【感想・ネタバレ】金田一耕助ファイル7 夜歩くのレビュー

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Posted by ブクログ 2024年02月20日

ゆったり横溝正史を読み直そう!まだまだ寿命が残っていると信じて!(嫌な言い方すな)の回です

というわけでこれまた名作中の名作『夜歩く』を読み直しです!もう一緒に歩いちゃいますよ!(そんな話しでない)

恐らく2、3回読んでるはずなんですが、狂おしいくらい覚えてないw
でもそのおかげでしっかり堪能で...続きを読むきたので、むしろそんな自分が愛おしい
まぁさすがに終盤で思い出しましたけどね

もう、業界で言うところの「全部のせ」です(なに業界よ)
チリンチリン♪「オーダー!全部のせ〜」です

実は金田一耕助シリーズ3作目なんですが、3作目にしてめちゃくちゃ乗せてきやがってるのよ!初期だからできた暴挙とも言える
正史思い切ったなっていうね

設定にしろトリックにしろこれでもかって詰め込んできてます
元華族の古神家に洋風の館、事件を予告する手紙、佝僂、夢遊病、兄妹ではないと思われている兄妹、兄妹と思われている男女、日本刀、岡山県鬼首村、顔のない死体、謎の女、アリバイトリック、そして…まぁこれ以上並べるとがっつりネタバレになるのでやめときますが、とにかくまだまだ乗せてきますからね

それでいてこのボリュームでうまくまとめてるのがほんと凄い!
ただまぁあまりに詰め込みすぎて金田一耕助はただの説明係になってますけどね

いやでもほんと今の子たちにも読んでほしいわ〜正史読んでほしいわ〜

次はなに読もうかな〜♪

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年09月16日

金田一耕助=石坂浩二さんの私でしたので、完全に初読でした。ただ、いろいろとフェアではないとか、某海外作品の手法とか、うっすらと警戒しながら読みました。
最後まで動機が解らず、ミスリードされたまま独白で、え!そっち側でしたか・・・。
トリックや病気よりも、関係者の救いようのない嫉妬心や底無しのドロドロ...続きを読む感に引き込まれました。

本当に作中の男の嫉妬は醜いな。
金田一耕助の爽やかさに救われました。

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Posted by ブクログ 2021年09月24日

面白かった!
登場人物もそれほど多くなく、スルスルと読めました。
金田一耕助の出番はだいぶ後半でまだかまだかと待っていました。それも登場人物に探偵小説家がいたせいもあるかと思いますが、最後にこれが効いてくるのが面白かったです。

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Posted by ブクログ 2021年08月15日

物語の面白さと結晶のような完成度に圧倒されつつ、頁を閉じた。
冒頭の技がすごい。のっけから事情のわからない長い台詞。会話が続き、なんだなんだと読んでいくうち、おどろおどろしい殺人事件にあれよあれよと巻き込まれてしまう。視点の工夫から読み手は目撃者になる。金田一の登場にほっとした。

「イヤミス」に代...続きを読む表される現代ミステリーをプラスチックとするなら、横溝正史の推理小説は樹木。忌むべき内容なのに、どこか潤う。日本の原風景がみえるからか。
この作品は横溝が自信喪失の中で書いたものらしい。それを念頭に読むと心に迫るものがある。
読んでよかった。

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Posted by ブクログ 2020年08月02日

戦後間もない頃の、旧家の殺人事件。登場人物がどいつもこいつもどこかしら病んでいて、これだよ~~とわくわくしながら読み進める。金田一は中盤からしか登場しないけど、相変わらずの好人物で和む。
まったく予想してなかった終章の展開には興奮した。久しぶりに好みにドストライクぶっささる本を読んで、満足です。
...続きを読むの本、近所のダイエーの本の交換所コーナー(読み終わった本3冊→1冊に交換できる)で手に入れた本です。こういうのに出会えるからやっぱ読書は最高だな。

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Posted by ブクログ 2016年12月07日

三文作家の屋代寅太が事件を小説に仕立てているんだけれど、半分くらい読んでも金田一耕助が出てこないし、イライラしながらも面白くて引き込まれる。顔のない屍体は犯人を分からなくするけど、まさかこんな落ちとは!って感じでした。金田一耕助と相変わらずの磯川警部も登場して、舞台は東京から岡山に行くしこれぞ横溝正...続きを読む史。しかし、横溝正史は同じモチーフを何回も使うなぁとちょっと思った。犬神家の一族みたいな古神家の一族やし。そういうところはもしかすると笑ってもいいのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2015年08月21日

