池波正太郎のレビュー一覧
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時代は変わり、中村半次郎は桐野利秋と名前を改め、陸軍少将となった。しかし高い理想を抱く西郷は、新政府のやり方に納得できない。ついに征韓論争に敗れ、桐野たちを連れて帰郷。桐野たちは必ず戻ってくると信じて帰郷し、やがて西郷とともに乱を起こして、ついには城山に追い詰められる。
桐野の過信などから城山で最期を迎えることになった西郷。桐野は西郷のことを慕い、考えているのに、西郷の考えを理解できていなくて、ああいう結果になってしまって切ない。そんな西郷と桐野の最期の会話がなんだかよかった。桐野は追い詰められてもやっぱり桐野。最期まで自分らしく生きている桐野はやっぱり格好良かった。
恋愛のほうは、おたみは何 -
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とある舞台で西郷隆盛の話を観て、西郷の側近の桐野利秋がかっこよくて、興味を持ちました。最初は薩摩言葉に戸惑ったけど、すぐに慣れました。普通に『ごわす』とか『いってきもす』とか言いそう(笑)
薩摩藩に生まれ、『唐芋侍』と言われながらも剣の腕を磨いていた半次郎が、西郷吉之助と出会い、活躍していく。強くて凛々しい薩摩男の半次郎。いつも努力を忘れず、男らしいけど、すぐ調子に乗っちゃったりして、憎めない男。自分の助けた娘おたみにほのかな恋心を抱きながら、法秀尼という尼さんと関係を持ったり、そうかと思えば故郷の幸江のことも忘れてなかったり。結局誰にするのよ!?と突っ込みたくなる。挙句の果てに、おたみに法秀 -
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男の生き方を語る池波正太郎のエッセイ。さすがに昭和55年あたりの感覚(特にジェンダー観)となると今のアップデートされた時代には耐えられず、俗にいうハウツーとして読むにはいささか古びてはいるものの、この時代に描かれた憂いが今でも通じるあたり普遍性もある。特に善悪の中間、すなわちグレーゾーンがないという嘆きはまさに今の時代感覚とも一致する部分であり、40年以上前の時代でもこうなら今の時代はより加速しているのかと思ってしまった。他にも「神経のまわしかた」など、著者独特の言い回しも多く、男の作法と言いつつ大雑把は許されず目配りが大事というのは今でも通じる話だろう。