横溝正史のレビュー一覧
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長編「蝶々殺人事件」と短編「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」の
計3編収録。
以下、ネタバレしない範囲でザックリと。
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「蝶々殺人事件」
戦後再会した探偵・由利麟太郎と新聞記者・三津木俊助。
二人は過去の難事件を回想し、残された資料を元に
三津木が小説を書いてはどうかという話になり、
昭和12年、原さくら歌劇団に降りかかった惨劇について、
当時のマネージャー土屋恭三が綴った日記が開陳される。
東京公演に引き続き、大阪へ向かった原さくら歌劇団だったが、
稽古の直前になっても肝心のさくらが到着せず、
一同が気を揉んでいると、
オーケストラのコントラバスのケー -
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横溝正史『憑かれた女』角川文庫。
名探偵・由利麟太郎シリーズの復刊。4ヶ月連続刊行の第2弾。表題作、『首吊り船』『幽霊騎手』の3篇を収録。表題作は群を抜いて面白いが、他の2編は平凡かな。
そう言えばと、昔読んだ横溝正史の角川文庫版にはよく表題作の他に短編数編がおまけのように収録されていたのを思い出した。
表題作『憑かれた女』。如何にも横溝正史らしい、おどろおどろしい奇怪な事件から物語は始まる。アザミ酒場をメインに遊んでいた西条エマ子は自称探偵小説家の井手江南と共に立ち入った不気味な洋館で、暖炉で焼かれる女性死体を目にする……事件は猟奇連続殺人の様相を呈し、いよいよ名探偵由利麟太郎と敏腕事 -
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明治の元老、種館種人が建てた迷路荘でかつて残虐な殺人事件が起きた。
種人の息子一人が妻の加奈子と当時下宿していた尾形静馬の不貞を疑って二人を殺害しようとした。
加奈子は殺されたが一人は静馬に反撃を受けて殺害された。片腕を切り落とされた静馬は裏山の洞窟に逃げてそれ以来消息が分からなくなった。彼が生きてるのか死んでいるのか誰にも分からなかったが、そんな静馬の影が現代になって現れた…
迷路荘の隠し扉などの仕方を上手く使っていたのと種館家に恨みを持った静馬を思わせる変装した片腕の男が現れたり読書の想像を膨らませてくれる様々な要素があって面白かったです。 -
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横溝正史の作品には、「長編はめちゃくちゃ面白いが短編はそこまででも…」というイメージを持っていたのだけれど、この本を読んでそれは大間違いだったと気付かされた。あの短いページ数でこれだけのドラマを見せてくれるなんて。それはものすごい技巧であるのに、それを必要以上に感じさせず、さらりと読ませてしまう。すごい。どの短編も楽しかった。めくるめくワンダーランドのような一冊だった。中でも特に面白いと思ったのは「妖説血屋敷」「青い外套を着た女」だった。恐ろしい昔話に彩られたものから、軽快な読み口のもの、不思議な後味のもの……本当に楽しい読書の時間だった。
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購入済み
夢にまで見るものすごさ
八つ墓村の話は、テレビでもよく見たような記憶があるが、当初は、怖くて読む気がしなかったが、読み始めると、つぎどうなるのか、次、どうなるのかと引きずられて最後まで読んでしまった。夜中、突然、目が覚めて、夢だったのか現実だったのか、自分が当事者のような錯覚を覚えた怖かった。
読み終わってから、森美也子が犯人だと知って、動機が分からなくって、今までの推理小説と違う印象を受けた -
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横溝正史『丹夫人の化粧台 横溝正史怪奇探偵小説傑作選』角川文庫。
横溝正史の初期短編14編を収録。角川文庫から横溝正史の新編集本が刊行されるのは15年振りらしい。30年前は本屋に行けば必ず角川文庫の横溝正史作品が並んでいた。当時は書棚に並んだ黒い背表紙に緑色のタイトルに目を引かれ、読み漁ったものだ。本作の場合は黒い背表紙に白文字タイトルだった……
今読み返すと流石に時代を感じるし、今では差別用語となった言葉も登場し、少しドキリとする。
横溝正史の作品は江戸川乱歩の作品とも似ているが、江戸川乱歩よりも陰湿で底知れぬ不気味さを感じる。いつも事件を颯爽と解決してしまう神出鬼没の明智小五郎に対し -
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ネタバレ戦前戦後を通じて映画界のスターである鳳千代子には四回の離婚経歴があり、そのうち最初と二番目の夫は不可解な死を遂げていた。
今また三番目と四番目の夫が軽井沢で変死を遂げ、金田一が捜査に乗り出す。
大女優の派手な男性遍歴を軸にマッチ棒のパズルや不可解な数式、そして奇妙な所で見つかるライター等魅力的な小道具満載の長編。
ただ長さの割にそれら小道具が活かされているとは言い切れず、事件の解決も金田一の捜査や推理ではなくある人物の独白によって終わってしまうのが味気無かった。
推理小説とは必ずしも探偵が解決するとは限らないと割り切ればそれなりに楽しめるのだが。 -
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中編「悪魔の降誕祭」「霧の山荘」と短編「女怪」の三作品。金田一耕助の事務所で依頼人が殺されたり、金田一耕助の恋愛事情が示されたり、金田一耕助が騙されたりと、金田一耕助にまつわる事件集。
「悪魔の降誕祭」
金田一耕助の事務所で依頼人が殺されるという大胆不敵な犯行。依頼人は今後起こりそうな殺人の相談のために訪れたものであり、その通りにクリスマスパーティーで依頼人の関係者が殺される。
依頼人は携帯していた薬による毒殺であったにも拘わらず、犯人が金田一の事務所を訪問した上で、日めくりカレンダーを12月25日までやぶいた謎、依頼人が持っていた写真が切り取られていた謎、道明寺とたまきに呼び出し状を出した -
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第一巻を読んでないけど(本書はシリーズ2作目)、べつにどってことなく楽しめた( ´ ▽ ` )ノ
ヨコミゾ先生の作品にはずいぶん親しんできたけど、捕物帳は初めて( ´ ▽ ` )ノ
やっぱり面白いね( ´ ▽ ` )ノ
映画化前提で書かれたと解説にあったけど、キャラ造形からストーリーからセリフ回しから、まるきり映画黄金時代の東映時代劇(といっても、その手の作品はほとんど見たことないけど)( ´ ▽ ` )ノ
単純明快、痛快無比、大衆迎合( ´ ▽ ` )ノ
さすがヨコミゾ先生らしく淫靡さオドロしさもあるけれど、昨今のイヤミスと違ってそのものズバリの描写がないから、後味は悪くない( -
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昭和5年。隠し扉やどんでん返しが
ふんだんに施された通称迷路荘で、
主人やその妻が殺害される事件が
起こった。真相ははっりしないまま。
昭和25年。
迷路荘にかつての惨劇の時と同じ
左腕のない男が姿を現し、
家人達は不安を募らせ、
現在の館の主人は金田一に調査を依頼。
そして発生する連続殺人。
綾辻行人の館シリーズに登場しそうな
仕掛けだらけの館。
更に館の下には地下道が通っている。
ボリュームがあって読み応えは抜群。
複雑な人間関係が事件をややこしい
ものにしていて、それも魅力的。
迷路のような地下道でくり広げられる
捜査は、冒険小説の様で面白かった。
戦後すぐの時代設定、
街から離れた