あらすじ
「あなたは、何でも善くご存じですのね――」。その女は京極堂に向かって、赤い唇だけで笑った。憑き物を落とすべき陰陽師さえ、科学者・美馬坂幸四郎の抱いたあまりに禍々しい夢を前にして、自分の封印した過去に直面させられる。第49回日本推理作家協会賞受賞の超絶ミステリ完結。百鬼夜行シリーズ第2作。
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あとがきにも書かれていたが、京極さんのこの文献から得た知識の羅列が決して蘊蓄の見せびらかしではなく、ちゃんと物語に沿って必要なことを読者にわかりやすく無駄なく無理なく押し付けてくるのがこのシリーズの醍醐味だと思っている。
さて、中巻でもう解決じゃんって思っていたのは浅はかすぎてごめんなさいである。研究所の匣が”アレ”なんだろうなというのはこれまでに培ってきたSF映画や小説から想像できたが、その”動機”はもうこれでもかーっというくらいにガツンと来た。まさに魍魎!想像するだに恐ろしくエグイ。見てはいけない知ってはいけない。京極堂が最初に事件はすべて別物で、解決してはならないと言ったその意味を、この下巻で圧倒的な理屈で叩き込まれるかのように読みながらゾクゾクとした。シリーズを1,2,3と読んできた中でも最強最悪な事件ではなかろうか。匣に関して別事件でありながらそのすべてがつながっているというこの構成、そして圧巻なボリューム。すべてに満足するしかない。
事件後京極堂は相変わらず小難しい表情で小難しい文献を読んでいる。この文献があの”種明かし”としての引き出しとして蓄積されているのであろう。恐るべし!
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なんだ?コレ。
久しぶりに京極夏彦さんを読みました。
以前にも『魍魎の匣』、読んだはずですが、すっかり忘れていました。
何度か京極さんの作品を読んでいるうちに、何故こうもわかりづらいのか、わかってきたような気がします。
なにより、人物が多いのです。
関口、榎木津、鳥口、木場、そして京極堂。
コレらの人物が、それぞれ事件に関わりながら、探偵というか事件の解決を目指していくわけです。
ただ、解決を目指すというか、巻き込まれてしまったので、足掻く。
それぞれが、迷路のような出来事の中をあっちへこっちへ引きずられたり、行き止まって立ち往生する。
最後に、京極堂が、快刀乱麻に事件を断つというのが、流れかと思います。
今回の作品は、事件自体が複雑で、同時期に起きたもともとは関係のない事件がおり重なっています。
読みおわって、さて、こういう話だったヨとストーリーを伝えることができません。
こういう話を考えだす京極夏彦という人が、不思議です。
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圧倒される。
京極堂と美馬坂の論戦。
論争の中の当事者の陽子。
周りの登場人物も圧倒されている。
そして関くんは匣を開けようと。。。
すごい本を読んでしまった。。。
感想を書こうと思うが何を書いていいかわからない。
あえて言うとすれば、
「ほう」
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エンターテインメントだ!
やはり何と言っても痛快なのが京極が似非のあれにロジカルらしきもので攻める所か!
嘘八百でまくしたてるそれは私も額面通り信じるぐらいの説得力。反論する知識がそもそも無いとも言うが。
最後の一連の回収は悲しい…ただただ悲しい…
それぞれの信念で生きたら周りの環境が助長して結果そうなったっていう、動機は後付けに繋がる所か。
いやぁ…再読ではあったけど数年ぶりで全く覚えてなかったし楽しかったよ。
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下巻1冊分で解決編、全ての伏線が回収されて清々しかった。
こんなにも残酷でありながらこんなにも美しく魅了される、この人の小説自体が魍魎なのかも…?
