池波正太郎のレビュー一覧

  • 真田太平記(六)家康東下

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    はっきり依頼や指示をせず人を疑心暗鬼に陥らせて従属させる卑怯な方法を得意とする家康と、政治家としては優れているが武将としての能力が著しく欠けて人望がない三成が対決に向けて動き始めた。
    ここまで来ると草の者や忍びが活躍するレベルではなくなり、本シリーズの個性を出しにくくなってきた印象です。

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    2025年10月12日
  • 秘伝の声(下)

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    「秘伝の声」は自分の中の自分が語りかけてくるのだろうか?

    この本を初めて手にしたのは1993年4月29日と記録している。まだ独身で東京で研修を受けていた時に購入したものだ。

    その時から32年。その間の人生はどうだったかな。
    人生を歩む中で「自分の秘伝書」が自分の中で綴られていくのだろう。物事の優先順位、判断基準、価値観、好き嫌い。

    人生はいつ終わるか誰にも分からない。だから毎日の生活・営みの中で「自分の秘伝書」を一行一行増やしていこう。

    ラストの一文はそういうことを池波先生が言っているのだろう。

    「うむ。このほうがよい。さと、酌をしてくれぬか」
    「はい」
     酌をしながら、うれしげに、

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    2025年10月05日
  • 秘伝の声(上)

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    久しぶりに読み返す。

    剣客商売のスピンオフ(とまではいかないか)

    サクサク読めてしまう。不思議だ。

    最近バタバタして疲れている。こういう時こそ、池波ワールドかな。

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    2025年10月03日
  • 忍びの旗

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    初めて読む池波正太郎。
    結構古いみたいで読みづらいかもと思ったけど割と読みやすかった。
    甲賀の忍者、源五郎が主人公。
    最初あたりはなんだかぬるぬる物語が進む感じで面白く感じれなかったけど、中盤あたりで物語が動き出すと面白くなった。

    戦国時代の人達って、命の考え方が今じゃあり得ない。トチ狂ってる。
    戦に負けて自害、自害した主人を追って臣下も自害。
    でもそこに信念があるんだよね。
    そこがかっこいい。
    武士もだし、厳しく鍛えられた忍びもそう。
    自分の信念を貫いて生きていってたんだな。
    人間のかっこいい生き様を見れた。

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    2025年09月29日
  • 真田太平記(一)天魔の夏

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    長いなが〜い物語である
    しかし期待外れであった

    中心人物が複数いて、同期する場所がない
    繋がっているようで、繋がっていない話も多く
    真剣に読み下すべきか流すべきか判断が難しい
    長いが故か繰り返しが多い、以前あった事柄を何度も何度も説明される

    そもそも、真田には主役が張れる主家の血筋が3人おり、それだけでも腹一杯なのに、そこに忍びの物語を加えようとするから無理が出る
    史実に忠実であろうとする主筋と
    ファンタジー満載の忍び物語を並行して読むことに辟易しながら11巻を耐えた
    大半が死んだ後の最終巻のみ読み易かった。スイスイ気持ちよく進んだ。

    もちろん真田の話は面白い
    ただ、忍びと繰り返しがなけ

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    2025年10月03日
  • 殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安(一)

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    仕掛人・藤枝梅安シリーズ第1作。
    金次第で、世の中に生かしておいては、ためにならぬやつを闇から闇へ葬る仕掛人。
    江戸の風情、人情が散りばめられていて、さすが池波正太郎であり、読み応えある。テンポもいい。

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    2025年08月19日
  • 鬼平犯科帳(一)

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    学生時代に出会ってしまった鬼平。辛い時に何度読み返して、何度、平蔵さんたちに助けられたことやら。二十数年ぶりの再読。火付盗賊改方・長官の就任が42歳。丁度脂の乗った年頃か。何度、読んでも、やっぱり鬼平はいい。と、再確認した。火付盗賊改方も盗賊たちも普通で個性的で、それぞれにいい。捕物帳ではあるが、謎解きではない。盗賊にも市井にも火付盗賊改方にもそれぞれに生き様や言い分がある。娯楽も悲しみも楽しみもそれぞれにある。それがいい。あと解説の植草甚一がめっちゃいい。

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    2025年07月30日
  • 鬼平犯科帳(二)

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    面白かった。まあ、定番の面白さ、というものだろう。鬼平シリーズは、まだまだ、いっぱいあるから、当分楽しめる。

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    2025年07月30日
  • 剣客商売十五 二十番斬り

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    冒頭に秋山小兵衛の目眩で始まり驚くがスーパーマンさながらの活躍にほっと一安心。
    武士の凋落ぶりに江戸時代の終わりを匂わせた長編作品。

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    2025年06月21日
  • 剣客商売一 剣客商売

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    私の周りの65歳以上の本好き全員が『剣客商売が面白い』と、いうので読んでみました。
    勢いのある文章。筆者と読者の距離が近く感じられます。
    60歳の剣客・小兵衛が19歳の女の子2人にモテモテ!剣客の道の厳しさと格好良さが描かれつつ、昭和オヤジのファンタジー心をくすぐります。

    7編のうち、『まゆ墨の金ちゃん』が一番のお気に入り。
    大治郎を助けるべきではないと思いつつも、悶々と悩む小兵衛様子が可笑しい。緊張の中、出掛ける小兵衛に「お酒の支度をしておきますよう」と見送るおはるにほっとします。
    金ちゃんの大治郎に挑みたい気持ちや、彼の最期(アイデンティティ)に感動しました。

