【感想・ネタバレ】金田一耕助ファイル9 女王蜂のレビュー

あらすじ

伊豆半島の南方にある月琴島に源頼朝の後裔と称する大道寺家が住んでいた。絶世の美女、大道寺智子が島から義父のいる東京に引きとられる直前、不気味な脅迫状が舞い込んだ。『あの娘のまえには多くの男の血が流されるであろう。彼女は女王蜂である……』この脅迫状には、十九年前に起きた智子の実父の変死事件が尾を引いているらしい。智子の護衛を依頼された金田一耕助だが、その前で血みどろの惨劇が! 大胆なトリックで本格探偵小説の一頂点をきわめた、驚異の大傑作!!

カバーイラスト/杉本一文

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Posted by ブクログ

金田一耕助です
新年だけに

やっぱり面白いし
本当に色褪せない
びっくりです

それにしても思うのは古今東西名探偵というものは殺人事件を「防ぐ」のには全くもって役に立たないということです

もう目の前でがんがん殺人事件起こりますからね
ひと通り死んでからですから真犯人を告げるのは
そんでもって最初から怪しいと思ってたとかぬけぬけと言いますから

おい!っていうね

特に金田一耕助なんて殺人事件を防げない名探偵としては相当上位にランクしてるんじゃないでしようか

わざとか!と

だいたいがあれですから
金田一耕助の事件なんてどろどろの人間関係が犯行の動機ですからね
そして真犯人が最後死んじゃうのめちゃくちゃ多いですからね
色々きれいに清算されるの待ってるフシがある

そんでもって最後に解き明かす
遅いわ!
もうあらかた死んどるわ!

でも物語としてはそれが面白いのよね
一番残酷なのはいつの時代も読者なのかもしれんね

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2024年01月05日

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「月琴島」という美しい名前の島から始まる連続殺人なんだけど、連続殺人の印象より人間関係の細やかさの方に意識が向く。「女王蜂」と評される絶世の美女の主人公は負けん気の強い女性だけれど、若々しい溌剌さと純粋なところがあってタイトルから受けるような毒々しさはあまり感じない。ただ、自分がどう振る舞うかではなく、その人自身の存在だけで周りに影響を及ぼしてしまうところは、女王蜂めいているのかも。

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2023年08月14日

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ネタバレ

一つの映画や舞台を見終わったかのような劇場感があった。登場人物たちの個性豊かで、演技掛かった振る舞い。それは特に嫌だなという感じにもオーバーにも感じず、楽しませてくれる演出だった。これが映像化されているのはとても頷ける。犯人も最後まで誰か分からず、金田一耕助と同じように振り回されていて面白かった。最後に大道寺のトリックが明かされた時、裸で遊佐を殺したというのがバラエティ要素を感じて想像したらとても笑えた。総合的にとても楽しめたし、文庫の厚さにも関わらず、長く感じずに楽しめた。

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2023年05月23日

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1978年公開の市川崑監督、石坂浩二主演の映画が有名。元宮家・東小路家の女主人として映画では高峰三枝子が演じているが、原作では元宮家・衣笠家の男性主人となっている点が異なる。他にも京都と伊豆山間地が舞台の映画に対して、原作は東京と伊豆沖の小島。また京都のお茶会での毒殺に対して、歌舞伎座でのチョコレートによる毒殺など設定の違いもあり。

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2020年02月02日

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しばらく前に古本屋さんで集めておいた杉本画伯による表紙絵版。主人公の美女が描かれ頭には不気味な蝙蝠が。紙は焼けてしょっぱい感じになっているのですが、その感じがまた小説の雰囲気を引き立てています。なんてたって、源頼朝の末裔が住まう伊豆の孤島に起こった昭和初期の変死事件からスタートするのですから。最近復刻版が出てますが、ぴかぴかの紙で読むより絶対雰囲気でまっせ。

絶世の美女をめぐっての孤島の密室、さらに重なるトリックに、作者特有のどろどろした因習などは影が薄れてしまう感じですが、めずらしく今回は大団円といっていいのではないでしょうか。

