あらすじ
深夜の高級住宅街に停まっていた一台の外車。パトロール中の警官がこの車に不審を抱いたのが醜悪な事件の始まりだった――。トランクの中には、胸をえぐられ、その血溜りに“ハートのクイーン”を浮かべた女の死体が詰め込まれていた……。関係した女たちの性癖を克明に記した「百唇譜」をもとにゆすりを働く悪魔のような男に挑む、本格長編推理!!
カバーイラスト/杉本一文
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Posted by ブクログ
「金田一耕助」シリーズの『悪魔の百唇譜』を読みました。
最近「ホームズ」シリーズを立て続けに読んで、ミステリーを読むことに嵌っちゃってますねぇ。
半世紀前の東京が舞台なのですが、、、
それでも一世紀前のロンドンと比べると、舞台の背景が想像しやすいので読みやすかったですね。
勿論、頭の中で描いている場面の「金田一耕助」役は「古谷一行」です。
さてさて、物語の方ですが、、、
蒸し暑い6月、深夜の東京成城の高級住宅街。
不審駐車の外車、その後部トランクから発見されたのは、胸をひと突きに殺された美女の死体。
添えられた"ハートのクィーン"のカードは何かの符号か?
やがて似た手口の男の刺殺死体が発見される。不倫と嫉妬の果ての惨劇、それとも…。
という相変わらず怖ろしそうな始まりでしたね。
最後は、容疑者が二転三転して、意外な人が犯人でしたねぇ。
「金田一耕助」の推理力が、ちょっと情けなくて、、、
女中の推理に驚いたり、ブツの隠し場所は知り合いの中国人の推理に任せたりと、少し残念でしたが… まっ、「金田一耕助」が人間らしく描かれているといえば、そうなのかなと、無理やり納得。
被害者宅の女中「古川ナツ子」が「ホームズ」シリーズの愛読者という設定で、「ホームズ」が引き合いに出されるところはご愛嬌か。
思わずニンマリする場面でした。
Posted by ブクログ
刑事が多すぎて混乱した。
割とえげつない事がさらりと上品めな文章で書かれているので、「え…それって…」と文章の二度見状態になること幾たび。
一部唐突過ぎる箇所もありましたが、珍しく金田一が名探偵らしさを発揮していて面白かったです。
Posted by ブクログ
物語の展開はリズムよく進んで行き、誰が犯人か分からないままで面白かった。ただ、犯人の動機がお金目当てだったのは何か浅はかでつまらなかった。というか、同性愛とか、性交渉が案外取り扱われることが多く、この時代ってそういう話題が多かったのかなあ。それか新鮮だったのか。
Posted by ブクログ
停まっていた外車のトランクに、女性の死体。
これが一体誰なのか、というのも問題でしたが
車に関しての謎、人に関しての謎。
どうつながっていくのか、というのもありましたが
何が動機なのか、というのも謎でした。
そして犯人。
登場人物に当然いるわけですが、予想外、でした。
Posted by ブクログ
金田一耕助もの。金田一耕助の小説は大好きだけれど、この「悪魔の百唇譜」は金田一耕助ものっぽくない。哀愁漂う雰囲気がない、というか。
昔、この「悪魔の百唇譜」のドラマをちらりと見たことがある。確か、吉川十和子と火野正平が出演していたように思う。古谷一行が金田一耕助のドラマだ。
その吉川十和子が大変健気な感じで、小説もそういう感じなのかと思っていたら、全くそんなことがなかった。
「仮面舞踏会」もそうだったけれど、ドラマより小説のほうが酷薄で読者の一人としては小説の酷薄さが現実に近い感じがして、本格推理小説という現実離れした設定に一つの落ち着きを与えているように思っている。
朱美の遺書を読んで、李がどう思ったのか、というところは聞きたいところであった。写真をネタに強請っていた人物が変遷していくが、強請りを行う人間は本当にどこまでいっても強請りで食べていこうとするのだな、とある種感心してしまった。もちろん、小説の中の話だけれど、現実の世界でもこれについては同じじゃないかと思ってしまう。
Posted by ブクログ
5日のうちに読んだけど、登場人物が多く、2つの殺人事件が交差しているのと、どっちの車がどう移動して…?と考えながら読むのだが、とても頭を使った。そして人の名前を忘れてしばしば前のページを繰って探した。
