【感想・ネタバレ】アマニタ・パンセリナのレビュー

あらすじ

睡眠薬、シャブ、アヘン、幻覚サボテン、咳止めシロップ、毒キノコ、有機溶剤、ハシシュ、大麻やLSDもあれば、アルコールもある。ドラッグのオンパレードである。著者自らが体験したリーガルなものもあるし、話に聞いただけのイリーガル・ドラッグもある。古今の作家の生活や名著などもひきながら、話は「人はなぜ快楽を求めるのだろうか」へと進む。煙の向こうにひとの本質が見え隠れするような傑作ドラッグ・エッセイ。

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世にも珍しいドラッグ・エッセイ。

阿片やヘロインなど誰でも聞いたことのあるメジャーなドラッグや、ガマ(カエルだよ!)やサボテンなどイロモノまで。題材の物珍しさはさることながら、やはりらもさん、文章がうまい(当たり前。作家ですから)!グイグイ読ませるし、たまに吹き出してしまうくらいユーモラス。同じく作家の娘・さなえさんの名前が出てくるのも、ファンとしては嬉しい。

ちょうど『ガダラの豚』を連載していた頃(1987〜1988)のエッセイなんだけど、この頃の神戸ってすごく治安悪いんだなと。おしゃれな街のイメージなのに…こわい、神戸…こわい、関西…ブルブル

ドラッグなんて、これまでもこの先も縁がない身としては体験談はかなり貴重。怖いもの見たさと純粋な好奇心でページを繰る手が止められなかった。それにしてもご本人、大変な体験をよくぞレポートしてくれましたよね。とある翻訳者さんなどへの辛辣なコメントも、「これ、大丈夫?」と心配になりつつ面白い。

ご本人、途中面白くない箇所ありというようなことを書いている。言われてみれば少し中弛みしてるのかな?と思わなくもないけど、全編通して面白かったし、だいたい一篇10ページ前後なので、隙間時間にサクッと読むのに向いていると思いますですよ。

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2025年11月02日

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らもさんが書いてくれたおかげでいろんなドラッグ(的なもの)のことを知ることができてありがたい。(自分は摂取することはおそらくないと思うので)
それにしても、そんなに大変な中で『ガダラの豚』なんて傑作を書いていたということが本当にすごい。

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2025年10月18日

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15章に及ぶ著者のドラッグ体験記…というかもはや冒険譚です。
ガマ毒と睡眠薬系統から始まりガマ毒とアルコールに落ち着くのですが、その過程にペヨーテや咳止めシロップやシンナーや大麻や抗うつ剤などの恐ろしくも素晴らしき体験談が続きます。
飄々とした筆致で凄まじい内容が語られますが、なかなか聞くことのできないジャンキーの生の声が本書には封入されています。
現在ではトー横界隈で横行している咳止めシロップのブロンですが、著者はトー横キッズも閉口するレベルの筋金入りブロン中毒者です。
ですのでブロンに関する部分が妙な現実味を帯びており、大変勉強(?)になりました。
書名のアマニタ・パンセリナとはベニテングタケの学名です。

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2025年05月31日

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すごくアウトロー的な人の話ではあるんだけど、全体を通して、自分や人間に対しての愛(というか許し)を感じる。大前提として話が面白いんだけど、筆者の人間としての魅力強く感じる作品。

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2024年09月29日

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著者自らが試したドラッグエッセイ。信頼の置ける体験談や参考文献の数々…状況が極めて深刻なのを面白く描写してしまう中島らも。彼の聡明で素直な優しい文章と人柄は唯一無二である。

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2022年09月27日

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大好き…。狂ってるのはそうなんだけど、そこはかとなく理性的だったり愛しい翳りがあるのがめちゃくちゃ良い。

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2022年04月26日

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おもしろかった。アメリカンゴッズで、テクニカルボーイがガマガエルの入った筒を吸うシーンがあって、何故にカエル……?と疑問に思っていたシーンの謎が解けた。ラリっていたのだ!!たのしい

