あらすじ
アメリカ帰りの億万長者から人探しを依頼され、岡山を訪れた金田一耕助は、久し振りに会った磯川警部と旧交を温めた。だが、それも束の間、警部の話から金田一の尋ね人が謎の言葉を残して怪死したことを知る。さらに依頼人越智竜平が、出身地の刑部島に建設中の一大レジャー施設をめぐり、島の人々から反感を買っていることを知って、金田一は前途に不吉な事件の予兆を感じるが……!?
カバーイラスト/杉本一文
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作者最晩年の作品だが全く衰えを感じない。舞台は昭和42年、高度経済成長期の日本だが、過疎が進む瀬戸内海に浮かぶ孤島「刑部島」が舞台であり戦後が舞台の『獄門島』や『悪魔の手毬唄』と変わらぬ雰囲気が味わえる。ちょっとした怪奇趣味もあって面白い。
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横溝先生の書かれる小説は、どれも大変に素晴らしい作品ばかりだと思います。しかしこの「悪霊島」を読んでしまったら、もう二度と他の横溝作品はおろか、普通の推理小説では満足できないのではないか、そう思えるほど濃密で精巧なストーリーです。
主人公の名探偵、金田一耕介も非常に魅力的です。でも個人的には磯川警部が私は大好きです。彼らに限らず、どのキャラクターも特徴的で、一度イメージするとなかなか忘れられないかもしれません。
また「悪霊島」の背景描写が、作品の雰囲気と上手にマッチしています。おどろおどろしい舞台が、事件や人間関係の凄惨さに、より一層拍車を掛けているのも、横溝作品の醍醐味だと私は思います。
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「鵼の鳴く夜に気をつけろ」
はい、横溝正史をゆるりと読み直し中です
再読なんなら3回目か4回目、なんなら映画も見てるはずなんですが、きれーに忘れてます
ありがたいw
わりと純粋に楽しめてます
それにしても横溝正史、あらためて思うのはエピソードの並べ方めちゃくちゃ上手くないか?
話全体を通しての浮き沈みというか、読者の気持ちのコントロールが上手いよなーって
これは市川崑も助かるわ〜
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島シリーズワクワクする。最初の始まりが、奇妙な言葉を吐いて死んだ男というのが興味を引く。これから面白い事件の始まりを予感させて良い。時代の流れや、島の閉塞感など文化的なものも学べて感じられて楽しい。
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あの島には悪霊がとりついている
鵺(ぬえ)の鳴く夜に気をつけろ
その島の名は……
とても良い始まりをする「悪霊島」。
『ひとり横溝正史フェア』をつづけることがキツくなってきたので、他に読む作品があるけれど飛ばして大作である「悪霊島」を読むことにする。
確かこの作品も映画化されており、小さい頃にコマーシャルで、鵺の鳴く夜は恐ろしい、とかいうフレーズを聞いた。何がどう恐ろしいのかちっともわからないけれど、その煽るようなコマーシャルにガッチリ乗せられたわたしはとにかく恐怖を感じた記憶がある。
煽られすぎて結局映画自体は観なかったのだが、怖いもの見たさで原作小説は後に購入していたようだ。
ようだ、というのは小説は手元に残っているのだが、全く内容の記憶がないからだ。もしかしたら、興味はあって購入したものの気が小さいため読まずに終わったか、読んでみたらコマーシャル程の怖さがなく記憶から消去したかのどちらかではないかと思う。
果たして「悪霊島」は恐ろしい作品なのか。
始まりの鵺云々を読み、当然思うのが、鵺って何ということ。
読書の友である金園社国語辞典をパラパラめくるとこうある。
鵺 一、とらつぐみ。二、怪鳥の名。三、前後の不続一なもの。
……とらつぐみって何。
パラパラ。
載っていない。
鵺の挿絵には普通の鳥の絵。可愛らしい。
ただ大きさはわからないので、可愛いらしさを感じられない巨大な鳥の可能性はある。
まあ、何にせよそのとらつぐみなる鳥は存在するようなので、その鳥が何がしかの声で鳴く夜ということだ。もしくは、伝説の怪鳥が鳴く夜ということで、こちらの方が恐ろしさは増す。
ちなみに鵺は、空に鳥とも書くらしい。
作中でも鵺について語られる場面がある。(p97)
「平家物語」に出てくる頭は猿、体は狸、手足は虎、尻尾は蛇、鳴く声は鵺に似ている源三位頼政に退治された異形の怪物。
鳴く声が鵺に似ているだけで、鵺が怪物ということではないらしい。
この姿は可愛いらしくない。
その怪物が鵺の声で鳴く夜なのか、とらつぐみが鳴く声なのかどちらかは不明だが、始まりの文章は死に瀕した男が息も絶え絶えに伝える言葉なので、怪物の鳴き声の方がおどろおどろしい横溝正史の世界の幕開けとしてはふさわかもしれない。
物語の始まりと鵺についてばかり書いてしまったが、作品自体の感想は下巻を読んでからにする。
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上巻はエピローグ的要素が強く、下巻への伏線となる殺人事件が起き、主な登場人物の素性の情報がそこそこ与えられ、これから下巻になって、事件の本質が徐々に判明していくのだろうなぁということで、下情報的なものが与えられた内容でした。
早速、下巻に入って、真相究明へと入りたいと思います!
