京極夏彦のレビュー一覧
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ネタバレ期待通り楽しく読むことができた。
今までの作品と比べると、舞台となった日光の歴史についての言及が多く、トラベルミステリー的な要素が強かったように感じた。本作初登場の緑川佳乃は、病理学者として地方大学の医学部で助手をしていて、中禅寺や榎木津、関口と幼馴染でもある。小柄だが非常に聡明なキャラクターで、今後の作品で活躍しそうな予感を抱いた。
毎度の事ではあるが、京極堂の説教は心に沁みる。しかし、本作の京極堂の説教は他作品とは違う印象を受けた。以下、少しだけ触れておく。
「違うんだよ緑川君。...。化け物とは、異った文化習俗を持つ他集団との間に生まれる恐怖、軋轢や齟齬そのものなんだ」
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ネタバレ女性が殺害され、周囲の人間に被害者の人柄について嗅ぎ回るケンヤ。“知り合い”としか名乗らず最後の章まで正体は明かされなかった。ただ被害者の周囲の人間に被害者について尋ねるも、自らの現状や生い立ちについて語り出し、しまいには生きることが辛いという結論に各々至る。それに対し、ケンヤは「なら死ねばいいのに」と言葉を浴びせる。
結果的に女性を殺した犯人であるのはケンヤだが、肉体関係を持っていた上司や度を超えた誹謗中傷をしていた隣人など、被害者を自らの欠点のかき消しのために利用していたりと、人間の暗い部分が浮き彫りになっていた。やはり人間関係では皆相手のことを見ているようで、自分が最優先なのだと、また善 -
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貧乏長屋で起こる出来事の謎。困惑する差配の藤介を前に、
解き明かすのは、引きこもりの若き本草学者・久瀬棠庵。
「虫のせいですね」江戸の長屋を舞台にした連作奇譚ミステリー。
馬癇・・・祖父を殺したと孫娘は言った。
しかし棠庵は殺しではないと言う。
気積・・・長屋のおきんは己之助に虫が付いたと言った。
己之助は飯を食べられなくなって、塩を撒けと言う。
脾臓虫・・・同じ在所の娘が首を吊ったと幸助は言った。
彼女の勤める料亭で食事をした4人の死は虫?と伍平は言う。
蟯虫・・・金兵衛長屋での庚申講は虫のせいかと金兵衛は言った。
その講の人々の前で根岸は凶の対処法の咒を言う。
鬼胎・・ -
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江戸時代で、貧乏長屋の面々と差配さんとの掛け合いとくれば、落語ですね。京極作品らしい蘊蓄もでてきますが、妖怪ではなく虫ですから、いつもよりいろんなことがシンプルです。起きている出来事も剣呑ではありますが、人の浅はかさ特に欲がらみとなると、落語の定番ともいえましょう。
落語だと物知りはご隠居などのご老人が多いですが、本作では久瀬棠庵なる二十歳そこそこの長屋の住人です。博識ながら棠庵は人の気持ちが分からない、自分の心は欠けているといいます。しかし、藤介が指摘したように、余りにもいろいろ見通せるために一つ所に感情を寄せられないように思います。そもそも心なんて得体のしれない物です。自分の感情だってコン -
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巷説百物語シリーズの第6作目
舞台を江戸末期の遠野へと移し、盛岡藩筆頭家老の密命で巷に流れる噂話を調べる宇夫方祥五郎を主人公に物語が展開する。
全部で6話。
どの話も遠野の昔語りから始まって、巷の話、事件の当事者の話、最後にそれを解体する話という構成。
昔語りの遠野の方言はなんとも味がある。
ここまでのシリーズでも登場している
長耳の仲蔵、亡者踊りの柳次が主に妖怪変化の仕掛けを施して事件を解決していく。
今回は座敷童のような女の子、花が良いアクセントになっている。
又一が八咫の鴉(やた の からす)として最後の話「出世螺」に登場する。
これで続巷説百物語の後の話だとわかった。
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京極夏彦の和風ミステリー『鉄鼠の檻』、分冊文庫版の2巻。
禅僧・小坂了稔殺害事件捜査のため、明慧寺で聞き込み捜査を行う山下警部補ら警察一行。「修行中の僧侶の脳波を測定する」という当初の目的を進める名目で、警察らと共に明慧寺へと向かう関口、敦子、鳥口ら一行。そんな最中、新たな殺人が発生する。老師・大西泰全が雪隠(便所)に頭から突っ込まれ、脚だけが出ている状態で発見される。禅僧二人が殺害されたことで「次は自分が殺される」と怯えるのは典座・桑田常信。この事件について、彼は何を知っているのか―――。
京極堂による「憑物落とし」、まずは禅宗の歴史・系譜のお勉強を兼ねての第一回(多分)。明慧寺の成り立 -
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百鬼夜行シリーズが大好きなのでいつかこれも読みたいなと思いつつ読んでこず。最近発売された京極夏彦サーガを読んでこれは読まねばと思って購入。
登場人物や時代が違うだけで、百鬼夜行と似たような構成展開なんかなと思ってたけど違う!
百鬼夜行だと戦犯がいて、それがたまたま妖怪の話に沿っててそれを解き明かしていくって流れだけど、こっちは戦犯側が妖怪の話になぞらえて仕掛けてる話って感じ。
読む前は百鬼夜行にはやっぱ劣るかなぁと思ってたけど全然物足りなさがなくちゃんとおもしろい。読んでる途中小休憩するとき毎回「いやオモロ〜…」って頭の中で言ってた。続編読んでいきます。 -
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百鬼夜行シリーズ待望の十作目。永らく出なかった新作だけあって悦びも一入、じっくりと時間をかけ味わって読ませて戴きました。
嘗て読み漁ったシリーズ作品の懐かしき登場人物達の躍動に心躍るばかりです。
肝腎の内容に関しては相変わらず圧倒の一言に尽きます。一体何うやって斯様な御話を考えているのか。此が一人の人間の脳味噌から出て来ると言うのが俄かには信じられぬ程です。
巻末の解説で小川哲氏が触れていますが、本作の圧巻は何と言っても其の「構造(構成)」でしょう。一つ一つは独立した違う御話に見える複数のパートで構成され、謎が解明に近付くにつれ其々が連関していきます。然し全てのパートが収斂し、真相 -
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とりあえず三部作の一作目。
なんだこれ?
名だたるホラー作家が実名で登場している。
妖怪が現代に現れ、世の中が大混乱。
水木しげるが憂い、荒俣宏が奮闘する。
会話文が多くて、今までの京極小説っぽさがない。
大御所がラノベ書いたらこんな感じなのか?それにしても語彙が多くて、会話文だらけの展開でもどこか新鮮で面白い。
端役だったけど、岩井志麻子が男性に刺されそうになって逃げてるところがツボだった。妖怪関係なく身の危険にさらされる女流作家。
黒史郎さんがいい人なのに貧乏くじ引くのがほほえましい。ダゴンみたいのに憑かれて可哀そう(だけど笑える)
ちゃんとした感想は最終巻まで読んでから。
今のと