【感想・ネタバレ】金田一耕助ファイル1 八つ墓村のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年03月04日

知らない言葉がたくさん出てきて、調べながら読みました。
トリックうんぬんより、言葉に出会う驚きと喜びが大きかったです。
小股の切れ上がった、という表現がものすごく印象的でした。

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Posted by ブクログ 2023年11月20日

横溝正史の名作のひとつ。
山奥の小さな村で巻き起こる連続殺人事件を、事件の中心にいた人物が追想するように書き進めるという作品。語り口調は主観的で、金田一耕助のことを客観的に見ていることもあり、まるで金田一耕助を目の前にしているような感覚になる。さらに面白いところは金田一耕助の言動の真意が分からない点...続きを読むだ。普通の小説ならあれこれと説明なり補足なりがあるのだが、これは一人の人物の視点から、事件を外ではなく内から見ているので、より探偵の言葉や行動の意味が分からず、また事件を難解に感じてしまうのではなかろうか。

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Posted by ブクログ 2023年10月23日

金田一耕助シリーズ3冊目。おもしろーい!エンタメとしてすごい。今回は金田一耕助はそんなに活躍しないというか、主人公寺田辰哉の冒険活劇って感じでこれは何度も映像化されますね!といった感じ。
落ち武者の呪い、黄金伝説、田舎の富豪にお家騒動、ラブロマンスありとても読み応えあったー!男の夢とロマンがつまって...続きを読むるな、、、って感じでした。次はどれ読もうかな!

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Posted by ブクログ 2023年06月15日

激オモロでした…

昔見た映画の記憶が甦ってきて感慨深かった。

映画とエンディングは違ったけど、どっちも好き。

横溝正史恐るべし、また小説を読む楽しみが増えた。

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Posted by ブクログ 2023年03月08日

この作品の存在はもちろん知っていてテレビで観たことがある気がしてたけど、お話は全然記憶になかったみたいです。探偵物と思って読み始めたら、ホラーあり恋愛あり冒険あり・・・てんこ盛りのエンタメ作品ではありませんか!いろんな要素が楽しめて面白かったです。ちょっと前に読んだ江戸川乱歩の『孤島の鬼』を彷彿とさ...続きを読むせました。
たくさん映像化されているようですが、これ大幅カットしたりキャラを減らしたりしないと2時間程度に収めるの難しいですよね?

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Posted by ブクログ 2023年01月29日

金田一シリーズの中でも一二を争うタイトルがよい!作品では現実に起こった津山三十人殺しをモチーフにしたので子供時代に読んだときは怖かった!!
呪いや因習などドロドロした雰囲気もよくでています。
双子の老婆…それだけでなんか怖く感じました〜

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Posted by ブクログ 2022年04月28日

初、横溝正史です。

『皆様、心してください。
これが”本家”の凄さです。』

と、辻村さんの帯コメントがありました。

さすが本家。
不気味さの演出もさることながら、一人一人の置かれた立場により伴う行動や心情が入り組んで謎をより複雑な方向へ導いていく。
主人公辰弥が徐々に疑心暗鬼になっていく様も堪...続きを読むらなく、追い討ちをかけるように真っ暗な鍾乳洞の中で孤独に思い悩む描写はとても恐怖を掻き立てられました。
面白かったです!(≧∇≦)

有名な金田一耕助シリーズ、なぜ今まで手に取らなかったのか。
理由は2つありまして、ひとつは単純に「難しそう」という先入観。
もうひとつは、昔TVで観たことある気がする…ということ。

ひとつめですが、全くもって難しいという事はなく、むしろスラスラ快適に読めたくらい。
登場人物が多いのでそこだけ気を付ければ、すごく頭に浮かびやすい表現で、あっという間に八つ墓村の異質な空間に引き込まれます。

ふたつめはですねぇ〜、朧げな記憶で、小さい頃からTVで繰り返し流れているものを惰性で観てしまっていた可能性があり、これ知ってる〜ってなっちゃうと残念だなぁと警戒しておりました。

