横溝正史のレビュー一覧
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恐るべき生首風鈴事件から約二十年の時を経て、再び起こる酸鼻な事件。複雑で隠微な人間関係の数々が絡み合い、おどろおどろした雰囲気を盛り立ててくれます。世代をまたいで受け継がれるかのような因縁がもうたまりません。そしてもちろん、ここで過去の事件の真相も明らかになりましたが。想像の斜め上を行くとんでもなさでした……。
無残で悲愴でどうしようもない悲劇の物語ではあるのですが。不思議と読後感は悪くありません。まるで救いのないわけでもないのか。そして金田一耕助最後の事件なので、有終の美という雰囲気もありますかね。
ところでトリック、最近読んだ「蝶々殺人事件」と一緒だなあ、って思っていたら。作中でしっかり言 -
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長編「白蠟変化」、短編「焙烙の刑」「花髑髏」の
計3編収録。
いずれも名探偵・由利麟太郎&新聞記者・三津木俊助のコンビが活躍するが、
ドラマ化された「花髑髏」に辿り着くまでが長かった……(苦笑)。
以下、各編についてネタバレなしで少々。
「白蠟変化」
タイトルの読みは「びゃくろうへんげ」。
1936年『講談雑誌』連載。
男女の愛憎入り乱れる中を飄々と飛び回る怪人・白蠟三郎。
悪人だが意外にしおらしいところもある(笑)し、
妙な哲学を持ってもいて、
愛する人の冤罪を晴らそうと必死になっていた女性をいじらしく思ってか、
妙な気の回し方をする、という……。
一人二役や悪漢の跳梁ぶり -
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横溝正史『花髑髏』角川文庫。
4ヶ月連続復刊刊行の由利麟太郎シリーズ第4弾。名探偵・由利麟太郎と助手の三津木俊介の活躍を描いた『白蝋変化』『焙烙の刑』『花髑髏』の3編を収録。
フジテレビ系列で吉川晃司を由利麟太郎役に5週連続でドラマ化。テレビドラマの第1話は奇しくも本作の表題作『花髑髏』だった。舞台は現代にアレンジされ、奇妙な風体の由利麟太郎がヒーローぽく冒頭から登場するのだ。作品を読む限り、由利麟太郎は枯れた人物のイメージだったが……何しろあの吉川晃司なのだから仕方がないか。
『白蝋変化』。由利麟太郎シリーズとしては珍しく混み入ったプロットの短編。妻殺しで死刑囚として刑務所に収監された -
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長編「蝶々殺人事件」と短編「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」の
計3編収録。
以下、ネタバレしない範囲でザックリと。
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「蝶々殺人事件」
戦後再会した探偵・由利麟太郎と新聞記者・三津木俊助。
二人は過去の難事件を回想し、残された資料を元に
三津木が小説を書いてはどうかという話になり、
昭和12年、原さくら歌劇団に降りかかった惨劇について、
当時のマネージャー土屋恭三が綴った日記が開陳される。
東京公演に引き続き、大阪へ向かった原さくら歌劇団だったが、
稽古の直前になっても肝心のさくらが到着せず、
一同が気を揉んでいると、
オーケストラのコントラバスのケー -
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横溝正史『憑かれた女』角川文庫。
名探偵・由利麟太郎シリーズの復刊。4ヶ月連続刊行の第2弾。表題作、『首吊り船』『幽霊騎手』の3篇を収録。表題作は群を抜いて面白いが、他の2編は平凡かな。
そう言えばと、昔読んだ横溝正史の角川文庫版にはよく表題作の他に短編数編がおまけのように収録されていたのを思い出した。
表題作『憑かれた女』。如何にも横溝正史らしい、おどろおどろしい奇怪な事件から物語は始まる。アザミ酒場をメインに遊んでいた西条エマ子は自称探偵小説家の井手江南と共に立ち入った不気味な洋館で、暖炉で焼かれる女性死体を目にする……事件は猟奇連続殺人の様相を呈し、いよいよ名探偵由利麟太郎と敏腕事 -
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明治の元老、種館種人が建てた迷路荘でかつて残虐な殺人事件が起きた。
種人の息子一人が妻の加奈子と当時下宿していた尾形静馬の不貞を疑って二人を殺害しようとした。
加奈子は殺されたが一人は静馬に反撃を受けて殺害された。片腕を切り落とされた静馬は裏山の洞窟に逃げてそれ以来消息が分からなくなった。彼が生きてるのか死んでいるのか誰にも分からなかったが、そんな静馬の影が現代になって現れた…
迷路荘の隠し扉などの仕方を上手く使っていたのと種館家に恨みを持った静馬を思わせる変装した片腕の男が現れたり読書の想像を膨らませてくれる様々な要素があって面白かったです。 -
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横溝正史の作品には、「長編はめちゃくちゃ面白いが短編はそこまででも…」というイメージを持っていたのだけれど、この本を読んでそれは大間違いだったと気付かされた。あの短いページ数でこれだけのドラマを見せてくれるなんて。それはものすごい技巧であるのに、それを必要以上に感じさせず、さらりと読ませてしまう。すごい。どの短編も楽しかった。めくるめくワンダーランドのような一冊だった。中でも特に面白いと思ったのは「妖説血屋敷」「青い外套を着た女」だった。恐ろしい昔話に彩られたものから、軽快な読み口のもの、不思議な後味のもの……本当に楽しい読書の時間だった。
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購入済み
夢にまで見るものすごさ
八つ墓村の話は、テレビでもよく見たような記憶があるが、当初は、怖くて読む気がしなかったが、読み始めると、つぎどうなるのか、次、どうなるのかと引きずられて最後まで読んでしまった。夜中、突然、目が覚めて、夢だったのか現実だったのか、自分が当事者のような錯覚を覚えた怖かった。
読み終わってから、森美也子が犯人だと知って、動機が分からなくって、今までの推理小説と違う印象を受けた -
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横溝正史『丹夫人の化粧台 横溝正史怪奇探偵小説傑作選』角川文庫。
横溝正史の初期短編14編を収録。角川文庫から横溝正史の新編集本が刊行されるのは15年振りらしい。30年前は本屋に行けば必ず角川文庫の横溝正史作品が並んでいた。当時は書棚に並んだ黒い背表紙に緑色のタイトルに目を引かれ、読み漁ったものだ。本作の場合は黒い背表紙に白文字タイトルだった……
今読み返すと流石に時代を感じるし、今では差別用語となった言葉も登場し、少しドキリとする。
横溝正史の作品は江戸川乱歩の作品とも似ているが、江戸川乱歩よりも陰湿で底知れぬ不気味さを感じる。いつも事件を颯爽と解決してしまう神出鬼没の明智小五郎に対し -
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ネタバレ戦前戦後を通じて映画界のスターである鳳千代子には四回の離婚経歴があり、そのうち最初と二番目の夫は不可解な死を遂げていた。
今また三番目と四番目の夫が軽井沢で変死を遂げ、金田一が捜査に乗り出す。
大女優の派手な男性遍歴を軸にマッチ棒のパズルや不可解な数式、そして奇妙な所で見つかるライター等魅力的な小道具満載の長編。
ただ長さの割にそれら小道具が活かされているとは言い切れず、事件の解決も金田一の捜査や推理ではなくある人物の独白によって終わってしまうのが味気無かった。
推理小説とは必ずしも探偵が解決するとは限らないと割り切ればそれなりに楽しめるのだが。