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2021年09月07日

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ネタバレ

ドラッグについてのエッセイ。私は気分が悪くなるとこの本を開く。ドラッグを賛美するわけでなく、突き放して冷徹に描写している文章を読むと落ち着くのだ。らもさんはドラッグとは幼児のくるくる遊びだと書いている。やった人間にしか分からない醒めた視点が心地よい。

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2021年06月30日

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らもさんの本で最初に読んだのがこのアマニタ・パンセリナです
内容はらもさんの体験による様々なドラッグ使用時のエフェクトの感想とその時のエピソードをおもしろおかしく書いたものです
中島らもは思考、性格、文の書き方が79〜82'頃の日本のパンクという感じなのでINUとかあの辺のパンクの雰囲気が好きなひとはきっと好きだと思います

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2020年08月23日

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時代なのか、たまたま自分の周りにそういった人がいなかったのか、自分の人生経験では想像がつかない話ばかり。特にヘルハウスの話はインパクトが大きかった。
ドラッグで死んでいく友人たちの話も悲痛。

ドラッグか酒かで酩酊して階段から落ちて死ぬだろうという予言めいたことも書いていた。

文章は面白いし、バンドもやってて、劇団も作る。
薬と酒の強烈な依存もそうだし、とにかくやることがトンガっている。
自分にはこのトンガリがないから、著者に惹かれるんだろう。

巻末の解説では山崎幹夫という方が、らもさんについて客観的に書いてある。こういうのは本当に貴重だ。

“らもさんは不思議な人だった。バンダナで押さえた長髪を後ろに結び、黒いマント、そして、足許には真っ赤な靴下といういでたちで私の前に現れ、いきなり、初対面の私に「僕、センセーのご本、みんな読んでいます」と言った。毒の話が大好きだとも言ったように思う。言われなき先入観、というのは、らもさんのような鋭い感性に彩られた小説やエッセイを書く人は、恐らくはすごく変わり者で気難しい人なのだという僕の思い込みのことなのだが、そのために緊張していた僕の気持ちは、らもさんの気遣いの効いた対応のお陰ですぐにほぐれた。”

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2016年11月14日

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ネタバレ

この本を読んだのは大学一年生の(何年前だ?)の夏休みだった。父親の店(居酒屋)でバイトをしていた時だ。
文庫版をエプロンのポケットに入れて読んでいたせいか紙がふやけてしまっている。その父の店でバイトをした夏休みの匂いも込みでこの本は愛おしい。

つるりと話してしまうと、作者が「しばらく、クスリの事を書いてみよう」と言って書いたものなので、合法違法含めいろんな薬について書かれている。

今でこそそういう作用のある薬や毒物に対する知識がある自分だが、これを読んだ時にはタバコと酒をたしなむくらいで「あ、自分悪いことしてる。」と気分が少しばかり高揚するくらいだった。若かった。

”はじめに”を読み進めていくと「ガマなめ」について話されているが、要するに、そういう作用のある「カエル」を「舐めてみよう」ということである。本文をすべて読めばわかるのだが、カエルを舐めなくても、違う意味で新聞に載るような経験がしっかりと書かれている。

しかし作者はその本文すべてに巻き散らかされた”新聞に載りそうな行為”ではなく、カエルを舐める事を「もしこんなことで死んだら新聞に載る」→「孫がグレる」とあきらめるのだ。
四六のガマか、自来也か。と思いつつも、ぺらりと一ページめくってみると
「中島らもガマ吸って死ぬ」
という一文が!!”ガマ”すって死んじまった事実をいかにも新聞に載りそうな文章で書き、それをここぞとばかりによいタイミングで見せられると、これほどまでに笑いの発作をおこすことか!
残念ながら、自分がもっているのは文庫版なので、ページをめくり偶然にこの現象が起きたのかもしれないけれど、ぺらりとめくってそのページの一文目が「ガマ吸って死ぬ」のフレーズだったは衝撃的だった。

何度読んでも、初めて読んだ時と同じく「そんなことで死んだら新聞に載る。」→ページをめくる→「ガマ吸って死ぬ→孫がグレるのくだりで爆笑だ。
当時も我ながらよく台所で客の酒宴の声をBGMに湧き上がってくる笑いをこらえたものだ。

