横溝正史のレビュー一覧

  • 血蝙蝠

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    短編集。

    特に印象に残った一編。
    一番最後の「二千六百万年後」。
    まるで星新一の作品を読んでいるようで、今まで触れたことのある横溝作品とは全く毛色の違う作品でした。そして案外星新一の無感情な雰囲気の文章と似ていると感じました。
    ただ、やっぱり横溝作品は長編であってこそ、と個人的には思います。

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    2021年07月19日
  • 蔵の中・鬼火

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    雑誌編集長の磯貝氏のもとに届けられた原稿は、蔵の中で聾唖の姉と育った病気の少年の「蔵の中」という題名の話だった。聾唖だが絶世の美少女だった姉との思い出。姉の死後、大人になった少年は遠眼鏡で蔵の外を覗いていると…。かつては病人や外に出せない訳ありの子供を閉じ込めた蔵の中、中にいる人と外にいる人は違う世界に住みそれは交わることがない。そこから見えた情景は真実だったのか妄想だったのか。蔵の中の住人は常に弱者でありマイノリティなのである。
    「鬼火」は万造と代助というお互い仇敵同士の従兄弟とお銀という女の物語。代助を陥れてお銀を奪った万造は列車事故で全身大火傷をして気味の悪いゴム製の仮面を被る。横溝正史

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    2021年04月25日
  • 金田一耕助ファイル10 幽霊男

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    ネタバレ

    金田一耕助もの。作中の時間軸は有名な「犬神家」などよりはもう少し進んだ時代で、文明的な機械や施設もできてきており、いわゆる経済発展のさなかでこういった作品が書かれていたのだな、という感慨はある。

    ヌード写真の女性モデルを専門に扱ういかがわしい写真館(こういうのが商売として成り立っていたということ自体、非常に昭和的)に、恐ろしい容貌の男がふらりと立ち寄ったのが物語の発端。幽霊男と名乗ったその男は、モデルを用立ててまたふらりとどこかへ。指名されたモデルは幽霊男に拉致されてしまい、行方が知れなくなってしまう。女性は後日、都内のホテルで殺害された状態で見つかるが、幽霊男の行方は杳として知れず。衝撃的

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    2021年03月26日
  • 金田一耕助ファイル18 白と黒

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    金田一耕助シリーズとしては珍しい、団地を舞台に行われる連続殺人事件。
    ある怪文書をきっかけに、様々な事情を抱えた人物が登場し、展開される物語は正に奇々怪界。
    タイトルにもある白と黒の意味がわかった時の爽快感と、結末の意外性が読んでいて心地良かった。

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    2021年01月09日
  • 憑かれた女

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    由利麟太郎ものの中編『憑かれた女』を軸に、著者の戦前の作を集めた中短編集。著者の戦前の作の多くは、要するにスリラーで、ミステリ的な妙味はあまりなかったりする。この辺は本書に収録の『首つり船』『幽霊騎手』を読んだ後なら、大概の人がウナ図ていくれるんじゃなかろうか。そんな中、表題作の『憑かれた女』は例外というか、きちんとしたミステリで、驚かされてしまう。いわゆるWHYが腑に落ちる形で説明されるのね。僭越ながら掘り出し物と言わせていただきましょうか。

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    2021年01月07日
  • 金田一耕助ファイル19 悪霊島(下)

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    晩年の作品と聞く。双生児と孤島、洞窟などシリーズの世界観に悉く魅了された。警部の身の上話に踏み込むなど、人間描写も氏の集大成だったのではないか...真犯人は誰であれ、残された者の純朴さと溌剌とした生命力が本シリーズの核心と次世代への望みではなかったか...

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    2020年11月07日
  • 金田一耕助ファイル9 女王蜂

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    ネタバレ

    こんなに長い話だとは思わなかった(息切れ)
    美人な女性に群がる男性陣が悉く殺されるこの惨劇の始まりとなった事件まで解き明かすのだから、それは当然か。
    でも、その長さを最後まで飽きさせずに読ませられるのは、流石の筆力だと強く感じた。
    息切れ起こしているのは、単にこちらの体力がなかっただけの話である。
    (何しろ面白いのに4日かかった)

    脅迫文に密室殺人(しかも2種類)時間差トリック、ミステリの要素盛りだくさんなところに、謎の男性陣の登場も多く、内容も濃い。
    その割に、視点はくだんの女性か、謎の男性寄りなので、金田一探偵の存在感がやや薄い。
    第三者から見た金田一探偵みたいな感じで、それはそれで面白

