池波正太郎のレビュー一覧
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江戸の世に蔓延る悪漢たちに焦点を当てた短編集です。
読後に知ったものですが、こちらはドラマなどにもなった鬼平犯科帳の作者様が書いたものとのことで、鬼平(長谷川平蔵)を初めとする火付盗賊改方を敵方に置いた、悪漢やその周りの人々の視点で話が展開します。
鬼平が登場するのは12編のうち1編のみです。
作者本人もピカレスクと称するように、悪役・悪人の物語が詰まった一冊ですが、悪漢の視点で進む物語というのは、また正義の側から進む物語とは違う魅力があって、気付くとしっかり引き込まれてしまいました。
悪漢には悪漢の考え方があり、流儀があり、ルールがあり、矜持があり、どうしようもない奴だと思う者も -
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▼「殺気の闇」「三人の仕掛人」「稲妻」「春雷」「逆襲」「菱屋の黒饅頭」
▼このあたり、もう完全に「連作短編」ではありません。要は流れで、「白子屋殺害」してしまった梅安が、狙われる。当然狙われる。殺し屋がじゃんじゃかやってくる。もう構造は完全に「カムイ外伝」。
▼なんだけど、カムイと違って梅安は「針医者」でもあるので、そしてその使命を全うしたいので、逃亡しない。当然、居場所がばれてるんだから次々に襲い掛かってくる殺し屋たち。
▼カムイ外伝と違うのは、やっぱり疑似恋愛ホモソーシャル的なバディ仲間が複数居ることですね。もはやその人間関係を描くことが主題なんではないか、というような。 -
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▼剣客商売シリーズを特に予備知識なく読んできまして。このシリーズは基本的に「連作短編」です。鬼平犯科帳もそうです。そうなんだけどこの十巻を読み始めてしばらくして、「あ、これ長編だ」。
▼いきなり壮大なネタバレを書きますが、
要は
・秋山大治郎を名乗って次々に殺人を繰り返すヤツがいる。
・それも、秋山大治郎と田沼意次の関係を知ってか、わざわざ田沼の家来や、
あるいは田沼と犬猿の仲の松平定信の家来を殺す。
・当然大治郎も疑われるし、いろいろガタガタしてくる。
・結局、黒幕は「徳川一橋家」だった。一橋家が、今権力者の田沼と、ライバルの定信の間を翻弄して、次期将軍の座を狙いたい・・・ -
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▼収録作は以下▼待ち伏せ▼小さな茄子二つ▼ある日の小兵衛▼秘密▼討たれ庄三郎▼冬木立▼剣の命脈
▼「ある日の小兵衛」小兵衛が、幽霊を見る。厳密に言うと、旧知のヒトのマボロシを見る。ということは、相手は死んだと思いこむ。確かめに会いに行ってみる。ところが間違っていて、生きていた。相手は若き日に情を交わした女性で、色々思い出す。ちなみにその日いろんなことが起こる。
▼‥‥それだけの話。この、「間違う」ってところが気が利いてます。小粋なモノクロのフランス映画を見るようです。
▼悪い詐欺師をやっつけるんだけど、犯人が昔馴染みだったという「茄子二つ」。
▼死病にあえぎ、最期に大治郎と戦いたい剣士 -
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あまり歴史に明るくない人からしたら、一番最初に出てくる登場人物「向井佐平次」でまず「誰だよ!!」とスタートします。
物語は急に負傷した足軽の救出劇から始まるのだが、それだけでも「なぜ足軽を?」とかの疑問で結構引力ある。そこに、最初から色気があるものだから気になってしょうがない。物語が盛り上がるのはやはりあの銭湯界隈だとは思われる。そして、この巻の最後はあの時代の区切りで区切られる。
私は池波正太郎を初めて読ませてもらったが凄く親切な書き方だ。歴史小説を読む時に登場人物の多さと普段目にしない言葉のオンパレードでストーリーより人物や読み方や意味の方が気になる事が多いが、この本はほぼほぼ無かった -
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本棚の奥から出てきた。
池波氏が「うまい!」と思って食べてきた味と店の思い出が書かれているが「グルメ本ではない」という但し書きがつく。
舌が覚えているのは、思い出と、人の縁。
この作品の最初の刊行は、昭和59年(1984年)で、およそ40年前。今から見たら、すでにむかし・・・かも。
その「むかし」に振り返って、まだ続いている店を紹介していたものだから、現在から振り返れば、むかしむかし、である。
スマホのマップで見たところ、「たいめいけん」や「イノダコーヒー」などのごく有名な店を除いては、すでに残っていないようだ。
跡地がコンビニやビジネスホテルになっているのを見て、味気ない思いと共に時の流れを -
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梅安と相棒のような彦次郎。
この二人の関係もなかなかいいし、人情を全面に出さずに、隠れた人情を感じます。
そして、本を読んでいてある意味納得、感心したことがあります。
それは、何かの分野でプロになる人は、何をやっても極める。ということです。
梅安は鍼医者として名医。彦も楊枝づくりの腕は天下一品。
何故だろう。そして私は考えた。
池波正太郎の鬼平で出てくる“いそぎ働きをしない”昔気質の盗人は、おつとめに時間をかけ、その合間に別の仕事をしていることが常。
別の仕事とはいえ、かなりの腕前であることが多く、梅安たちと同じです。
つまり、習得する持続力、忍耐力、気働きそういったものが養われダークな