あらすじ
岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首村。たまたまここを訪れた金田一耕助は、村に昔から伝わる手毬唄の歌詞どおりに、死体が異様な構図をとらされた殺人事件に遭遇した。現場に残された不思議な暗号はいったい何を表しているのか? 事件の真相を探るうちに、二十年前に迷宮入りになった事件が妖しく浮かび上がってくるが……。戦慄のメロディが予告する連続異常殺人に金田一耕助が挑戦する本格推理の白眉!
カバーイラスト/杉本一文
感情タグBEST3
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岡山と兵庫の県境の鬼首村を訪れた金田一耕助が村に伝わる手毬唄になぞらえて、死体に妙な装飾が施された連続殺人事件に遭遇する本格ミステリーで、現場に残された不思議な暗号や二十年前に迷宮入りになった事件とのミッシングリンク、見立て殺人のフーダニット、ホワイダニットなど全く古さを感じさせない面白さがあった。金田一耕助と磯川警部のやり取りも良かった。
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『獄門島』、『犬神家の一族』と読んで、3作目の金田一先生。雰囲気などは今作が一番好きでした。毎度お馴染み、一癖も二癖もある人物達、ホラーテイストの世界観、そして、なぞらえ殺人。事件も、会話も、解決編もどれも楽しく読ませていただきました。そして、ラストの金田一先生から発せられる言葉と描写が哀愁を帯びていて実に素敵です。
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というわけで金田一さんの冒険譚をゆるりと読み返しております
『悪魔の手毬唄』ですわ
最初に今作を読み終えたとき西の空に向かってこころの中で雄叫びをあげたのを思い起こしました
「見たか!グレートブリテン!日本には手毬唄があるんじゃい!マザーグースなんぼのもんじゃい!」と
なんか歪んでますね(苦笑)
というわけで本作は岡山県の山奥の村に伝わる『鬼首村手毬唄』になぞらえた見立て殺人なわけです
(見立て殺人(みたてさつじん)とはあるものに見立てて事件が装飾された殺人のこと)
見立て殺人というのは横溝正史の得意とするところで、作中でも語られている通り『獄門島』なんかも同じなんですね
で、今回再読してあらためて感じたのは
『悪魔の手毬唄』は『獄門島』の10年くらい後の作品なんですが、『悪魔の手毬唄』はより読者への挑戦の色合いが濃い作品だなぁと
「推理」というものを楽しみたい読み手にとってはほんとに必須課題図書です
時系列を整理しながら、人物相関図を書きながら読み進めれば必ず犯人に行きつくこと請け合いです
驚くべき犯人にも関わらず、誰もがそこに行きつく道筋が示されている
「推理」小説のお手本とも言える傑作です
「推理」小説好きを標榜する諸氏には今からでも遅くない!是非読んで欲しいぞよ!
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金田一耕助シリーズ4作目。面白かった〜。登場人物多いし、事件も多いし情報が多いのに謎が全然解けないので後半一気に読めた。
全体的に雰囲気が似てる感じなんですね?田舎のお家の対立、痴情のもつれ、怪しい第三者、美男美女、、、華やかでワクワク読めますね。次は犬神家の一族読もうかな。
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有名だけれど、映像作品で見たことのない金田一シリーズ。いかにも金田一いいぃ!な要素が散りばめられていて楽しめました。
犯人は意外な人物だったし、登場人物の多さや関係性の複雑さになになに???どういうこと??となりながら読み進めていったけど、さすがにあの子の死はあんまりでは……。
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個人的第1次金田一ブームの頃から一番好きな物語です。
最近、石坂浩二版の映画を観ていたので、相関関係も大体頭に入っていて物語にどっぷりと浸れました。
見立て殺人、悲劇の元となった当時の田舎に根付いていた差別意識とそれに対する復讐心、解決した後のやるせなさ、横溝作品の要素が満載です。
金田一さんと老婆がすれ違うシーンにある、犯人の心理を小説で知って改めて震えました。
もう一度映画を観ないといけないな。
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金田一シリーズ中、最も怪奇色が強く峠で山頂で老婆と会うシ~ンはヒタヒタと背中まで恐怖がはしること間違いなし!