これをさいごに読んだのは、中学生の時でしたな。とまれ、おぞましさと衝撃は中学生の時に感じたそのままでした。(昔読んだ横溝作品をこの年でもう一度読むって、いいな。)

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Posted by ブクログ 2023年03月30日

読んでタイトルに納得。そういう意味だったのですね!このネーミングセンス好きです。最後の方になって似たようなパターンのお話を思い出しましたが、それまですっかり騙されてしまいました。面白かったです。

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Posted by ブクログ 2022年07月12日

最初誰かわからない会話から始まり、若干置いてきぼりになったけれど、首を切られた死体が出てから一変して面白くなってきた。あと、傴僂って字が最初読めなくて、意味を調べてもぴんと来なかったから不気味さがよくわからなかった。これは私が悪い。
水の中から首を見つけたときが一番怖かった。ぎゃあ!
語り手が、実は...続きを読む寅太じゃなくて、殺されたとされた誰かのパターンだ!と早々に予測し見事に外した。なるほどね。
金田一が出てくるとすっごく安心するなぁ。一気に物語が加速する。最初は不審者だと思われているのに、妙にその魅力に取りつかれていく登場人物たちは面白い。途中で力尽きるところは笑ってしまった。
雨と夜の描写が美しい。直記がね、一番悪いと思うんだよなぁ。

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Posted by ブクログ 2022年06月26日

もう、タイトルからしてなんか怖いもの。
雰囲気抜群だ。

半分過ぎにやっと探偵登場。
なるほどなるほど。そっちだったか。

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Posted by ブクログ 2021年11月01日

そんなんあり?それはわかんないよ!て思いました笑
夢遊病がモチーフになってるのはこの時代よくあるけど、今の時代じゃむずかしいですね。

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Posted by ブクログ 2021年10月30日

 読めども読めども金田一が登場せず、「おや、金田一シリーズではなかったか?」と思った頃に登場。身内ではない外部の人目線から見た金田一耕助は、かなり頭が切れるが故の不気味さがあり新鮮だった。
 本作は横溝版クリスティの某有名作品。クリスティ既読の方も未読の方も、予備知識なしに読んでいただきたい。犯人は...続きを読む彼かと思いきや、最後まで騙された。しかし、警察に捕まらないために、2人(3人?)も殺すなんて。しかも本当に殺したかった人間は殺せなかった犯人って一体…。ラストに喋りすぎて目的完遂できない所がお約束で、ふっと笑える。

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Posted by ブクログ 2020年03月18日

さまざまな精神、肉体的疾患を持った人が旧家に集まるなか殺人事件が発生。犯人だけでなく被害者探しも重要なポイントかと思って読んでいたら、終盤はまさかの展開。ドラマなどで話が広まる前に自分の目で読むのがおすすめ。

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Posted by ブクログ 2019年08月04日

横溝さんのセリフの言い回しがすごく好きで、昔風の発音で書いてあるのもよかったです。
テンポもいいですね。

ストーリーは序盤はあまり人物的魅力を感じない人が多く出ていたこともあり、いまいちでしたが…舞台が鬼首村に移って金田一が出てきた辺りからなんとなく面白くなってきた印象。
最後の屋代と直記のシーン...続きを読むが一番よかった。
屋代と八千代という名前が似ているはずっと気になっていたので、やはり伏線だったんだな、と。

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Posted by ブクログ 2018年04月16日

完全に引っ掛かりました。やられた!って感じです。

ところで、“鬼首村”ってどっかで見たな。と思っていたら、7年ほど前に読んだ「悪魔の手毬唄」の舞台と同じ名前でした。時系列的には、「夜歩く」の方が先っぽいですが。地理が一致しない感じなので、名前が同じだけで違う村なのかな・・。と余計な事で気になった次...続きを読む第。

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Posted by ブクログ 2017年04月19日

小金井に佇む元華族古神家には
傴僂と夢遊病の因縁があった。
美しいこの家の娘が傴僂画家に
惚れたことを切っ掛けに、
この一族に裏に燻っていた
悍ましい憎悪が発露する。



人里離れた大きな屋敷、
謎の脅迫状、傴僂、夢遊病、
首無し死体。
語り手は探偵小説家。
これでもかと王道設定を
詰め込んだ作品...続きを読む
金田一シリーズらしい怪奇的な
雰囲気もバッチリで、
これが面白くない筈がない。
最後まで王道を貫いた物語だが、
期待以上の読み応えだった。
犬神家や八つ墓村と比べると
知名度は低いが、
完成度は引けを取らない
大傑作だった。

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Posted by ブクログ 2015年10月09日

さすがの展開力でしたね!私も完全にミスリードさせられており、終盤までは、こんなに単純なミステリーなのかと思っていましたが、結末には、やはり単純ではなかったオチとなっておりました。完全に金田一耕助シリーズに、どっぷりとはまっております。次は、八つ墓村いきます!