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    2020年10月25日
  • 不死蝶

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    ネタバレ

    読者が推理できるよう、いくつかわかりやすい提示をしている。
    マリとよく似た君江の姿 とか、
    金田一耕助がわざとらしくクシャクシャと手紙を慌ててしまう様子 とか
    真相を知る者が皆死んでしまったのは残念だったが…。
    23年前の君江の書き置きを実行した、その真相は、とても自分の中ですっと入ってきた感じ。

    人面瘡は、ホラー的な要素でも楽しませてくれる。
    昭和の時代のホラーが、周りの世界より不気味にしてくれる。

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    2020年10月23日
  • 殺人鬼

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    ネタバレ

    殺人鬼
    金田一耕助が、この話の主人公を助けたと思ったら…
    終わりに金田一の手記を添えていること、オチが文学的。
    黒蘭姫
    咄嗟とはいえ殺してしまったこと、「デスペレート」になり過ぎ!
    香水心中
    なぜ香水を使ったか?だけはわかった!
    百日紅の下にて
    長閑な中で語られる辛い過去…
    悲しい結末、と思ったけど、でも優しさと温もりのある終わり方だった。

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    2020年10月21日
  • 金田一耕助ファイル19 悪霊島(上)

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    金田一のシリーズで、なぜこれだけ入手困難なのだろう。ネットで買えて良かった!
    登場人物や、類似事件が重なり合うので一気読みがお勧めです。

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    2020年09月30日
  • 金田一耕助ファイル20 病院坂の首縊りの家(下)

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    ドロドロの愛憎劇。
    焼きもちって、ある一定のレベルを越えちゃうと単なる狂気。
    何気に口に出して伝えるって愛情に限らず、事実や気持ちを誤解なく伝える大切な手段だと思う。って、あたりまえだよ、って思うけど全然うまくできない。
    まぁ、そんなきれいに伝えちゃったら物語の根本を否定してしまうんだけど。ただ、考えるきっかけになった。

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    2020年09月22日
  • 金田一耕助ファイル18 白と黒

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    ネタバレ

    新しくできたマンモス団地に横行する怪文書、そのうちに殺人事件が起きてしまう。最初の被害者は顔がわからないように火傷していた。それはなぜ?被害者は誰なのか。
    時代的には、団地という住まい方が新しかった時。本書では、他人と接したくない人にはこの密集した住まい方は辛いともいうし、扉をしめてしまえば自分たちだけの世界であるとも相反することを登場人物たちが言っているが、人の秘密をあばく中傷や噂がどんどん広がっていったこと、その一方、真実は誰にもわからないということがこの物語から感じ取れる。今にも通ずることかもしれない。
    前回のもだけど、意外な、殺人容疑者から無意識にはずしてしまうような人が犯人だった。あ

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    2020年08月09日
  • 金田一耕助ファイル17 仮面舞踏会

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    ネタバレ

    500ページの読み応えのある長編作品。
    最初に江戸川乱歩に捧ぐとあるが、乱歩作品に影響を受けたものなのだろうか。
    冒頭に登場人物紹介があるので、名前を覚えられない私には助かった。
    土日に一気に読んだので、霧の降る軽井沢の世界にたっぷりひたれた。

    金田一耕助シリーズは、今の時代にはない上流階級の暮らしをする人の世界の中での作品が好きだ。
    御用聞きの小僧、婆や、暮らしが落ちぶれたなんて言いながらいちいち細々としたことを頼む、あの感じが私にとってはファンタジーに近い。

    霧が深く前もよく見えないゴルフ場の描写などはホラー的な雰囲気も楽しめる。
    冒頭の心中に向かうシーンはもの寂しく心に残った。

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    2020年07月30日
  • 金田一耕助ファイル20 病院坂の首縊りの家(下)

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    ネタバレ

    切なくて金田一シリーズの中で結構好きかもしれない。犯人の滋がすごくいい人なんだよなあ、そして小雪ちゃんも、ビンちゃんも結局みんな狂わされただけで、根からの極悪人じゃなかったところが辛い。
    女傑の弥生も、実の子や孫には冷たいとは言え、金田一シリーズによく出るような悪女ではなかった。

    謎解きがすごいというわけでもなく、生首風鈴に至る過程ももっと凄惨さを想像してたから物足りなかったけれど、それでも事件の背景が哀しくて好きだった。

    最後のシリーズとしての終わり方も好き。アメリカから帰ってきて本陣殺人事件を解決し、病院坂の事件を終えてアメリカに帰っていく。

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    2020年07月25日
  • 金田一耕助ファイル14 七つの仮面