ここまで書いておきながらまだ「はじめに」の話題なのだ。本文には色々な薬物に関するエッセイが書いてある。もっともっとこの本については語りたいものだがあまりにネタバレして本文を読む楽しみを奪ってはいけない。

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2016年03月22日

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中島らも作品の中でベスト3に入るくらい、おもしろい。いろんなドラッグについて書いている。
タバコもやらない私だけど、この本のおかげで知識はだいぶ増えた。すいすい読ませてしまう文章のうまさは本当にすごい。
この本以外で最近なにかの本の中にサボテンをかじってラリるか確かめる描写があり、アマニタ・パンセリナと同じだ!と感激した。ちなみに効かなかったみたいだ。

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2013年09月18日

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10代好奇心旺盛だった頃にこの本に出会ってしまい、チョウセンアサガオ(ダチュラ)の幻覚に挑戦してみました。天と地がひっくり返ったような感覚に襲われ、しばらく動けなくなりました。

若者には読んでほしくない本。

けれど、自分の本棚には置いておきたい本。
理解ある大人用の本です。

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2012年02月03日

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あらゆるドラッグをキメても、死に至らなかったのは中島らもがタフだからなのか?または人間は意外と丈夫だからなのか?いや偶然か?

下北沢の一室から世界の果てにアステカ文明と、ドラッグの世界は幅広く奥深く興味深い。ヤるヤらないは個人の自由だが、風邪薬、アルコール、砂糖。現代ならスマホだったりと中毒を引き起こすモノは、その辺に散らばってるわけで、ドラッグに全て悪の元凶があるのでは?という一方通行な意見は、本書を読み終えた頃に変化する。

ブランコの重力でハイになり、お母さんの『帰るわよ〜』の一声でナチュラルになる現象。共感しかない。中島らも、相変わらず面白い。

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2024年10月05日

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書名からはわかりにくいが、「クスリ」の本。
著者が経験した、合法?ドラックの体験談をまとめたもの。
個人的には面白いけれど、若い青少年にはお勧めできない本。
たが、参考文献はすごい。よく知っていて、本当に勉強したんだなと思う。ここまでくればスペシャリスト。

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2022年04月13日

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本人も書いてるように、序盤と終盤で熱量に温度差があるのが笑える。
とにかく隅から隅までドラッグの体験記で読み応えあり。ガマ吸い、ヒクリさま、ハシシュ、実体験がパンクすぎる。

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2021年03月08日

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筆者が今までに経験してきた、様々なドラッグを本書で紹介している。
うがい薬がトリップできるのは初耳で、興味深かった。
ドラッグというと、ちょっと怖くて気が引けてしまう人もいるかもしれない。
だが、本書では筆者の軽快な文章によって、怖さは感じない。
怖さは感じないが、生々しさは感じることができるので、ドラッグに興味がある人は読んでみるといいかもしれない。

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2019年03月08日

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評価は高いけど、万人にオススメできる本ではない。
ドラッグをここまで豊かに表現した小説は知らない。
残念ながら友人に貸したまま戻ってこないのでこれは買い戻したい。

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2019年01月04日

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中島先生がご近所の薬局で「いつものやつ」と「ブロン…トザウルス」買ひまくったおかげかブロントサウルスが復活したらしい。ふん。
 Youtubeで、本著に出てくる落語の
「へーろいん、まりふぁな」
 が聴けた。ちょっとうれしい。

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2018年05月24日

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本にはノンフィクションとかミステリーとか時代小説とかエッセイとかいろいろあるけど,この本は
「中島らも」ってジャンルの本だと考えてくれていい。もっとこの人の本を読んでみようと思う。

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2014年04月30日

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2013-08-06 再読開始

終盤にわかぎえふの話の重複があり、若干萎えるのだが、全般的にスリルと笑いのぎりぎりの綱渡り状態が、だれることなく続く良書である。

若い頃の印象で、最初の評価は5点だったが、再読では4点に下げてしまった。
それでも本書のリアルさは変わらないと感じる。

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2013年08月18日

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中島らもさんの著書の中でベスト3には入る好きな作品。
自分のドラッグ体験を合法も非合法も境界線なしに描いているのがすごい。
咳止めシロップとか全然しらなかった。
周りに止められてドラッグをやめられない自分を見られたくなくて
こそこそやっていたことを作中で描けるのはこの人ならではと思いました。