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Posted by ブクログ 2012年08月07日

久々の再読。
タイトルは夢遊病者の夢中遊行のこと。
いわゆる叙述トリックものなので詳細は黙秘、なんちて(笑)
そうした性質から、ファンの間でも好き嫌いが分かれそうな作品ですが、
奇怪な出来事の連続が一人称でジリジリ綴られていくので、
読んでいてとても引き込まれます。
で、語り手のモチベーションがガク...続きを読むッと下がった瞬間、
ついニヤッと笑ってしまうのでした。

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Posted by ブクログ 2023年10月02日

わたしが読んだ本は角川文庫のものではなく、版元が東京文芸社という出版社で、どうやら相当古いものらしい。紙はざらざらしてるし、偏見と差別に満ちた表現が満載だ(角川のほうはどうなんだろう)。
でもそれがいい感じに、おどろおどろしい雰囲気を醸し出しているとも言える。

「とにかく困つた。何しろ正気の沙汰と...続きを読むは思えん」
冒頭、仙谷直記が屋代寅太に一生懸命訴えている。仙谷の腹違いの妹である古神八千代が、佝僂(せむし)の画家である蜂谷小市という男と結婚すると言い出したというのだ。
結婚相手の蜂谷は半年前、キャバレーで謎の女に拳銃で足を撃たれて怪我をした。事件は未解決のままだったが、実はその謎の女は八千代であり、その原因は八千代宛に届いた3通の差出人不明の不気味な手紙にあると言う。
蜂谷小市は今、八千代に招かれて古神家に滞在している。是非自分と一緒に屋敷に来て、蜂谷のヤツをどうにかして欲しいのだと、仙谷はしつこく屋代を誘う。強引な仙谷の、ほぼ命令ともとれる依頼を、屋代には断れない理由があった。

二人が古神家に着くと、酔った仙谷の父親が日本刀を振りかざしながら、蜂谷を追いかけまわしていた。その日本刀は妖刀村正だとの噂もあり、酒癖の悪い父親がいつかその日本刀で人殺しをするかもしれないと恐れた仙谷は、屋代と共にその刀を誰も取り出せない方法で金庫に保管してしまった。
しかし翌日、首を切られた男の死体が発見される。その背中には瘤がある。蜂谷小市のものかと思われたが、実は八千代の兄も佝僂だった。殺されたのはどっちなのか。その首を落としたのは、誰も取り出すことができないはずの妖刀村正?
・・・といった感じで、この後はどんどん人が殺されていくのだ。

探偵金田一耕助は、物語の半ばくらいにやっと登場する。
わたしは横溝正史の本を読むのは初めてだが、小さい頃にテレビで映画を観たことは覚えている。彼が事件を解決したときには既にたくさんの人が死んでいて、いつももう少し早く分かればいいのにと、子どもなりに胸を痛めたものだ。
化学的な捜査があまり行われていない時代独特の面白さがあり、昔ならではの動機があり、わたしにとっては期待以上だった。

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Posted by ブクログ 2023年02月26日

横溝正史初読
文体が古くて最初は読みにくいかなと思ったけど、ストーリーが進んでいくとあまり気にならなくなった

■金田一耕助
登場が後半で、最後だけ出てきて解決した感じ
半分安楽椅子探偵だったなぁ(笑)
あまりに出ないので最初金田一出ない作品なんだと思ってた
個人的には金田一がいる状態で最初の事件が...続きを読む起きて推理しながら解決するのが見たかった…

■叙述トリック
『アクロイド殺し』的な、『悲しみのイレーヌ』的な見たことのあるトリックではあるが書かれてるのが古いからなぁ(クリスティよりは遅いけど(^^;)
こちらの方が先だろう
後発の作品を先に色々読んでしまってるから新鮮味は少ないけど、この時代に書いていたのはやっぱりすごいと思う
後に書く人たちは二番煎じにならないようにアイディア出さないといけないから大変だ

