よしもとばななのレビュー一覧
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従妹のチエちゃんと暮らす「私」の日々。未婚の母とオーストラリアのヒッピーコロニーのようなところで育ったチエちゃんはちょっと独特な感性をもっている。そんなチエちゃんの言動も以下のような感じですてきなんだけど……
「私はサーフィンをしなくて見ているだけだけれど、見るのは好き。ずっと見ていると少しわかってくる。今日の午後、どんな波が来るのか、ある程度予測はつくんだよね。うんと慣れてくると。でもそこが人というものの弱いところで、サーフィンをする生活が数年続いてルーチンになってくると、いつかの天候、そのときの波と比べるようになってしまうし、波のことがわかったような気になってきてしまうみたい。それでケガし -
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随分昔、子どもの頃に読んで印象的だった「とかげ」がリメイクされていたと聞いて手に取りました。
併録されているとかげと読み比べると、うんうん、確かに本筋もところどころの描写もそのまま、仕事への取り組み方、人との関わり合い方、生きる事への姿勢がより深く描写されて「人」が彼らに落とす「影」の部分と、それにより浮かび上がる光がより感じられる物語が繰り広げられているな、と。
ぎゅっと削ぎ落とされた濃密な空気の詰まったとかげ、そこからより一歩深く闇と光が色鮮やかに見えてくるひとかげ、どちらからもよさが手に取るように伝わって心地よくやわらかに胸に落とされる光と影を感じました。 -
Posted by ブクログ
2013年11月24日、京都精華大学創立45周年記念事業として行われたダライ・ラマ法王による講演会二日目に、よしもとばななさんの朗読がありました。先日、この動画をYouTubeで観たのですが「小さないじわる」という言葉と説明にドキッとさせられました。私自身がこの「小さないじわる」に身に覚えがあったからです。小さないじわる、とても的を得ていて自省を促す言葉です。
「小さないじわる」について、ばななさんはもっと詳しく著書に書いてないだろうか?と探し当てたのが本書です。結果的に本書は、あくまで講演録だったのですが、この「小さないじわる」を自制するためのアイテムとして、有効に活用していこうと思い