あらすじ
広大な富士の裾野近くに、あたりを睥睨するかのごとく建つ、豪邸名琅荘。屋敷内の至る所に『どんでん返し』や『ぬけ穴』が仕掛けられ、その秘密設計から、別名迷路荘と呼ばれていた――。金田一耕助は、迷路荘到着直後、凄惨な殺人事件に巻き込まれた! 事件解明に乗り出した耕助は、二十年前に起きた因縁の血の惨劇を知り、戦慄する……。斬新なトリックと溢れるサスペンス、巨匠横溝正史の長編本格推理!!
カバーイラスト/杉本一文
感情タグBEST3
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いやー、面白かった。こういうのが自分の大好物なんだなと改めて思った。前回読んだ『三つ首塔』よりエログロ色が控えめなのも良い。地下が惨劇の舞台となるのは『八つ墓村』に似てる。
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のらりくらりした金田一耕助じゃないと駄目なんだと思う。犯人が誰か途中まで本気でわからなくて、はらはらした。問題点は説明文が多いことかなぁとは思う。お屋敷とかになると、間取りが気になってそして分からないので困る。
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金田一耕助ファイル14冊目。未読の長編もだいぶ少なくなってまいりました〜。
本作は、屋敷のあちこちにどんでん返しや抜け穴がある豪邸が舞台。
金田一シリーズの中では結構ボリュームがあり、手に取った時は驚いたのですが、いやこれが面白い!
『八つ墓村』の冒険要素あり、『悪魔が〜』の没落貴族あり、『悪霊島』の自分勝手すぎる犯人あり、”身体に特徴がある謎の人物”あり……オマケによく耳にする”糸を使ったトリック”まで出てきて
「これがあの!!」と興奮してしまいました。笑
パトロンの風間氏が出てくるところも高評価◎
これだけ要素てんこもりなためか、謎解きはやや性急でさすがにちょっと無理では??と引っかかっていたのですが、最後の最後に……いやぁ肝が冷えましたね。
ただ、三代の閣下が出てくるわけですが、辰人氏に関しては生前の描写が少なく、伝聞でしか彼の人となりを知れなかったのが残念かな。「ルパシカ」姿の薄幸の彼も、本編で唯一好きになれたキャラクターだけに無念でした。
”金田一耕助詰め合わせ”として、初心者のうちに触れておくのもアリかと。哀しく描かれる元華族の姿に、『悪魔が〜』を再読したい気持ちになりました。
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全然知らないタイトルだったのだが、とても分厚く驚いた。あまり期待していなかった、短編集みたいに思っていたのが、大作で面白い。3代にわたった話だったし、長編だったからどうであったっけと思うところもあったが、迷路荘という設定と興味深く魅力的な舞台、片腕の男、可愛らしい老婆などキャラクター設定、先が気になってとても面白く最後まで読めた。動機に関しても納得するもので、最後も悪人が生き残らないのでスッキリする。昔の建築物で本当に迷路荘みたいなものがあるのか気になる。やはり現代にはない環境が心惹かれ、楽しい。
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没落した華族、仕掛けだらけの豪邸、前人未到の洞窟、複雑な人間関係、謎の怪人物などなどなどなど……金田一シリーズを読み始めて8作目?もう、金田一要素てんこ盛り!って印象をこれが一番受けたかもしれない。
それにしても、今回の犯人に対する金田一耕助のあたりの強いこと。いつもはソフトな感じの金田一さんがあそこまで犯人に対する憎悪をむき出しにするの珍しかった。それもしょうがないよねっていう人の尊厳を踏みにじるような遺体の扱い方してるからね……。読みながらゾッとしてしまった。
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明治の元老、種館種人が建てた迷路荘でかつて残虐な殺人事件が起きた。
種人の息子一人が妻の加奈子と当時下宿していた尾形静馬の不貞を疑って二人を殺害しようとした。
