京極夏彦のレビュー一覧

  • 病葉草紙

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    江戸時代で、貧乏長屋の面々と差配さんとの掛け合いとくれば、落語ですね。京極作品らしい蘊蓄もでてきますが、妖怪ではなく虫ですから、いつもよりいろんなことがシンプルです。起きている出来事も剣呑ではありますが、人の浅はかさ特に欲がらみとなると、落語の定番ともいえましょう。
    落語だと物知りはご隠居などのご老人が多いですが、本作では久瀬棠庵なる二十歳そこそこの長屋の住人です。博識ながら棠庵は人の気持ちが分からない、自分の心は欠けているといいます。しかし、藤介が指摘したように、余りにもいろいろ見通せるために一つ所に感情を寄せられないように思います。そもそも心なんて得体のしれない物です。自分の感情だってコン

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    2024年11月08日
  • 遠巷説百物語

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    巷説百物語シリーズの第6作目

    舞台を江戸末期の遠野へと移し、盛岡藩筆頭家老の密命で巷に流れる噂話を調べる宇夫方祥五郎を主人公に物語が展開する。

    全部で6話。
    どの話も遠野の昔語りから始まって、巷の話、事件の当事者の話、最後にそれを解体する話という構成。

    昔語りの遠野の方言はなんとも味がある。

    ここまでのシリーズでも登場している
    長耳の仲蔵、亡者踊りの柳次が主に妖怪変化の仕掛けを施して事件を解決していく。
    今回は座敷童のような女の子、花が良いアクセントになっている。

    又一が八咫の鴉(やた の からす)として最後の話「出世螺」に登場する。
    これで続巷説百物語の後の話だとわかった。

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    2024年10月31日
  • 鉄鼠の檻(2)【電子百鬼夜行】

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    京極夏彦の和風ミステリー『鉄鼠の檻』、分冊文庫版の2巻。

    禅僧・小坂了稔殺害事件捜査のため、明慧寺で聞き込み捜査を行う山下警部補ら警察一行。「修行中の僧侶の脳波を測定する」という当初の目的を進める名目で、警察らと共に明慧寺へと向かう関口、敦子、鳥口ら一行。そんな最中、新たな殺人が発生する。老師・大西泰全が雪隠(便所)に頭から突っ込まれ、脚だけが出ている状態で発見される。禅僧二人が殺害されたことで「次は自分が殺される」と怯えるのは典座・桑田常信。この事件について、彼は何を知っているのか―――。

    京極堂による「憑物落とし」、まずは禅宗の歴史・系譜のお勉強を兼ねての第一回(多分)。明慧寺の成り立

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    2024年10月27日
  • 病葉草紙

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    見た目厚いのでちょっとビビりましたが、読んでみたら短編で、しかも読みやすかったです。ご安心を。もっと読みたいからシリーズになってくれればいいのに。

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    2024年10月16日
  • 死ねばいいのに

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    最初のうちは、何を読んでるのだろう?と、頭の中で纏まらなかったが、知らぬ間にどんどん読み進めていた。引き込まれる何かがある。読み終わると何か茫然とした。

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    2024年10月10日
  • 文庫版 鵼の碑

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     百鬼夜行シリーズ待望の十作目。永らく出なかった新作だけあって悦びも一入、じっくりと時間をかけ味わって読ませて戴きました。

     嘗て読み漁ったシリーズ作品の懐かしき登場人物達の躍動に心躍るばかりです。
     肝腎の内容に関しては相変わらず圧倒の一言に尽きます。一体何うやって斯様な御話を考えているのか。此が一人の人間の脳味噌から出て来ると言うのが俄かには信じられぬ程です。

     巻末の解説で小川哲氏が触れていますが、本作の圧巻は何と言っても其の「構造(構成)」でしょう。一つ一つは独立した違う御話に見える複数のパートで構成され、謎が解明に近付くにつれ其々が連関していきます。然し全てのパートが収斂し、真相

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    2024年10月06日
  • 虚実妖怪百物語 序

