池波正太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ主に女性を主人公にした十三篇の物語。
「三河屋お長」の「それが男の口ぐせとも知らず“不作の生大根”という罵言にかっとなり、思わず殺してしまった世間知らずの娘」というあらすじに既視感を覚え、でも読んだ記憶は全くなく?と思って本棚を漁ってみたら、鬼平番外編の『乳房』のあらすじとほぼ同じであった。
女のバックボーンも人生も全く違うのだが、“不作の生大根”呼ばわりした男を殺してしまい、その後色々あって大店のお内儀となった女の前に老婆が現れ、その老婆がかつて殺した男と関係があり、男が誰にでも“不作の生大根”と言っていたことを知る、という流れは一緒。
「三河屋お長」の初出は昭和四十四年とあり、『乳房