京極夏彦のレビュー一覧
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京極さんの作品は、面白いんだけど作中に差し挟まれる妖怪蘊蓄が兎に角長いので、そこんところに興味が薄い私のような者には所々読み難い、と常々思っておりましたが、この本に収められている三作品には、いつも長々と妖怪の蘊蓄を語る京極堂さんは出て来ず、妹の敦子さんと女学生の美由紀さんが主役。妖怪(今回は鬼、河童、天狗)の蘊蓄は、女子トークのなかに盛り込まれていることが多く、その辺、かなり読みやすかったです。
『天狗』は特に秀逸。
ミステリーとしてももちろんですが、過去に榎木津探偵とも関わりのあった真のお嬢様、美弥子様の発言がとても痛快でよかったです。
LGBT(だけに限らずですが)に対する偏見もテーマになっており、もしや?と思って初出の年月を見ると、例の杉田議員の「LGBT生産性発言」と時期が重なるので、それに対する意見も織り交ぜてあるのかな?と感じました。
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Posted by ブクログ
原作は分厚くて大変だったなあ・・・。と思い出しながら読む。
原作はかなり以前に読んだので記憶が剥げかけているけど、「うへえ」とか「みつしりと」はまだ出てこないんだな。
1巻は事件の概要が徐々に明らかになっていくので、派手なシーンはあまりないものの、話自体が面白い。
例えば日本古来の鬼や幽霊と、量子力学の”観測によって初めて事象が確定する”みたいな話(所謂シュレディンガーの猫)とが絡むあたりは「ほう」となる。しかもそれが前半の茶飲み話なんだから舌を巻く。
また漫画版の作画さんもさる者。
まずもって、大体がキャラクターが座って話しているだけのシーンばかりなのに緊張感や抑揚が伝わってくる描写はさすがの一言。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初に3話3冊の文庫で出版された時点では、まだ本編を全部読めてなかったこともあって、買いそびれていた。
図らずも合本、しかも講談社文庫で出てくれたのは単純に嬉しい。
やっぱり京極堂シリーズは講談社文庫がしっくりくる。
本編好きなので、スピンオフは(大抵中禅寺も榎木津も出てこないので)いつもちょっと物足りなく感じてしまうのだけど、本作品は予想より面白かった。
やっぱり中禅寺も榎木津も出てこなかったけど。特に主人公気質の榎木津は主役の座を奪っちゃうから、出せないのは分かる。
その代わり、準レギュラー(青木とか益田とか鳥口とか)は惜しみなく登場してきて、中禅寺、榎木津の気配を常に感じることができたのは良かった。
で、噂では、敦子と美由紀のバディモノで敦子が真相に辿り着くけど自分が分かった時点で気が済んで解決しようとしないので美由紀が困る、みたいに聞いていたけど、実際はちょっと違って、敦子は持ち前の誠実さで事件に真摯に向き合ってた。
敦子、理詰めなところが中禅寺に似てる。
それにしても、3話3冊を並べてもこの厚さにはならない。京極夏彦、さすがに加筆し過ぎだと思う(笑)。
(比較してないけど)
ちょっと堂々巡りみたいな会話シーンが目立った。
・鬼…美由紀と敦子の初顔合わせにして、無差別辻斬りの話。鬼の刀に斬られる家系の血塗られた過去と、土方歳三の話の絡ませ方が、上手い。
十二階の歴史も興味深い。
妖刀に取り憑かれた、みたいな感じだけど、まず刀ありきで人間の狂気が表出してしまうのは、『邪魅の雫』の原理に近い。
賀川刑事はまたどこかで会えそう。
榎木津は日光で『鵺の碑』で触れられるべき事件に巻き込まれ中な様子。
・河童…冒頭の、河童で盛り上がる女学生同士の会話が面白い。
京極堂シリーズの登場人物の中で唯一積極的に嫌いな多々良が出てきて、萎えた(笑)。
事件はかなりややこしくて、京極堂シリーズぽい。「高貴な」人の持ち物だった宝石をめぐる話。こういう、史実を取り入れた事件の構築は、京極夏彦のオハコですね。