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京極夏彦の名作ミステリー『魍魎の匣』、分冊文庫版の下巻。
「加奈子殺人未遂事件」、「加奈子失踪事件」、「連続バラバラ事件」―――同時進行で発生する不可解な事件たち。そして防ぐことの出来なかった新たな犠牲。「京極堂」こと中禅寺朗彦は、これ以上の犠牲者を出すことを阻止するため、事件の幕引きをするため、"魍魎"に惑わされた人々の心に憑いたモノをふるい落とすため、その腰を上げる―――。
ついに明かされるおぞましい事件の全貌。"魍魎"に惑わされた人々の、偶然の繋がりによって引き起こされた一連の事件。それは、「偶偶そう云う状況が訪れて」しまった悲劇―――前作に引き続き、素晴らしい作品であった。
(余談だが、2008年にInnocent Greyから発売された18禁ADVゲーム『殻ノ少女』、発売当時から本作『魍魎の匣』との類似性を指摘されていたのだが、予想以上にそのまんまだった。あまりにもそのまんまだったので、読みながら頭の中で映像化していると、全部『殻ノ少女』のキャラクターで再生されてしまっていた。)
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なんとも贅沢なほぼ一冊謎解き。作品が長いから謎解きもてんこ盛りだねぇ(╹◡╹)う、嘘だろ…そんな…!面白くて夜通し読んでしまった…。実は他の登場人物の言動や気持ちが同じだったり、同じ様で全然違うっていう対比がたくさんあった。これがな、すごい演出だなぁ…はあぁ(感嘆)これが何十年も前に書かれた作品なのもすごい。当時はそれはそれは衝撃的だったろう!とても面白かった!
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再読。私が百鬼夜行シリーズの中でも一番に好きな作品がこの「魍魎の匣」である。上・中・下と分冊されている本作だが上・下では複数の事件が絡みに絡みどう収拾するのかと最初に読んだ時は思っていたわけだがそれは下で見事に納まり全ての事件に幕が下ろされる、各々に傷を残しながら。その幕の下ろし方が私はとても好きでたまらない。この事件で最終的に幸せを掴んだ者は雨宮ただ一人だったのだろうが、彼のいった彼岸が私はとても気になって仕方がないがそれも魍魎のせいなのだろうか。
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これまでの伏線を怒涛のように回収していく最終巻。
理論武装でグイグイ追い込み突き詰めていく京極堂の「憑き物落し」は圧巻。ダークで妖しげ、奇抜でありながらもスタイリッシュな雰囲気。ぶっ飛んでる個性が際立つ登場人物、長大なのに飽きさせない構成力と力強さ。京極夏彦にしか描けない世界観なのだろう。
疲れるし難しい、しかしそれ以上に面白い、読む手が止まらない。
ミステリーとしてはもちろんだがエンタメ小説としても超一級品。
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京極夏彦による百鬼夜行シリーズ第2弾3冊目にして最終巻。
いよいよ全ての謎が明らかになる。時折挟まれる不気味なモノローグの真の意味、それぞれの事件のつながりとその真相、物語に配置された登場人物の一人一人に至るまできちんと意味を持たせ、最後まで丹念に紡ぎ上げられていく。この完成度の高さはどうだ。
猟奇的な事件を猟奇的なままで終わらせないところもさすがである。一見あり得ないと思えることも科学や医学の進歩によって有り得るのだということを再認識させられる。
ボリュームはかなりのものだが、それを忘れるくらい没入できる。
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面白かったー。上中下巻合わせて3日で読んでしまった。長いのに全く無駄がない上、ページを捲る手が止められない。この作品は前作を読んでから数年もの間放置していたけど、今すぐにでも次の話が読みたい!・・・なのに本屋さん行ったら、分冊版は上巻だけなかった。悔しい!!!
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木場は悠寛と思い出している。
昔見た映画を思い出し、京極との約束を破った事に思いを馳せる木場から始まる最終巻。
今回は随所に怒っている京極さんが出てきますが……それにしても分かりづらいですね。憑物落としのやり方がいつもと違って苛めているように思うとか、流石付き合いが長いだけありますね、関口君。それだけ分かっているのに、打ち合わせなしで呼吸の合う京極・榎木津コンビのようになれず「知人」と呼ばれてしまう辺り、彼の立ち位置が窺えます。
でも、京極は鳥口君には関わりたくないかと確認しているのに関口君には頼みがあると一言でお願いしている辺り……。
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何と下巻は全て解決編。
これまでの色々な事件が順を追って解決していくのは見事であるが、余白も多く自力での推理は難しそう。ややご都合主義な気がしなくもないが、説得力を持たせる文章力がある。
解説でも指摘されているが、本格ミステリ作家ではないため推理や謎解きがメインではない。むしろ陰陽師でもある京極堂による憑物落としが主軸。
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魍魎の箱すぎたー!!