BGMはもちろん「犬神家の一族」のサウンドトラック。往年の角川映画のチープな感じを引き立ててるし、やっぱり横溝作品にはぴったり。

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2013年03月28日

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ネタバレ

久しぶりの金田一耕助シリーズ。
大昔に読んだのは確かであるのだけど、完全に間違えて覚えていたので今回も楽しめました。
※犯人は神尾秀子女史だと記憶してました。記憶なんてアテにならないですね。

相変わらず、探偵防御率は低いのですが、ちょっとした心遣いとかで見える優しさにやられてしまいます。
やはり金田一シリーズは“何故“が一番重要であることを再認識しました。


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2025年03月13日

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幼い頃にテレビで見た「女王蜂」のストーリーを思い出したくて文庫を手に取りました。
募る想いと魅入られる人生の窮屈さを感じた一作。
トリックよりも動機や人間関係の方に味があり、感情や行動、台詞におもしろさがありました。
文体の視点が映画的で、一人称がなくナレーターがいるタイプ。特別な感情移入する事なく、観客でいることができる作風です。
やはり私は美少女が好きなので、次は「夜歩く」を読む予定です。

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2024年01月03日

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登場人物がみんな個性豊か。それほどドロドロはしてなかったけど、やっぱり事件はそれぞれの想いが交錯して起こるんですよね~

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2023年06月30日

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ネタバレ

出てくるメンズがだいたいキモくて笑っちゃった 智子お嬢様が孤高の女王蜂として君臨し数多の男どもを這いつくばらせ踏みにじるがその魅力で全部許される話かと思ったら違った。結局グッドルッキングガイと結婚か~~~い!そんならもうちょい多門くんに活躍してもらいたかったな~ 私は神尾先生好きですよ!!

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2022年01月18日

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ネタバレ

こんなに長い話だとは思わなかった(息切れ)
美人な女性に群がる男性陣が悉く殺されるこの惨劇の始まりとなった事件まで解き明かすのだから、それは当然か。
でも、その長さを最後まで飽きさせずに読ませられるのは、流石の筆力だと強く感じた。
息切れ起こしているのは、単にこちらの体力がなかっただけの話である。
(何しろ面白いのに4日かかった)

脅迫文に密室殺人(しかも2種類)時間差トリック、ミステリの要素盛りだくさんなところに、謎の男性陣の登場も多く、内容も濃い。
その割に、視点はくだんの女性か、謎の男性寄りなので、金田一探偵の存在感がやや薄い。
第三者から見た金田一探偵みたいな感じで、それはそれで面白かった。

ただ終盤、その謎の男性の影が薄くなっちゃったのは勿体なかった気がする。
まあ拘束されていたから、仕方ないね。
最後美味しいところ持って行くから仕方ないね。
これだからイケメンは……

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2020年10月25日

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映画より、動機がシンプルでよかった。
ただ主役は中井喜恵ではない。すごい美人ではない。
女王蜂というタイトルも今一あっていない。

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2020年07月03日

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とにかく抜群の面白さ。読んだこともあるし、テレビでも何度も観たはずだけど、全く覚えていないことが衝撃だった。

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2018年03月15日

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やはり金田一耕助シリーズは長編ですね!しっかりとした事件背景と複雑な人間関係が妙ですね!
この作品も絶世の美女を中心とした愛憎劇という内容で、登場人物のいろいろな思惑が悲劇を招くという展開で、最後に事件の全貌が明らかになりスッキリしたのでした。

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2015年12月16日

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久しぶりの金田一耕介シリーズ。
今回はそんなにぞぞーっとする感じはしなかった。
どっちかというと、日本の伝説・昔話みたいな感じぃ。
源頼朝の血を引く子孫の琴絵と、宮様の息子が結ばれなかったことから事件が発生していく。
いろいろな人が、犯人の感情のために殺され、事件の背景を知り全てを失ったかにみえた智子だけど、最後は心暖かくなる終わり方で良かった。

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2015年02月01日

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金田一ジッチャンの方の事件簿。
源頼朝の末裔と元皇族というロイヤルな血統が交錯するミステリー。

密室あり、暗号あり、新聞の切り抜きの脅迫状あり、アリバイトリックありと、推理小説のギミックも盛り沢山ながら消化不良は一切無く、伏線も全て回収されて大満足の読み応え。
『八つ墓村』や『犬神家の一族』ほど一般的な知名度は高くないが、単体の推理小説として至極。