有名な作品が多いので、どれかはその可能性があるかもしれませんが、やはり原作が1番!!と思っている派のワタクシとしては、正直めっちゃイカしてるイラスト、杉本一文さんの装丁復刻版で集めたいのであります。

結局心配など無用で、全くもって記憶になく、楽しく読むことが出来ました∩(´∀`)∩♪

鳥取と岡山の県境にある八つ墓村。
田治見要蔵が発狂し、32人の村民を虐殺して、行方不明になったと言われている。
20年後、寺田辰弥の元に弁護士が現れ、自分は田治見家の相続人だと聞かされる。
そして八つ墓村へ向かう事になるのだが…。

殺人事件がなければ、冒険モノのような感覚で楽しめる場面が多々あります。
光苔が不気味な鍾乳洞のシーンが多いのですが、中は幾つもに枝分かれを繰り返し、迷路のように複雑です。
昔、村民が落人を襲って奪った宝物が隠されているという言い伝えもあります。
1938年に実際に起きた津山事件という30人大量殺害事件が元になっているようです。

村という閉鎖されている空間での出来事ですが、その歴史が長いだけにスケールが大きく感じました。

金田一耕助は…
私が想像していたより、出番が少なかったように思います。
出ずっぱりな感じではないのですね。
それがまたいいかも。
頭洗ってほしいなぁ。
そういえば豊川悦司が金田一耕助の役作りで、ずっとお風呂に入らなかったとTVで言っていたような…と思い出しました(^^;;

映画も観てみたい。
鍾乳洞の中のシーンを映像で見てみたいなぁ。

そして次は『犬神家の一族』を読みたいです。

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Posted by ブクログ 2022年03月07日

「たたりじゃー!!!八つ墓村のたたりじゃー!」って言わないじゃん!?

鳥取と岡山の県境にある村。戦国時代に8人の武者が惨殺されて以来、八つ墓村と呼ばれているその村で、大正時代に武士を殺した首謀者の子孫が32人の村人を惨殺して行方をくらます事件が起こった。その二十数年後、再び奇妙な殺人事件が起こる。...続きを読む天涯孤独の身である辰也はある真実を知ったうえで八つ墓村に行くのだが……。

ドラマでお婆さんが「祟りじゃー!!」って叫ぶイメージだったので、意外でした。まあ、騒いではいたけれど。驚いたと言えば、金田一本人も作中で言っていましたが、ほとんど推理しない巻でした。辰也や典子によって、すこしずつ様々なことが明らかになっていくお話。
狭い世間、古い因習が息づくドロドロした世界観と、その中でなんとか謎を解こうとする主人公の熱意に引き込まれて、ほぼ一気読みでした。文章も読みやすかったです。

TRICKの「六つ墓村」を観る前に読んでおけば、パロディぶりをもっと楽しめたかも。「山村の因習」や「祟り」などの要素を含んだ創作物は、この八つ墓村から影響を受けたものが多い、と聞いたような。「零」シリーズにも見られる、じっとりしたこの雰囲気はやっぱり良いですね。原点と言われている小説を読むことができて感慨深い。

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Posted by ブクログ 2024年04月21日

やっぱり横溝正史面白いなあ。
閉鎖的な村での連続殺人。
後半は洞窟内の冒険章にかわります。

複雑な関係性と人物の多さに混乱する所もありますが、圧倒的おどろおどろしい雰囲気と半世紀前に書かれたとは思えない読みやすさで、ページをめくる手が止まりませんでした。

金田一がほぼ出てこないのも意外でした。

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Posted by ブクログ 2024年04月12日

戦国時代、三千両の黄金を持って落ちのびてきた八人の武士が、その黄金に目をつけた村人たちに惨殺された、という言い伝えからその名がついた八つ墓村。大正に入り、名主の家に生まれた田治見要造が突如発狂し、村人三十二人を虐殺、自身は行方をくらますという事件が起こる。そして戦後、事件から免れた愛人の子・辰弥が村...続きを読むに呼び戻されたことをきっかけに、再び陰険な事件が巻き起こる。