犯行動機のやるせなさ…ぜひ読んで!
手毬唄口ずさんでしまいます〜
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安定の金田一耕助シリーズ。
ミステリー小説の基本ですね^ ^
面白かったです。
鬼首村(おにこべむら)の『亀の湯』で休息する事になった金田一耕助。
磯川警部は、ここで起きた20年前の事件の解決をさりげなく促す。
そして、殺人事件に遭遇する。
死体には『手毬唄』の歌詞に沿った装飾が施されていた。
真相を探る金田一。
20年前の事件との関連は…。
この話の魅力は、なんと言っても「異様な死体」です。
手毬唄の歌詞に沿った意味ありげな証拠品の数々。
いかにも「犯人はこの人ですよ」と言わんばかりのヒントであり、金田一は裏をかく推理で真相を暴きます。
もうひとつあるのですが、ネタバレになってしまう可能性があるので…( -᷄ ᴗ -᷅ )
横溝正史作品はまだ2作しか読んでいませんが、感じたのはやはり、登場人物が多い。
前半はメモが手放せません。
私だけ…?(´・_・`)
鬼首村には昔から苗字ではなく、屋号で呼び合う風習があり、そこもまた引っかけの一部かなと。
桝屋、秤屋、庄屋など、手毬唄殺人に沿っていくには必要な設定ではあるものの、演出として重要な意味をもち、私の大好物でもあります。
人物メモをクリアすると、非常に読みやすいです。
文章が分かりやすい。
そしてこれまた、意外な犯人!
毎度の低次元推理力を装備する私には、犯人当たりませんでした笑
伏線はすべて回収され、納得の結末。
田舎の村独特の雰囲気も、閉鎖的な村あるあるの展開も、とても興味深い。
映画も観てみたいと思います。
あのシーンを、昔TVの予告でチラッと観たような…( ≖ᴗ≖)
皆さん、どのシーンだかお分かりかな。
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市川崑監督の映画はもう何度も観ているが、原作を読むのは初めてだった。作者本人もお気に入りの作品のようだが、日本の探偵、推理小説における名作の一つと言っていいだろう。
どうしても先に観た映画と比べてしまうのだが、映画は原作をほぼ踏襲しつつも、里子が殺されて以降、終盤の流れはかなり変更されている。原作ではリカが犯行を自供することなく死んでしまうが、映画では千恵子に自分が犯人であることを告白するシーンがあり、誤って我が子の命を奪ってしまったリカの苦しみが表現されている。自分は映画の方が好きだと思う一方で、リカにみなまで語らせず、取り返しのつかないことをしてしまったリカの後悔に読者自ら思いを馳せる原作の方が良いのではという気もしてくる。
いずれにしても探偵、推理小説ファンならば一度は手に取るべき作品なのは間違いない。
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金田一耕助シリーズ6作品、昔の慣習と言葉遣い、差別的な考えが逆に当時の空気感を表していて好き。田舎の村ならではの人の距離の近さは懐かしさを感じる。
かなり方言が出てきて読みづらいかもしれないが、私自身が西の生まれなので、ざっくりはわかるし、西の独特な陽気さと田舎の卑屈さが通ずるところにも楽しさを感じた。
話の構成の巧みさはさすが、またストーリーのみならず、登場人物の心理という面でも巧さを感じる。八つ墓村や犬神家の一族よりも一般的ではないのが不思議。6作中、八つ墓村に続いておススメしたい。次はいよいよ犬神家の一族かな。
さて、今作品に戻り、私が感じたことはトリックがどいたこうよりも、人のうちに秘めた怒りや暗さ。犯人の立場になれば仕方ないとも思える。この事件の後を知りたい。
次も楽しみだ。
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短編集に首をひねったものだから長編もどうかと危ぶんでいたけれど、見事に杞憂だった。
いやー、面白い。当時からしても田舎と言われる地方で、過去からの因業があり、一夜度に被害者が増えていく…などという、読者からしたら実に贅沢な読み物だ。
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金田一シリーズは少しおどろおどろしい雰囲気があるミステリーで好き。
登場人物多くて、最初に登場人物一覧が欲しくなる。
昭和初期、手毬唄に見立てられて殺される娘達に、田舎特有の家柄や人間関係が複雑に絡み合って読み応えがあった。
それでいて読みやすい。
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お盆休みなので腰を据えて、なにかじっとりしたものを読みたくなり……手に取ったのが横溝正史でした。