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    とりあえず三部作の一作目。

    なんだこれ?
    名だたるホラー作家が実名で登場している。
    妖怪が現代に現れ、世の中が大混乱。
    水木しげるが憂い、荒俣宏が奮闘する。

    会話文が多くて、今までの京極小説っぽさがない。
    大御所がラノベ書いたらこんな感じなのか?それにしても語彙が多くて、会話文だらけの展開でもどこか新鮮で面白い。

    端役だったけど、岩井志麻子が男性に刺されそうになって逃げてるところがツボだった。妖怪関係なく身の危険にさらされる女流作家。
    黒史郎さんがいい人なのに貧乏くじ引くのがほほえましい。ダゴンみたいのに憑かれて可哀そう(だけど笑える)

    ちゃんとした感想は最終巻まで読んでから。
    今のと

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    2024年10月04日
  • 覘き小平次

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    夫婦の在り様なんて、100組あればその数だけ違った形があるんだろう。

    歪だけど、そこには確実に、
    二人だけの、二人にしか分からないナニカが有ったんだろうなあ。
    それを愛情と呼ぶのかは分からないけど。

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    2024年09月29日
  • 京極夏彦講演集 「おばけ」と「ことば」のあやしいはなし

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    各地で行われた著者の講演集。
    本との向き合い方についての論が印象深い。

    どんな本でも面白がろうとすることが大切。読書とは能動的なもの。

    膨大な知識量がありながら、分かりやすく言語化できる著者の表現力はさすがです。

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    2024年09月29日
  • 続巷説百物語

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    物凄い話だった。

    御行の又市
    山猫廻しのおぎん
    山岡百助

    この三人の物語の最終章だった?

    ここまで続いてきた前巷説百物語、巷説百物語の完結編となったのか?

    最後の最後に又市が仕掛けた、藩を動かすほどの仕掛けが見事だった。

    京極堂シリーズも好きだけど御行の又市一味のシリーズも負けてない。

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    2024年09月18日
  • 今昔百鬼拾遺 月 【電子百鬼夜行】

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    『絡新婦の理』で事件に翻弄された美由紀と、京極堂の妹で雑誌記者の敦子が探偵役となる3篇。京極堂とその悪友(?)3人は登場しないけれど、百鬼夜行シリーズでお馴染みの面々が登場してきて、雰囲気は随分賑やかである。
    ある意味普通を地で行き、十代ならではの素直な感覚をいかんなく発揮する美由紀と、理性的であろうとすることが信条の敦子は、互いに足りないところを補い合える良いコンビだった。密会場所となるのが、駄菓子屋というのも楽しい。『天狗』に登場する(いつぞやかの榎木津に結婚式を滅茶苦茶にされた)美弥子も含めて、京極先生の描く女性というのはどことなく清々しいのは何故だろうか。3篇とも人死にが出ていて物騒極

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    2024年09月07日
  • 続巷説百物語

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    【2024年170冊目】
    投擲する狸、首を跳ねられても蘇る男、消えた花嫁、山の民と船幽霊、殺しに魅入られた死神、二人の天狗。仕掛けを施し、悪を滅する。巷説百物語シリーズ第二弾。

    一話からぐっときてしまいました。こんな泣かせるような話書いたっけ京極先生…私の涙腺が緩い?とか思ってたら、話がどんどんエグくなっていって、やっぱり一番怖いのは人間じゃねーか、と。むしろ、祟られてるとか取り憑かれてる方がまだいい、正気で狂気の人間の怖さ。

    一見、それぞれのお話が別物に見えたりしますが、連作短編集で少しずつ繋がっています。これ、最初は今作でお仕舞いにしようと思ったんじゃなかろうかこのシリーズ…と思わせる

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    2024年08月31日
  • 西巷説百物語

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    大阪が舞台の林蔵の活躍7編。前作を読んでから何年か経ってしまったが、前はもっとドロドロしていた様な…。邪な人間の本性が掘り起こされる過程が堪らなくジワジワくる。「御行奉為…」よ良いが「これで終いの金毘羅さんや…」も良い。知らないエピソードが出ると思ったら、ラスト近くで『前巷説…』を読み飛ばしていたのに気づいた。
    積読の山をかき分けて大捜索。見つかって良かった…

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    2024年08月27日
  • 遠巷説百物語

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    盛岡藩支藩の遠野保で起きる摩訶不思議な事件。
    シリーズ前作からだいぶ間を置いて読んだため、それと繋がりがある(と思われる)エピソードが上手いこと理解できなかったのが残念。もう一度読み返してみようか。

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    2024年08月15日
  • 遠巷説百物語

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    あー面白かった……
    正直、今までと趣が違うと聞いてたのでどうかなー?と思いつつ読んだものの。
    やはり面白い!の一言に尽きる。

    最後の話は終幕に向かっているのがヒシヒシと伝わってきて、震えた…。
    乙さん、そうだったのね!
    さて次はいよいよ了!

