あらすじ
少女時代に両親をなくし、伯父宅に引き取られた音禰に、遠縁の玄蔵老人からの遺産、それも百億円相続の話がまい込んできた。しかし、それには見知らぬ謎の男との結婚が条件だという。思いもかけない事態にとまどう音禰の周辺で次々と起きる殺人事件。おびただしい血が流された魔の惨劇の根元は、玄蔵が三人の首を供養するために建てた“三つ首塔”に繋がっていた――。
カバーイラスト/杉本一文
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Posted by ブクログ
ゆる〜く横溝正史を読み直そう!『三つ首塔』です
『三つ首塔』にはちょっと思い出がありましてね
確か小学五年生か六年生だったと思うんですが、幼なじみに本屋の息子がいまして仲良くしてたんですね
その彼が誕生日にプレゼントしてくれたのが本書でした
自分からリクエストしたかどうかは忘れてしまいましたが、角川文庫の横溝正史シリーズを収集してる途中だったので少なくとも何を持ってないかの確認はされたと思います
『病院坂の首縊りの家』上下巻も一緒だったので実家が本屋とはいえ小学生としてはかなり太っ腹な誕プレでしたね今思えば
今さらながらありがとうね(届くはずもないお礼コメント)
しかし、我ながら小学生の誕プレで横溝正史て!しかもよりによって『三つ首塔』て!
はい、『三つ首塔』ね
作品紹介によると「本格推理とメロドラマの融合」みたいなこと書いてありましたが、本格推理の要素はほぼないです
どちらかというと運命の恋に落ちた男女の冒険小説って感じですね
直接的な描写はないんですが、主人公音禰は言ってみればレイプされた男に恋しちゃうわ
近親相姦に近いようなものや、当時は非常に嫌悪されていた同性愛も出てきて小学生が読む本じゃねーな全く
どうなっとんねん!(お前だ)
まぁでもね、好きですこういうの
結果なんやかんやでハッピーエンドだし
ええやんええやん、ご都合主義
ヒロインのひとり語りの体裁だったり、金田一耕助あんまり出て来なかったりでシリーズの中ではかなりの異色作ですが、あたしゃ好きですよ
よし、次は『悪魔の手毬唄』行きます!(予定)
Posted by ブクログ
ほとんど金田一耕助が出てこないけれど、金田一耕助への評価が語り部の音禰についつい引きずられてしまう。あのシーンでは思わずこちらまでホッとしてしまった。
両親を亡くして伯父のもとで暮らす音禰のもとに、見知らぬ男と結婚を条件に百億もの遺産が転がり込むことに。遺産をめぐり、今まで顔も合わせたこともない一族が集結するのだけれど、その一人一人も、彼らに付属する人々も個性が強い。音禰は令嬢として大切に育てられていたけれど、転がり落ち始めるとあっという間。彼女の行く末はいかにー!?と心配していたけれど、ハッピーエンドで終わってよかったよかった。
Posted by ブクログ
読み始めてすぐに「あれ、女王蜂と大体の構図一緒じゃね?」と思うけど読み進めてるうちにそれが大体一緒だ!の確信に変わります!
でも女王蜂よりも横溝先生の書きたかったこと全開!という感じで清々しくて好きです♡面白人間博覧会かな?っていうくらい濃い登場人物に翻弄されながらも全身タイツで頑張る音禰ちゃんが好きです♡
でもよくわからないけど何で音禰パパは音禰ちゃんを陥れようとしたの?他のやつ皆殺しにすればよくない?指紋はどうやって残したの?と様々な疑問が湧いてきますが横溝先生の圧倒的な「俺はこういうのが書きたかったんじゃい!」の前ではそのような瑣末なことを考えるだけ無駄ですね♡
本格的なミステリを所望してる人には向かないけどともかく横溝正史が好き!という人はこれを読まなければいけないと思います!
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これもまたテイストの違う横溝先生。
堕ちてゆくヒロインがレトロだけど美しくて、「悪党!」と叫ぶ様はぞくぞくしてしまいます。
現代的に映像化すると誰でしょう。
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お馴染みの金田一シリーズ。ですが金田一はあまり登場せず、事件の渦中にあったヒロイン・音禰の視点から書かれている作品。今までの金田一シリーズとは違った感じで面白かったです。
遺産相続に複雑な一族関係といつもの横溝テイストに、金箔アクロバットダンスだのSMショーといったエログロ、戦後の荒んだ雰囲気と妖しさタップリ。江戸川乱歩みたいじゃない?(読んだことないけど・・・)
露骨な性描写があるわけじゃないけどなんかエロい。でもどこか芸術的な感じがするのが横溝マジック。だと思う。
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禍々しい、おぞましい世界観にぞくぞくしました。好きだ!