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2014年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

小説で金田一耕助を読んだのは初めてです。
稲垣さん主演のドラマを昔にぼんやり見た。

初めは読みにくかったが、文章は慣れてくると読みやすく感じた。冒頭の智子が花束を海に投げ込むシーンとか、映像を想像しやすいシーンがたくさんあった。演出力高いなー。
とにかく、おもしろかったです。犯人より結末が気になって読みました。犯人はとても健気で哀れだと思います。でも真犯人には色々つっこみどころがありすぎて。日下部氏を殺害して、どうしたかったのか。琴絵さんと戸籍上結婚できたのは不本意だったのかとか。いろいろ謎。

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2014年02月03日

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ネタバレ

帯に「金田一vs絶世の美女」とあったので悪霊島と似た話かと思いきや全然違う
離島に祖母と家庭教師の3人暮らす智子
母の遺言どおり18歳になると東京に暮らす父のもとへ行くことに
父の選んだ婚約者3人と異母弟と顔を合わしたところから惨劇が始まる
最後は犯人の自決かと思いきやどんでん返しが!
金田一シリーズでこのような結末ってあまりなかったような
警告状のとおり、智子は何人もの男の人生を狂わせてしまい、
(もちろん本人に責任は全くないけれど)大切な人を失ってしまったので最後に多門連太郎とくっつくのはよかったなー

2013/01/04-07

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2013年01月12日

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 これも昔ドラマで見た記憶がうっすらとありますね。読んでみても覚えていたのは主人公の登場場面ぐらいでしたが。

 これぞ、横溝作品の集大成では!?と思って読みました。
 絶世の美女、世代を超えて続く血の歴史。

 が、他の方の書評を読むと厳しかったりしますね。トリックが稚拙だとか、過去の話に比べて現代の重みが足りないとか。
 でも、まあいいじゃありませんか。

 「女王蜂」というタイトルからは男を手玉に取っている女のようなイメージも浮かびますが、主人公はどうもそうでもなし。どこからつけた題名かちょっと疑問な気はします。
 文庫版の表紙も意味深なんですが、どういうシチュエーションでしょうか??

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2017年08月16日

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金田一耕助ファイルの長編作品も、いよいよ、いよいよ残りわずかとなりました。
こちらの『女王蜂』はかなり初期の段階から知ってはいたものの、あらすじとタイトルから「艶っぽい話かなぁ……」とちょっと敬遠していて手に取るのが今になった作品です。実は昨年の11月に伊豆に旅行していまして、その縁で11月の読書1冊目に選んだ次第。

これまでに読んだ金田一作品を振り返ると、「佳人」が出てくるのはもはや大定番。
その中で「絶世の美女」と冠される大道寺智子嬢はさていかほどのものかと思って読みましたが……まぁそうねえ、私は『犬神家の一族』の珠世さんの方が好きですね(正直)。
珠世さんのように見目麗しく中身も高潔なタイプもいれば、『悪魔が来たりて〜』の美禰子さんのように作者から見た目はイマイチと評されつつも気高い心を持ち芯のあるタイプもいたり、はたまた『八つ墓村』の春代さんや典子さんのように奥ゆかしい献身的な女性もいる。
と、魅力的な女性をたくさん見てきてしまったので、智子嬢はどうにも気位ばっかり高く、イマイチ好きになれなくてですね……。必然的に彼女に猛アタックを仕掛ける○○氏もあまり応援する気になれず。

なので智子嬢の微笑みが誰に向けられるかにはあまり興味がなかったものの(ひどい)、次々と繰り広げられる惨劇は一向に犯人がわからず、その点でわりと夢中になって読み進めました。最後まで、○○○○は想いが報われなくてかわいそうだったなぁ……。「デブ」と罵倒され雑に殺されたあの人も。

それにしても、横溝先生はどうしてこんなにも女性の装束に詳しかったのでしょう。
智子嬢を飾り立てる華々しい装飾品の数々に、これらは一体どのようなものかしら、と想像を膨らませるのは楽しかったですね。


金田一作品の中で過度なエログロを避けるとなると、残りは『白と黒』『病院坂の首縊りの家』のみとなってしまうので、ちょっと次はどうしようか迷っております。横溝正史もクリスティーも未読が少なくなってきたぞ。。