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    ネタバレ

    本書で一番驚いたことは、金田一耕助がちゃんと歳をとっていること。このまえまで30半ばと表現されていたが、本書では40半ばとなっていた。そういえば、本陣殺人事件あたりでは探偵で身を立てていこうと思った描写があったから、ちゃんと時間を重ねているのだと認識した。居所も友人の旅館へ居候ではなく、渋谷区の緑ヶ丘荘という高級なアパートに住んでいた。
    短編集。
    七つの仮面は、りん子の執念の描写がとてもおぞましく頭から離れなかった。
    最後の薔薇の別荘は対して心が温かくなる。殺人起きたけど。これは私もトリックがわかったぞ。

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    2020年07月23日
  • 金田一耕助ファイル18 白と黒

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    ネタバレ

    それぞれの思惑が入り乱れ、怪文書と殺人と死体偽装と事件は偶然か運命か複雑になる。
    登場人物か結構多いのも混乱してくる。
    そういうわざと複雑に見せてるのはずるい手かもしれないが、個人的には十分に楽しめた。
    順子の夫はかわいそう…
    結局どの殺人も怪文書が原因なので、怪文書犯人の罪は重いぞ…怪文書の動機は陳腐なのに…。
    どん栗ころころお前かーい。

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    2020年07月23日
  • 金田一耕助ファイル15 悪魔の寵児

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    ネタバレ

    金田一耕助は抑えめの登場。
    トリックより人間構成とかあの時誰がいなかったとか、そういう状況証拠から解いていく感じなのかなぁ。
    死体の描写から、犯人は女性になのではという予感はあった。
    悪魔の寵児ってネーミングが関係者の中に浸透していふとこが時代を感じる。
    あと最後の方での欣吾が父となった描写。自分に子供が出来たのは2人目。そのどちらも妊娠には気がつかなかった。自分の愛人たちが辱められては殺された後でも、彼は過去のこととして人生を続ける。そんな感を受ける描写が印象に残った。

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    2020年07月15日
  • 金田一耕助ファイル13 三つ首塔

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    ネタバレ

    本書では、金田一耕助はほとんど登場しない。
    冒頭と最後に出てきて、最後は全てお見通しであったことは語られるが、どのように推理したのかは語られないので、シリーズの中では推理要素は少なめに感じた。

    ヒロインの音禰は、今の時代にも通じるモテ要素を持っていると思った(真似したいくらい)。女としてのプライドはあるが、好きになったら情に熱く、便りなげに見えるのに、しっかり自分を持っていていざとなれば大胆な行動もする。でも、好きな男性の前ではか弱い女である。
    音禰の彼も最初はチャラついた男だけど重要人物なんだろうな程度に思っていたが、最初のギャップが激しい!彼もまた情に熱く、ちょっとした折り目にキスを求め

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    2020年07月10日
  • 殺人鬼

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    短編集

    長編の方が個性と面白さがあって好きだが、
    なかなか良くまとまった短編4つが収録されている。

    「殺人鬼」
    犯人は予想通り、と思いきや、
    本当にそうかはわからない、と謎をはっきりさせない結末で気になる終わり方。


    「百日紅の下にて」
    対談で明かす過去の事件。
    紫の上設定は特に事件に関係ないので、
    性癖か?書きたかっただけか?
    殺人するほど愛の深さを示すため?(笑)
    警察に突き出すためではなく、
    戦友の思いと謎解きのために対談した
    金田一耕助の去り方がかっこいい

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    2020年07月10日
  • 金田一耕助ファイル20 病院坂の首縊りの家(上)

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    金田一耕助最後の事件らしいです。しかも解決に約二十年かかるらしいです。なんというスケールの大きな話! もったいつけた前置きも気分をかき立ててくれます。
    金田一耕助に持ち込まれた令嬢誘拐事件と、奇妙な結婚記念写真の謎。そこに関わってくる不穏な「病院坂の首縊りの家」とこれだけでも雰囲気抜群なのに、そこで起こる殺人事件の現場の凄絶さが! 絵的に凄まじすぎます。そりゃあそんなもの見たら正気失いそう……そんな中、冷静に写真撮ってたあの人たちがまた凄すぎる(笑)。
    事件に絡む人間関係や因縁の複雑さもあってこれは謎めいた面白い事件だと思いきや。……え? 犯人判明? 事件終わった? でもこれまだ上巻ですから。

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    2020年07月07日