    ところで、
    物凄く幸運なことに地元で京極先生のトーク会があり本作のサイン本を手に入れられた、
    そんな思い出の1冊。
    遠野に纏わる話もすっごく面白かった思い出。

    小説もお話しも面白いなんて、ずるい!笑

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    2024年08月12日
  • 鉄鼠の檻(4)【電子百鬼夜行】

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    また関口氏が要らんことを…

    百鬼夜行再読4作品目。
    今作は仏教の禅のまた更に細分化された所まで行くのにそれらが合わさってって言う膨張と収縮を繰り返すような物語。
    ミステリー的にというか、「いや、無理だろ」って所があるにはあるけど、いつもの仏教講釈で煙に巻かれそれが難しいし楽しい。
    ラストも作者が後片付け苦労したんだろうなと思わせる運びで、腹から出た腸を引き摺りながら歩いてる感覚にはなるのがもどかしい。

    今回木場氏出なかったのね!

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    2024年07月30日
  • 虚実妖怪百物語 序/破/急

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    日本を滅ぼすには、妖怪を滅ぼせばいい?
    その目論見に、妖怪馬鹿たちが立ち上がるーーーのか??
    虚実が混じり合って、何が嘘で何が実やら…妖怪大好きな人にぜひ読んでほしい、京極節満載の物語。

    好きだなー、このお話。ところどころクスクス笑いながら、極太本を楽しく読み終えた。
    あの人が!あの人も!?(大好き小松和彦さんも!)
    で、あのキャラが!!
    と、実在のヒトたちがたくさん出演している。人気キャラクターも出てくる終盤は、まぁ笑った。
    読後は祭りの終わりの一抹の寂しさ…水木しげるさんが亡くなっている今だから、一層寂しく感じる。

    余裕や遊びがないと、生きるのは難しい。
    日本人が古くから、人生をど

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    2024年07月30日
  • 文庫版 書楼弔堂 炎昼

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    サブ主人公、もしかしてあの方かな? どうかな?
    当たったーっ
    というところと、『本の流し読み飛ばし読みは感心出来ない』という一文に、どきっとしてしまいました。
    おもしろかったけれども、あまり近代の文学とかに詳しくないので……もっと知っていたら楽しめたのかなと、そんな風にもおもった。

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    2024年07月22日
  • 文庫版 地獄の楽しみ方

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    京極氏の楽観?達観した思考回路が垣間見えるような本。講座でお話しした内容を口語体のまま本にしているのでうっっすい。京極氏の本だと思って探すと書店で探す時逆に苦労するくらい薄い。さらっと読めるし、至極当たり前な事を言っているのだけど、改めて言葉にされると自分の生き方や発言を改めて意識してみようと思った。

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    2024年07月22日
  • 巷説百物語

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    【2024年142冊目】
    御行奉為――ある雨の日に山小屋に居合わせた人々。足止めを食らった彼らが始めたのは、江戸で流行している百物語だった。ひとり、またひとりと語るに連れ、一人の男の様子がおかしくなっていく。ついに男は雨の中――。小豆洗いから始まり帷子辻で終わる7つの短編集。巷説百物語シリーズ第一弾。

    再読です。読み始めのあの感覚は、何も知らずに読んだ方がきっと面白いので、未読の方はあらすじも何も読まずに読んで欲しいなと思います。そ後は、多少の流れは理解した上で読むことになるわけですが、どの話も「はい、はい、最後はそうなりますね」とはならない仕掛けが施されており、毎話「んぐわぁー!そういうこ

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    2024年07月21日