【感想・ネタバレ】狂骨の夢(3)【電子百鬼夜行】のレビュー

あらすじ

謎の寺院、聖宝院文殊寺に乗り込んだ京極堂。白丘、降旗、そして朱美……照魔鏡をかかげるがごとく記憶の深淵が明らかにされたとき、歴史の底に凝っていた妄執が、数百年の時空を超えて昭和の御代に甦る。いくつもの惨劇を引き起こした邪念は果たして祓い落とせるのか。百鬼夜行シリーズ第3作、ついにクライマックス。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

京極夏彦の和風ミステリー『狂骨の夢』、分冊文庫版の下巻。

「金色髑髏事件」、「二子山集団自殺事件」、「小説家・宇田川殺害事件」―――逗子近辺で発生した奇妙な事件。牧師・白丘、元精神神経科医・降旗、そして"朱美"を苛む悪夢。「髑髏」に願いを託そうとした者どもの思惑が明らかとなった時、全ての事柄が繋がりを持ち、おぞましくもむなしい真相が明らかとなる―――。

前作、前々作に続いて、これまた凄い作品であった。真相が語られ始めて、いきなり日本神話とか"神の骨"とか出てきて、「これどう収拾つけるつもりなんだ」と思いながら読み進めていたら、すごいすごいどんどん収斂されいくわ!もはや読者が推理できるレベルを超えているし、これら全ての真相を解き明かす京極堂が文字通り超人化しているんだけど、その読者を圧倒する筆致にもう「それがいいんだよ!」ってなってしまう!こんな物語を書き上げてしまう京極御大、マジぱないっす!

0
2023年11月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

真言立川流エロス!
こんなこと云っちゃいけないのだろう矢張り。
世界一男女平等な宗教だと云わなければならないのだろう。

話の拡散から、原因の特定、話の収縮。
原因がザッピングしているせいか話は所々飛ぶが、話が収縮する様は引き込まれる。

事件の始まりである髑髏の悪夢
<朱美<殺人する悪夢<蘇る他人の記憶
<降旗<強迫神経症<精神科医
<白丘<汚れた神主・髑髏を抱えた坊主<プロテスタント
+謎の復員服・一条家の夫婦・朱美の昔の奉公先・朱美の死んだ前夫・朱美の現夫・謎の御坊・謎の神主

<<<京極グループ 憑物落としへ

>朱美1>奉公先の秘密>武御名方>髑髏本尊
>朱美2>奉公先の秘密>真言立川流>髑髏本尊
>降旗>悪夢>ユング>淫祠邪教>真言立川流>髑髏本尊
>白丘>魂の復活>汚れた神主>武御名方>髑髏本尊

簡単に書き出してみただけでも、複雑すぎる人間関係。
ひとつひとつ読み解いていく作業が心地よい。

上巻での荒魂の神格化まで絡んでくるとは思わなかったけれど、面白いのひと言だ。

0
2014年06月01日

Posted by ブクログ

人間関係が複雑に絡み合っていたが深い家族愛が裏目に出てしまっていて可哀想な話だった。
全ての伏せんがキレイに拾われていて素晴らしいとおもう。

0
2013年11月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「お前なんか大っ嫌いだッ!」
 伊佐間の予想は外れた。
 朱美は伊佐間の方を見て、笑った。
 髑髏は波に攫われて見えなくなってしまった。

関口巽が海鳴りを聞いて不安を掻き立てられる海岸から始まり、伊佐間と朱美が髑髏を見送る海岸で終わる最終巻。ただ働きの文句をいう京極堂がとてもお茶目です。

0
2012年11月23日

Posted by ブクログ

京極堂シリーズは『魍魎の匣』が好きで好きで堪らなくて何度も読んでいましたが、
そのせいかこの『狂骨の夢』は学生時代に一度読んだだけだったんです。
けれど読み返したら面白いことなんの。
さすがに上中下巻のため4日間もかかってしまいましたが、特に下巻は一瞬でした。
以下抜粋。


「だから夫は、きっと約束が守れなかったことを気にしていたのです。そんな酷い目に遭っている間もずっと、私のことを気に懸けていてくれたんでしょう。だから」
待たせたな、朱美。
「でも私は――そんな夫の声が聞き分けられなかった」


