池波正太郎のレビュー一覧
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若くして夫を亡くし子もないため、老舗の銘菓店を夫の弟夫婦にゆずり、彼らを指導し盛り立てようよとする未亡人お歌。しかしこの弟が箸にも棒にもかからないダメな奴。お歌の実家は名立たる料理屋で、後を継いでいる兄は、お歌に戻ってきて店を切り盛りしてほしいと切に願っている。
そんな中、お歌は雨宿りをしていた小屋に居合わせた源吾という年齢不詳で得体のしれない男にわけのわからぬ間に犯されて陶酔してしまう。怒りと同時にだんだんと源吾にひかれていくお歌。実は、この源吾は武芸、体術の達人で、お歌が巻き込まれる苦難を助けることに。ハラハラする展開に次々とページを繰ってしまう。
本作を読みながら、「旅路」という作品を思 -
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人知れずこの世の悪を討つ殺し針が圧倒的カタルシスを生む。現代に甦るコミック・ノワールの決定版。
ひょんな事から襲われた若侍を保護する梅安。
しかし、その若侍は記憶を失っていた。
時を同じくして舞い込む大身旗本の《仕掛け》(暗殺)の依頼だったが、標的である旗本の家紋と若侍の羽織の定紋はなんと同じ物だった……。
旗本のお家騒動と盟友・小杉を匿う梅安への刺客、そして依頼主の想いが交錯し、運命の奔流となり梅安に迫る。
盟友・小杉十五郎を、仕掛けの世界から足を洗わせるべく梅安達が奮闘する「さみだれ梅安」(前中後編)、そして記憶喪失の侍を巡るシリーズ初の長編「梅安針供養」(全4編)の計7話を収録した第6巻 -
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上方に身を隠していたはずの小杉十五郎が、再び江戸に現れた。
盟友との再会を喜ぶ藤枝梅安は声をかけようとするが、小杉は何者かに尾行されていたのだった……。
過去の因縁に真っ向から対峙する小杉と、その裏の梅安たちの暗躍を描く「梅安流れ星」(前後編)ほか、「梅安最合傘」「梅安迷い箸」(ともに前後編)の全6話を収録した第5巻。
今回は、過去の因縁に真っ向から対峙する小杉と、その裏の梅安たちの暗躍を描く「梅安流れ星」(前後編)ほか、梅安の恩人との再会と仕掛けを描く「梅安最合傘」、梅安の仕掛けを見ながら黙っていた座敷女中の真意と仕掛けを描く「梅安迷い箸」(ともに前後編)。
表向きの針医師の仕事が忙しいせ -
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岡っ引きの死を見届けたことをきっかけに、梅安の命を何者かが狙いだす「闇の大川橋」。暗黒街の元締同士が互いの命を狙い合う「梅安鰹飯」など、江戸の暗黒街を生きる者たちの峻烈なる生き様を描いた全5話を完全収録。ピカレスクロマン第4巻。
岡っ引きの死を見届けたことをきっかけに、梅安の命を何者かが狙いだす「闇の大川橋」。暗黒街の元締同士が互いの命を狙い合う「梅安鰹飯」。子を折檻する母に殺意を抱いた梅安だが、その母にはワケがあり「殺気」。
仕掛け針を苦しむ親子を救う為に使い、元締め同士の仕掛け合いに巻き込まれるけど正しい方に仕掛け針を使う藤枝梅安の仕掛人としての美学が現れたエピソードが満載の4巻。 -
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殺し針で外道を闇へと葬る。
鍼の名医でありながら殺し屋として悪党・外道を葬る藤枝梅安の活躍を描いた池波正太郎の同名時代小説の漫画版傑作ピカレスク、最新第2巻。
今回は、非道な殿様に追われる侍二人を仕掛ける「後は知らない」、彦次郎が借りのある元締めから受けた仕掛けの顛末「梅安晦日蕎麦」、小杉十五郎という侍から間違えて命を狙われたことから始まる大がかりな仕掛け「梅安蟻地獄」。
梅安や彦次郎の金の為に命を奪うが、嘘をついて仕掛けさせる元締めも敵に回す江戸の暗黒街に生きる仕掛人の誇り、梅安と彦次郎と小杉のお互いに命を預け合う者同士のブロマンスが強調されよりハードボイルドさが増した第2巻。 -
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必殺の針で悪を葬る、暗黒街の殺し屋。
鍼の名医でありながら殺し屋として悪党・外道を葬る藤枝梅安の活躍を描いた池波正太郎の同名時代小説の漫画版傑作ピカレスク、最新第1巻。
今回は、繁盛していた料亭を廃れさせた料亭の悪い女将を仕掛ける「おんなごろし」、かつて梅安と因縁のある元侍の仕掛人との対決「殺しの4人」、梅安の相棒の彦次郎の仇を梅安と共に仕掛ける「秋風二人旅」。
さいとうたかおに比べたら少年漫画よりの絵柄だが、梅安や彦次郎のかっこよさがより際立っている。
込み入った仕掛けの理由や真相を調べるサスペンス要素があって、腕に覚えのある仕掛人同士のバトルや仕掛けシーンが迫力あって惹きつけられるし、 -
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新潮文庫
池波正太郎 「食卓の情景」
食のエピソードのなかに自伝的要素や人間ドラマが多く織り込まれたエッセイ。著者の人生観、仕事観も垣間見ることができる。なかでも、師匠の 長谷川伸 とのエピソードは 感動的であり、長谷川伸に興味を持った
人気作家たる ゆえん を感じさせるのは、人間観察力の鋭さ。食より料理人の姿勢や店のサービス を見ている。歴史小説家となる前の仕事遍歴〜株屋、東京都職員、演劇脚本家〜のエピソードも 人間観察力の鋭さを感じさせる
家庭を「巣」と表現し、巣を守るために 嫁と姑のいさかいをおさめ、食事を一人で食べることになった エピソードも 古き良き時代を感じさ -
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「鬼平犯科帳2」池波正太郎、文春文庫。連載は1967-1989くらいのシリーズで、第二巻なので恐らく初出は1968あたりでは。
舞台は1780年代~1790年代(史実的に長谷川平蔵が火付盗賊改をしていた時代)。実在した長谷川平蔵を主人公にして、ほぼほぼ一話完結で貫かれた連作時代小説。長寿人気シリーズになったのは、各話各話で魅力的なゲスト(多くの場合、そのエピソードの"主演格"。多くの場合が犯罪者)が彩る人間模様ですね。全作通して長谷川平蔵という人間の内面を描く訳では全くありません。
池波正太郎ここにあり、という節回しで、人情味あり、人のどうしようもない悪い面や怠惰な面を -
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永倉新八を主人公に据えた新選組の活躍と衰退。
まず、とても読みやすく躍動感があるので終始楽しく読めました。
悲惨な結末を辿る新選組を題材とした物語も、カラリとした好人物、新八目線となると印象がかなり変わってみえる。主要な志士は勤王派に斃されてしまうが新八は生を全うするところも主人公として嬉しいところ。その晩年の新八(おそらくご子息の本による真実であろう)のえびも痛快です。倒幕と明治維新の複雑な人間模様、多くの役者達の物語はとても興味をそそるが、歴史の表、結論だけを見ると今日の日本を形作る正義の戦いと捉えがちだが、人物達をみると勤王派の徳川方に対する執拗さが際立つ。この時代では将来の反逆の芽を摘