池波正太郎のレビュー一覧
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剣客商売 番外編
薄幸の少女、お福の物語。
幼くして両親を失い、下女として神谷弥十郎の元で働いていたが、まもなく主人が暗殺された。
行き場を失い、下男の五兵衛の世話もあって江戸へ出たお福。
新しい主人、三浦平四郎はとてもよくしてくれ、お福は幸せだった。しかし、この主人も同じ無頼浪人の凶刃に倒れ、ほどなくして、五兵衛までも殺された。三浦に手裏剣の手ほどきをうけていたお福は、秋山小兵衛の助太刀をえて、仇を討ち果たす。
若くからあまりにも多くの死を見てきたお福。それでも、人々の善意に助けられながら、たくましく生きていく姿は見てて気持ちよかった。
小兵衛、仙台堀の政七、四谷の弥七、羽沢の嘉兵衛、軍鶏鍋屋「五鉄」、不二楼などおなじみの人々やお店が出てくるのも楽しい。 -
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剣客商売シリーズ16作目
小兵衛66歳の秋から翌年にかけての物語。
26年前、門弟の滝久蔵の仇討ちの助太刀をした小兵衛。
久蔵は無事に敵討ちを成し遂げ、小兵衛も同じく助太刀をしていた山崎勘介と死闘を繰り広げた。
それから26年たち、蕎麦屋で久蔵を見かけることになる。
その直後、自分が斬った山崎の遺児、勘之介とも出会うことに…。
ついに、最終巻となってしまった剣客商売シリーズ。
顔のせいで人から誤解され、処刑された金貸し平松多四郎。その息子の伊太郎は仇討ちはしないと言う。そんなことは古めかしいと。
そして、田沼も失脚。
本当に時代はどんどん変わっていく。
これからあと数十年もすれば世の中はひっくり返るのだから。
最初の頃の明るい雰囲気と変わって、段々と生きることの哀しさを感じることが多くなったこのシリーズ。
この巻の最後には小兵衛は75歳。少し小さくなってしまった小兵衛が切ない。
でも、これからまだ彼は18年も生きることになる。
自分より随分と年下のおはるを見送り、弥七も見送り、宗哲先生も見送ることになるのだ。どれだけ辛いことを見てきただろう…と考えてしまう。
そんな中で、又六とお秀さんの結婚は一際うれしいニュースでした。 -
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剣客商売シリーズ15作目
得体の知れぬ眩暈に襲われたその日、小兵衛は、恩師・辻平右衛門ゆかりの侍、井関助太郎を匿うことになる。
井関は手負いで、しかも曰くありげな小さな男の子を連れていた。
小兵衛にすら多くを語らぬ井関に、忍び寄る刺客の群れ。小兵衛は久しぶりに全身に力の漲るのを感じるのだった。
一方、江戸城内では、三冬の父、田沼意次が窮地に。
前作から1ヶ月後くらいのお話です。
小兵衛は66歳。口では弱気な事を言っていても小兵衛に限って…と思っていたら、今までにない眩暈でこの物語は始まる。
宗哲先生によると、「ようやく老人の躰になった」とのこと。
ほっとされられたのも束の間、大きな事件が小兵衛に降りかかる。
でも、その事で小兵衛の眼が輝きを取り戻したのも事実で、なんだか複雑な心持ち。
今までも大きな力と相対してきた小兵衛だけれど、今回は九千石の旗本。そのお家騒動に巻き込まれた形である。
詳しい事も知り得ぬままに、小兵衛の頼みなら、と何も聞かずに働いてくれる人たちがいる。それと同時に「侍」と呼べる人たちがどんどんいなくなっているのもこの時代。
小兵衛をして、「もはや武家の世は終わりじゃ」と言わしめるほど、武士の世界は腐りきってしまった。
幕府解体までまだ80年余りあるのに…。
残すところあと一冊になってしまった剣客商売シリーズ。
一冊読み終わるごとに寂しい気持ちになります。 -
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剣客商売シリーズ14作目
ある日、小兵衛は凄腕の二人の浪人者をたちまちにして蹴散らす巨漢の剣客を目にする。
その男の名は波川周蔵。
「あの男ならせがれでも危うい」。
その後、小兵衛は大治郎襲撃の計画を偶然知ることになる。実行するのは波川らしい。その裏には誰がいるのか。なぜ大治郎が狙われているのか。
小兵衛66歳。この巻では今までにはないような失敗をしたりもする。でも、ここへきてどんどん人間味が増している感じもする。大治郎に対して声を荒げてしまうシーンなど特にそう思う。
大治郎は、さらに腕を磨き、小兵衛へ近づきつつある。
三冬は娘からしっとりとした妻、母に。
田沼の悪評はさらに広がり、威勢も衰えつつある。この「暗殺者」の事件の一月後には意知は殺害され、その二年後、彼は老中を罷免・領地も没収されるのだ。
そして、この作品の重要人物である波川周蔵。
彼もまた一角の剣士でありながら十数年のうちに剣の道で天道を歩めぬ身となっている。
大治郎襲撃の黒幕となっている者もそうだった。
人は流れていく。ひとつのところに留まっていられる者などいないのだと強く感じる一冊でした。
波川周蔵がすごくよかった。だからこの終わり方で少しホッとしました。 -
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ネタバレ剣客商売では珍しい長編。とはいっても幾つかの話に分かれているので短編集のように読みやすい。
大治郎の名を騙る辻斬り?が暗躍し田沼、松平を巻き込む大事件に。。。
ってなかんじですが、今まで出てきたキャラクターも再登場。三冬さんもどこかしら母親の感じが出てきてさすがにうまいなぁと。
大治郎がイマイチ活躍しないのと、最後の斬り合いはあれでいいのか?と思わないこともないですが、やはり剣客商売は面白いと思わせるに十分でした。
しかし史実では、松平定信の遺恨は尾を引いて結局田沼さんは酷い目に遭わされるんだよねぇ。。剣客商売の中ではとても良い人に描かれているのでかわいそう。
悪いやつランキングでは一橋の治済がトップか?