さすが下巻、全部ネタばらししてくれルノでら大変楽しかったです。
これから怪しい箱が出てきたらしばらくは一旦魍魎の箱を浮かべそう。中に臓器や四肢が入ってないかとドキドキしてしまうね。
京極堂が探偵ではなく陰陽師の立場で謎解きするのも良いし、大好きな加奈子(箱に入って干からびている)と旅する雨宮で終わるところも秀逸。
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・江戸川乱歩「押絵と旅する男」っぽい印象から、こんなに遠くまで連れてきてもらって、また押絵に戻してもらって、凄い旅だった。
・前半の百合描写にときめいたからこそ、後半、……。
・人形愛者ピグマリオニストとしては、正直たまらん……。みっしりと……。
・冴えない中年としても、たまらん読後感……。
・宗教家・霊能者・超能力者・占い師の境界、そしてペテン師の定義。ご講義拝聴賛嘆いたしました。
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長い。長いし京極堂演説は難解だが、うぶめの夏で「ここは後々大事❗️」ということを学習していたので頑張って読んだ。それでも読み続けられるのはやはり面白いからである。上中下の分冊で読んだが、下は全て伏線回収と真相解明。ページを捲る手が止まらなかった。
ストーリーは勿論のこと、個性豊かな登場人物が場面場面を盛り上げてくれる。
榎木津がとても好き。御亀様と、猿と鳥が説明するでしょう、の台詞は笑った。
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読み物として秀逸。これぞエンターテイメント!ページを捲る手が止まらなかったのは久しぶり。京極夏彦を推理作家たらしめた百鬼夜行シリーズの、何故か2作目から手をつけてしまったわけだが、特に問題なく楽しめた。題材の印象が先行してしまっているのか、もしくは膨大なページ数のせいか、難解なイメージを持つ京極夏彦作品だが、「死ねばいいのに」「虚言少年」等と同じく読みやすく馴染みやすい文章。京極堂の演説は小難しくもあるけど、一般的にも許容範囲内だと思う。
ミステリーとしては規格外。人が死んで謎解きがあるのだから大枠はミステリーだとしても、犯罪を追及する論理が非論理的(なにしろ魍魎だし、、、)。その一方で、追い詰める探偵役は冷徹なほどに現実的、理知的、論理的な人間(陰陽師とかいう胡散臭い奴であるにも関わらず)であるという混沌を内包しつつも、破綻することなく一個の読み物として昇華されている。これを可能にするのが、時に冗長にも感じられる京極堂の演説であり、各登場人物の細かい心理描写なのだろう。特に京極堂の演説は、ただの知識のひけらかしでは?作者の主張詰め込んだだけでは?と思うくらい尺取るしクドいんだけど、最後まで読んでしまえば、「論理」と「非論理」の同居を違和感なく受け入れられる状態に読者を引き上げるためには必要な過程であることが分かる。これぞ京極夏彦作品!なのだろうなと思った。
突っ込みたいことは色々ある。関口の理解力のなさウザイなとか(読者視点の案内役なんでしょうがないけど曲がりなりにも文筆家、、、)、木場の行動を彼の歪んだ恋愛観に結びつけるのはちょっとこじつけっぽくない?とか、皆めっちゃ容易く他人の深淵から"あっち側"に引きずられるやん、そもそも京極堂はどういう立ち位置で関係者集めて演説ぶってんの?とか、加菜子ただのめちゃくちゃ薄幸の美少女だったなもっとキャラクター大事にしてあげて、、、結末もある程度予見できて意外性もないし、、、等々頭の片隅で私の冷静な部分が色々言ってたけど、まあエンターテイメントだしな!で解決。全体通して面白かったから良し。
それよりも京極堂の演説内容が個人的に興味深かった。
・宗教者、霊能者、占い師、超能力の違いの考え方
・釈尊は占いを禁じている
・神道は元来民族宗教である
・オカルトの本来の意味と、その間口の広さ
・福来博士の実験と当時の世相
・節分の由来
・魍魎は鬼より古い
ざっと挙げただけでもこれだけ。これらを読者に理解させる文章力と物語に過不足なく組み込む構成力、豊富な知識量には舌を巻く。純粋に知識として面白いから是非参考文献を読んでみたいです。