ミステリー好きを名乗っておきながら、触れたことがあるのは『犬神家の一族』のみ。これは原作も映画も鑑賞しましたが、特に白黒映画の方のインパクトがすごかった。
そして、『悪魔の手毬唄』。
期待通りの独特の世界観に浸かることができ、気付けば一日で読破。うーん、やっぱり昭和の田舎を舞台にした作品でしか味わえない雰囲気ですよね。
男女平等なんてカケラもない時代に、次々と明らかになる姻戚関係。「人物相関図をくれ!」と思いながら読んでいましたが、盛大なネタバレになるからうかつに相関図なんて作れませんね……。
私は関東の出身なので、鬼首村の住民達の方言にはなじみがないのですが、この西の方の温かい方言、いいなぁとしみじみ。「おいいんさる」などの敬語表現が特に良いです。
悲しい、切ない、怖気が立つ。それぞれでは表しきれない複雑な思いが去来する……ちょうどお盆の時期のお話ということもあり、夏休みの読書にぴったりな一冊でした。
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14歳の時に読み始めて、終わったのは、なんと20歳でした。
序盤がとにかく長い!
最初の事件が起きるまで、150ページもある。
結末は文句なしでした。
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金田一長編シリーズ17作目。
孤立した村で起きる手毬唄に沿った連続殺人事件。
狭い田舎で起こるドロドロな悲劇。
人の強い想いってそれが良いことだろうが悪いことだろが他の人にも伝染するものなのだなぁと染み染み感じました。
人はいくらでも自己的になれるのだろうか。
横溝正史ドロドロ劇場でした。
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最後らへんでは私も犯人が薄々分かったが悲しい物語である。動機はありそうなものだけれど、悲しい。そして、手毬唄をモチーフにして殺人が行われるというのは、ドキドキさせる、謎解きのような面白さだった。そして薄気味悪い老婆。ドラマがパっと頭に浮かべられる、そんな情景、キャラクター性、物語性でとても読み応えがあった。
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まだそんなに冊数読めてないけど、今まで読んだ金田一シリーズで一番好き。
手毬唄って子供の頃とか普通に歌って鞠つきしてたけど、大人になって聞いたりするとなんとなく怖いのが不思議。そういう映画とか作品があるからかな?
偽のおりんさんの殺害に至った理由も怖いけど、里子ちゃん…。最後まで自分のせいだって思って殺されてしまったんやとしたらぅぁぁぁぁ
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読んでいるうちに、テレビで見たことを思い出してきた。でも肝心なところを全て忘れていたので、ほぼまっさらな状態で楽しめた。話が入り組んでいて読み応えがあって面白かった。
最初は読みにくかった方言がだんだんチャーミングに見えてきて、今となっては離れるのが惜しい。
最後はリカに同情した。八方塞がりでどうにもならなかっただろうと容易に想像がつく。その気持ちを考えたら居た堪れなかった。
外から正体不明の男が来ると荒らされるように言っている人があったが、正真正銘鬼首村出身の男がこの悲劇を引き起こしたというのが皮肉だった。
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最初お国ことばに読みにくくて苦戦。登場人物多いし、屋号もあるしで心が折れそうになったけど、諦めなくてよかった。やっぱり名作はおもしろいなぁ。
辰蔵さんのキャラが良すぎる。常に酔っ払ってるし、特にワイン工場を案内する場面がいい。ワインを飲みまくった挙句、バランスが取れなくて尻餅をついてそのまま寝てしまうとか本当に最高。辰蔵さんの日常を観察したらおもしろいんだろうなぁ。
ちょっとしょっぱい閉め方も好き。魍魎の匣を思い出した。
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鬼首村で伝わる手毬唄になぞらえて起こる連続殺人事件。
舞台は岡山の村、季節は8月。
とても面白かったです。先が気になるので、どんどん読んでしまいました。
田舎の村独特の熱気や閉塞感がありありと伝わってきました。風習なんかも、本当にありそうに感じてしまいます。
自分の読解力ではよく分からなかった点が二点。
昭和7年の死体はなぜ火葬されたか?(犯人が強く勧めた?)