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

星は3.5くらい

今作の金田一シリーズはトリックやらを楽しむと言うよりも、人間ドラマみたいなのを楽しむ感じかと。

「蝙蝠」の意味をあらかじめ知っているかで全ての印象がかわると思う。

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2024年04月10日

Posted by ブクログ

 1951(昭和26)年-1952(昭和27)年作。
 最初この作品の年代を知らずに読んでいたら、すっかりもっと後年(1960年代以降)の作と思い込んでおり、「やっぱり以前と比べて薄味になってるなあ」などと考えたのだった。が、本作は『八つ墓村』(1951)、『犬神家の一族』(1951)などの印象深い屈指の名作にすぐ続く時期の作品なのである。
「にも関わらず」味が薄いのだと言うほか無い。何が薄いかというと、前述のような名作群と比べると、登場人物たちが振りまく強い情念の匂いが、ほとんど感じられないのだ。ここでは密な人間関係における愛憎が浮き彫りにされていないし、おまけに、横溝が得意なはずの怪奇趣味、おどろおどろしさが全く無い。
 せっかく中心に「絶世の美女」を配し、彼女に群がる男たちが次々に死んでいくというシチュエーションにしたのだから、その男たちの欲望やグロテスクなジェラシー模様、および、彼女の心理の機微などをもっともっと描き込むべきだったと思う。
 あるいはトリックの工夫においてある程度世に評価されている作品なのかもしれないが、私としては、この時期の横溝ならもっと緊密な小説に仕上げられたはずなのに、と悔やまれるところだ。後年の横溝は、確かに軽さの方へと流れ込んでいくのではあるが。

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2022年09月16日

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なんとなく、江戸川乱歩の味のする本だった。タイトルから、ヒロインはもう少し歳をとって妖艶なのかと思っていたけど、意外とさわやかだった。

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2022年07月06日

Posted by ブクログ

これといえるトリックなりロジックなりがあるわけではないのだが、やはり読者を物語に入り込ませる力やリーダビリティは一級品...しかし、正直全く新しさがない。既視感すら覚えてしまう。

つまり、面白いは面白いのだが、少しマンネリ化してきてしまっている印象。
横溝さんの最近読んだ作品はどれも軒並み面白さは☆4前後という感じだし、内容も正直そんなに大差はない。
(とはいってもやはり犬神家や悪魔が来りて〜の方が上)

だが、「姫野はなぜ19年前の殺人のことを遊佐に話したのか」という点に着目して推理するのは面白いし、トリックと言えるのかはさておき、肩透かしとも言えるがまぁ心理的密室とも言える密室トリックも悪くはない。

文句ばかり言いながらも次こそはと期待してしまう。そろそろ応えてほしい...

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2021年08月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「正直殺人の方が本領発揮なんで」みたいなこと言ってる金田一耕助なに?ワロタ
登場人物全員ヤバくて共感性低いぶんエンタメ強めでさらっと読めますね。
新聞社の人他にも出てるのかな…。

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2021年05月12日

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金田一耕助シリーズ。伊豆沖の島に住む大道寺家の一人娘、智子が、仮の父である欣造に結婚相手との顔合わせとして東京、伊豆に呼ばれる。そんな中、智子の母親琴絵のと本当の父親との秘密が明らかになる。

序盤どころか、中盤までもアクの強い登場人物をこれでもかというほど多く出し、殺人は唐突に起こるものの、何に判じてのものなのかがわからずという、悪く言えば支離滅裂なストーリー展開が続く。

考えても無駄なので読み進めていたが、盛り上げる割には金田一耕助もこれといった動きをするでもないため、相当にダラダラという感が否めない。

ところが、終盤になって19年前の事件についての情報が出始めてからのスピード感はすごい。他の金田一シリーズのように、真相を知る誰かを引っ張り出してくるわけでもなく、少々静かに終わりつつの真相の部分は一読の価値はあろう。

しかしまあ、中盤過ぎまでのダラダラ感はなかなかに苦痛で、そこまで★1、終盤★4で平均した採点になる。登場人物の数人は、必要なかったんじゃないかと思われる。

また、19年事件現場が保存されているってのもなあ、ちょっと無理がないかとは思うが。表紙のコウモリ(が載っているバージョンなのだ)も無理があるし、タイトルは江戸川乱歩を意識したものであろう。

ところで、角川の電子書籍は杉本一文氏の絵なのに、最近の文庫は何でこんな変なデザインなのか?

