横溝正史のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
やっぱりいいね!
由香利(あえてね)の告白は、想像すると随分エゲツない画が浮かんでくるのだが、文章は下ネタチックに書いてないので、やっぱり上手いんだなぁと思う。
心情の変化も自然で、救いもある。
追記すいません…
孤高の金田一耕助。どんなに慕って慕われて、共に協力して事件を解決し、戦友の様な関係を築いたとしても、やっぱり最後はひとり。
周りに流される事なく事件と、その事件関係者と、自分と向き合い、自分で考え、人はひとりで歩いて行かなければならないんだ。これが“人間”なんだと毎回気付かされる。
そして周りの人達もそれを理解し、気に掛けつつ、そっと見守っている。
私もこうありたい!なんて思ってし -
Posted by ブクログ
安定の金田一耕助シリーズ。
ミステリー小説の基本ですね^ ^
面白かったです。
鬼首村(おにこべむら)の『亀の湯』で休息する事になった金田一耕助。
磯川警部は、ここで起きた20年前の事件の解決をさりげなく促す。
そして、殺人事件に遭遇する。
死体には『手毬唄』の歌詞に沿った装飾が施されていた。
真相を探る金田一。
20年前の事件との関連は…。
この話の魅力は、なんと言っても「異様な死体」です。
手毬唄の歌詞に沿った意味ありげな証拠品の数々。
いかにも「犯人はこの人ですよ」と言わんばかりのヒントであり、金田一は裏をかく推理で真相を暴きます。
もうひとつあるのですが、ネタバレになってしまう可能 -
Posted by ブクログ
久しぶりの金田一シリーズ。狂気の表情を浮かべる猫の表紙。これは冒頭の惨劇のシーン。
ダ・ヴィンチ別冊のムック「金田一耕介the Complete」も合わせて読みながら横溝世界を堪能しました。時代設定としては戦後10年、出版も同じくらいの時期のせいか「戦災」跡の描写が生々しく、今読むと別世界のように感じられると共に非常にリアルな情景です。
今回は金田一はほとんど登場せず、複雑な仕掛けを解くというより、苦境に陥った人々を掬い上げる男の活躍を描くサスペンス比重が高い。共感してほしい、かまってほしいとか
、すぐに心折れたとかが多い今と違って、弱音を吐かないとかなんとしてもやり抜くとか昭和の理不尽なまで -
Posted by ブクログ
ネタバレ市川崑監督の映画はもう何度も観ているが、原作を読むのは初めてだった。作者本人もお気に入りの作品のようだが、日本の探偵、推理小説における名作の一つと言っていいだろう。
どうしても先に観た映画と比べてしまうのだが、映画は原作をほぼ踏襲しつつも、里子が殺されて以降、終盤の流れはかなり変更されている。原作ではリカが犯行を自供することなく死んでしまうが、映画では千恵子に自分が犯人であることを告白するシーンがあり、誤って我が子の命を奪ってしまったリカの苦しみが表現されている。自分は映画の方が好きだと思う一方で、リカにみなまで語らせず、取り返しのつかないことをしてしまったリカの後悔に読者自ら思いを馳せる原作 -
ネタバレ 購入済み
面白かった!
金田一シリーズでお馴染みの横溝正史の短編小説です。横溝先生の文章はとても読みやすくて、一気に読んでしまいました。最初のお話は、入れ替わりが最大の鍵になっています。いろんな人がそれぞれちょっとずつ悪事に手を染めている感じです。結局誰が一番の悪人だったんだろう?
私は、自分が何かをすることなく望みの物を手に入れた安道なんじゃないかと思っています。ぜひ一度読んで見てください。
最後のお話は新婚のカップルがとんでもない悲劇に巻き込まれて…というお話です。新婚の夫の上司の妻が、自分の思い通りに行かないのを恨んで、無関係の少女を殺して、その罪を新婚の夫に着せようとします。夫の無実を信じる妻が、自分の -
Posted by ブクログ
戦前の小説らしいのだが、戦後の「八つ墓村」や「犬神家の一族」等々の要素があちこちにあって、もぉー、ニンマリ。
そして、横溝正史と言えば、読んだ後に残る、一抹の哀感。
横溝正史のいい所であるそれが、ちゃんと担保されている。
つまり、ぶっちゃけ言えば、すでにワンパターン!w
ただ、それは横溝正史だから。横溝正史が横溝正史の小説の中でワンパターンしている分には大歓迎なわけだ。
ていうか、主人公の椎名耕助って、ミョーに「姑獲鳥の夏」での関口くんとダブるんだけど?
えっ。もしかして、彼のキャラはここからきてる?
なぁ~んて思ってしまうと、この話と「姑獲鳥の夏」って、どこか似ているよーな、似てないよーな! -
Posted by ブクログ
ネタバレ壮大な舞台の話だった。
ミステリー小説だからそこはお約束なんだけど、後味の悪さというか、どこでボタンをかけ違ってしまった…あの時違う選択をしていれば…という気持ちになってしまう。
弥生と耕助が由香里の秘密について話した時の場面、あそこはハッとしながら読んでいた。そうかもしれない…と思いながらも臨場感を感じながら読めた。
最後の耕助が行方をくらますところ、シリーズとしての終わりかたが、耕助は事件を解決するとメランコリーに打ちのめされるという記述が今までにも出てきたが、それがとうとう決壊を越えたのかなと感じさせる、でも耕助らしい飄々とした後味を残した終わり方だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ事件が錯綜して混乱しそうだったけど、最後、ついに綺麗に回収・収束されていった!
以下ネタバレ大有りです。
横溝正史の小説はミステリーなのに、ホラー感が強いのは何故だろう、といつも思っていたのだけれど、悪霊島は特にその雰囲気や場面がそれにぴったりだった。
終わり方も、大団円とか、全ての謎が詳らかになるのではなくて、もしかしてあなたは…という問いかけで終わったり、重要人物が全てを語る前に死亡したり、しかもなぜ死んだのかは不明だったり…そういう余韻というか、ある種の座りの悪さのようなものが世界観を不気味なままにしているのかも。
ゾッとした場面…鵺野なく夜に気を付けろ…の本当の意味を知った時。簑笠が