推理を楽しむというより、絡まりあった伏線と事件を解いていくことを楽しむ小説。
伸義と父親、幼い頃に別れた民江とその兄、朱美の親切、
そして「聞き分けられなかった」朱美の耳。
たくさんの要素が絡まりあって宇多川朱美が壊されて壊れていく過程の謎解きは見事。
あと、いさま屋ののっそりした雰囲気が結構心地良くて好きでした。

0
2009年12月28日

Posted by ブクログ

■内容(「BOOK」データベースより)
「実に、見事な左道であった」。謎の寺院、聖宝院文殊寺に乗り込んだ京極堂。白丘、降旗、そして朱美…、照魔鏡をかかげるがごとく記憶の深淵が明らかにされたとき、歴史の底に凝っていた妄執が、数百年の時空を超えて昭和の御代に甦る。いくつもの惨劇を引き起こした邪念は果たして祓い落とせるのか。

■感想
取り扱っているものがものなだけに、全体的に白昼夢のような雰囲気が漂う。
そういえば姑獲鳥の夏、魍魎の匣と映像化したけれど、狂骨の夢もするんだろうか?
これは映像化できないトリックがあると思うんだけれどなあ。

狂骨の存在をしらなくて、調べてみたんだけれど、これは本当に骨なんだなぁと。
以下wikiより転載。

井戸などに捨てられて白骨化した死体が、その強い怨念により死霊化したもの。その姿は白髪をした骸骨の幽霊そのものである。

幽霊になってまで骨。ううん、深い。

狂骨に限らず、京極の何がよいかというと、薀蓄が無駄じゃないところ。これこれこういう薀蓄が前提としてあって、そしてその後が展開する。それがいいんだな。

京極を発端(じゃないかもだけど)に、薀蓄を垂れ流す本が本当に増えたなあ。ラノベは特に薀蓄は本当に薀蓄だけで、そのあとに続かないので非常に退屈。ただ薀蓄が読みたいだけだったら、小説じゃなくて百科事典かwikiを見るよーと思います(百科事典もwikiも大好き)。
京極はそれをかなえてくれるから非常に嬉しい。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

下巻です。今までの謎が解かれて納得というか深いなぁ、って感じです。途中混乱してしまった部分もありましたが、面白かったです。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

何年ぶりの再読か忘れたし、そもそもいつもの様に何も覚えてなかったので純粋に楽しんだ。

なかなか入りが辛くて物語が始まらないなともどかしかったり、人間の相関はあれがああなんでしょ?ってのはある程度示してくれてるものの中身が分かる訳もなく3つだの4つだのの事件が起こる。

前作もだったけど、今回も風呂敷バサーっと広げてる。

それが下巻で急に回収してくる。
自分の中で即身仏は孔雀王のあれを重ねながら読んでたから変な感じにはなったけど。

取りこぼしなのか私が見落としてるのか、回収されないものもある気がするし、後味がそんなに良い物ではないけど楽しい時間だった

0
2024年07月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

シリーズ3作目。
逗子の海岸での出会いが、抒情的。にしてもちろん怪奇。
前作でちょろっと出てきた伊佐間一成が、またとぼけた雰囲気で好ましい。
さらに焦点となる宇多川朱美の、キップのいい口調がさらに好ましい。
そしてキリスト教会の、降旗弘および白丘亮一の屈託。
フロイトへの拘泥は自分にとっても他人事ではなく、息が詰まるようだった。
そのうえ密教やら髑髏やら……むしろある程度知識を得た中年になって読んでよかった。
ボルヘス「円環の廃墟」や、折口信夫「死者の書」の、"受肉叶ったパターン"を知っているからこそ、後半のおぞましさを逆から想像することができた。
京極堂が降旗へ投げた言葉は、今後も思い出していきたい。

0
2024年04月17日

Posted by ブクログ

再読。当時読んだ時は武御名方だとか後醍醐の末裔だとかフロイトだとかのガジェットが難しく感じられてそこまで没入することができなかった。再読した今でもそういう難しい部分を全部理解できたとは思えないけれど、それでも昔より何かは分かったような気がする。

0
2020年06月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かったです。首無し死人が復活するだの、それを三度殺しただの、それをどのように決着するのか楽しみにして読みました。なるほど~と納得させられてしまうのは、京極堂の弁舌にしてやられているのかもしれません。長さも苦にならないほど、どっぷりと楽しませていただきました。

0
2018年01月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

らじの予想どおり、朱美さんはホンモノの朱美さんじゃなかったけど、お隣の奥さんが本物の朱美さんだったのはビックリした。

戦後の混乱期に南朝の血を引く自分が正当な天皇だって言いだした人はいたみたいだけど、そういった立場の人が密教立川流の本尊をつくるべく怪しい儀式を男女で繰り広げていたとか、まぁおどろおどろしくて、でもあり得そうで、なんだか生々しかったよ。

