横溝正史のレビュー一覧
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ネタバレこんなに長い話だとは思わなかった(息切れ)
美人な女性に群がる男性陣が悉く殺されるこの惨劇の始まりとなった事件まで解き明かすのだから、それは当然か。
でも、その長さを最後まで飽きさせずに読ませられるのは、流石の筆力だと強く感じた。
息切れ起こしているのは、単にこちらの体力がなかっただけの話である。
(何しろ面白いのに4日かかった)
脅迫文に密室殺人(しかも2種類)時間差トリック、ミステリの要素盛りだくさんなところに、謎の男性陣の登場も多く、内容も濃い。
その割に、視点はくだんの女性か、謎の男性寄りなので、金田一探偵の存在感がやや薄い。
第三者から見た金田一探偵みたいな感じで、それはそれで面白 -
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ネタバレ新しくできたマンモス団地に横行する怪文書、そのうちに殺人事件が起きてしまう。最初の被害者は顔がわからないように火傷していた。それはなぜ?被害者は誰なのか。
時代的には、団地という住まい方が新しかった時。本書では、他人と接したくない人にはこの密集した住まい方は辛いともいうし、扉をしめてしまえば自分たちだけの世界であるとも相反することを登場人物たちが言っているが、人の秘密をあばく中傷や噂がどんどん広がっていったこと、その一方、真実は誰にもわからないということがこの物語から感じ取れる。今にも通ずることかもしれない。
前回のもだけど、意外な、殺人容疑者から無意識にはずしてしまうような人が犯人だった。あ -
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ネタバレ500ページの読み応えのある長編作品。
最初に江戸川乱歩に捧ぐとあるが、乱歩作品に影響を受けたものなのだろうか。
冒頭に登場人物紹介があるので、名前を覚えられない私には助かった。
土日に一気に読んだので、霧の降る軽井沢の世界にたっぷりひたれた。
金田一耕助シリーズは、今の時代にはない上流階級の暮らしをする人の世界の中での作品が好きだ。
御用聞きの小僧、婆や、暮らしが落ちぶれたなんて言いながらいちいち細々としたことを頼む、あの感じが私にとってはファンタジーに近い。
霧が深く前もよく見えないゴルフ場の描写などはホラー的な雰囲気も楽しめる。
冒頭の心中に向かうシーンはもの寂しく心に残った。
美 -
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ネタバレ切なくて金田一シリーズの中で結構好きかもしれない。犯人の滋がすごくいい人なんだよなあ、そして小雪ちゃんも、ビンちゃんも結局みんな狂わされただけで、根からの極悪人じゃなかったところが辛い。
女傑の弥生も、実の子や孫には冷たいとは言え、金田一シリーズによく出るような悪女ではなかった。
謎解きがすごいというわけでもなく、生首風鈴に至る過程ももっと凄惨さを想像してたから物足りなかったけれど、それでも事件の背景が哀しくて好きだった。
最後のシリーズとしての終わり方も好き。アメリカから帰ってきて本陣殺人事件を解決し、病院坂の事件を終えてアメリカに帰っていく。 -
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ネタバレ本書では、金田一耕助はほとんど登場しない。
冒頭と最後に出てきて、最後は全てお見通しであったことは語られるが、どのように推理したのかは語られないので、シリーズの中では推理要素は少なめに感じた。
ヒロインの音禰は、今の時代にも通じるモテ要素を持っていると思った(真似したいくらい)。女としてのプライドはあるが、好きになったら情に熱く、便りなげに見えるのに、しっかり自分を持っていていざとなれば大胆な行動もする。でも、好きな男性の前ではか弱い女である。
音禰の彼も最初はチャラついた男だけど重要人物なんだろうな程度に思っていたが、最初のギャップが激しい!彼もまた情に熱く、ちょっとした折り目にキスを求め -
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金田一耕助最後の事件らしいです。しかも解決に約二十年かかるらしいです。なんというスケールの大きな話! もったいつけた前置きも気分をかき立ててくれます。
金田一耕助に持ち込まれた令嬢誘拐事件と、奇妙な結婚記念写真の謎。そこに関わってくる不穏な「病院坂の首縊りの家」とこれだけでも雰囲気抜群なのに、そこで起こる殺人事件の現場の凄絶さが! 絵的に凄まじすぎます。そりゃあそんなもの見たら正気失いそう……そんな中、冷静に写真撮ってたあの人たちがまた凄すぎる(笑)。
事件に絡む人間関係や因縁の複雑さもあってこれは謎めいた面白い事件だと思いきや。……え? 犯人判明? 事件終わった? でもこれまだ上巻ですから。 -
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恐るべき生首風鈴事件から約二十年の時を経て、再び起こる酸鼻な事件。複雑で隠微な人間関係の数々が絡み合い、おどろおどろした雰囲気を盛り立ててくれます。世代をまたいで受け継がれるかのような因縁がもうたまりません。そしてもちろん、ここで過去の事件の真相も明らかになりましたが。想像の斜め上を行くとんでもなさでした……。
無残で悲愴でどうしようもない悲劇の物語ではあるのですが。不思議と読後感は悪くありません。まるで救いのないわけでもないのか。そして金田一耕助最後の事件なので、有終の美という雰囲気もありますかね。
ところでトリック、最近読んだ「蝶々殺人事件」と一緒だなあ、って思っていたら。作中でしっかり言 -
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長編「白蠟変化」、短編「焙烙の刑」「花髑髏」の
計3編収録。
いずれも名探偵・由利麟太郎&新聞記者・三津木俊助のコンビが活躍するが、
ドラマ化された「花髑髏」に辿り着くまでが長かった……(苦笑)。
以下、各編についてネタバレなしで少々。
「白蠟変化」
タイトルの読みは「びゃくろうへんげ」。
1936年『講談雑誌』連載。
男女の愛憎入り乱れる中を飄々と飛び回る怪人・白蠟三郎。
悪人だが意外にしおらしいところもある(笑)し、
妙な哲学を持ってもいて、
愛する人の冤罪を晴らそうと必死になっていた女性をいじらしく思ってか、
妙な気の回し方をする、という……。
一人二役や悪漢の跳梁ぶり -
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横溝正史『花髑髏』角川文庫。
4ヶ月連続復刊刊行の由利麟太郎シリーズ第4弾。名探偵・由利麟太郎と助手の三津木俊介の活躍を描いた『白蝋変化』『焙烙の刑』『花髑髏』の3編を収録。
フジテレビ系列で吉川晃司を由利麟太郎役に5週連続でドラマ化。テレビドラマの第1話は奇しくも本作の表題作『花髑髏』だった。舞台は現代にアレンジされ、奇妙な風体の由利麟太郎がヒーローぽく冒頭から登場するのだ。作品を読む限り、由利麟太郎は枯れた人物のイメージだったが……何しろあの吉川晃司なのだから仕方がないか。
『白蝋変化』。由利麟太郎シリーズとしては珍しく混み入ったプロットの短編。妻殺しで死刑囚として刑務所に収監された