夜歩くというタイトルが好き
夢遊病のことだったのね
次回はがっつり金田一作品も読んでみたい

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Posted by ブクログ 2022年07月18日

古くはクリスティの『アクロイド殺し』、最近では相沢沙呼の『invert 城塚翡翠倒叙集』と同じ語り手が実は犯人のパターン。やはり今となってはトリックに夢遊病が利用されているのは都合が良すぎる。八つ墓村と同様、金田一の出番が少ないのも残念。

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Posted by ブクログ 2022年05月31日

全体的にかなり凝った設定と展開なのですが、仕掛けが多すぎるのと、金田一耕助が出てきた後があっさりしすぎていて、ちょっと期待はずれでした。

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Posted by ブクログ 2022年05月18日

田舎の古神家をまつる連続殺人事件。死体が分からないようになっているトリックかつ明らかに怪しい人間が犯人なので、そこは驚かなかったが、死んだ時間の工作はなるほど〜と思った。
金田一の出番が後半からだが、新たな展開が続くようになっているのでだれずに物語が進んでいくので読みやすい。
あと舞台設定が上手いな...続きを読むと思う。(しきたりのある古神家、くる病、首なし死体など)

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Posted by ブクログ 2021年02月23日

金田一耕助シリーズ、けっこう時間がかかってしまった。佝僂病やら気狂いやら、なかなか今の時代では見なくなってしまった言葉だけど、個人的には今の時代の方が汚いものや見たくないものに蓋をしすぎているとも感じているのでむしろ清々しい。

脱線してしまったが、なかなか金田一耕助が出てこないので飽きてしまいそう...続きを読むになっていた。
最初、語り手の三流小説家が今までに出てきた小説家だと思っていたが、読み進めていくとどうやら違うらしい。なるほど。
正統派というよりは変化球に近い。
次は正統派がいいな。

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Posted by ブクログ 2020年08月06日

★★★☆☆ 3.3
この叙述トリックは卑怯だろ、ってのが正直な感想。あんまり意外で最初は理解ができなかった。金田一耕助シリーズ。

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Posted by ブクログ 2020年05月04日

主人公は探偵小説家。終始この男性の一人称で物語は進みます。横溝正史の小説で一人称で書かれているものは珍しいのではないでしょうか。
探偵小説家の友人の妹宛に不審な手紙が来たことから、恐ろしくなった友人は、探偵小説家に、彼の屋敷に来てくれるように頼むのですが、そこで恐ろしい殺人事件が起きてしまいます。そ...続きを読むれも首なし死体の…!
その殺人には、絶対に取り出せないように厳重に金庫に保管していた刀が凶器として使われたのでした。ここのトリックは、私は全くわかりませんでした。
後半、金田一耕助が登場したところは驚きました。今回は、探偵小説家である「私」が主人公なので、金田一耕助は登場しないと思っていたのです。
結局、金田一耕助が犯人もトリックも見破るのですが…。
佝僂(くる)やら夢遊病やら、なんだかあんまり馴染みがないものが沢山出てきたので、それほど現実味が感じられませんでした。

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Posted by ブクログ 2019年08月24日

奇妙な襲撃事件・何者かに狙われてる美女・歴史ある旧家の異様なキャラクターたち……といつもの金田一ものではあるけれど、金田一が出てくるのは物語のほぼ終盤である。一人称が作家であるパターンは、金田一ものではまああるのだが、この作品は終盤(本当に終盤)で、思いもよらない展開を見せる。

それに心地よい驚き...続きを読むを覚えるか、アンフェアと感じるかは人それぞれかもしれない。ただ、個人的な感想は「苦しいな」という感じ。
きっとこのトリックありきで物語を作ろうとしたのだけれど、伏線らしきものがなかった(と思う)。終盤で説明はしてくれているが苦しいのだ。それを見破る金田一の見解もあまり大したことはしていないというか……。そのためミスリードされたというよりは、無理やり引っ張られてきた印象なのだ。

とはいえ、首のない死体や死んだはずの殺人者など魅力的な謎が畳み掛けるスピードは早く、普通に面白いミステリーとは言える。

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Posted by ブクログ 2018年12月29日

戦後すぐの猥雑な活気に満ちた社交界の雰囲気が伝わる。前半は読み進め辛いが、後半金田一氏が出て来てからは展開が速い。
大掛かりな仕掛けが中心なので、分かってしまえば言葉を尽くした陰惨さも恐怖を煽る表現も白々しく、何度も繰り返し楽しめるものではない。
ただ「しょげ返る」やら「おめかし」やら昭和の物言いの...続きを読む不意に可愛らしいこと。現代の感覚からすると微笑ましく、作品の奇怪さ不気味さが少々和らいだ。

