あらすじ
「試写室を出ると夕闇がたちこめている。すぐさま、京橋の〔与志乃〕へ行く。」──60代の池波正太郎が「週刊文春」に連載した“正太郎絵日記”。著者直筆のイラストとともに、映画や演劇、愛用の万年筆に帽子、食日記や酒、旅行のことなど、洒脱な文章で穏やかな老熟の日々が綴られる。何げない日常が、まるで小さな物語のようにも感じられるショート・エッセイと、それを彩る絵筆の妙とを二つ一緒に楽しめる、趣き深い画文集。
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Posted by ブクログ
何十回目かの読み直し
「朝のうちに、今日はこれをやろうときめたことは必ずやってしまう。何といっても、私の一日はこの三時間にかかっている。この三時間にすることを朝から考えつづけている。」
何回も読んだこの文章
「時間術大全」のハイライトだと気づく
Posted by ブクログ
時代小説の大御所が描く日常は、なんだかモダンな昭和60年の東京。著者によるイラストもラフなんだけど味わい深い。この本を肴にブランデーをチビチビやるのが一番良いみたいだ。夜明け前でなくとも。
Posted by ブクログ
思いつくまま気ままに筆を運んでいるように見えて、黒澤明の『乱』をはじめ試写評などは劇作家としてなかなか読ませる批評となっている。著者自身による挿絵もどこか茶目っ気が感じられて楽しい。
気学(占いとは違うらしい)に凝っていたという意外な一面も。
Posted by ブクログ
人生の師、池波正太郎先生のエッセイ集。週刊文春連載のものらしい。先生が60歳を越えたあたりに執筆したものらしく、同じような年齢となっている事に不思議な感動を覚えた。
Posted by ブクログ
『夜明けのブランデー』は、『江戸前 通の歳時記』や『日曜日の万年筆』によく書かれていた子供の頃や青年の頃の思い出話よりも”今”のことが多いです。
当時ハマっていた気学のこと、フランス旅行のこと、絵画のこと、様々な映画(洋画)のこと、気管支炎を患い入院したことなどなと。
池波正太郎先生は、還暦過ぎに気管支炎を患って初めて入院したそうで、それ以前は日付が変わった後から仕事していましたが、退院後は早く寝るようになり、仕事を始めていた時間帯には就寝するようになったそうです。
長年真夜中に仕事をしていたようですけど、お年のせいか、病後の体力低下のせいか、生活リズムはかなり変わったようです。
気学やフランス、絵画や洋画など、興味は湧いても普段なかなか見られない世界なので、週末お茶を飲みながら読むのになかなか良い本でした。