耕助シリーズはテレビや映画でしか観たことなくて、「設定は独特で面白いけど、もしかしたら映像化スタッフに恵まれているのかなぁ」とひねくれた予想もしていたのですが。文章も面白かった。簡潔でどんどん進むし、妖しさも原作からしてちゃんと香ってくるし。
後半から、主人公が鈍すぎやしないか?と思ったけれど、そこからまた少し引っ繰り返され、切なくなりました。(オチバレしないよう伏せたらうまく伝わらない感じになってしまいました…)
最後の小題が「大団円」で、その通りきちんと終わっているところも好きです。散々ひねくり回して結局「答えはあなたの胸の中に…」みたいな、気持ちの悪い作品も多い昨今ですが、原点に戻るべきじゃないか!(キリッ と、そんな気持ちになりました。
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横溝正史が初めて推理小説にロマンスの融合を試みた作品と言われている。
読んだ当時、中学生だった私はそのエロっぽい描写に少し興奮しながら読んでいた
のを覚えている。横溝作品の中では結構異色の作品だと思う。
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緑三〇四 6
角川文庫のナンバリングが若い作品ながら角川映画にはなっていないので知名度は低い。片岡千恵蔵の金田一で1956年に東映で映画化されている。昭和30年9月から翌年2月にかけてのエピソード。倍舞台は都内から兵庫県と比較的広範囲にわたる。1972/8初版
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いつもの金田一シリーズに輪をかけて愛欲金欲まみれのゲスなお話だなぁと思ったけど、一応それだけではない事情もあったみたい。ともあれ何でもありでツッコミどころ満載なんだけど、いつの間にかハラハラドキドキさせらせてしまうのでした。
それにしても、差別・偏見が酷い。ちょっと昔なだけでこんな感覚だったのだと知るだけで勉強になる。マイノリティは生きづらかっただろうな。
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エログロ色の強いミステリー。ヒロイン音禰の、男の征服欲を刺激するキャラクターは今となっては時代錯誤な感じだけど70年近く前の作品だから無理もない。八つ墓村同様金田一の出番が少ないのが残念。
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誰が犯人か全く分からないまま、主人公の気持ちになってハラハラしていた。面白く読めたし、最後は主人公と良人が結ばれるハッピーエンド?だったので良かった。ただ、なぜ伯父が主人公を女性として愛していたのかがイマイチ分からなかった。美しいの一言だけなのか、長年一緒に暮らしていて、他人だったからか…。もしくは、主人公の母親の姉と結婚していたが、亡くなって、主人公と自分の亡くなった妻を重ねて見ていたのか…。罪に罪を重ねて死んでいき、こんなことをしなければ幸せに暮らしていたのではないかと思わずにはいられない。ただ、人生というのは、そういった自分でも予期しないことから、些細なこと?から大きなことへと良いも、悪いも繋がっていくのかもしれない。今回は主人公と良人が結ばれたから良いものの、少し気持ちはスッキリしないというか、怖さを感じる。
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一人称で主人公の宮本音禰の視点で書かれている。金田一耕助ものだが推理小説というより冒険小説。
行く先々で殺人事件に巻き込まれの逃避行を続ける音禰を応援したくなり読むスピードが加速する。
金田一耕助は脇役だけど音禰からの嫌われっぷりはなかなかのもの。
一人称で主人公視点の金田一ものは長編では「八つ墓村」や「夜歩く」。短編では「蝙蝠と蛞蝓」や「七つの仮面」を知っているけど、他にもあるのですかね?
推理やトリックは雑になるのですが、実は全部面白い作品であることは確かです。
Posted by ブクログ
本書では、金田一耕助はほとんど登場しない。
冒頭と最後に出てきて、最後は全てお見通しであったことは語られるが、どのように推理したのかは語られないので、シリーズの中では推理要素は少なめに感じた。
ヒロインの音禰は、今の時代にも通じるモテ要素を持っていると思った(真似したいくらい)。女としてのプライドはあるが、好きになったら情に熱く、便りなげに見えるのに、しっかり自分を持っていていざとなれば大胆な行動もする。でも、好きな男性の前ではか弱い女である。
音禰の彼も最初はチャラついた男だけど重要人物なんだろうな程度に思っていたが、最初のギャップが激しい!彼もまた情に熱く、ちょっとした折り目にキスを求めるところや後半音禰を励ますところは感動的でさえあった。惚れてまうやろー!と思うくらい。
最後まで生きているかとっても不安になるくらい尊い愛情を見せてもらった。
金田一耕助というより、音禰の冒険譚として、世界に入り込んで一気に読むのがおすすめ。
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金田一耕助シリーズ長編の作品でしたが、巨額の遺産相続に関連した、横溝正史お得意の複雑な、お家関係が絡み合い、相続候補者が次々と殺されていき、連続殺人犯は一体誰なのか?その動機は?という事件の核心に向かって、どんどん物語が展開していき、最後は金田一耕助が事件の全貌をスッキリ解明するというオチです。
この人は真の悪人なのか?悪人のようで悪人ではないのではないか?というのがポイントですかね?