加奈子は殺されたが一人は静馬に反撃を受けて殺害された。片腕を切り落とされた静馬は裏山の洞窟に逃げてそれ以来消息が分からなくなった。彼が生きてるのか死んでいるのか誰にも分からなかったが、そんな静馬の影が現代になって現れた…
迷路荘の隠し扉などの仕方を上手く使っていたのと種館家に恨みを持った静馬を思わせる変装した片腕の男が現れたり読書の想像を膨らませてくれる様々な要素があって面白かったです。
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昭和5年。隠し扉やどんでん返しが
ふんだんに施された通称迷路荘で、
主人やその妻が殺害される事件が
起こった。真相ははっりしないまま。
昭和25年。
迷路荘にかつての惨劇の時と同じ
左腕のない男が姿を現し、
家人達は不安を募らせ、
現在の館の主人は金田一に調査を依頼。
そして発生する連続殺人。
綾辻行人の館シリーズに登場しそうな
仕掛けだらけの館。
更に館の下には地下道が通っている。
ボリュームがあって読み応えは抜群。
複雑な人間関係が事件をややこしい
ものにしていて、それも魅力的。
迷路のような地下道でくり広げられる
捜査は、冒険小説の様で面白かった。
戦後すぐの時代設定、
街から離れた豪勢な館、
謎の片腕の男、かつて起こった惨劇、
没落貴族等、
このシリーズらしい要素が満載。
金田一の活躍も見事で、
ラストは好みの締め方だった。
知名度は低いがもっと読んで貰いたい作品。
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『ひとり横溝正史フェア』のこちらは、えっとえっと何作目でしょう。
忘れました。
豪邸名琅荘は、邸内至る所に仕掛けが施してあり複雑な造りから迷路荘と呼ばれている。
その迷路荘の創始者古館種人は、美しい後妻加奈子とその遠縁にあたる静馬との仲を疑っている。ある日種人は加奈子を斬り殺し、静馬の片腕を斬り落とした上で自死してしまう。
そんな迷路荘に知人の紹介で訪れた金田一耕助は、凄惨な殺人事件に巻き込まれる。
こういって始まる物語で、いつものように金田一耕助がまあまあ殺されてから事件を見事に解決するわけだが、全く内容の記憶がない。
我が家に「迷路荘の惨劇」は二冊あり、間違いなく最低二回は読んでいるはずなのに。
全く読んだ覚えがない。
内容どころか、これって買ったっけくらいに記憶がない。
どこかで頭でもぶつけたか、いや、もしかしたら殴られたのか。
事件発生。金田一さーん。
この本は読み始めるとじきに、子爵だとかフルートだとかが出てきて、なんだかとっても「悪魔が来りて笛を吹く」に似ている。
勿論、似ているところはそこだけだけれど。
フルートの音色というものは、どこかしら淋しげで暗い内容の横溝作品にはよく似合うかもしれない。
屋敷から繋がる洞窟だとか、美しいけれど健やかさはない女性、惨劇に相応しい殺されかたなど面白く読ませる。
それなのにどうして全く憶えていないのか、謎は深まるばかりだ。
横溝正史の作品は時代が時代なので仕方ないが、数え年や尺貫法が用いられている。
そういった表現に慣れていないため、読むたびに頭の中で考えなければならないところが少々手間ではある。かっこ書きで実年齢やメートル法キログラム表記をしてくれると読みやすいかもしれない、などと甘えたことを思ったりもする。
ラストは横溝作品にはしばしば見られる大団円だが、今回の終わり方は好きではない。
「女王蜂」のときにも似たような違和感があったが、わかっている犯罪者を金田一耕助の独断で見逃したり、なかったことにするようなことがおかしいと感じる。
何の権利があって一探偵に過ぎない金田一耕助がそういうことをするのかと疑問であるし不快でもある。金田一耕助の好みで対応を変えられては困る。
最後に至るまで遂に全く思い出すことなく、初読のように謎解きも楽しめた。
わたしの記憶がなくなった謎は未解決のままだけれど。
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この作品は横溝正史の作品としては後期のものになります。(1975年刊 但し原型となった短編は1956年発表)事件は1950年の秋に起こったことになっています。金田一耕助が名探偵として知られるようになった頃です。読んでいても25年のギャップを感じさせない。今だったら迷路荘の見取り図が貼付されているでしょうね。ある意味現在のミステリーに通じる奇妙な館ものです。展開も面白く一気に読めました。
