池波正太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2011.9.13
大坂夏の陣にて、真田幸村死す(「幸村」は後世つけられた呼び名だというのが通説なのだが、このシリーズではそのことを断ったうえで敢えて幸村と呼んでいる)。
大坂方の武将たちは連携が取れず互いに疑心暗鬼になる面もあり、足並みがそろわない。結局、戦場にて思うさま兵を動かし、敵方を叩いて真田の名を天下に知らしめたいという真田親子の願いは完全には果たされなかったわけだけど、どこかからりとして潔い、秋の晴れ空のような死に際の描写がかえって胸を打つ。
何であれ、一つの大願のもと生き抜いた最期の胸の内ってどんなものかなあと思いを馳せてみたり。戦国の世と現代では人の生き方も大きく様変わりしてい -
Posted by ブクログ
ネタバレ『鬼平犯科帳』の番外編。
『鬼平』は至福の時間をくれる娯楽作品だ。
自分を捨てた男を殺したお松の人生を物語の柱に据えて、火付け盗賊改方に就任したばかりの鬼平を描く。
TVドラマでおなじみの密偵「小房の粂八」「大滝の五郎蔵」「おまさ」にはまだ出あっていない頃で、唯一「相模の彦十」が登場するのみの、まさに「駆け出しの鬼平」だ。
かつて愛した男に「お前は不作の生大根だ」とののしられた事からの女としての諦めと、その男を殺してしまった罪の重さとで 若い頃に我欲を捨てきったが為に、己ではそうと気付かずに 周りの人たちに救われ愛されるようになったお松。
そのお松の横顔を思い「女というものはまこともって