京極夏彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「東海道四谷怪談」をモチーフにした小説で、病んで顔貌が崩れてしまった岩と、そこに婿入りした伊右衛門との物語です。
時代小説はどうも苦手で、入っていくまでに少し時間がかかったものの、途中ですっと物語に入り込むことができて、それからはもうあっという間でした。鳥肌が立つくらい面白くて、こんなに夢中になった本はいつぶりだろう…と。
京極さんの本はあまり読んだことがないのですが、独特の文体に美しさを感じました。セリフは括弧書き、などというルールは取っ払った言い回し。わかりにくい、と感じる部分もありましたが、それでもなお伝わってくるものの方が大きくて、圧倒されました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレらじの予想どおり、朱美さんはホンモノの朱美さんじゃなかったけど、お隣の奥さんが本物の朱美さんだったのはビックリした。
戦後の混乱期に南朝の血を引く自分が正当な天皇だって言いだした人はいたみたいだけど、そういった立場の人が密教立川流の本尊をつくるべく怪しい儀式を男女で繰り広げていたとか、まぁおどろおどろしくて、でもあり得そうで、なんだか生々しかったよ。
平安時代からこれ、それなりの地位にあるお家の人は恋愛感情ナシで奥さんをもらったり嫁に行ったりが普通だったし、そうなると男女の儀式も「儀式」として受け入れるのに異を唱えない育ち方をした人もそれなりにいるんだろうね。
まぁ、それを現代に持ち込むといろいろあるわけで、でも、一夫一婦制でそれを長く続けるのが良しとする思想は案外近代的なものだし、それこそ神世の時代に近づけば近づくほど、男女の関係はサバっとしていて、いわゆる夜に行われるお祭りなんて男女が睦みあうためのものだったりとか、本来日本人は性におおらかな民族だったとも言われているわけで…。
……脱線しちゃった。
けっこう下巻はドロっとしていて良かったです。
まぁ、心が弱そうに見える人ほど案外簡単に人を殺すし、首も切っちゃうのかねぇ…。 -
Posted by ブクログ
時代設定が戦後すぐなので、そのレトロ感が物語に独特の雰囲気をリアルにも作り物にも良い意味で魅せているお話でした。
銀幕のスター女優が実父との子をもうけていたり、その理由が実母への嫌悪感からだったりとか、冷静そうな女性の心のなかがかなり熱かったりだとか、登場人物たちが魅力的なのもあるかな…。
京極堂をはじめ、メインキャラクターたちのキャラもきちんと立っているし…。
これはクセになるかもね(笑)
戦時中に「死なない人間」を作るための研究をしてきたサイエンティストとか、人生いろいろって感じでした。
みんなそれぞれの人生をつきつめると、最後は悲劇になっちゃうのかなぁ?
でも、他人から見たら悲劇でも、本人は案外満足してたりもするんじゃないかなぁ?