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2019年06月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリアスな孤島、魔性の美女、名家、昭和初期。設定が好み。金田一がかなり速い段階で犯人の目星がつくところに感心。被害者が、誰の弱味を握れば自分が有利に働くか、その弱味を握られては困るのが犯人…成る程です。

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2017年06月28日

Posted by ブクログ

これで何冊目になるのか「ひとり横溝正史フェア」。
今回はこちら「女王蜂」。
こちらはタイトルがいい感じです。横溝正史のタイトルは、なんとか殺人事件とか悪魔がどうしたといった、ちょっと野暮なものもチラホラですが、「女王蜂」というのはなかなかいいと思います。

伊豆方面にある小島、月琴等。
その月琴等に暮らす大道寺智子は、亡き母の遺志により18歳になったら東京の義父のもとへ行くことになっている。
加納法律事務所から、智子の月琴等から途中立ち寄る修禅寺を経由して東京まで移動に付き添ってもらいたいという依頼を受ける金田一耕助。
修禅寺のホテルで、智子にまつわる殺人がはじまる。

孤島である月琴等、そこに暮らす大道寺家は頼朝の後裔であるといった歴史を絡めた家系や、元宮様といった余り推理小説ではなさそうな人物だったり、横溝正史の好きな美しいヒロインなど魅力溢れる設定が揃っている。
また、推理小説ファンなら悦びそうな、開かずの間で起きた惨殺事件。
殺人事件のトリックや恋愛などもある盛り沢山な内容だ。

この作品はそれ程戦争を匂わせる描写はなく、ホテルでの滞在や歌舞伎を見物に行くといった描写のある、どちらかというと華やかさのある作品だ。
とにかく智子は美しいらしく、可能な限りの美しさを想像してもしたりない程に美しいらしい。やはり推理小説には美人は必須だ。
美しいヒロインを巡ってこそ事件は起きる。

気になったこととして、智子の結婚相手候補の男性の人物描写でデブというものがある。
デブって。
デブは無いんじゃ、肥満気味とか、せめて肥ったとか。
デブはちょっといかんでしょ。
差別語とかよく知らないけれど、それ以前に子供じゃないのだから、余りにも稚拙な表現ではないかと思ったりする。その、デブという表現がまた多い。
作品自体と関係ないところを気になってしまった。

ラストはまさに大団円という感じではあった。
でも金田一耕助がもう少し犯人の心情を斟酌していたら、とも思える。
何というか、こういう形で真実をすり替えるというか、形を変えるというのか、うまく言えないけれど、いたわるというのはこういうこととは違うのではないかと思ったりする。
小説をまだ読んでいないひともいるかと思うので、ズバリ書けない歯にものが詰まった気持ち悪い書き方になってしまう。もどかしい。

この作品は舞台も月琴等から修禅寺、東京から再び月琴等へと変わり、ひとつの場所で事件が起き解決することの多い横溝正史作品の中では少し異色かもしれない。
人間の心に秘めた思いが描かれており決して明るくはないが、重苦しさもそれ程強くないところも珍しいと言えるかもしれない。

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2016年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中学のときの親友が横溝正史が大好きで、いつも読んでたことを思い出す。私は今まで、横溝正史詠んだことなかったけど、これはミステリー苦手とする私でもつまづかずに読めて面白かった。ただ、出てきてから智子が急に派手な感じに豹変したのはなんでだったのかな?ってちょっと疑問。特にそこは筋とは関係なかったみたいだし。

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2014年10月10日

Posted by ブクログ

普通に面白かったです。
横溝正史は確かですね。

ただ、動機がちょっと弱かったかなー、と。
描写されている犯人のキャラクターと連続殺人をする理由にちょっと違和感があるかな。

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2014年02月02日

Posted by ブクログ

映画版と全く別物。映画版のオチの方が良かったけれど、これはこれで横溝さんらしくて好き。
映画版はほぼオリジナルじゃないか。

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2013年10月15日

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