時には野獣となって抗う人間と対峙し、命のやり取りに転じます。自然の懐に抱かれずして人はどんな未来が待っているのだろうなどと思いながらの完読でした。私が生まれる以前の作品ばかりですが、ストレスフリーで読めました。

『強力伝』力み過ぎて肩が凝りました。
『八甲田山』『凍傷』皮膚がチリチリとします。
『おとし穴』まんが日本昔ばなしに出てきそうな話で結末がなんともイタイ。
『山犬物語』『孤島』山と海、背景は違えど生臭さが鼻をつきます。
五感で味わっていただきたい作品です。

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2023年08月16日

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ネタバレ

R4.2.26~3.5

(きっかけ)
・新田次郎はすでに数冊読んでいて好み。
・以前何かのレビューで気になっていた。
・古本屋で100円で購入。

(感想)
とても面白かった。
どれもよいのですが、あえて好き嫌いをつけるとこのような感じでしょうか。(最高★5)

・強力伝(★4)
 180kgの巨石を背負って白馬山に上った強力の物語。
・八甲田山(★3)
 面白かったが、もともと「八甲田山死の彷徨」を読んでいたので物足りなかった。
・凍傷(★3)
 面白かったけど少し淡々としていたように感じた。
・おとし穴(★3)
 面白かったが…何か物足りない。
・山犬物語(★4)
 山犬に娘を殺された恨みを果たす男の物語。
・孤島(★5)
 所長の苦悩がとても良い。

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2023年03月05日

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「新田次郎」の短篇集『強力伝・孤島』を読みました。

『アイガー北壁・気象遭難』に続き「新田次郎」作品です。

-----story-------------
それは人の域を超えた業だった。
名峰・白馬岳の山頂まで50貫(約187キロ)もの大岩を背負い上げた男の物語。
【著者の処女作にして直木賞受賞作(昭和30年下期)】

五十貫もの巨石を背負って白馬岳山頂に挑む山男を描いた処女作『強力伝』。
富士山頂観測所の建設に生涯を捧げた一技師の物語『凍傷』。
太平洋上の離島で孤独に耐えながら気象観測に励む人びとを描く『孤島』。
明治35年1月、青森歩兵第五連隊の210名の兵が遭難した悲劇的雪中行軍を描く『八甲田山』。
ほかに『おとし穴』 『山犬物語』。
“山”を知り“雪”を“風”を知っている著者の傑作短編集。
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「新田次郎」の処女作を含め、昭和26年(1951年)から昭和30年(1955年)に発表された初期の作品を収録した短篇集です。

 ■強力伝
 ■八甲田山
 ■凍傷
 ■おとし穴
 ■山犬物語
 ■孤島
 ■解説 小松伸六

『強力伝(ごうりきでん)』は、「新田次郎」の処女作で昭和30年(1955年)第34回直木賞受賞作品… 著者が昭和7年(1932年)から昭和12年(1937年)まで富士山頂観測所に勤務していたときの体験を題材とした物語、、、

当時、富士山頂への荷揚げは馬と人に頼らざる得ず、強力(ごうりき)と呼ばれる荷揚げをする人たちがいた… その一人で三十貫(約112キロ)のエンジンを担ぎ上げた、御殿場口の「小宮山正」をモデルした作品… 強力の「小宮正作」は自らを「金時(きんとき)さん」の再現だと信じる素朴な男だが、新聞に掲載されることを尊いものだと信じており、新聞社に名前が出ることに誘惑され、五十貫(約187キロ)もの花崗岩の風景指示板を背負って白馬山頂に向かうことになる。

同業者である白馬の強力「鹿野」は、当初、よそ者の「正作」に敵愾心を持つが、徐々にその人柄に惹かれアイゼンや背負子を貸す等して応援、、、

道中の岩雪崩等のトラブルから大きなケガを負った「正作」だが、「鹿野」の協力もあり、なんとか風景指示板を担ぎ上げる… この風景指示板って、実際に白馬岳山頂に現存するそうです。