『本陣殺人事件』と同様、農村の旧弊さ、迷信深さが色濃く、不気味な雰囲気に満ちている。長い作品だが、次から次へとさまざまな事件が起こるので、飽きることなく読み進めることができる。

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Posted by ブクログ 2024年02月17日

 おそらく横溝正史作品で1、2を争うくらい映像化されている作品。フーダニット、ホワイダニットを主軸としているものの、個人的には「ミステリー要素のある冒険小説」だと捉えている。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月30日

怒涛の展開に、予想はしつつも、驚くことばかり。鍾乳洞を探検するパートはいつもひやひやさせられた。薄々怪しいなとは思っていたけれど、動機もまさかだしノートの仕掛けも驚いたなぁ。
金田一全然関わってこなくて驚いた。最初と最後にちらっと出てきて分かってましたよ、私は。ってやるの流石に笑う。

人物の描写が...続きを読む上手い、鬼気迫る表情とか容易に想像できる。最後まで典子のことも疑っててごめん(笑)

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Posted by ブクログ 2023年12月18日

映像作品はいくつかみているが、横溝正史の原作はひとつも読んだことがなかった 出てくる主要な三人の女性がそれぞれ違う性格なのにいずれも魅力的で、主人公に癖がないのも読む側としては感情移入しやすく、ミステリーとしても散りばめられた伏線や言動が最終的にぜんぶ回収されているのがすごい

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Posted by ブクログ 2023年11月29日

題名を聞いたことあるものの、読んだことなかったので、手にとってみた。
とても面白く夢中になって読んだが、思ったよりおどろおどろしくなかった。
また、ヒロインの必要性が分からなかった。
主人公にしては心の拠り所になったのだろうが、ただの吊り橋効果では。
あと、金田一耕助シリーズとは知らずに読んだので、...続きを読む途中で名前が出てきてびっくりした笑

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年10月19日

 戦国時代には携えてきた財宝目当てに落武者8人を惨殺したのち怪異に見舞われ、大正時代には発狂した村の分限者・田治見要蔵による村人32人無差別殺人が発生した経緯がある山村・八つ墓村。孤独な青年・寺田辰弥は偶然にも自らが八つ墓村出身である事を知ると同時に、新たに発生した陰惨で不可解な連続殺人事件に巻き込...続きを読むまれてしまう……。
 犯人の動機が見えないという事件そのものの恐ろしさに加え、8人の落武者の祟りであるという先入観と他所者(=辰弥)への不信感に取り憑かれた村人が脅威となる恐ろしさが辰弥を苛む様が凄まじい。本作はミステリー小説として分類されているが、個人的にはスリラー小説だと思う。

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Posted by ブクログ 2023年09月11日

タイトルだけ知っていて古い作品ということでなんとなく読んでなかったですが、とても読みやすい!
登場人物が多く覚えるのが大変ですがたくさん死ぬのでだんだんどうでもよくなります。それよりも辰弥が追い詰められるハラハラ感で終盤とても盛り上がりました。

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Posted by ブクログ 2023年08月25日

有名な作品だけど、今まで本はもちろん、映像でもみたことがなかったので、純粋に楽しめた。

しかし、これは推理を楽しむというより、ある意味ホラー小説の比率が高いかもしれない。

推理小説としては、
・金田一耕助の活躍の場が少ない
・犯人の判明の方法が原始的
・典子覚醒しすぎ

という点からイマイチとい...続きを読むう印象。

しかし、展開がどうなっていくのだろうと気になり、飽きずに読み終えることができた。

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Posted by ブクログ 2023年03月23日

☆4.0

戦国のころ、三千両を持って落ち延びた八人の武士が村にやってきた。
村人たちは欲に負け、金を奪おうと武士たちを惨殺。
しかしそれ以来怪異が相次いて起こり、恐怖した村人たちは八人を祀ることでその怪異をおさめようとした。
以降その村は八つ墓村と呼ばれるようになる。

