京極夏彦のレビュー一覧
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矢っ張り文章が良い。斯様に文章だけでぐいぐい読ませる作家を他に知らない。兎に角読者を牽引する力が強い。
泉鏡花が好きなんだろうな〜、っていうのは、京極作品をずっと読んでいると分かるけれど、氏の文章は鏡花のそれともまた違う。
何か色々混じり合い、渾然一体となって別の何かに成り果てたような。そういう意味では正に妖怪的といえるのかも知れない。
白眉は上田秋成の「吉備津の釜」を原作とする一篇。いま自分が読んでいるのが怪異譚であるという事を、途中まで本気で失念してしまった。まるで落語の人情噺のよう。
描き方一つで斯くも物語は表情を変えるものなのか。極上の怪談フルコースである。
リー -
匿名
ネタバレ 購入済みむしろ新しく思える
明治期をモチーフとしている作品なだけあって、書店の雰囲気などがなかなか現代では見られないような感じを思わせます。ですが、不思議と古さを嫌にならないどころか、むしろこうした昔懐かしい雰囲気が今時の若者にとっては斬新なものとして目に映るのかもしれないと感じました。
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約六年ぶりのシリーズ第三弾。
古今東西の書物が集う、主曰く“書物の墓場”・〈書楼弔堂〉を巡る“探書”譚、連作六話の構成となっております。
待っていました。この京極ワールド独特の雰囲気、“うん、これこれ!”という感じです。
今回の狂言回しは、〈弔堂〉に行く途中の坂にある甘酒屋の老爺・“弥蔵”さん。
幕末の血なまぐさい記憶を引きずりながら、世捨て人のように暮らしている弥蔵さんの元を訪れた(迷い込んだ)人々を、図らずも〈弔堂〉に案内することになるという流れです。
“京極本あるある”で、例によって分厚い本書ですが、ほぼ台詞という構成なので、割とスラスラ読めます。
〈弔堂〉を訪れるお客たちは錚々たる -
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ネタバレ個人的にツボにはまった表現を抜粋しただけですが、この著者の表現には毎回笑わせられたり、刺されたりします。あと、独自のキャラ設定は、京極堂シリーズにも共通します。
"お子ちゃまだと美緒は威張った。
「そしてあたしは、転んでも泣かずに笑うタイプだから。反省はするけど成長はしない。前には進むがどっちが前だか判らない。頭脳は明晰だが性根はバカなの。だから、まあ、変でおかしい!」"
“雛子がタイミングを合わせて走り抜けてくれるかどうかだ。まあ、抜けたところですぐに追いつかれるのだろうが、たとえそれが焼け石に水であったとしても、水くらいは掛けたくなる心境だった。"
&q -
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ネタバレ【あらすじ】
14歳の楠本頼子は、憧れの同級生柚木加菜子と親しくなり、ある日二人で湖を見に出かける。しかし加菜子は、駅のプラットフォームから転落し瀕死の重傷を負う。加菜子を轢いた列車に偶然乗車していた東京警視庁の木場修太郎は、加菜子が運ばれた病院で恋焦がれていた元女優美波絹子と出会う。加菜子の姉である絹子(本名陽子)は、加菜子を絶対に死なせないと宣言し、巨大な箱のような「美馬坂近代医学研究所」へ加菜子を移送する。その後陽子のもとに加菜子の誘拐予告状が届き、警察による厳重な警備にも関わらず、加菜子は忽然と姿を消す。一方作家の関口巽は、カストリ雑誌の編集者鳥口守彦とともに連続バラバラ殺人事件と穢れ -
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久しぶりに京極夏彦を読みたくなったけど、長編は読み切れる気がしなくてこちらの短編集。「嘘」にまつわる短編集で、三津田信三のシリーズのように、著者がそのまま体験したことのある話のような体で書かれている。
最初からこの話は嘘、と言われているから拍子抜けする部分もあり、でも本当に嘘だか分からないとか、どこからどこまでが嘘かわからないというのは逆に不気味で良かった。
一番怖かったのは「ベンチ」の仏壇破壊おじさんかなあ。キンゴロー様の話も好みだった。
きっちりと創作された怪談の、因果関係が明確になるタイプの話も好きだけど、この短編集は実話怪談の「腑に落ちなさ」がある。わけが分からない、意味が分からない、 -
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ネタバレ【2023年14冊目】
「死ねばいいのに」
ともすれば、ものすごい悪口である。悪意100%である。タイトルにもなっているこの言葉は、物語の章が変わる度に必ず発せられる言葉だ。けれど、それを発するケンヤという男は何も相手を不快にさせようと思って言っているのではない。
死んだ女、鹿島亜佐美について何一つ知らないから教えてくれと、話を聞きに行くケンヤの先々には様々な相手がいる。不倫相手、隣人、ヤクザ、実の母親、警察官――亜佐美の話を聞きに行っているのに、なぜか彼らは自分のことばかり話すのだ。だからケンヤは話を聞いた上で結論付ける。
死ねばいいのにと。
言われた相手は皆一様な反応を見せる。だが、 -
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遠野物語に載っていない逸話集「遠野物語拾遺」を京極夏彦が再編集したもの
柳田国男の原著「遠野物語拾遺」も併載
遠野での怪異や行われている風習なども多数載っている
逸話の順番が入れ替えられていて、原著では気づきにくい逸話同士の関係などが京極夏彦の解釈として描かれている
訳の仕方や補足で付け加えられている情報など、京極っぽいものを感じる
遠野物語との関係性や出版に至った経緯などの説明も併記されている
個人的に面白かったのは
・餅を食べたいが故に交換条件で色々してくれる「何か」
・子供が仏像で遊んでいたのを注意したら、「折角遊んでいたのに」と夢枕に出てくる神仏
この辺は物語の定番と違った