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戦後20年経ち、ヒッピーやらフィーバーという言葉が出てきますが、「岡山県の離島」「二派に分かれる島民たち」「アメリカ帰りの成功者」など金田一の定番が登場する作品。
冒頭がとても印象的で、この事件の大きさが感じられます
島の人々はそれぞれ過去になにやら抱えている人ばかり
後半の作品は時代背景もあってかドロドロ感少なめに感じていただけに、これは後半の名作になりそうな予感
やっぱり金田一シリーズは田舎舞台のほうがいいな~
2012/11/16-22
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閉鎖社会の島!
陰惨な殺人事件!
謎の美女に双子!
そして過去の事件…
素晴らしき様式美。
やっぱり横溝はやめられない!
下巻の展開が楽しみ。
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続きものははじめて読みましたよ。
初めは途中で終わってしまうという
不安がありましたが、大丈夫でした。
刑部島で起きた怪死、殺人、そして失踪。
時折黒い歴史も出てきて、
読み手の興味を誘います。
そして依頼主は実は反感を
かっていたという事実…
なにやら裏がありそうですよ。
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「あいつは体のくっついたふたごなんだ」
「あいつは平家蟹だ」
「あの島には悪霊がとりついている」
「鵼のなく夜に気をつけろ」
……と、奇妙なセリフで始まる本作。ドジャーン!とばかりに切って落とされる幕開けに、これこれぇ!とテンションが上がってしまいました。横溝正史の唯一無二の雰囲気はたまらんです。
まったく、これだけ不穏な空気をよく作り出せるものだと感心するしかありません。
成功してかつて追い出された島に帰ってきた勝利者、島に残り続ける者、「いちどはなんでも見てやろう君」……誰も彼もがそれぞれの思惑を持って刑部島に集う。その島には不審な行方不明者もおり、本州では強請りを繰り返してきた市子(いたこ)が何者かに殺され、どこで不安がピークになるのかというところで、上巻終盤でやっと(?)殺人事件が起こります。
久々の方言全開で進むお話に最初はちょっと苦戦しましたが、ぐいぐい引き込まれていくのが横溝作品。
この殺人はまだまだ序の口としか思えませんが、下巻で一体どうなっていくのか。
風光明媚な瀬戸内海の描写に想像力を膨らませつつ、いざ下巻。
それにしても、本筋に関係ないのですが「とおみんさる」はどんなニュアンスなのでしょうか……?
〜だそうな、〜なので、的な意味かなと思いつつ、調べてもはっきり出てこないのでモヤモヤ。。
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上下巻セットで、既に下巻も読み終えてしまってるのですが、上巻の終わりまでの時点で抱いた感想を書きます。
横溝正史が最後に綴った金田一モノということらしいのですが、これまでに角川文庫で出ている金田一シリーズをほぼ読んできた身として言うと、初期の作品の方が面白いかな、という感じ。
時代はこの作品の方が今に近いので理解しやすいかと思いきや、実は横溝作品のほとんどは岡山とその周辺の、当時でさえ「過疎地」とされた辺鄙なところが舞台なので、風習については昭和初期並みに昔の話になってしまい、むしろ理解できない。完璧に、舞台の向こうの話として傍観するしかないです。まぁ、これは古い小説を読む時には仕方ないことなんですが。
さて、改めて書評。
全体を通じて冗長な感がありました。上下巻にするぐらいのボリュームの割に、密度の濃い小説という感じがしません。同じ描写を繰り返したり、金田一や他の登場人物が頭に描いたことを、口に出す時にまた改めて「文字として」書いているから、というのも、そう感じさせる要因かもしれません。
とにかく推理小説である以上、たいていは人が死なないと始まらない訳ですが、事件のきっかけとなった殺人こそ冒頭に出てくるものの、舞台が具体的に動き出すための殺人が起きるのは上巻のほぼ終わりごろ。ここまでは、ずーっと島の描写やら聞き込みの内容やらが続くので、我慢して読まねば!という感じです。
下巻でどうまとめてくるのかという期待は抱かせますが、決して読みやすくはないので、☆は3つです。
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横溝正史で島が舞台の小説となりゃ、そりゃあ期待しますわな。
ただ冒頭にかなり魅力的な謎を持ってきているんだけど、そのあとの展開が遅い。
もうちょっとぱっぱと進まんもんかねえ。
ま、ともあれ水準はクリア。
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アメリカ帰りの成功者、越智竜平に人探しを依頼され、瀬戸内海の刑部島を訪れた金田一。
しかし磯川警部からその人物らしき男が怪死したことや、男の残した今わの際のつぶやきを知り、不吉な予兆を感じる。
果たしてその予感は的中し、呪われた絶海の孤島を舞台に恐るべき連続殺人が起きたのだ!
―鵺のなく夜に気をつけろ・・・
映像では「鵺のなく夜はおそろしい」だったかな?
映像の記憶はごっちゃになっているのですが、桟橋で犬が片腕をくわえているシーンが脳裏に焼きついていて、多分この作品のだったと記憶しています。
犬や烏についばまれる遺体はでてきますが、小説にはそんなシーンはないのですが。
とにかく、すべてが明らかになるラストの鍾乳洞の場面が圧巻。
おかげで以後、地下洞窟のでてくるミステリはすべてこの作品の印象。
過去の蒸発事件や市井の市子殺しもきれいにつながり、磯川警部のこれまでの人生などミステリ的にも物語的にもとても面白い作品です。
Posted by ブクログ
「あの島には悪霊がとりついている】額から血膿の吹き出した凄じい形相の男は、そう呟いて息絶えた。尋ね人の仕事で岡山へ来た金田一耕助-。絶海の孤島を舞台に妖美な世界を構築