あらすじ
偶然がもたらした伊村と蓉子との邂逅。乾徳山、鷹取山、丹沢……。二人は共通の趣味、登山を通して深く関わりあっていった。蓉子は夫から疑惑の目を向けられつつも伊村と冬の谷川岳に挑む。猛吹雪で七日間閉じ込められた彼らを待ち受ける残酷な現実とは? 精緻な心理描写が光る異色山岳小説。
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Posted by ブクログ
硬派な登山小説ではなく恋愛中心の展開に驚く。登場する人物関係を説明する前半のパートが少々間延びする。作者のあとがきによれば昭和36年頃の執筆で、昭和の時代事情を楽しむことはできる。登山し、遭難するところからは流石に作者らしいスリリングでリアルな展開で楽しく読んだ。恋愛の結末は心理描写が薄く、何となく納得性にかける。やはり遭難シーンを中心に据えての作品が好みです。
Posted by ブクログ
人妻と独身山男のお話
その他関係者が登山などで絡み
各人の思いが語られながら展開してゆく
雪山登山での天候悪化はやばめでした
まだ携帯電話もない、それどころか
家電話もまだといった時代のようでした
Posted by ブクログ
新田次郎によくある山男をめぐるふたりの女性の心理劇。
婦人生活に連載したとのことで、片方が既婚者というところが新しい。
登場する山は以下の通り
夏の乾徳山の岩
鷹取山の岩トレ
晩秋の丹沢48瀬川の沢
年末の茂倉小屋での停滞
Posted by ブクログ
新田次郎『風の遺産』講談社文庫。
文章や描写に時の経過を感じる、新田次郎にしてはかなり珍しい異色の山岳小説。
山岳小説とよろめき系の恋愛小説の融合のような作品。腹落ちしたような、納得のいかないような結末。どうせなら滝蓉子と伊村真平を谷川岳で遭難死させた方が良かったのではあるまいか。
結婚1年目の滝蓉子はある朝、通勤途中の電車の中で脳貧血を起こし、大学の助教授の伊村真平に助けられるが、伊村は名も告げず立ち去る。僅かな手掛かりから伊村を探しあて、礼を述べた蓉子は伊村との共通の趣味である登山を通じて少しずつ深く関わり合う。やがて伊村と冬の谷川岳に向かった蓉子は猛吹雪で7日間閉じ込められる。
本体価格660円(古本100円)
★★★