平安時代からこれ、それなりの地位にあるお家の人は恋愛感情ナシで奥さんをもらったり嫁に行ったりが普通だったし、そうなると男女の儀式も「儀式」として受け入れるのに異を唱えない育ち方をした人もそれなりにいるんだろうね。

まぁ、それを現代に持ち込むといろいろあるわけで、でも、一夫一婦制でそれを長く続けるのが良しとする思想は案外近代的なものだし、それこそ神世の時代に近づけば近づくほど、男女の関係はサバっとしていて、いわゆる夜に行われるお祭りなんて男女が睦みあうためのものだったりとか、本来日本人は性におおらかな民族だったとも言われているわけで…。

……脱線しちゃった。
けっこう下巻はドロっとしていて良かったです。
まぁ、心が弱そうに見える人ほど案外簡単に人を殺すし、首も切っちゃうのかねぇ…。

0
2018年01月15日

Posted by ブクログ

『どすこい』に続き、京極作品四作目。いや〜面白かった!だいぶ久々の京極さんだったけれど、あっという間に読み終えてしまった…。いろんな事件が一つに収束していく様は圧巻!その背景も凄まじくゾクゾクした。フロイトやユングの夢診断、精神分析。猶太教、基督教、仏教。髑髏本尊の作り方にはホントびっくりした!?悍ましいこと、悍ましいこと・・。こんな話を創る作者の頭の中はどうなってんだ、ホント。

0
2017年11月07日

Posted by ブクログ

10年くらい?空けての再読。

逗子の海岸、フロイト、頭蓋骨、いくつかのキーワードは記憶していたが
展開はすっかり忘却の彼方。

そうだこの本を読んでフロイトとユングに興味を持ったんだ。

初めて読んだ時は、フロイトの件が難し過ぎて、
さっぱり頭に入ってこない。文字を目で追いかけていただけに
なってしまっていたが、自分も読書を進めるうちに若干の理解力が
増したのか?今回は情景、感情を頭の中に思い描きながら
読書を進めていくことができた。

京極夏彦先生の京極堂シリーズは、その厚さもさることながら、
内容の重厚感も凄い。
いつも単純な展開では終わらず、これもか!またここもか!
そうくるのか!と唸ってしまう。

京極堂シリーズの中では、この作品はあまり好きではなかったような
記憶があるが、再読してみると気づきがたくさんあって面白かった。

もっと榎木津が活躍してくれると、ゲラゲラ笑えるほどに面白いのだが(^-^;
この本はこの本でとても良かった(*^-^*) 満足!

0
2017年06月03日

Posted by ブクログ

 周囲の評価がイマイチだったので期待せず読んだのですが、思ったよりも楽しませて頂きました。あれだけの量の事件や伏線がちゃんとまとまっていましたし、夢判断などもうまく取り入れてあって良かったです。京極堂の話は相変わらずですが、そろそろ「ここなら読み飛ばしても問題ない」という箇所が、読みながら分かるようになってきましたね(笑)

0
2009年12月22日

Posted by ブクログ

解決編。
色々なことが絡まり合って複雑に見えていたけれど、
箱を開けてみれば、なるほどねぇ、って感想。


しかし、その箱を開けるまでの過程・背景・絡繰りがすごかったー。
相変わらず怒涛の言葉攻めで解決していく様は、読みごたえは十分。
しかししかし、途中で「???」とついていけなくなる箇所が少し(笑)
難しいところです。


若干、もしかしてそうかなぁ?
と思っていた箇所もありつつも、想像を上回る犯人像でした。
さすがです。

0
2012年11月09日

Posted by ブクログ

上巻では生きてた人がいつのまにか死んでる・・・!と思ってたら、間に中巻があるんだった。びっくりした。

0
2012年01月18日

Posted by ブクログ

なんだろう、登場人物の憑き物はみんな京極堂に落としてもらったってのに、自分だけちゃんと落とし切ってもらってないような妙な物足りなさ感。でも、「のどに小骨が刺さったみたいな」不快感は解消した。よかった、そのモヤモヤが私の記憶力の悪さに起因するものでなくて、ちゃんと理由があってのことだったと分かったことで安心もしました。

0
2009年10月04日

「小説」ランキング