Posted by ブクログ
2016年04月05日
表紙は違い。横溝正史の代表作といえば「犬神家」であり、ストーリーも代表作に恥じない、しっかりしたものである。
現在放映中の日清のコマーシャルにも使われるほどの有名なストーリーなので、説明不要だろう。横溝モノの定番である、莫大な遺産をめぐり、非常にややこしい家柄に起因する、トラブルから殺人へ発展する...続きを読むという話。同じ血を引くものがよく似た容貌であるというようなところもポイント。
依頼人が殺されるのは「八つ墓村」と同じ。その後は、いうほど死にまくらないが、ポイントを抑えてあるので最後まで飽きずに読める。
例によって、金田一耕助は、解決こそすれど、殺人を未然に防げない傍観者の役割である。
個人的には、横溝モノには珍しく、中学校以来の再読ではあったにも関わらずストーリーはほぼ完璧に覚えていたのが珍しい。というのも、横溝作品はキャラクターが強烈過ぎて、内容まで覚えていないのだ。
つまり、この作品が名作たる所以は、佐清という強烈なキャラクター以外を抑え、ストーリーとのバランスを上手くとったところにあるのであろう。