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迷路のようなお屋敷、美しい奥様、美少年、老婆・・・
そして、片腕のない不振な男の出現・・・
相変わらず、おどろおどろしい状況での殺人。
横溝先生の世界は深いなあ。
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豪華な屋敷、美しい女性、不気味な老婆、と金田一耕助作品には必ずこの3つが出てくるけど、これも例外ではなかった。途中でなんとなく犯人は分かるんだけど、それでも止められない。
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富士山の裾野に建つ『名琅荘』(迷路荘)を舞台に
巻き起こる惨劇ーーー。
折しもそこの主人に招かれた金田一耕助を中心に、登場人物もわんさと描かれる。
が、どの人物をとっても表面的な人物像に留まらない怪しさがあって、次々に起こる事件をより複雑に、おどろおどろしく際立たせている。
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おばあちゃんが強い!いいぞ!やばいやつは全員皆殺せ!とおばあちゃんの肩を持ちたくなります。
迷路荘といってるわりに全然迷路じゃないのでそこが非常に残念でした。
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金田一ジッチャンの方の事件簿。
冒頭に登場人物一覧ページがあって、非常に助かる作品。
登場人物が多い上に、血族・姻族の関係が複雑なので、中盤までは一覧を見返すことしばしば。
トリック全般はどうということはないが、タイトルに「惨劇」とある通り、一部被害者のやられ方が、まぁ酷い。
それと、金田一作品には珍しく犯人が救いようの無いワルで(※)、金田一も嫌悪感を顕わにしている。
※孫の『金田一少年の事件簿』でも共通しているが、大抵は被害者の方がどうしようもない奴で、犯人には酌むべき事情がある場合がほとんど。
加えて、全編通してのヒロインが存在しないのも珍しい。
強いて言うなら、迷路荘の主の娘、陽子だが、タマッペこと女中のタマ子と合わせても、他の作品のヒロイン一人分にも満たない程度の存在。
もちろん面白い作品ではあるのだが、若干冗長か。
Posted by ブクログ
昭和60年代刊行の文庫の表紙は、黒いマスクとサングラスの陰気な男の横顔と地下に降りていく階段、トリックに使われた滑車・・・おどろおどろしさたっぷり。富士山の裾野に迷路のようにつながった華族の豪邸。明治維新の折に暗殺を恐れて作りこまれたどんでん返しや隠し扉。太古に自然が作り出した地下洞窟の上に建ち、まるで迷路。そこで20年前に起こった殺人事件の因縁がまた惨劇を引きおこすのです。著者得意の戦後の混乱を潜り抜けた直後の雰囲気と因習が絡み合った独特の雰囲気は今回ちょっと薄め。昭和40年代に横溝リバイバル後に書かれた作品だからでしょうか。2/3ほどを費やして、誰が何時何分にどこにいたかを延々描写していくという、僕がもっとも苦手とするパターンに陥った。でも、その後の展開はなかなか。当たり前なんだけど、探偵は謎を解くものの、警察や検事じゃないから法的に裁くことはしないんだよね。なかなかラストもひねる。
Posted by ブクログ
本当にドキドキした。あちこちに「抜け穴」や「どんでん返し」があるお屋敷が舞台だなんて、なんてドキドキなんだ。トリックやストーリー展開自体に、ものすごいインパクトがあるわけではなかったが、迷路荘という舞台は気味の悪さを押し出していて、登場人物も明らかに怪しげな人々で、それによって読み手はドキドキさせてもらえるシーンが実に多い。また、20年前に起きた事件との繋がりなども、金田一耕助シリーズらしい感じがして、こういった根の深さが事件を複雑にしている。なんとなく、八つ墓村に似てるシーンがあるが、インパクトから言うと、八つ墓村よりはかなり弱いかもしれない。 ラストシーンはちょっと「食傷気味」になる感じだった…。相変わらず、残酷だ…。