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金田一のジッチャンの方の事件。
『八つ墓村』と同様に語り手が別にいるため、金田一はほとんど出てこない。
10人以上が死亡する話で、孫が活躍する『異人館村殺人事件』の六星竜一もビックリである。
ミステリーというよりは、サスペンスな話で、探偵小説的なトリックもほとんど無いが、男女の感情の交錯という点において『八つ墓村』を超えている。
Posted by ブクログ
横溝さんの長編は、ハズレが少ない( ´ ▽ ` )ノ。
本作もまた、ワクワクドキドキ、最後まで一気読み( ´ ▽ ` )ノ。
変態さん大集合( ´ ▽ ` )ノ。
が、オチがなあ......
Posted by ブクログ
良家のお嬢様が莫大な遺産相続争いに巻き込まれ、ひとりの男の手に堕ちていく様が、なんともお耽美
そんな自分に嘆きつつも男に惹かれていくお嬢様といくつもの偽名や肩書を持つなんとも頭の切れる男
むりやり関係を作られたり、会員制の怪しげなパーティに全身タイツで参加させられたりとレディースコミックのようww
金田一耕助が出てこなかったら昼ドラの原作みたいですw
テンポがよく、いろいろな事件が起きるので軽く読めるのがイイ
ラストがちょっと切ないのもまたイイ
2012/11/03
Posted by ブクログ
遺産百億円の相続話が舞い込むが、見知らぬ謎の男性との結婚が条件付きだった。そして次々と発生する殺人事件…クライマックスは、かなりドキドキした。
Posted by ブクログ
運命に翻弄される薄幸の美女、音禰ちゃん。
全身タイツとか、いいんですか。その他にも「これはありなの?」という展開が… ピカレスク的ヒーローとのかかわりとか。
超常現象というか、ちょっと妖気じみた描写もあって、ぎっちり中身のつまったエンタテイメントだと思う。
Posted by ブクログ
良家の令嬢の所へ突如舞い込んだ
巨額の遺産相続の話。
条件として見も知らぬ男と
夫婦になれというものだった。
この莫大な遺産を巡り、
血みどろの惨劇が巻き起こる。
知っている金田一シリーズとは
全く異なった印象の作品。
麗しの令嬢が悪漢に惚れ染まり、
全く関わりの無かった
裏社会、人間の闇に直面する。
数々の死体を目の当たりにし、
挙句、警察に追われるという
サスペンス色の強い作品で、
この娘の視点で描かれる事件は
非常にスリリングで楽しめた。
メロドラマの様な物語も嫌いでない。
ただ、このシリーズらしい怪奇的で、
凄惨な事件に巻き込まれる
金田一耕助の活躍を楽しみに
していたので少し不満は残った。
Posted by ブクログ
序盤から中盤までは、かなり重苦しく、場面によってはちょっとした生理的嫌悪感も抱いてしまうような展開。テンポ良く話が進むので、それに助けられて読み進められたけど、これで展開がもうちょっと遅かったりしたら、途中で投げてたかも。
結局のところは最終章の名前通り、「大団円」としてまとまるけど、そこに至るまでのオチとトリックがちょっとなぁ…という感じ。推理小説でこのオチをやられると、個人的にはちょっと脱力してしまう。
やっぱり推理小説は、クイーンやクリスティみたいに犯人が辿ったルートを作品内にそれとなく忍ばせてくれて、読みながら一緒に推理できる方が面白いかな。ホームズの発想力や「実はこういうことだった」という種明かしのパターンも、嫌いじゃないんだけど。
Posted by ブクログ
うーんセクシー。音禰さんセクシー。
ミステリというよりは、冒険小説のような風味。
謎解きっぽいものもあまりない。
各人物の隠された過去とか、問題にされてないアリバイとかが謎のメインになるので。
最後に出てくる「超自然的な出来事」がまた、アンチミステリっぽさを増幅させている。
でも面白かったので嫌じゃないです。たまにはこういうのもいいかな。
Posted by ブクログ
ちょっと古風で取りつき難いところがあるが、やはり横溝正史!クライマックスに向けて盛り上がりは最高!音禰が誰が味方か分からず、それでも男にのめりこんでいくこの不思議さは何ともいえない