    ただ、時代小説あるあるだ

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    2025年05月20日
  • その男(一)

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    ネタバレ

    旗本の嫡男として生まれた杉虎之助。
    母は難産で虎之助を生んだ直後に亡くなり、虎之助も病弱。
    義母に息子が生まれると、ますます家での虎之助の扱いはひどいものとなる。
    思い余った虎之助は川へ身投げする。それを助けたのが池本茂兵衛だった。
    虎之助は剣士、池本に頼み込み、弟子として修業の旅に出て。

    久しぶりの池波正太郎。
    冒頭の「非常な、難産であったらしい。」からグッと引き込まれている。
    テンポもよくてどんどん読む。
    眼ばかりギョロリとした痩せて色の白い陰気な虎之助が、数年後に驚くような変貌を遂げて登場する。
    世の中は、黒船到来、尊王攘夷が叫ばれ、桜田門外の変、和宮の婚姻とざわつく中、虎之助も巻き込

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    2025年05月19日
  • 剣客商売十四 暗殺者

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    大治郎に忍び寄る危機に小兵衛老爺が探りを入れ心配する親心が可愛い。
    でも、ちょっと過保護じゃないって思ってしまった。一方の大治郎は落ち着いていて貫禄が出てきた。長編の一冊なので読み応え抜群。

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    2025年04月22日
  • 鬼平犯科帳[決定版](二十)

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    おしま金三郎
    二度ある事は

    怨恨
    高萩の捨五郎
    助太刀
    寺尾の治兵衛

    ▼若手の細川峰太郎さんという同心が活躍?する話が多い。だらしない点も含めて木村忠吾の焼き直し感があり、悪くはないが、それほどでもないというのが自分の好みです。

    ▼この巻は特に、「女性蔑視」 「ミソジニー」的な言及が多かった印象で、それはやっぱりどっちかという減点な印象になってしまいますね。仕方ないしのですが。

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    2025年04月20日
  • 鬼平梅安 江戸暮らし

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    作品にある様な江戸料理本の様でさりげなく作品世界の話が入っているが、『仕掛人藤枝梅安』の方のキャラの掘り下げみたいな言及があり面白い。小杉さんの方が凄腕剣豪として強いが作者が必ず梅安と同じに名前を出しているのが彦次郎であり思い入れの強さを感じる。自分も彦次郎というキャラが好きなのでさりげない作者からの言及にも奥行きを感じた。
    司馬遼太郎とか史料の読み込みが凄いが池波正太郎はそういうのをひけらかさないけどかなり知識が深い様に感じるし、史料の上澄として作品を作っている様に思える。
    それにしても言動が粋で最後の江戸の香りを持つ人物ではなかろうか。

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    2025年04月19日
  • 熊田十兵衛の仇討ち〈新装版〉 本懐編

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    池波正太郎さんの作品は、どれも面白いけれど、仇討ちの話は、あまり爽快なものは無い、と思う。この本の中に書かれている話も、読み終わって、気持ちがスキッとしてものは無かった。そもそも、仇討ちなんて割りの合わないものだからだろう。

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    2025年03月10日
  • 剣の天地(下)

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    長野業政が死去し、その息子長野業盛が武田信玄に敗れた後、上泉伊勢守は隠居を決意し、剣の道を極めていく。 
    集団で殺戮していく戦国時代において、鉄砲が登場し、次第にただ斬り合う技術から、精神的な人としての極みを目指す手段として、剣は注目されていったのだろう。

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    2025年03月08日
  • 剣の天地(上)

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    剣聖と言われる上泉伊勢守秀綱。上州大胡の城主で、箕輪城の長野業正と強い絆で戦乱の世を切り抜けていた。
    上杉謙信が関東に侵攻し、かたや武田信玄も上州への侵攻を繰り返すなか、固い同盟をしていた国峰の小幡信貞は武田信玄へ味方する事をきめる。
    箕輪の長野業正が国峰へ攻め込むなか、小幡図書之介は長野業正と通じて戦う事を決意する

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    2025年03月07日
  • 熊田十兵衛の仇討ち〈新装版〉 人情編

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    池波正太郎さんの作品は、梅安シリーズが好きで、今後は、雲霧シリーズや鬼平シリーズも読んでみたいと思っているけれど、冊数が多いので、なかなか踏み切れないでいる。この作品は、短編集なので、手頃だし、池波正太郎さんらしい作品で面白い。

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    2025年03月06日
  • 剣客商売十三 波紋

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    13巻目では秋山小兵衛が「わしも、老い果てたものよ」と自嘲気味に呟く。
    第一話の頃に比べると老いに対する考え方が変わってきたように感じる。作者池波正太郎氏の気持ちが表れているよう。

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    2025年02月24日
  • 鬼平犯科帳[決定版](十六)

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    ▼子供の頃に<中村吉右衛門×フジテレビ×京都松竹バージョン>の時代劇を、さほど熱心では無くても見ていたので、そのイメージがあって読みやすいという要素もきっと欠かせないでしょう。
     自分の中では鬼平さんは吉右衛門さんだし、木村忠吾さんは尾美としのりさんだし、五郎蔵は綿引勝彦さんだし、おまさは梶芽衣子さん。このあたりは鉄板になってしまっています。塗り替えられない(笑)。そういう方も、多いはずです。

    ▼文庫全24巻。とうとう16まで来ました。
    ルパン三世シリーズのアニメみたいなもので、1話1話が厳密に言うと「オモシロかったのか?」と詰め寄られると実はそうでもない。んだけど、レギュラーキャラの活躍を

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    2025年02月16日