池波正太郎のレビュー一覧
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昔の世も今の世も人間の性はあまり変わらないものだなと感じる。考え方も人それぞれなら、生き方もそれぞれ。どうすることがよくて、どうすることが悪いのか、全くもってよくわからない。
本書では師の遺言を巡り、対照的な人生を歩むことになった二人の青年剣士の姿を描く。一人(成子雪丸)は遺言に従い日々を送る中で師の道場を引き継ぎ、町になくてはならない存在に。一方の一人(白根岩蔵)は、遺言に背き、秘伝の書を持ち逃げしたことで、自ら町を去る羽目に。しかし、その後の人生を見る限りは決して悪人というではなく、寧ろ人に好まれる性格の持ち主であったようだ。紆余曲折の人生であるが、最終的には剣術大会で引き抜かれた形である道場の後継者にまでなった。
それぞれの人生を通して人と人との繋がり、十人十色の思惑などから、生きることの面白さであり難しさを改めて思い知ることのできる作品である。 -
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鬼平犯科帳 (21)
20巻で、探索方から勘定方に戻されてしまっていた細川同心が非番の日に手柄をたてる「泣き男」。めでたく探索方に戻ったはいいのですが、自分にとって都合の悪いことを隠すという悪いクセが治らず、鬼平さんに怒られていました。
この細川同心と同じくダメっぷりを見せてくれるのが、「麻布一本松」での、木村忠吾さん(この人はもうお約束)。
この二人のように、ある意味笑えるダメさ加減ならまだよいのですが、火盗改方の同心でも洒落にならない破滅をしてしまう人がいます。今回は「春の淡雪」で登場した、大島同心がのっぴきならないところまで追い詰められ、悲惨な末路になりました。
色んな部下が居て、それを束ねる鬼平さん。懐が深く、まさに理想の上司だと思います。 -
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鬼平犯科帳 (17)
特別長篇「鬼火」。
無愛想な夫婦が営む「権兵衛酒屋」。その居酒屋が突如襲撃されてしまい、店の女房は斬られ、亭主はいずこかへ逐電しています。
居合わせた鬼平さんが捜査にあたりますが、捜査の行く先々で狙われたり事情を知る人が殺されてしまいます。
さらに残虐な押し込み強盗まで発生し、またまた火盗改方に厳しい闘いの日々が・・。
今回は、大身旗本の家事情が絡むだけあって、鬼平さんの上司・京極備前守様の理解と信頼が心強かったです。
前回の特別長編「雲竜剣」では、きちんと仕事をしていた忠吾さんでしたが、なぜか今回は鬼平さんに叱られるような言動ばかりしていました。なかなか成長しないところが彼らしいです。
活躍というか、頑張っていたのは鬼平さんの旧友でもある井関さんと、13巻「夜針の音松」にて、変な性癖で女性読者をドン引きさせていた(?)同心・松永弥四郎さんがよく働いていた印象です。
因みに今回登場した、浪人の高橋勇次郎さんは、なかなか愛嬌のあるキャラでしたので、今後の登場も期待します。 -
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鬼平犯科帳 (15)
今回は特別長編「雲竜剣」という事で、読み応えばっちりのスペシャル版となっております。
二夜続けて腕利きの同心が殺害され、その剣の手練は、半年前に鬼平さんを襲った凄腕の剣客を彷彿させるもので・・。
正体不明の恐るべき強敵の前に、暗中模索の火盗改方の面々。まさに“総動員体制”で事にあたりますが、それでも手が足りず、鬼平さんの剣友・左馬之助さんも駆り出される始末です。
手の付けようがない程の困惑状態から、絡んだ糸をほぐすように事を明らかにしていく過程に、自分も探索の一員になったような気持でページを繰りました。
そして、鬼平さんはじめ火盗改方の与力、同心、密偵の皆さんが一丸となっている姿に胸が熱くなりました。忠吾さんもいつになくテキパキと仕事していましたね。左馬之助さん、久栄さんもお疲れ様でした。あ、辰蔵さんもラストで頑張っていましたね。 -
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鬼平シリーズ第三作。
今回は火盗改方を解任となった平蔵が、父の墓参のために京へ行くの巻。
とはいえ、のんびりした旅になることはなく、行く先々で悪党に出会い、事件に遭遇し、時に命を狙われ危険な目に遭いながらも見事解決していく。
このシリーズでは平蔵は度々火盗改方を解任されているが、平蔵の失敗があったわけではなく、時には政治的思惑があったり、今回のように大きな事件がなく休暇代わりの解任というのもある。
先に書いたようにこの休暇を利用して、京にある父の墓参りに行くことにした平蔵がお供に選んだのは前回登場回数が多かった木村忠吾。
危なっかしい忠吾だが、なんだかんだで平蔵は気に入っているようだ。
だがせっかく平蔵にアピールする機会だというのに、忠吾はまたもや女性に現を抜かす。
しかもその女がなんと盗賊の一味で、平蔵若かりし頃にかかわり合いがあって…。
ここまで来ると、忠吾がどこまでだらしないのか、お間抜け振りを見せてくれるのか、期待すら感じて来た。
何しろ平蔵に釘を刺されても刺されてもフラフラと女の元へ向かって行くのだ。もうそういうモノだと諦めるしかない。
だが最後の最後で踏みとどまり、同心としての役目も何とか果たすのだから、悪運が良いというか、何と言うか。
それに今回の旅でかなり痛い目に遭ったので、少しは目が覚めたようだが、それもいつまで続くのか、それともこの旅を機に覚醒してくれるのか。
今作で印象的だったのは岸井左馬之助との友情。左馬之助の幼馴染が悪党として現れ、心配のあまりに追いかける左馬之助の影で、平蔵は忠吾と共に幼馴染が起こした事件と向き合う。
平蔵に心配を掛けまいと幼馴染のことを打ち明けない左馬之助と、左馬之助を傷付けまいと何も言わない平蔵。
二人の互いを思う気持ちが良い。
もう一つは平蔵の妻・久栄。
ドラマではキレイで平蔵を支えるよき妻という印象的しかないが、意外に肝が座りかつ冷静な判断が出来る、さすが火盗改方の妻という一面を見せてくれる。
『女は、男しだいにございます』
という通り、久栄は平蔵と出会い共に生きるうちにこのような新たな一面を身につけたのだろうが、平蔵もまた久栄がいるから心置きなくお役目に邁進出来るのではないか。
こうして見ると、やはりお似合いの夫婦だ。 -
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一連の幕末物語で、前回読んだ幕末遊撃隊の主人公「伊庭八郎」も重要な役割で出てきます。
まあとにかく色んな人が登場し、それがどれも幕末期の誰でも知ってる重要な人物なので頭が混乱します。
「仁-jin」なんかとも混乱しますし。。。
勝てば官軍という言葉がありますが、幕末期の徳川が封建制度の中心で悪者、倒幕側は西郷、坂本龍馬・・・等が正義のようなイメージを持っていましたが、それぞれの立場、考え方、人柄・・・そんな簡単に白黒つけられる物ではないという事がよくわかります。
私もどちらかと言えば社会科は嫌いな方で、この辺の史実は教科書ぐらいしか知りませんでしたが大変勉強になりました。
この物語に出てくる中村半次郎>人斬り半次郎>桐野利秋も素晴らしい人物なので、次に読む本は「人斬り半次郎」ですかね、やっぱり。
池波正太郎は、剣客商売、鬼平犯科帳、仕掛人・藤枝梅安・・・等、数十冊は読んでますが、まだまだだなぁ・・・。