『八甲田山』は、明治35年(1902年)1月、青森歩兵5聯隊の八甲田山中での悲劇的な雪中行軍を描き、後の傑作長篇『八甲田山死の彷徨』を生むことになった物語、、、

『八甲田山死の彷徨』を読んでいるので、少し物足りない感じはありましたが… その悲劇が端的に描かれ、『八甲田山死の彷徨』のエッセンスは既に織り込まれており、短篇ながらも読み応えがありました。


『凍傷』は、昭和7年(1932年)に富士山頂観測所設立に成功する「佐藤順一技師」の富士山頂への観測所設立に向けた執念(妄執)を描いた物語、、、

このプロジェクトを推し進めるため、冬季富士山頂滞在の実績を何としてでも作りたかった「佐藤」は、昭和5年(1930年)に強力「梶房吉」、「長田輝雄」等の協力により、荒天の富士山に登り、1カ月の滞頂後、無事に下山する… 「佐藤」は、道中で遭難しそうになり、足に凍傷を負い右足の指を失ったものの、この成功で安全性が証明されたことにより、これまで三十年来予算化が妨げられていた予算案が遂に成立し、昭和7年(1932年)に富士山頂観測所が設立される。

富士山頂観測所設立に憑かれた人物の執念を描いた作品ですね… 宗教的なまでの執着でした。


『おとし穴』は、山犬(ニホンオオカミ)用のおとし穴に落ちた金貸しの「万作」が、おとし穴の中で遭遇した山犬との一夜の攻防を描いた物語、、、

狭いおとし穴の中で「万作」と山犬が駆け引きをしながら対峙するスリリングな展開と、生死に関わる極限の状況の中で愛する妻子のことを考えながら、妻の不貞について疑心暗鬼を生ずるという複雑な精神状況の生々しさに引き込まれる作品… 死を覚悟した「万作」は、自分しか知らない土蔵の白壁の中に隠した五十両の小判のことを、遺言としておとし穴の土壁に"くら かべ かね"と書き残しますが、そのことが原因となって悲惨な結末を迎えます。

これが無ければ助かっていたのに と思わせる、金銭欲に絡んだ意外なクライマックスが印象的でした… もちろん、そこに至るまでの一人と一匹の息詰まるような対決の生々しい描写が素晴らしいので、クライマックスが生きてくるんだと思います、、、

なかなか見事な展開をみせる傑作… 冒険小説的な作品ですが、一方で風刺的な意味を持った作品でもありましたね。面白かった!


『山犬物語』は、山犬(ニホンオオカミ)によって愛娘を失った「太郎八」、「おしん」夫婦の復讐の物語、、、

山犬様を殺すと村に祟りがあると信じている村人からの反対にあいながら、「太郎八」は復讐のために山犬を殺す… しかし、その後、病犬(狂犬病にかかった山犬)に噛まれて「おしん」が命を落とし、村人の先頭に立ち病犬を駆除していた「太郎八」も病犬に噛まれ半年後に発症して命を落とすのであった。

地方色豊かな伝記、昔話… ですかね。


『孤島』は、「笹山所長」を中心に鳥島の測候所員たちの生活をリアルに描いた物語、、、

離島という極限状態の中で半年も1年も所員の男たちだけで過ごし、本土との通信手段もないという異様な状況の中で、当時絶滅寸前だったアホウドリや島に住む山猫の話、台風襲来に伴う自然との闘い… 地味な作品ですが、鳥島での生活がリアルに感じられる作品でした。


個性のある6作品を愉しめましたが、、、

最も印象に残ったのは『おとし穴』ですね… スリリングな展開と絶妙な心理描写が秀逸でした。

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2022年10月03日

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短編集で構成されている。
各話それぞれ情景が想像できるくらい描かれていて印象深い。

面白かったのは非常に辛い場面や深刻な場面で、変な行動取る主人公の場面がたまに出て来るところ。

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2021年08月06日

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時代設定がさすがに古いが面白い。
ただ、専門的すぎるのか描写から情景がイメージしづらく、なかなか入り込めなかったのが残念。
小手先の工夫ではない表現は好感。

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2014年12月20日

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有名な山の山頂で何気なく見かける方位盤、白馬岳の頂上で見た方位盤の土台の石を麓から担ぎ上げた強力という仕事に生きた男の物語
等、短編集

