横溝正史のレビュー一覧
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1978年単行本刊行。金田一耕助最後の事件。この頃横溝正史は70代のおじいさんである。
「生首風鈴」という着想は、いかにも横溝らしいグロ趣味だ。最初の事件発生は1953(昭和28)年とされ、当時の若者たちのジャズ・グループが登場する。この時代にジャズを志す若者たちは相当に蔑まれていたようで、ちょっと興味を惹かれる。
さらに20年後の1973(昭和48)年へと舞台は移され、謎が解明される。金田一耕助の年齢はいつもはっきりと書かれておらず、故意にぼかされているのだが、たぶんこの頃は50代だったようだ。
本作は2つの家系が非常に複雑に絡んでいて、正妻の子の他に妾腹の子がいたり、相当ややこしい。いつものようにメモを書きながら読んだのだが、それでも非常に難解だった。
が、横溝カラーが堂々と展開されており、金田一耕助最後の事件としてきっちりと締めくくる良質の作品だった。
ちなみに1979年に公開された劇場版を見たが、すっかり違う話になっていてあっけにとられた。 -
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金田一耕助が獄門島に赴く直前の話(百日紅の下にて)が載っているとのことで手に取りましたが、ほかの三つの短編も面白く読みました。
それぞれ舞台が武蔵野、銀座、軽井沢、市ヶ谷と東京寄りなのもあり、なんだかお洒落な雰囲気。それでいて、殺人の動機はいずれもじっとりしていて、男性の情念の恐ろしさを思い知らされましたね〜。
「百日紅の下にて」も短いながらよくまとまっているのですが、印象的だったのが「黒蘭姫」。
「黒蘭姫」と渾名される、盗癖のある令嬢が登場し、舞台は銀座の百貨店。本当にこんな”例の方”っているのかしら……とドキドキしながら読みました。
短編ながらいずれも満足感があり、さくっと横溝正史の湿度高めな世界観を楽しみたい方にオススメです。 -
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京極堂シリーズから、時代の近いこちらに移ってきました。
こちらも映画やドラマで何度も映像化されていますが、私はそのどれも観たことがありません。だからこそ、”「悪魔が来りて笛を吹く」に隠された仕掛け”に驚愕。犯人はこの曲を聴くたびに、どんな思いに駆られていたのでしょうね……。
印象的な人物は、ドロドロとした椿家の中で、「コケティッシュ」と評される菊江さん。
かつての”いいひと”に小指を捧げる情熱もありつつ、あの異様な家族の中での彼女の存在は、たしかにホッとするものがありました。
昭和を舞台にした小説ばかり読んでいるせいか、追い詰められた”不義の子”が罪を犯す話が続いているので、そろそろまったく違う動機のミステリーが読みたい……と、これは個人的な感想です( ˊᵕˋ ;)
2025.09.28再読
『迷路荘の惨劇』きっかけで貴族ものが読みたくなり、再読。
初見時は人の多さに混乱したり、あまりのドロドロさに辟易したものの、横溝作品に慣れた今となってはしみじみ読めた。
薄幸の人・椿もと子爵。
その繊細さと、潔癖さゆえに生み出した告発の『悪魔が来りて笛を吹く』がなんとも切ない。
美禰子、一彦をはじめ、生き残った人々はどうか前向きに力強く生きてほしいと応援したくなる人ばかり。 -
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ネタバレ横溝正史4冊目。いやはや、読むたびに知らない扉が開いていきます。沼にずぶずぶだ……。
『本陣殺人事件』に『アクロイド殺し』についての言及がありましたが、今作こそまさに。ただ、毎回まっさらな気持ちで読んでいく私は、終盤にさしかかるまでまっっったく疑念を抱きませんでしたが。。
私がまんまと書き手を信用してしまったのも、屋代=Yだから。
なまじ「黒猫亭殺人事件」を読んだばかりだったために、序盤でいきなり直記と屋代なる人物が出てきて混乱したものの、きっとこの屋代は作者のことなんだろうと誤解してしまったんですね。
それにしても、賢明なる読者であれば、屋代が記した記述から犯人を導き出すことができるものなのでしょうか……?蜂屋殺しの夕食の時間までとか、記述が空白だもんなぁ。
あとこれは関係ないと思うのですが、やたらと「喉に小骨がささったような」という表現が多いのも気になったり。三流小説家である屋代の筆によるものだから??
とまぁ、ミステリーの仕掛けについてはこれくらいにして。とにかく今作も”雰囲気”を存分に味わうことができました。
金田一さんの登場は遅めですが、東京での洒脱な空気感のあと、いつもの岡山に場所を移しての閉鎖空間。一粒で二度美味しいとはまさにこのこと。
アレコレ厳しい現代では決して書けないであろう”狂った家族”には、どうしてこんなに気味が悪くも惹きつけられてしまうのでしょうか。
それから、なんといっても直記と屋代の関係性です!
