池波正太郎のレビュー一覧
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歴史小説の面白いところの一つは、現在についても描かれていることである。つまり、「今ここには何があってこうなっている」というものだ。
もっとも、物語が書かれた時点での“現在”なので、必ずしも今現在を反映しているわけではない。それでも、ここではかつてこういう出来事があったのかということを想像しながら読めるところに、歴史小説の面白さがある。
本巻では後半に、徳川、北条、上杉という大勢力に囲まれた真田昌幸がどうやって乗り切るかが描かれている。
この攻防はさらに続くが、大河ドラマ「真田丸」でも描かれた攻防と駆け引きが、この物語でも見事に表現されており、スリルを感じながら読み進めることができる。 -
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歴史小説には、主人公がはじめのうちは登場しないものが少ない。
この物語もそうで、真田昌幸が登場するのは話が少し進んでからである。もっとも、この物語の主人公は“真田一族”であり、特定の人物ではない。その意味で、群像劇の様相が強い。
本巻のハイライトは2つ、すなわちはじめの甲斐武田氏の滅亡と、本巻の締めくくりである本能寺の変であろう。いずれの事件も、その後の真田家に大きな影響を与えたからだ。
なお、武田氏の滅亡とは対照的に、本能寺の変は織田信長の視点ではなく、真田家の忍びであるお江の視点で描かれている。この書き方の方が、リアリティを感じさせ、また真田家に待ち受ける運命をより強く暗示させるから -
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ぽつぽつ読んでいる鬼平シリーズももう10冊目。
「犬神の権三」鬼平が見込んで密偵に加えた雨引きの文五郎の裏切り。義理人情に駆られ、捕らえられた元盗賊仲間を脱獄させた文五郎だが…何ともやりきれない結末だった。
「鬼の平蔵」が「本所の銕」に戻る瞬間が好き。おまささんとおしげさんの百合シーン(?)もあったりで、鬼平犯科帳に死角なし。
「むかしなじみ」も同じようなストーリーで、彦十お前もか…!となったけど、こちらは密偵たちが一丸となり、未遂に終わる。よかった。
「消えた男」生真面目な佐嶋のキャラが良い。高松繁太郎も鬼平という理想の上司の元で密偵として腕を振るってくれることを期待したのにあっさり殺されて -
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各地の名店ズラリ
池波正太郎は、行きつけの店についてエッセイで結構書いています。これまで読んだものでは、都内の行きつけや大阪・京都などの関西方面が中心でしたが、本書ではそれにとどまらず横浜や名古屋、滋賀、信州など幅広く書かれています。
作家さんて部屋に篭ってずーっと原稿用紙と向き合っているイメージが強かったのですが、池波正太郎は本当に色んな所に出かけていて、それで作品を書き上げるというのは凄いなぁと思いました。
いや、色んな所に出かけるからこそ、刺激を受け作品が生まれる、のかもしれませんね。
江戸時代の残り香
本当に色んな所で色んな店に入っていますが、共通しているのは昔の香りが残っているお