池波正太郎のレビュー一覧
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「秘伝の声」は自分の中の自分が語りかけてくるのだろうか?
この本を初めて手にしたのは1993年4月29日と記録している。まだ独身で東京で研修を受けていた時に購入したものだ。
その時から32年。その間の人生はどうだったかな。
人生を歩む中で「自分の秘伝書」が自分の中で綴られていくのだろう。物事の優先順位、判断基準、価値観、好き嫌い。
人生はいつ終わるか誰にも分からない。だから毎日の生活・営みの中で「自分の秘伝書」を一行一行増やしていこう。
ラストの一文はそういうことを池波先生が言っているのだろう。
「うむ。このほうがよい。さと、酌をしてくれぬか」
「はい」
酌をしながら、うれしげに、 -
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長いなが〜い物語である
しかし期待外れであった
中心人物が複数いて、同期する場所がない
繋がっているようで、繋がっていない話も多く
真剣に読み下すべきか流すべきか判断が難しい
長いが故か繰り返しが多い、以前あった事柄を何度も何度も説明される
そもそも、真田には主役が張れる主家の血筋が3人おり、それだけでも腹一杯なのに、そこに忍びの物語を加えようとするから無理が出る
史実に忠実であろうとする主筋と
ファンタジー満載の忍び物語を並行して読むことに辟易しながら11巻を耐えた
大半が死んだ後の最終巻のみ読み易かった。スイスイ気持ちよく進んだ。
もちろん真田の話は面白い
ただ、忍びと繰り返しがなけ -
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私の周りの65歳以上の本好き全員が『剣客商売が面白い』と、いうので読んでみました。
勢いのある文章。筆者と読者の距離が近く感じられます。
60歳の剣客・小兵衛が19歳の女の子2人にモテモテ!剣客の道の厳しさと格好良さが描かれつつ、昭和オヤジのファンタジー心をくすぐります。
7編のうち、『まゆ墨の金ちゃん』が一番のお気に入り。
大治郎を助けるべきではないと思いつつも、悶々と悩む小兵衛様子が可笑しい。緊張の中、出掛ける小兵衛に「お酒の支度をしておきますよう」と見送るおはるにほっとします。
金ちゃんの大治郎に挑みたい気持ちや、彼の最期(アイデンティティ)に感動しました。
ただ、時代小説あるあるだ -
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ネタバレ旗本の嫡男として生まれた杉虎之助。
母は難産で虎之助を生んだ直後に亡くなり、虎之助も病弱。
義母に息子が生まれると、ますます家での虎之助の扱いはひどいものとなる。
思い余った虎之助は川へ身投げする。それを助けたのが池本茂兵衛だった。
虎之助は剣士、池本に頼み込み、弟子として修業の旅に出て。
久しぶりの池波正太郎。
冒頭の「非常な、難産であったらしい。」からグッと引き込まれている。
テンポもよくてどんどん読む。
眼ばかりギョロリとした痩せて色の白い陰気な虎之助が、数年後に驚くような変貌を遂げて登場する。
世の中は、黒船到来、尊王攘夷が叫ばれ、桜田門外の変、和宮の婚姻とざわつく中、虎之助も巻き込 -
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作品にある様な江戸料理本の様でさりげなく作品世界の話が入っているが、『仕掛人藤枝梅安』の方のキャラの掘り下げみたいな言及があり面白い。小杉さんの方が凄腕剣豪として強いが作者が必ず梅安と同じに名前を出しているのが彦次郎であり思い入れの強さを感じる。自分も彦次郎というキャラが好きなのでさりげない作者からの言及にも奥行きを感じた。
司馬遼太郎とか史料の読み込みが凄いが池波正太郎はそういうのをひけらかさないけどかなり知識が深い様に感じるし、史料の上澄として作品を作っている様に思える。
それにしても言動が粋で最後の江戸の香りを持つ人物ではなかろうか。 -
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▼子供の頃に<中村吉右衛門×フジテレビ×京都松竹バージョン>の時代劇を、さほど熱心では無くても見ていたので、そのイメージがあって読みやすいという要素もきっと欠かせないでしょう。
自分の中では鬼平さんは吉右衛門さんだし、木村忠吾さんは尾美としのりさんだし、五郎蔵は綿引勝彦さんだし、おまさは梶芽衣子さん。このあたりは鉄板になってしまっています。塗り替えられない(笑)。そういう方も、多いはずです。
▼文庫全24巻。とうとう16まで来ました。
ルパン三世シリーズのアニメみたいなもので、1話1話が厳密に言うと「オモシロかったのか?」と詰め寄られると実はそうでもない。んだけど、レギュラーキャラの活躍を