あらすじ
原さくら歌劇団の主宰者である原さくらが「蝶々夫人」の大阪公演を前に突然、姿を消した……。数日後、数多くの艶聞をまきちらし文字どおりプリマドンナとして君臨していたさくらの死体はバラと砂と共にコントラバスの中から発見された! 次々とおこる殺人事件にはどんな秘密が隠されているのだろうか。好評、金田一耕助ものに続く由利先生シリーズの第一弾! 表題作他「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」を収録。
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Posted by ブクログ
「蝶々殺人事件」
こっちは別のとこで読んだので飛ばした。でも面白かった。表紙がなんか官能小説っぽいけど、作中ではちゃんと服を着ていたので、やっぱ変だよ。
「蜘蛛と百合」
美青年が出てくるが死ぬ。ボクっ娘が出てくるがこちらも死ぬ。
トリックというか謎解きが超越しててすごい。
こんなの書いてオーケーな状態だったのか。
「薔薇と鬱金香」
こっちのほうがまだトリックがある、気がする。小指の骨ね、なるほどね。
しかし、変装アリなのかなあ。すごいなあ。
Posted by ブクログ
表題作「蝶々殺人事件」を含む三篇。
緻密なトリックが素晴らしかった。殺害場所はどこなのか、どうやって運ばれたのかなど予想の遥か先を行く展開に心踊りました。
読者への挑戦があったのも新鮮。
横溝先生、クロフツやカーがお好きだったんですね。
蜘蛛と百合では珍しく女に誑かされ我を忘れ、由利先生に悪態をつくほど取り乱す三津木くんが新鮮。
その先生が助けてくれなきゃ一体どうなっていたことやら。まだ青いんだな。
薔薇と鬱金香ではすんでのところで事件を解明した二人がナイスプレイでした。前作の憑かれた女が悉く悲恋だったので、うら若いカップルが死なずにすんでとてもほっとした気持ちです。
Posted by ブクログ
長編「蝶々殺人事件」と短編「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」の
計3編収録。
以下、ネタバレしない範囲でザックリと。
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「蝶々殺人事件」
戦後再会した探偵・由利麟太郎と新聞記者・三津木俊助。
二人は過去の難事件を回想し、残された資料を元に
三津木が小説を書いてはどうかという話になり、
昭和12年、原さくら歌劇団に降りかかった惨劇について、
当時のマネージャー土屋恭三が綴った日記が開陳される。
東京公演に引き続き、大阪へ向かった原さくら歌劇団だったが、
稽古の直前になっても肝心のさくらが到着せず、
一同が気を揉んでいると、
オーケストラのコントラバスのケースから、
萎れた花に包まれた彼女の遺体が発見された……。
本筋からは逸れる部分で用いられた
軽い叙述トリックが心憎い。
映像作品では表現しにくい、
活字ならではの小技というべきか
(マンガでも可能だろうけれども)――に、やられた!
と膝を叩いてしまった。
この部分はドラマに採用されるのだろうか……
されない気がするが……どうなのだ……。
ショッキングな幕開けだったが、
他の殺人はアッサリしたスタイルだし、
背後の事情などにドロドロした情念は感じられず、
同じ由利先生シリーズでも『真珠郎』の怪奇趣味とは
打って変わって洗練された推理小説。
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「蜘蛛と百合」
新聞記者・三津木俊助の友人でジゴロの美青年・瓜生朝二が、
俊助と別れた直後、何者かに殺された。
俊助は朝二が関係を持っていた美女・君島百合枝に接近し、
探偵・由利麟太郎に釘を刺されたにもかかわらず、
彼女の魔性に魅入られ……という、妖美な物語。
百合枝と“夫”の歪な関係の完成に手を貸す由利先生と俊助
――という、清廉な彼らには珍しく
非道徳的な雰囲気に包まれて終わる作品。
私はキッチリ、カッチリした本格推理小説より、
こういう耽美的な怪奇・探偵小説が好きなのだった。
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「薔薇と鬱金香」
鬱金香夫人=マダム・チューリップと綽名される
美人雑誌記者・弓子は、五年前、夫の畔柳博士を殺害され、
未亡人となったが、小説家・磯貝半三郎と再婚した。
畔柳博士を殺したのは当時の美青年人気歌手《薔薇郎》だったが、
彼は獄中で病死。
今は幸福に暮らす磯貝夫妻に、
死んだはずの《薔薇郎》の魔の手が――。
予想外のハッピーエンドだが、
気になるのは薬で眠らされた(?)きりの
堀見三郎くん、今いずこ……。
Posted by ブクログ
トリックに凝りすぎて何が何だか分かんなくなっちゃった。
予備知識無しに読んだら金田一耕助が出てこなくてびっくりしちゃった。
3作品書かれてたけど、後の二話はオマケ感があったな。
昔の推理小説感たっぷりでした。
Posted by ブクログ
坂口安吾が絶賛していたというから、読んでみた。金田一耕助シリーズから離れると、ある意味展開が自由になって良いなと思いました。内容は面白かったけど、表紙の絵はどうかと思う・・・
Posted by ブクログ
★3.4
金田一シリーズから横溝正史繋がりで読んだ由利先生のシリーズ。全体的に面白かったけど、好きな探偵ではなかった…
あと、作中のアパートでおばさんに目撃された「走り去った男の人」は誰?
Posted by ブクログ
「由利麟太郎」探偵ものの3作品、300ページほどの表題作が1947(昭和22)年、短い2作「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」は共に1936(昭和11)年の作である。
表題作は金田一耕助ものの最初の作品『本陣殺人事件』と同時期のもので、トリックに凝ったかなりややこしい話。怪奇趣味やそれに伴う濃厚な情緒はここには見られず、むしろ機械的に物語は進む。横溝正史自身が四六時中トリックを考案しているようなマニアックな作家であったので、凝ったトリックを設定しエラリー・クイーンばりの本格推理小説を実現したこの作品は、自信作であったのかもしれない。が、情緒性がなさすぎて、私にはさほど面白くなかった。
むしろ、併収の短い2作品の方が、怪奇風の情動があって面白く感じた。これらは本格推理小説としては全然成立していないのだが、私はこういう雰囲気ある物語の方が好きだ。
そっち系の、古い横溝正史作品をもっと探索してみたい。
Posted by ブクログ
ドラマ化をきっかけに初由利先生に挑戦。
これでもかというほど横溝正史のエッセンスが高い熱量を
もって詰め込まれていました。
少々暑苦しいくらいです。
特に表題作より蜘蛛と百合が強烈な印象として残りました。
ただ何となく戦前の空気感が馴染まないせいなのか
まだ最高峰まで到達していないせいなのか
どうにも湿度が高い気がして読み終わったから
次の作品を…!という気持ちにはなれませんでした。
Posted by ブクログ
由利先生シリーズ。表題作の長編と、短編2つ収録。
プリマドンナの死体がコントラバスケースの中から発見されるという派手な事件だが、被害者がどこで殺されてどのように運ばれたのかを検証していく過程はけっこう地味で、『樽』を彷彿とさせる。暗号あり、変装ありでミステリ的な要素をみっしり詰め込んだ感じ。
しかし個人的には、一番のサプライズは事件が終わって由利先生の家で話しているときに明らかになった事実だった。びっくりしたなあもう。