新田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこの小説のモデルとなったのは芳野満彦さんだ。高校の頃の登山で凍傷により両足の指を失いながらも、山を目指した人であり、小説の中では、逆説的に両足の指がなくなったからこそ、山を登り続けたのだとも評している。
そのことを考えると、主人公が凍傷を負い、その逆境から立ち上がることができたのは、小林医師という軍医上がりの人からいわれた次の言葉だと思う。
この小説においては、この言葉からはじまっているともいえる。
「寝ていたのでは一生かかってもそのままだ。まず立つことの練習を始めねばならない。靴下を幾枚も重ねて履き、大きな靴を履いて、天井からつりおろしたロープにすがって立つ練習からはじめるのだ。足に重みがかかると足が痛む。出血する。出血してもなんでも、それをやるのだ、そのうち出血も少なくなり、重心の取り方も自然に覚えてくる。新しい足が、君のその足の中から出てくるのだ」
そして、主人公は、マッターホルンと言う山の北壁の日本人初登攀を成し遂げる。
全2巻 -
大抵のことは許されるけど
一巻で森が屋上のオーバーハングに下から飛びつくシーンは物理法則を無視しているので現実には飛びつけない。この巻に出てくる高取山は横須賀市の鷹取山だけどあの切り立った凝灰岩の壁をフリークライミングで登るのは超危険なので描いて欲しくなかったなあ。
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Posted by ブクログ
昭和新山の発生を観察した郵便局長の話をはじめとした、ルポ小説短篇集。「八甲田山」の新田次郎だけに山関係が多く、その他も地形や自然を追うものである。
表題作と「南極一号」話以外おおむね悲劇であり、それを淡々と綴っているので、体調が悪いと読み落としてしまう。しかし、多少読み落としても、何度もストーリーがフォローされていくので、集中力がない人でも面白さを理解できないなどということは皆無だろう。
逆に言うと、文章に遊びがないわけで、読後は爽快感を伴う面白さというのとは別のものだ。
いろんな意味で「The 小説」といえるような小説群のため、短編集ではあれど、それなりの意気込みを持って読むべき作品である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ明治期にサンゴ漁で賑わった長崎県五島列島。しかし、毎年のように嵐がやって来て、明治39年には死者734名の犠牲者を出す甚大な台風災害を出した記録を持つ。その時代背景を基に、三人の若い漁師と一人の少女を中心にして、海に生き、死んだ者たちを描いた海洋小説。
晴雨計やエンジンが西洋から入ってくる前夜で、勘と経験で判断して腕力のみで海を漕ぎ渡る小舟は大嵐の前にはなすすべなく翻弄される。自然災害に対する人間の無力さと残された者たちの生きていく逞しさを、緻密な取材を通して佳い物語に仕上げている。小難しい堂々巡りするような心理描写とかはなく、ストレートな昭和の小説で読みやすい。