よしもとばななのレビュー一覧
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あまりに主人公が痛切で、読む時期を悩んで5年くらい積んでしまった作品。宮本輝との対談「人生の道しるべ」で触れられており、時が来たので読んだ。
幼い時期にアメリカで共同生活をし、お互いの母を自死で亡くしたまこちゃんと嵯峨。日本に戻り、母の記憶を辿りながら自分を開示できる大人や友人を見つけ、ようやくいまの自分と出会いなおす物語。
最初から明るいテイストではなく、死の匂いがぷんぷん。大学での妬み嫉みはあるし、運命共同体である嵯峨との関係が噂立てられたり、悪夢も見る。嵯峨と教授はそんなまこちゃんをよく理解していて、男の優しさを男の言語で伝えようとする。嵯峨は距離が近すぎるからかなかなか伝わらないけど、教授が大人として先生として話してくれる時、すべてはつながる。
もうラストはボロ泣き。そしてやっぱり今でなければ読めなかったと確信する。ばななさんの作品には、たまにこういうタイミングがかちっとはまることがある。 -
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ネタバレ
ハワイが舞台の3つの短編集
個人的に1つ目の【まぼろしハワイ】が
1番好きです。
両親を亡くしたオハナちゃんと
旦那を亡くしたあざみさんが抱き合って泣いてて、その姿をみてしばらくそっとしておいてくれるマサコさんの母親のような優しさと
レストランで泣き出した2人を包み込みながらお店の店員さんに、「この子達親を亡くしたばかりなんだ。ステーキを出すのあと10分遅らせてやってくれ」と気遣ってくれた男前すぎる山本さんの姿と
それに対して優しく頷いてくれるお店の人と
全ての人が物凄く温かくて、沢山愛を感じられた。
私もオハナちゃんと同じで、
母を自殺で亡くしているからこそ
共感というか…どこか懐かしさを感じた。
家族のぬくもりや愛を感じたくなったら、
またこの本という扉を開いて実家に帰ろうかな。
そういう風に思える作品でした。
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Posted by ブクログ
あとがきで、弱っている時にこそじんわりと効いてくる、と言っていたが、まさにそうだと思った。
るみちゃんが私は大好きになった。
るみちゃんの紡ぐ言葉が好きだし、全てが綺麗でなく、水虫があったり寝相が悪い所も、不器用なペディキュアも全部が好きだなと思った。
そして、そんなるみちゃんも過去の孤独だった寂しい自分を抱えたまま過ごしていて、その抱えきれないような寂しさや辛さの延長線上に、ほんのりとした温かさ、優しさを持ち合わせて、負の感情も全部ぎゅっとして生きているところが素敵だった。
私もそんな深みのある人になれるのかもしれない、そんな淡い期待を抱けるようになったし、自分が今精神疾患を患っていて辛いことも、なんだか悪くないのかもと思えるまでになった。この本は大事な本です。きっとこれからも忘れないと思う。 -
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すごい本を読んだ。よしもとばななさんの文体ってなんでこんな不思議なのにすんなりと心に滑り込んでくるんだ?(エッセイは読んだことあったけど小説は初めて読んだ。)
どう考えても悪い人だろうに、それを決めつけない優しさがそこかしこに散らばっていて優しいお話たちだった。
許さざるをえなくて、そうしないと自分で自分を救えない、とかもあるだろうか。なんかその真っ直ぐじゃない真っ直ぐさがすごく好きだ。脆い自分をなんとか保っているような感じが。
短篇集として全体的にとても良かったけど、特に好きだった3つ。
・「おかあさーん!」
・あったかくなんかない
・デッドエンドの思い出
あと、他の小説を読んでないので分からないけど、案外するっと性の話題が出てくるのでびっくりした。えっ!そんなさっくりと!じっくりと!?ってなる。 -
Posted by ブクログ
数日前から体調が悪く、病院にかかったらやはりインフル。高熱がでるわ頭は痛いわ咳が止まらないわで死にかけになって本も読めず。ようやく回復してきて手に取ったのがデッドエンドの思い出。体調は良くてもメンタルが追いついていなかったのか、2話目の「おかあさーん!」は私にクリティカルヒット。自分がいったん決めたことを変えるのが、頑なまでにできない主人公が柔軟さや優しさ、深い愛に触れ自分をあるべき場所に戻していく話。ボロ泣き。自分が弱っている時に、優しい話に触れるとてんでダメ。p.120のゆうちゃんが、せっかくとった休みで結婚したり新婚旅行に行ったりしようかと優しく声をかけてくれた所は、主人公と同じくそんな簡単に予定を曲げてもいいんだとハッとして辛かった心がスっと軽くなったのと、p.127の主人公がおかあさーんと泣きつき胸に抱き寄せてくれる所、もうだめ。もう、だめ。
人間は大きい川の中でいきている。大枠の中で生きている。だからだれかが欠けたりしても流れが滞ることがない。それをポジティブに捉えるのが2話目。それをネガティブというか寂しさと思い捉えたのが3話目。
自分ももう世界がひっくり返るような天変地異のような恋愛をして失恋をして、何もかも変わってしまったと思ったけど次の日は何事もなく流れているのであっけらかんとした思い出がある。それは気が楽でもあれば寂しいことでもある。
ただ、その漠然とした有象無象の中で積み上げた自分の行動や選択は、誰かに干渉されずともそれが報われようともそうでなくとも、綺麗で透明ななにかがしっかりを見ていてくれているしひとりぼっちではないという救いの考え方。
それがいなくても、自分が自分を見ているから、大丈夫だよ。
ともちゃんの生き方はとても素敵だ。父親の不倫相手に「それって誰のための人生なんですか。」と問えるような強い心を持って、大切にしているものをしっかりと自分で守れて、「大切にしているものがきれいな輪になって周りに存在していることが、ともちゃんに
とっての人生だった」(p.171)なんて。