警察署も3つ動いてて、どの警部補がどっちだか分からなくなってくる…。
金田一耕助の人間味にも触れることができる。かつて難解な殺人事件を前に張り切っている描写があったが、こちらは解決、終結して後の空虚感に襲われる描写が、冒頭と最後に触れてある。
ミステリーだけではなく文学性を感じることのできる作品。
Posted by ブクログ
東京の離れた二地点で見つかった自動車のトランク内の死体。女の死体の方には、ハートのクイーンのカード、男の死体の方にはハートのジャックのカードが残されていた。被害者の男の方の身許から、「悪魔の百唇譜」事件で殺された男との関連が明らかとなる。「百唇譜」とは、女性の陰部の形を写しとったもので、それをネタにしてゆすりを働いていた男が殺されたというもの。
いかにも、横溝正史らしいテイストの通俗作品だが、地点・時刻・登場人物が複雑に絡みあっており、わかりにくく、ややこしい話だ。
容疑者のアリバイ、容疑者の事件当夜の行動の謎、巡査が目撃した男の謎、車内に残されていた鍵の謎、車の目撃情報の謎、男性被害者と女性被害者とのつながり、「悪魔の百唇譜」事件との関連性、2つの事件の時間的つながりなど、様々な謎が盛り込まれているが、真相説明が雑に感じる。
最後にあっさりとした真相説明があるのだが、これを読んで事件の全体像がすぐに理解できる人がどれだけいるのだろうか。
Posted by ブクログ
終盤になってきた金田一耕助シリーズの長編作品です。お得意の連続殺人事件の真相に挑む金田一耕助の謎解き作品ですが、終盤に展開されるにつれて消去法で誰が犯人なのか?は分かってしまい、やや拍子抜けでしたかね?
百唇譜というのが、どういう意味なのか?分からなかったのですが、確かに作品の中ではキーワードには、なっておりましたが、それほど意味のあるキーワードではなかったのかな?と思ってしまうのでした。
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大人向け。戦争直後の裏の世相を表している。当時としてはエライこっちゃ。ついこの何カ月か前、ストーカーからみの事件があったが、ネットに自撮りの写真をばらまかれていた。なんか、当時の意識と隔絶しているな。
Posted by ブクログ
うーーーん。
イマイチ。なーんかイマイチ。個人的には、金田一耕助の活躍が輝く時代設定は、戦後すぐの昭和20年代中盤ぐらいじゃないかと思う。この作品のように昭和30年代になって、それなりに便利なものが普及し始めてる頃になると、戦後すぐの時代背景の金田一作品が持っている猥雑さ、仄暗さというものが感じられなくなる。
やっぱり金田一が関わる人たちには、戦争から帰ってきた退役軍人、没落した士族や華族や大地主、そしてむやみやたらにそこらじゅうにいる後家さんが出てこないと、らしさが出ないなー。
横溝作品を制覇したい、というのではなく、とにかく金田一耕助の活躍を読みたい、というのであれば、他の作品から読み始めることを勧めます。トリック自体は、それなりに複雑で面白いんだけどね。
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金田一耕助シリーズ。横溝正史の同シリーズは血縁ドロドロ系と変態チックなエログロ系に大別されると思うんだけど、本作はエログロ系。正史の作品としては、いささか凡庸な出来と思います。あろ、子供には読ませられない作品だな。
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情事の写真をネタにゆする男。なんと言いますか三文小説の設定のようです。都会を舞台にした横溝は苦労したというような文章を読んだことがありますが、確かに苦労してたのかもしれません。
ほんのちょい役らしき人のヒントでトリックの一つが解けるものどうかと。
Posted by ブクログ
金田一耕助シリーズ
乗り捨てられた車の中から見つかった女の死体。女の夫のアリバイ。夫の会社のあるビルから盗まれた車。再び見つかった男の死体。被害者は殺された恐喝者の弟子。「悪魔の百唇譜」の秘密。
2009年10月25日再読