犯人が投身したのは、初めから決めていたことなのか、里子を殺めたことによるのか?
もう一度、読み返してみよう。
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1959(昭和34)年作品。金田一耕助もので、テレビドラマ化もされてやや有名なものだが、横溝正史の戦後の傑作群の中では後ろの方に位置する。『幽霊男』(1954)はちょっと粗雑な作品で、作風が変わってきてしまったかなという感じだったが、本書はこれよりも後で、『白と黒』(1961)のほんの少し前だ。
金田一耕助ものの長編の場合、大量の人物が登場してくる場合が多い。私は人の名前を覚えるのが苦手だ。リアルでも小説を読む場合でも。ゾラの『ナナ』なんて、冒頭から圧倒的にたくさんの人名が出てきて、それを全然覚えられないから後々困ってしまうのだ。
最近はこのように人物の沢山出てくる場合には、メモを取りながら読むようにしている。名前と、年齢、人物同士の相関などを簡単に書く。本書もこれを書かなければさっぱり訳が分からなくなったことだろう。創元推理文庫あたりでは登場人物の一覧が巻頭に載っていて便利なのだが。
ややこしい人物配置さえ把握できれば、この小説はよどみなく楽しんで読むことが出来る。横溝正史作品の魅力は、文章の流れの良さにあるのではないだろうかと今回感じた。刺激となるような出来事も適度に起こってくるし、この小説ストリームに没頭さえられる体験はなかなか充実している。
本作は怪奇趣味はさほど無いけれども、じゅうぶんに面白かったと言える。シリーズ中の良作である。
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まぁ、面白いのは分かるけどやっぱり自分の好みではないかな。
特に見立ての理由であったり、リカが土蔵に影を映した理由とかっていうのはほとんど説明されていない。どちらが良い悪いというわけではなく、必然性を重視するかどうかは好みの問題。
(おそらくほとんどの本格好きにとっては必然性は重要なポイントではあるのだが)
見立ての理由に関しては、その手毬唄を一番よく知っていた多々良に罪を着せるため、というのが仄めかされてはいるが、犯人が犯人自身しか知らない歌に見立てるというのは有り得ないのでさすがに成り立たない。
だが、もう一つの「一人二役」トリックは面白い。"どちらが加害者でどちらが被害者なのか?"というのが問題になっている中、その加害者と被害者が同一人物という発想は盲点だった。
映画で見たことはないのだが、やはり横溝作品は映画の方が良いのではないだろうか。
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楽しみにしていた横溝作品。とにかく3人以上死ぬ、若者が犠牲になることが多い所が横溝作品の特徴かな。相変わらずやり切れないとは思うが、仕方ないとは思えない動機だった。時代が違うので、殺人の選択肢しかなかったかもしれないが。しかし、こんな手近で不倫しまくるとは。
昭和七年の事件の真相など、作者の思惑通りにミスリードさせられた。正直見立て殺人にする意味はまったくなかったと思うが、面白かったので良し。今回は最後の殺人を阻止できて、思わず金田一に拍手。
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金田一耕助シリーズ中期の代表作。
推理物としてはとても面白いんだけど、なにぶん登場人物が多すぎて、誰だ誰だかわからないまま読み進めることになるため、なかなか没入感が得にくい。
4つほど家があってそれぞれ夫婦、子供、孫がいるだけでもわかりにくいのに、養子縁組などで関係が変わったり、あだ名があったり。
できれば犬神家のように登場人物の相関図みたいなものがあれば、読みやすかったと思う。
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加藤シゲアキさん主演のドラマ補完のためにと読んだが、やはり名作は当たり前に名作。とても面白かった。私的には途中一度積んでしまったので混乱した部分もありつつ、本だけではイメージしづらい部分をドラマで保管でき、ドラマだと駆け足だった部分をきちんと理解できたのでいい読書体験だった。
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昭和の頃の名作ということで読んでみた。なまりや昔の言葉が多く読み進めるのに苦労したが、犯人や動機など真相が語られるところまできて達成感があった。悲しくもよくできた話であった。