小説は作者の主義主張を反映しやすいものではあるが、そこに作者の技術や思惑がある以上直接的な意見とは言い難い、という件が本作にあるが、「犯罪は、社会条件と環境条件と、通り物みたいな狂おしい瞬間の心の振幅で成立する」という京極堂の主張はそのまま作者の主張なのではないかと漠然と思う。この意見に懐疑的であった関口が終盤、見事に"通り物"に憑かれそうになる展開は、犯罪者と関口=我々一般読者に線引きなどなく、条件さえ整えば誰でも犯罪に手を染め得るのだという実感を与える仕掛けなのだろう。こんなにページ数も多くて大きな"匣"なのに、中身もみっしり詰められ隅々まで緻密に練り上げられている、とても楽しい読み物でした。今度はちゃんと順番に読む。
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まさかの上中下一気読みした。「小説というよりは、むしろ鈍器」と言わしめた分厚い単行本が流行した意味が分かった。上中下分冊だと、手軽に戻れないのでお勧めしない。下巻においては、謎解きが全て解明されたあとのスッキリ感と、ワルモノが居ない清涼感、あとテンポよいプロットが、結局、魍魎のせいだと思わせてくれる。
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時代設定が戦後すぐなので、そのレトロ感が物語に独特の雰囲気をリアルにも作り物にも良い意味で魅せているお話でした。
銀幕のスター女優が実父との子をもうけていたり、その理由が実母への嫌悪感からだったりとか、冷静そうな女性の心のなかがかなり熱かったりだとか、登場人物たちが魅力的なのもあるかな…。
京極堂をはじめ、メインキャラクターたちのキャラもきちんと立っているし…。
これはクセになるかもね(笑)
戦時中に「死なない人間」を作るための研究をしてきたサイエンティストとか、人生いろいろって感じでした。
みんなそれぞれの人生をつきつめると、最後は悲劇になっちゃうのかなぁ?
でも、他人から見たら悲劇でも、本人は案外満足してたりもするんじゃないかなぁ?
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先が気になって一気読み。
取り立ててものすごいトリックがあるというのではないけれど、読後にズンと重いモノを残してくれました。
そういえば京極堂は陰陽師だったのだなぁと後カバーのあらすじを見て思いました(笑)。理詰めで相手をぐいぐい追い込んでいくところは読んでいて面白かったです。
それから娘にどんな形でも生きていて欲しいという親心はどうしようも切ないものです。
魍魎の匣は見てはいけなかったものでした。
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下巻はほとんどが解決編だった。
面白くて一気読みだったが、かなりエグい話であった。映像では絶対に見たくない。
ありえない話だけど、匣の中で生きてる人というのがありえる話の気がしてきてしまう。
美馬坂と娘の関係や、雨宮の加奈子への愛情あたりがキツイ。
京極堂がどの辺で真相に気付いたのか分からなかったのでもう一回読んでみる。
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面白くて一気に読んでしまったが、
ずっと隠されてきた“謎”がヘビーすぎて気分が悪くなってしまった…。
いろいろグロテスクなのにも参った。
しかし、心にハンパじゃないダメージを受けつつも読むことがやめられない。
おもしろい。
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十年ぶりぐらいで読みました。さすがに以前の時のように一気に読んでのドキドキってのはなくなりました。文庫本ですから「めくりづらい」「手が重たい」ってねは無くなりました。仕事カバンにも収まり易い。
しかし、解ってるんです。あのぶっとさも京極堂の魅力の内だということも。憑き物がおちました。
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中巻で描かれた結末から一転!
いつの間にか筋がひっくり返ってました。
二転三転させるお話ですね。
匣の娘を見てみたかったなぁ。
特に今回は幽霊感はほとんどなかったかな。
あまり後味がすっきりしないけど
面白い話であることに違いはないですね
Posted by ブクログ
やっと読破。
読み終わるのにものすごく時間がかかったので、
若干「これはなんだっけかな」と忘れていたこともあったり…(笑)
色々な「謎」が一気に解明されて、
おお!そういうことだったのか!
とすっきり。
ものすごく複雑に絡み合ってた糸が、
ほどけていく様はなかなか読み応えがありました。
なんだか私も京極堂さんに論破された気分です。
言い回しや定義が独特で面白いです。