この結末なので二人に出会うことは二度とないでしょうが、露悪趣味でいて臆病な面を持つ直記と、じっと耐えるように見えてその実恐ろしい計画を練り続けていた屋代……。紙面では描かれなかった空白を埋めるべく想像力をたくましくした読者も多いのでは。
金田一さんの出番が少ないのは寂しいですが、なんだかとても惹かれてしまった作品でした。
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お盆休みなので腰を据えて、なにかじっとりしたものを読みたくなり……手に取ったのが横溝正史でした。
ミステリー好きを名乗っておきながら、触れたことがあるのは『犬神家の一族』のみ。これは原作も映画も鑑賞しましたが、特に白黒映画の方のインパクトがすごかった。
そして、『悪魔の手毬唄』。
期待通りの独特の世界観に浸かることができ、気付けば一日で読破。うーん、やっぱり昭和の田舎を舞台にした作品でしか味わえない雰囲気ですよね。
男女平等なんてカケラもない時代に、次々と明らかになる姻戚関係。「人物相関図をくれ!」と思いながら読んでいましたが、盛大なネタバレになるからうかつに相関図なんて作れませんね……。
私は関東の出身なので、鬼首村の住民達の方言にはなじみがないのですが、この西の方の温かい方言、いいなぁとしみじみ。「おいいんさる」などの敬語表現が特に良いです。
悲しい、切ない、怖気が立つ。それぞれでは表しきれない複雑な思いが去来する……ちょうどお盆の時期のお話ということもあり、夏休みの読書にぴったりな一冊でした。 -
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1979年から1980年にかけて発表された、横溝正史の金田一耕助シリーズの最後の長編。横溝はこの後、1981年の末頃に79歳にしてガンで死去。
『八つ墓村』(1949)などの傑作をたくさん生み出した頃に比べると、後年の作品は今ひとつな観があったが、本作は非常に良かった。
相変わらず語り口が非常に上手い一方、たまに次のページに同じような内容の描写を繰り返してしまうといったポカもあることは確かだ。
しかし、本作はストーリーも良いし、昭和前半の時代にはあからさまに書くことの出来なかったような性的なグロテスクさの主題が屹立しており、印象深い。
この作品は1967(昭和42)年を舞台にしているが、この辺りまでは人びとは互いの信頼関係を基礎にした人間関係を結んでいたということを、読みながら痛感した。この頃には、まだ良心に基づいて警察とマスコミの間にも信頼関係がある。
昭和終わり頃から世間は経済奴隷化まっしぐらでもはや倫理も信頼関係も崩壊していき、その果てに、荒れ果てた現在がある。
1980年の横溝正史は高齢者であり、その小説世界もすっかり古くさくなっていたことだろうが、旧い世間の人間関係の平和さが狂った犯罪と対比されてのぞき見ることが出来て、なんだかあたたかい気持ちになる。 -
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ひま師匠に、横溝正史さんのおすすめを教えて頂き読んでみたの第二弾!
この世界観。私の好きなヤツですね。
人がバッタバッタ死ぬヤツですねo(^▽^)o
太宰治の斜陽を当然読んでいない無知の私は、斜陽族とはなんぞや?と最初から引っかかってしまう(^◇^;)
Wikipediaさんにお世話になりながら、ページを捲る。
私の父親が生まれた頃の、昭和の終戦後が舞台となる。
登場人物が多い為、自分で相関図をメモメモしながら読み進める。うん、これは読みやすい(^^)
これは読書だから良いけど、もしここに本当にフルートの音色が聞こえて、効果音があったらめっちゃ怖いだろうなぁ。。。
佐清の時もそうだけど、今回は死んだと思った椿英輔の影が見え隠れするところ、映像だと怖いだろうなぁと感じた。
しかし、新宮利彦、とんでもねーヤローだ( *`ω´)
そんなやつ、真っ先に殺されてしまえっ!
昭和22年、金田一耕介のもとに椿美禰子(つばきみねこ)が訪ねてきた。
世界を震撼させた「天銀堂事件」の容疑者であり、この春に失踪していた元子爵・椿英輔(つばきひですけ)の娘であった。
椿英輔は山中で遺体として発見され、美禰子に宛てた遺書もあり、自殺として処理されていた。身内のもの三名も彼の死を確認していた。
しかし、美禰子の母・秌子(あきこ)が父に似た人を目撃したと訴え、本当に生きているのかどうか、砂占いで占ってみることになり、金田一にも参加して欲しいとの依頼だった。
砂占いとは、コックリさんのようなものだった。
その日はちょうど計画停電の日であった。
集まったのは、美禰子、美禰子の母・秌子。
秌子の兄の新宮利彦、その妻華子、その子供の一彦。
秌子の母の兄玉虫公丸、妾の菊江。
主治医の目賀重亮、女中の種とばあやの信乃。
椿英輔の友人の遺児、三島東太郎。
砂占いが始まり、停電の暗闇の中で占いが続けられた。計画停電が終わり、電気がもどると、砂の上に火焔太鼓のような模様が残されていた。
その時どこからか「悪魔が来たりて笛を吹く」のメロディーが流れてきた。
その夜、玉虫公丸が何者かに密室の中で殺害される。