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2012年09月17日

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合法なものからアレなものまで種々のドラッグについて著者の体験に基づいて書かれた本。
読んでると楽しくなってくる。
日常で手に入りそうなものもあるのでそのへんは自己責任か。

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2012年05月14日

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なにも申しますまい。中島らもにしか書けないドラッグの本です。
これを読んだら、ドラッグに手を出す気にはならないでしょう・・・

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2011年12月16日

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 去年は芸能界のドラッグ汚染が目立ったが、薬の体験はこの人に聞くしかないということで、この本を手に取る。 扱う種類は以下の通り。睡眠薬系統、シャブ、阿片、幻覚サボテン、咳止めシロップ、ヒクリさま、毒キノコ、有機溶剤、ハシシュ、大麻、LSD、アルコール、その他(MDMAは含まない)。幻覚作用/麻痺感覚の種類や副作用を分かりやすく説明してくれる。さらに、下種なしゃぶ’(理由は本書に)と風情のあるマリファナ・ヘロインなど、らもさんの持つ価値観も開陳されている。公正のために書くと、著者は日本国内で違法なドラッグをそれと知って嗜んだことはないとのこと。 人類の飽きることのない快楽原則と化学者の名誉欲、それと軍の戦略がドラッグの開発と普及を後押ししてきた、それに一般人が抵抗するには知識を持つしかないという。決して快楽だけで済まない現実を、この本から体験できるなら安い480円である。

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2014年06月08日

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らも作品に出てくる薬の解説を、各項目ごとにまとめたもの。らも作品を読む順番として、こちらを早めに読んだ方がよかったかもしれない。(すでに読んだことのある内容がよく出てきたため。)
ラストドラッグとして扱われるのがアルコールなのがよかった。アルコールもドラッグの一種であることを認めざるを得なかった。

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2023年07月30日

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ネタバレ

中島らもさんの本が好きで、たまたま本屋さんで見つけて読み始めた。

ドラック関係の本や映画といったものは、ドラックをやめたくてもやめられない負のループみたいなところに目が向けられがちだと思うが、らもさんのエッセイは、色々な薬物を実験的にやっているようなところや、客観的に色々分析しているところが面白いなと思った。

なぜ人はドラックをやるのかという問いに対して、自失を求めているからだという答えは、確かにそうだなと思う反面、(私にはわからないが、苦しむことが色々あるのだろうということは、十分承知しているが、)こんなに才能のある人がどうして自失を求めているのだろうかという気持ちにもなった。

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2022年03月16日

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らもさんのドラッグの話。
ドラッグの種類をらもさんの実体験を元にわかりやすく理解できます。
随分と道を踏み外してこられた人生で驚きました。
それでもなんとか生きているし、作品も残しているし、いろんな意味で常識を飛び出した人だなぁと思いました。

そういえば、昔一緒に仕事をした某俳優さんはジキニン中毒とおっしゃってました。
私はジキニンを飲んでも何も感じなかったので意味がわからなかったのですが、そういうことだったんですね。なるほど。

私は基本的にはガチガチの真面目人間で、10代から飲酒や喫煙はしていたものの、自分を失うほどの逃避はしませんでした。

らもさんほど道を踏み外さなくても、私ももうすこし頭をゆるくしてもいいのかもしれないです。

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2018年10月19日

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ドラッグエッセイ。著者の体験も踏まえたドラッグの分析は特筆もの。人はなぜドラッグを活用するのかなど、文化面や人心面からの切り口で面白く痛快に読ませてくれる。

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2015年10月19日

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ネタバレ

中島らもの一番の才能は同じネタの使いまわしを苦にしないところだと、本書を読んで痛感した。落ちがわかっている話を何度でも読ませる、これは本当に恐るべき才能だ。

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2013年12月27日

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