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2009年10月04日

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新田次郎といえば、八甲田山死の彷徨。
この短編集は、1995年直木賞を受賞した「強力伝」
他、初期の6編が収録されています。
「八甲田山」は、明治35年の青森歩兵隊の雪中訓練の悲劇。冬の山、雪の恐怖、風の凄まじさ。雪の際限ない恐ろしさの臨場感があります。
これが、後の八甲田山死の彷徨に繋がるんですね
「強力伝」は、ほぼデビュー作とのこと。
新田次郎さんは、気象学者で気象庁の技官だったそうです。
富士山頂観測所に勤務していた時の体験で、モデルになった人物も紹介されていました。
当時、山へ荷物を運び案内を仕事としていたのが強力。彼らの仕事に対する真摯な態度や信頼していた様子が伺われます。
ただ、この小説は、それだけでなく、強力という仕事に責任と自尊心を持ち過ぎた一人の男性が、無理な仕事で身体を痛める様子が辛い。

他の作品も 雪山を経験して風の計測を仕事として 現場に携わってきた作者の臨場感ある短編集です。

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2024年02月15日

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『八甲田山』ってこういう話やったっけなぁ、映画の内容も忘れていますが、事件そのものが衝撃的。こんなことあんの?という内容。そう思わせるほどの筆力との判断もありかもです。
他の作品もなかなかに良いのですが、個人的に『八甲田山』がちらついて仕方ありませぬ。

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2022年07月14日

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50貫(約187キロ)もの巨石を背負って白馬岳山頂に挑む山男を描いた処女作「強力(ごうりき)伝」(直木賞受賞)。富士山頂観測所の建設に生涯を捧げた一技師の物語「凍傷」。太平洋上の離島で孤独に耐えながら気象観測に励む人びとを描く「孤島」。明治35年1月、青森歩兵第五連隊の210名の兵が遭難した悲劇的雪中行軍を描く「八甲田山」。ほかに「おとし穴」「山犬物語」など全6編。

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2019年07月09日

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八甲田山を読んだついでに…というと語弊があるが、その昔マンガ化されたものを読んだことのある「強力伝」を読んでみたくなり、購入。

マンガはとにかく非常に力強く、そして何ともやりきれないような結末だった、ような記憶があった。そういう思い出的な記憶は、読み返してみると「な~んだこんなもんだったか」と思ってしまうことも多いのだが、この本に関しては、迫力ある筆致に印象を新たにした。50貫(約187kg)を背負って白馬岳に登る…だなんてなぁ。これも怖い怖い小説である(とは言え実在のモデルがいる)。

ちなみに、今調べてみたらマンガは池上遼一の手になるものだったようだ。懐かしいな。

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2019年06月13日

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実話ベースの短編。短編なのでいろいろ端折ってるんだろうけど、取り上げられてる内容が面白く、もっと知りたい、その山を登ってみたいと思わせてくる。白馬岳登りたい。芙蓉の人を読みたい。八甲田山の映画は観た。

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2015年12月28日

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自然の中でひたむきに生きる人々を描いた短編集。読み進めて見えてくるのは、山、自然の厳しさにどう立ち向かうかというよりは、自分自身としてどう在りたいのか問い続ける人々の姿だ。

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2014年11月15日

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強力伝を読む.白馬岳に180キロの風景指示版を担ぎ上げる話.明日から白馬を眺めにいくので(残念ながら登山はなし)思いついて読んだ.

重いものを運び上げる時の筋肉,心臓の描写が迫真.すごい.もちろん,私は180キロを持ち上げたことはないが,肉体の軋みが伝わってくる.

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2012年08月24日

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「孤島」暗い、暗い、暗い。
気象観測で無人島の事務所にいるのだけど、あまりに何もない島で娯楽のなく淡々と職務をこなし、あとは暇つぶしを考える人々たち。
1965年。今だったら、ネットもあるし、きっとゲームしたりネットサーフしたり、天国だろうなぁ。と反感を持ちながら読んだ。

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2010年01月12日

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「強力さん」の話。
高いプライド、苦しい苦しい話で、自分も一緒になって大岩を持ち上げてる気分におちいってしまった・・・

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2009年10月04日

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