時は流れ大正時代、武士たち...続きを読むを襲った首謀者の末裔、田治見要蔵が突如発狂し三十二人の村人を惨殺した。
要蔵は山に逃げ込みそのまま行方不明に。
事件は解決しないまま二十数年後、田治見家の新しい当主候補として、自らの出自を知らなかった辰弥が八つ墓村を訪れたことから新たな惨劇の幕が上がる。


形式が"すべて終わった後振り返る形で記述している"もの。
今作は金田一さんの活躍が少ないこともあって、探偵小説というより冒険小説っぽさの方が強く感じた。

前半は少しの恐怖とそれを上回る好奇心の洞窟探検だったのに、後半での洞窟での怒涛の展開と言ったら。
ものすごいギャップ。
洞窟の中の逃亡描写なんてえらい怖い。
血走った目の奴に武器片手に追いかけられたらもう怖い。
田舎の閉鎖性や村人の疑心暗鬼、人間の妬み嫉みの嫌な所が不穏さをより強めている。
これだけ閉鎖的だと過去に囚われ続けてしまうのもままあることで。
そこから増殖した憎悪というものは大変に恐ろしいものだった。


そんな中の清涼剤、典ちゃんが可愛くて癒し。
自分も知らない自らの出自に振り回されている時に、典ちゃんみたいな人に「お兄さん、あなたに会いたかったのよ」なんて健気に言われた日にはそりゃイチコロですわな。
うん、可愛い。

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Posted by ブクログ 2022年12月24日


1.おすすめする人
→探偵小説が好き、日本文学を感じたい、
 ハラハラしたい

2.内容
→八つ墓村が自分の故郷と知らされ帰郷した男性。
 男性の周りで起こる怪事件と恋模様が
 人間味溢れる登場人物により、
 臨場感満載で描かれている。
 読み終わる頃には大きな満足感と
 少しの疲労感を抱く作品。...続きを読む
 金田一耕助に出会える、事後報告の探偵小説。

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Posted by ブクログ 2022年08月22日

すっげー怖い。村人に追いかけられて洞窟に追い込まれるシーンが恐ろしくて!
あと女は強い。
金田一耕助ってほんとに役に立たない(笑)

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Posted by ブクログ 2022年08月08日

横溝正史さん読むのこれで2作目。
冒険小説風で面白いです。
が、安心して読める系統かと思っていたら意外ととんでもない方向に行ったのでいい意味で裏切られてよかった。
そしてあれ?金田一耕助って、、やっぱりあまり役に立たない??

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Posted by ブクログ 2022年07月16日

金田一耕助シリーズ代表作の1つです。
この作品は、かなり前に映画で見てはいましたが、今回初めて小説を読んでみました。時代的なものもあり、なじみのない単語もそれなりにありましたが、文章自体は読みやすく感じました。
映画から入ったため、小説版では金田一耕助の出番や見せ場が少ないと感じたり、映画版では最後...続きを読むの辰弥と犯人との激しいやりとりが印象深かったのですが、小説版ではこのシーンがなく、少し残念な気がしました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年04月02日

事件に巻き込まれた青年辰弥が語り手。
過去の事件を回顧し、書き記すという形をとる。

閉鎖的な村、集団ヒステリー的熱狂、落武者伝説、村の地下に続く鍾乳洞、黄金伝説。双子の老婆。
怪しい要素がたくさん出てきて、面白かったです。
語り手の辰弥は、大変な立場で気の毒なのですが、なんやかんや好き放題やってい...続きを読むなーと思います。

