新田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ歴史小説でした。
歴史小説って愛情だと思うんですよね。
作者さんが、どれだけその人物のことに愛情(興味)を持って調べて、その人物のことを形にしていくか……だと思うんです。
そういういみではこの小説は十分合格点でした。
でも、歴史小説なので、普段の小説を読むようについつい主人公に感情移入をしてしまって読むと、つらくなることがちょこちょこありました。
だって、歴史小説は絶対に主人公が勝つわけでもないし、いつかは登場人物が皆、死んでしまうんですもんね。
ちなみにこれはまだ、1冊目なので、武田信玄と名乗る前の「晴信」だった頃のお話です。
なので、そんなに人間が出来てもいないし(もちろん他の人に比べたら戦上手に描かれていますが)、それで失敗もする。でも、失敗しない人間なんていないし、勝負は時の運だったりするから、しょうがないんだけれども。
なので、必ずしもいいことばかりで物語は進まないし、戦国時代なのでそこで命を落として行った人のことを考えるとぞっとしますが、それでも大丈夫な方はどうぞ。
歴史小説としては面白いと思いますが、ちょっと堅い感じはあります。
ドキドキワクワクという感じはないです。割と淡々と。 -
Posted by ブクログ
男女4名のドラマ
山というより男女の物語。
ひとりの美人登山家を山男2名が奪い合う。そこに美人登山家の高校時代の友人が対抗意識だけで絡んでややこしくなる。
これ以上登場人物が増えると大変だが、4名だけなのでわかりやすい。
山男2名とともに縦走を計画した山女は、その頂上でどちらを選ぶか選択を迫られるのだが、結局どちらも選べない。
ラストでは、川を渡る山男たちに対して丸木橋を渡る山女が表現される。
橋が水面にくっついたり離れたり。見守る山男を意識しながら、山女は橋を渡りきる。橋の浮き沈みが山女のこころの揺れを表している。山男のザイルに助けてもらうことを拒否することで山女は両方を男と決別する。印象的なエンディングだ。
巻末の解説では山の本となっているが、実際は山が脇役の意欲作と見る方がいいと思う。先のミステリーに加え、この手の小説も上手なんだなと改めて新田次郎の筆力に驚いた次第。 -
Posted by ブクログ
歴史小説シリーズ第二段
今度は信長側から見た歴史。
信長も必死だった様子がよくわかる。一か八かの賭けに勝った信長は、その後賭けに敗れ本能寺で自刃するわけだが、それまでのクライマックスが描かれており短編ながら面白い。
武田信玄が長すぎたこともあり、このくらいの短編のほうがピリっとしていいかもね。
短編集だから、信長だけが出てくるわけではない。飛行機あり、天気予報ありなんだが、面白いのは算術(和算)関係の作品。2編(算士秘伝、二十一万石の数学者)登場するがいずれも鎖国時代の日本をある角度から描いたものとして興味深い。
蘇我入鹿打倒の「大化の改新」と「時の日」をくっつけた秀作「時の日」もいい味だ。個人的にはこれが一番だった。
富士山を背景に借りた「女人禁制」も新田次郎らしい山の作品だ。なかなかいい短編集だった。
作品は以下のとおり。
梅雨将軍信長
鳥人伝
算士秘伝
灯明堂物語
時の日
二十一万石の数学者
女人禁制
赤毛の司天台
隠密海を渡る