横溝正史のレビュー一覧
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雑誌編集長の磯貝氏のもとに届けられた原稿は、蔵の中で聾唖の姉と育った病気の少年の「蔵の中」という題名の話だった。聾唖だが絶世の美少女だった姉との思い出。姉の死後、大人になった少年は遠眼鏡で蔵の外を覗いていると…。かつては病人や外に出せない訳ありの子供を閉じ込めた蔵の中、中にいる人と外にいる人は違う世界に住みそれは交わることがない。そこから見えた情景は真実だったのか妄想だったのか。蔵の中の住人は常に弱者でありマイノリティなのである。
「鬼火」は万造と代助というお互い仇敵同士の従兄弟とお銀という女の物語。代助を陥れてお銀を奪った万造は列車事故で全身大火傷をして気味の悪いゴム製の仮面を被る。横溝正史 -
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ネタバレ金田一耕助もの。作中の時間軸は有名な「犬神家」などよりはもう少し進んだ時代で、文明的な機械や施設もできてきており、いわゆる経済発展のさなかでこういった作品が書かれていたのだな、という感慨はある。
ヌード写真の女性モデルを専門に扱ういかがわしい写真館(こういうのが商売として成り立っていたということ自体、非常に昭和的)に、恐ろしい容貌の男がふらりと立ち寄ったのが物語の発端。幽霊男と名乗ったその男は、モデルを用立ててまたふらりとどこかへ。指名されたモデルは幽霊男に拉致されてしまい、行方が知れなくなってしまう。女性は後日、都内のホテルで殺害された状態で見つかるが、幽霊男の行方は杳として知れず。衝撃的 -
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ネタバレこんなに長い話だとは思わなかった(息切れ)
美人な女性に群がる男性陣が悉く殺されるこの惨劇の始まりとなった事件まで解き明かすのだから、それは当然か。
でも、その長さを最後まで飽きさせずに読ませられるのは、流石の筆力だと強く感じた。
息切れ起こしているのは、単にこちらの体力がなかっただけの話である。
(何しろ面白いのに4日かかった)
脅迫文に密室殺人(しかも2種類)時間差トリック、ミステリの要素盛りだくさんなところに、謎の男性陣の登場も多く、内容も濃い。
その割に、視点はくだんの女性か、謎の男性寄りなので、金田一探偵の存在感がやや薄い。
第三者から見た金田一探偵みたいな感じで、それはそれで面白 -
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ネタバレ新しくできたマンモス団地に横行する怪文書、そのうちに殺人事件が起きてしまう。最初の被害者は顔がわからないように火傷していた。それはなぜ?被害者は誰なのか。
時代的には、団地という住まい方が新しかった時。本書では、他人と接したくない人にはこの密集した住まい方は辛いともいうし、扉をしめてしまえば自分たちだけの世界であるとも相反することを登場人物たちが言っているが、人の秘密をあばく中傷や噂がどんどん広がっていったこと、その一方、真実は誰にもわからないということがこの物語から感じ取れる。今にも通ずることかもしれない。
前回のもだけど、意外な、殺人容疑者から無意識にはずしてしまうような人が犯人だった。あ -
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ネタバレ500ページの読み応えのある長編作品。
最初に江戸川乱歩に捧ぐとあるが、乱歩作品に影響を受けたものなのだろうか。
冒頭に登場人物紹介があるので、名前を覚えられない私には助かった。
土日に一気に読んだので、霧の降る軽井沢の世界にたっぷりひたれた。
金田一耕助シリーズは、今の時代にはない上流階級の暮らしをする人の世界の中での作品が好きだ。
御用聞きの小僧、婆や、暮らしが落ちぶれたなんて言いながらいちいち細々としたことを頼む、あの感じが私にとってはファンタジーに近い。
霧が深く前もよく見えないゴルフ場の描写などはホラー的な雰囲気も楽しめる。
冒頭の心中に向かうシーンはもの寂しく心に残った。
美 -
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ネタバレ切なくて金田一シリーズの中で結構好きかもしれない。犯人の滋がすごくいい人なんだよなあ、そして小雪ちゃんも、ビンちゃんも結局みんな狂わされただけで、根からの極悪人じゃなかったところが辛い。
女傑の弥生も、実の子や孫には冷たいとは言え、金田一シリーズによく出るような悪女ではなかった。
謎解きがすごいというわけでもなく、生首風鈴に至る過程ももっと凄惨さを想像してたから物足りなかったけれど、それでも事件の背景が哀しくて好きだった。
最後のシリーズとしての終わり方も好き。アメリカから帰ってきて本陣殺人事件を解決し、病院坂の事件を終えてアメリカに帰っていく。 -
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ネタバレ本書では、金田一耕助はほとんど登場しない。
冒頭と最後に出てきて、最後は全てお見通しであったことは語られるが、どのように推理したのかは語られないので、シリーズの中では推理要素は少なめに感じた。
ヒロインの音禰は、今の時代にも通じるモテ要素を持っていると思った(真似したいくらい)。女としてのプライドはあるが、好きになったら情に熱く、便りなげに見えるのに、しっかり自分を持っていていざとなれば大胆な行動もする。でも、好きな男性の前ではか弱い女である。
音禰の彼も最初はチャラついた男だけど重要人物なんだろうな程度に思っていたが、最初のギャップが激しい!彼もまた情に熱く、ちょっとした折り目にキスを求め -
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金田一耕助最後の事件らしいです。しかも解決に約二十年かかるらしいです。なんというスケールの大きな話! もったいつけた前置きも気分をかき立ててくれます。
金田一耕助に持ち込まれた令嬢誘拐事件と、奇妙な結婚記念写真の謎。そこに関わってくる不穏な「病院坂の首縊りの家」とこれだけでも雰囲気抜群なのに、そこで起こる殺人事件の現場の凄絶さが! 絵的に凄まじすぎます。そりゃあそんなもの見たら正気失いそう……そんな中、冷静に写真撮ってたあの人たちがまた凄すぎる(笑)。
事件に絡む人間関係や因縁の複雑さもあってこれは謎めいた面白い事件だと思いきや。……え? 犯人判明? 事件終わった? でもこれまだ上巻ですから。