後半、実は多治見家の財産に結構魅力を感じていたとか、頼りにしていた姉が倒れた途端に、むしろ手間だと言い出したり、可憐ではないと評価していた典子と逃避行するとか。

春代さんが不憫すぎて、同情せずにはいられない…。

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Posted by ブクログ 2022年02月15日

有名な話ですが、読んだことない人は読んでみては。普通に面白いし、色んな意味で閉鎖空間の世界観が凄い。

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Posted by ブクログ 2022年01月27日

八つ墓村 昔悲惨な無差別殺人が起きた村で新たな奇怪な殺人が起こる。。

怪しげな村とそこに住む人たち。テレビでみた昔懐かしい世界観にどっぷりと浸れた。ミステリーでもあり冒険要素もあり、面白かった。

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購入済み

夢にまで見るものすごさ

2019年01月14日

八つ墓村の話は、テレビでもよく見たような記憶があるが、当初は、怖くて読む気がしなかったが、読み始めると、つぎどうなるのか、次、どうなるのかと引きずられて最後まで読んでしまった。夜中、突然、目が覚めて、夢だったのか現実だったのか、自分が当事者のような錯覚を覚えた怖かった。
 読み終わってから、森美也...続きを読む子が犯人だと知って、動機が分からなくって、今までの推理小説と違う印象を受けた

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Posted by ブクログ 2023年09月17日

初横溝正史。
想像よりも文体はカジュアルで読みやすい娯楽小説だった。ミステリーに止まらず、インディジョーンズな展開を見せるのも予想外。
お家制度、相続、復員兵、村社会……等、戦後日本の仄暗い湿度たっぷり。
モデルになった津山三十人殺し事件を知った上で読むと一層怖い。

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Posted by ブクログ 2023年08月28日

ホラーと名のつくものが須く苦手で、長いこと避けてきたけれど、夏だし……名作だし……ウエストランド好きだし……とかって読んでみた。
結果、全然ホラーじゃなかった!思い違いか?
田舎育ちなので、やっぱり土着っぽい要素が大好きで。伝承とか、住民同士のコミュニティとか、かなりよかった。田舎のミステリーがもっ...続きを読むともっと読みたい!YO

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Posted by ブクログ 2022年10月17日

古い本だけど読みやすい!
ミステリー要素もバッチリ☆
もっとグロテスクでホラーな感じかと思ってたとこが個人的には残念だけど、十分楽しめた

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Posted by ブクログ 2022年08月11日

表紙をめくると、金田一耕助ファイル1とかいてあるが、この物語において金田一耕助は登場人物の一人に過ぎず、これといって活躍するわけでもない。一つ目のファイルなのに、これでいいのか…? 映画だとホラー色が強かったように思うが、原作はホラー色もミステリ色も薄い。サスペンス?かな? 印象に残っているのは、濃...続きを読む茶の尼や田治見家の双子婆さんなど不気味な魅力のあるキャラとときにハラハラする地下洞窟の冒険シーン。村人に追われて洞窟内で辰弥が籠城する場面は手に汗握る。最後はハッピーエンドだが、映画の炎上エンドの方が好み。

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Posted by ブクログ 2022年05月05日

渥美清ヴァージョンの映画では怪奇譚の色が強かったが、原作では地方の土着性を隠れ蓑にしたロジカルなミステリーだった。
文章は読みやすい。また、田舎特有のしめった隠微な質感もうまく表現されている。名家の大きな屋敷と粘着的な人間関係、無知な村民、古くからの因習と伝説。そして漂う近親相姦や白痴といった退廃的...続きを読むなエロス。典子は手塚の「奇子」に影響を与えたこと、間違いないだろう。旧き悪しき田舎像が広く膾炙したのも、もしかしたら横溝正史の手柄とするものかもしれない。
ともかく、旧習はびこる舞台においては、自意識高い近代的な人間は悪である。連綿と続く秩序を破壊しかねないからだ。共同体の秩序こそが、そこに住む人々にとっても唯一のアイデンティティである。だから、己を持ち、知性を持つ美也子は悪である。あるいは、主人公もまた悪である。だから、美也子は死に、辰也もまたこの土地を去る。神のような妻を連れて。否、連れられて。社会構造的・民俗学的にもよくできている物語だ。
推理モノとしては、登場人物も多いが破綻はない。ただ、欠点は金田一耕助の無能。ほとんど何の用もなしていないい。そして英泉が辰也の父とは、やや乱暴か。仮に辰也が気づかずとも、村民がかつての隣人を分からぬはずがない。

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