池波正太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ剣客商売シリーズのエッセンスになる短編が盛り込まれていると思う。秘伝の声であったり剣客商売番外編 ないしょ ないしょであったり三冬と同じ男勝りの佐々木留伊が出て来たりと剣客商売シリーズのエキスが詰まっている。
時代の剣客を題材にした話も秀悦で新選組の原田左之助の話は時代背景もあって引き込まれる。最後のごめんよは若き頃の弟への謝罪をする兄の気持ちが温かい。
短編だが本当に色々詰まった一冊です。
さて?前回読んだ仇討群像は今回読んだ仇討群像とは別物なのか?ネットで調べたらこの本一冊しか出てこないが、前回読んだ本とは別の内容?
今回はよろいびつに始まり興奮、坊主雨、波紋、敵、情炎、大石内蔵助、逆転、深川猿子橋という内容。
今回も仇討というテーマの人間模様がこれだけの短編で構成されており、江戸時代の仇討ち等制度の中であの時代の人たちの生き様やそうして生きざるを得なかった人々の仇討ちにまつわる生き方やそうして生きざるを得なかった人生が込められた短編集でした。
しかし、前読んだ仇討群像って??? -
Posted by ブクログ
▼「剣客商売(一)」池波正太郎。新潮文庫、初出は1972年頃、月刊「小説新潮」不定期連載だったそう。「鬼平犯科帳」「仕掛人・梅安」と並んで池波正太郎さんの「三大シリーズ」として(ファンには)説明不要の名作です。ざっくり言うと、
・六十代の隠居状態の剣客・秋山小兵衛
・その息子で町道場を営む剣客・秋山大治郎
・小兵衛に師事する女性剣客・佐々木三冬
の三人がまあ主人公。基本は一話完結で、毎回何かしらか事件が起こって、まあ大まか小兵衛を中心になんらかの解決を見る、という言ってみれば大江戸私立探偵シリーズ。
舞台は1780年代の江戸かと思われます。なぜ分かるかというと、女性剣客の三冬さんが「老中田沼意次の妾腹の娘」という設定で、老中・田沼意次も脇役として登場します。
▼ということは「田沼時代」と呼ばれる1780年代でしょう。ちなみに鬼平犯科帳はその10年くらい後の寛政期。実在の長谷川平蔵が火盗改だったのが1787−1795くらいだったはずなので。
そして「梅安」がその後の1799−1806くらいの設定。江戸という街の爛熟でいうと文化文政の時代かなあとシロウトとしては思いますが、池波さんの好みは違ったのか。あるいは鬼平が実在だったのでその前後を描いたのか・・・。
▼内容は、読んでみて思いますが、「三大シリーズ」が好きな人は、それぞれに好みがあっても全部好きだろうなあ、と(笑)。
やはり基本的には短所はどれも同じで。
A・ご都合に出来ている(偶然が都合よく起きる)
B・主人公が強すぎる(苦戦はしても、絶対に圧倒的に負けないし、そこらあたりの具体技術的な描写は詳しくない)
C・男性本位昭和感性が強い(笑)。まあこれは男女の情事を一定の頻度で軽く描くことも含めて、「だってその時代の連載媒体が99%男性が読むものだったんだからマーケットの需要として仕方ないぢゃん」とも言えますが。
なんです。
「鬼平」は言ってみれば警察商売なので事件と調査が日常ですから、Aに関しては比較的、薄い。(だから鬼平が一番好き、という人も多いのでは)
▼ぢゃあ何が面白いかというと、結局は池波正太郎さんの世界観につきて、具体的にいうと酸いも甘いも苦いも熱いも、キレイゴトから悪臭漂う陰惨さまで、くるんで味わう人情噺、ということでしかありません。それに、探偵小説というエンタメをきれいにかぶせる。そこに、ヒーローものというさらに鉄板安心なエンタメ感がトッピング。
▼ここまでは、池波さんご自身が知っての通り、フランス/ベルギーの作家ジョルジュ・シムノンの「メグレ警視シリーズ」と同じ作り。それにまた、「江戸情緒」をパリに負けじと厚塗りされているのが池波さんの世界観ですね。
▼といわけで第1巻に話を戻すと?スムーズにキャラが紹介されて、なるほどとにかく小兵衛と大治郎の親子はとにかく強くて負けないんだな、ということで安心(笑)。この連載開始時点で池波さんがどうやら50歳くらいだったようですが、秋山小兵衛というキャラがどうやら60歳よりちょっと若いか?60歳か?というくらいのようで、つまりは中年〜初老の男性にとって楽しいファンタジーヒーローなんだなという感じがよくわかります。でもって読者のこっちも丁度50歳なので、そのあまりなファンタジックなヒーローぶりがやや恥ずかしい気もしますが(笑)、とりあえず楽しめちゃうところは作者の巧さだよなあ、と思いました。