・天狗…篠村美弥子にまた逢えるとは思っていなかった。キップのイイお嬢様だったから、京極夏彦は好きそう。
友人が高尾山で行方不明になり、解決を依頼しに薔薇十字探偵社を訪ねた美弥子に美由紀は気に入られ、事件の解明に巻き込まれてゆく。
『邪魅の雫』で私の中の青木評価がだだ上がりなので、青木が出てきただけで楽しく読んだ。
青木の敦子に対する感情がお子様な美由紀にまでバレバレで、笑ってしまった。隠せや。
事件の真相は、本当にヒドイとしか言いようがない。
あなたは海軍だけど自分は歩兵、みたいな兵役経験が男性社会の共通の話題として成立してる悲しい時代に、男尊女卑的な考え方は余裕で大勢を占めてたと思うけど、一方で令和の世でもまだ完全に行き渡ったとは言えない超リベラルな平等主義を、昭和29年の女性が堂々と発言することの意外性というか、令和の世に生きる自分が読んでも感銘を受けちゃったりして、この物語世界のそういうところがすごく好き(語彙力)。自分は同性愛にはそんなに抵抗ないけど、この時代から65年経ってもやっぱりまだカミングアウトするには勇気がいる現状を知ってると、明るい未来に期待する美弥子の発言に謝りたくなる。
旧態然とした老害に、通じそうな言葉を選んで冷静に語りかける敦子は、やっぱり中禅寺の妹である。
榎木津は河口湖に出かけている。このあたりまで京極夏彦の脳内にプロットが出来上がってるのか(期待)。
これで物語世界が昭和29年の秋まで進んでしまった。
「ゴジラ」の封切りもすぐそこだ(笑)。
個人的には、やっぱり時間軸は本編に先導してもらいたい。
しかし、京極堂シリーズが講談社ノベルズ/文庫に戻ってきて、きっと大幅に加筆した京極夏彦の意識下にも物語世界が戻ってきて、『鵺の碑』の刊行もいよいよ現実味を帯びてきたのではないか。
めちゃ期待してるんだけど。
歴史的瞬間(大袈裟)に立ち会えますように! -
Posted by ブクログ
ネタバレ一気に読める幸せ。このお盆休みに読めて良かったです。
しかし、3巻と4巻は分ける必要があったのでしょうか。
併せても1巻や2巻の厚さと変わらない気がするのですが(笑)。
さて、犯人と動機ですが、犯人については意外性はなかったですが、動機については予想外でした。でも最初にヒントは出ていたのかもしれません。
《成長しない迷子》は、辻褄の合わないこともありますが、まぁそういう不思議なこともあるということで納得しました。
榎木津は天才ですね。彼には見えるのでしょう。
彼が登場すると場が明るくなって救われるような気がします。
読んでいて楽しいですし。
そして山下警部補にとっても人生観が変わるほどの事件になりました。彼が今後登場するのかどうか分かりませんが変わることが出来るって素晴らしいです。
一方、山下警部補を一括した貫主といえば ——。
どっぷりと雪の明慧寺の世界につかることが出来ました。
面白かったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレまた僧が殺されてしまいました。
明慧寺の謎は最古参の泰全老師の話によって一部明らかになりましたが、そもそもの明慧寺の由来等についてはまだ分かっていません。この後明らかになるのかしら…。
山下警部補はもはや道化師です。
明慧寺の貫主に一喝される場面は痛快でしたが、彼はこんな役回りで終わるのでしょうね、多分。
そして1巻からの飯窪のおかしな言動の理由も分かりました。彼女も事情を抱えていたのですね。その事情もこの事件に関わってくるのでしょうか。
〖 京極堂の仏頂面を目にして、これ程の安心感が得られるとは——正直私は思ってもいなかった。 〗
関口が言うように、私も愈々これから解決へ…と期待を持ったのですが、まだその時ではないようです。
ですが、次は自分が殺されるのではと思い込んでいる常信の“憑き物落とし”を渋々ながらやってくれました。
仏教もそうですが、禅についても詳しくないので、この長い話は大変参考になります。
続きが楽しみです。