中島らものレビュー一覧
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購入済み
何とも意味ありげなタイトルなのですが「せんべろ」というのは単純に千円でべろべろになるまで酒を飲める店ということで、ただ連載時期が今から20年前とは言え、当時でも晩飯を食うだけで千円くらいはすぐ到達してしまいそうに思えるのですが、果たして千円でそこまで酒を飲ましてくれる店があるのだろうかというところが本作品の肝となっております。実際のせんべろ体験記は小堀淳さんの担当で、その合間にらもさんの酒に関するエッセイが挟まるという構成になっておりますが、その体験記の中にもらもさんは登場しており、小堀さんが書く客観的に見たらもさんというのも、らもさん本人のエッセイとはまた違った意味での面白さがあります。特に
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購入済み
中島らもさんの関西をお題としたエッセイ集でありまして、らもさんのエッセイといいますとそれだけで一種独特の味わいがあるのですが、更に関西というキーワードに特化されているのでありますから、それはただ事ではありません。今までに出会った不思議な関西人の紹介から始まり、テレビにも取り上げられたことがある謎の喫茶店のお話とか、奇妙奇天烈な内容が詰まっております。中でも個人的に好きなのは毎年色々なビジネスのアイデアをらもさんに持ちかけてくる広告代理店の社長さんのお話で、ある年はアフリカタニシの養殖を思いつき母貝を冷蔵庫に保管させられたり、またある年は謎のキノコ栽培を持ちかけられそのキノコを喰わされたりと散々
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Posted by ブクログ
朝日新聞日曜版だったかで毎週楽しく読んでた記憶がある。
なかでも、次の作品は西原さんの挿絵(神様がいいよとゆうまで生きるのが人間の仕事なんだとおばあちゃんが言った。)とともに印象深く覚えてた。
努めて落ち着いたトーンで書いてあるのだけど、別のエッセイを読むと、親友の自殺で落ち込んていた頃の作品のようで、何とも言えない。
P76
お題
結局死ぬと思うと何もかもむなしい
答えの最後の3行
個の細胞はちっぽけな存在ですが、その一生の中には必ず一度か二度「生きていてよかった」と思う瞬間があります。それは明日かもしれないし、三十年先かもわかりません。だからとりあえず今日はご飯を食べて明日まで生き -
Posted by ブクログ
映画にしろ小説にしろ、ごくたまにだが、「いつまでもこの世界の中で遊んでいたい」という気持ちにさせる作品に出会うことがある。そういう作品がはらむ世界には、空気の中にその作品だけが持つ独特のフレイバーがあり、それが自分の生理に同調するのである。
田辺聖子さんの著書の解説にらもさんが書いた文章だけれど、これがスゴク気に入った。
いつまでもこの空気を吸って駘蕩とした気分で滞在を続けたい。もとの世界に帰りたくない。
わかるなぁ。これが我々の世代でいうところの「ビューティフル・ドリーマー」的な、あるいはエンドレスエイト的な、つまり終わらない学園祭的な無限ループ世界への憧れに続くのではなかろうか。