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Posted by ブクログ 2017年10月08日

代々近親婚で傴僂などが生まれる古神家。その末裔に当たる仙谷家に招かれた、三流探偵小説家である屋代は、夜中に庭を徘徊する八千代さんを見かけたため着いて行ってみると、せむし男の首無し死体が…。

話の前半部分は東京の仙谷家、後半はお待ちかねの金田一耕助とともに、岡山の奥地にある古神家の話となる。

さて...続きを読む、ストーリーの方は前半部分はどうにもハチャメチャなもので、次から次へとトリックではないがネタを仕込んで事件が起こるという部分が多く、どれもこれもが怪しい。

鋭い人は、「ははーん、そういう方向ね」と気づいてしまうのも前半であろう。

後半もなっても、金田一が出ては来るものの、あまり活躍しない。というのも、一人邪魔な人がいるわけですよね。そして解決へ向かっていくわけですが、後半はあれこれ動くわけではなく、1つの事件だけを見せるように書かれるので読みやすい。

ネタバレにならないだろう程度に書いておくと、この小説で徹底的に書かれない、隠されているものは「動機」なわけです。これが功を奏しているのか失敗しているのかは読んでもらうしか無いわけです。ちなみに、タイトルはご存知「夢遊病」であるものの、ちょっとだけトリックにされる以外は、あまりにもダイナミックな使い方をされてしまって意表を突かれた。夢遊病の最中に殺人なんかあったら興ざめしてしまうわけだが、それはありません。

ハチャメチャな横溝かと、それが長辺で続くのかと危惧していたら、全てちゃんと繋がっていたのはちょっと感心してしまう作品だ。

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Posted by ブクログ 2016年03月28日

『ひとり横溝正史フェア』、今回はこちら「夜歩く」を読んでみました。
この作品は実は読んだことがありません。
今回の『ひとり横溝正史フェア』で横溝正史熱の上がった勢いで購入しました。

“われ、近く汝のもとに赴きて結婚せん”という奇妙な手紙と首から上の部分を切り落とされた写真が古神八千代のもとに届いた...続きを読む
また、その三日後にキャバレーで画家狙撃事件が起きる。
知人である仙石直記に頼まれ古神家へ直記と共に向かう私。

こう始まり、私の手記というか小説のような形で物語は進む。
「八つ墓村」のときもそうだったが、本作でも金田一耕助が驚くほど出てこない。333ページの物語であるのに、180ページを過ぎるまで金田一耕助は全く登場しない。
あれ、これって金田一耕助シリーズだったよね、と途中で確認してしまうほどだ。
登場してからは最後までずっと出て、事件も解決するけれど、金田一耕助側の人間の目線で描かれていない形式の作品だと金田一耕助の存在は薄くなりがちになるらしい。

正直に言うと、かなり序盤で犯人の目星はついてしまう。トリックも想像がつく。
そして正解。
ただ、動機がわからない。
これは最後までわからなかった。

今回のラストは暗く哀しいものだった。
横溝正史の描く希望を窺えるラストは大抵わたしの好みではない。というのも、いつも金田一耕助の独断によるものだから。
金田一耕助が好意を感じれば、時に犯罪自体をなかったことにする。金田一耕助が好意を感じなければ、犯人が殺されるとわかっていても見過ごす。つまり、犯人の運命は金田一耕助に握られていることになる。それが気に入らないのである。

物語に〈佝僂〉という言葉があり、ルビが振ってないため最初読めず、文章から状況は何となく想像が出来、くら、くり、くる、くろ、ここらへんかなと推定して読書の友である愛用の辞書を引き、〈くる〉と判明。
横溝正史作品には戦後作品にはよく見られる、現代では使用を控える表現が多い。
そう考えると、良くも悪くも言葉は変わっていくのだと感じさせられる。
〈佝僂〉が読めないわたしの勉強不足ではあるけれど、ルビ振っておいてくれたらいいのに。まあ、こうやって辞書片手の読書というのもオツかなと思うことにする。

この作品でも横溝正史お気に入りの、美しいけれど心が健やかでなく空洞のような生気のない女性が登場している。
こういう女性は一作品にひとりは、ほぼ必ず登場する。
こういう女性が横溝正史作品を横溝正史作品たらしめているのかもしれない。

犯人はわかったけれど動機が解明出来なかったので、この勝負は金田一耕助の勝ち。
残念わたし。

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